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説明員(徳永久次君) 先程
委員長から一本
レートの
実施に
関連して商工省としての生産
対策としてどういうことを考えておるかという
お話がございましたが、私共この一本
レートの
設定ということの
意味合と申しますかにつきましては、結局一本
レートの
設定を通じて
日本の
経済の動き方全体を國際的な正常な
水準に持
つて行
つて、その
水準の下で
生産増強なり、
日本の
経済の
自立を図
つて行くんだというような
意味合のもんだと考えるのでございますが、大ざつぱに見ますと、來年の
経済につきましては
アメリカの
援助も
相当あるであろうし、それから
日本の國内的な
原因からも生産の増強も或る程度軌道に乘りかけておるような、そう先の見透しも暗いわけでもないのですが、今までの動き方自体というものでは、勘定合
つて銭足らずで、一應生産が伸びて行
つておるとしても、
最後の蓋をあけて見た場合に非常にがちやんと來るというようなことから、まあ除々に一本
レートの持
つて行くという趣旨で、長い間の
封鎖経済からの歪みが來ておりますので、それをまあ逐次一本
レートの大きな挺子によ
つて修正して行くというものだと我々は理解しておるわけであります。從いまして、そういう見地から申しまして歪みがどういうところにあるかと申しますと、一番大きな問題は終戰後、戰爭中でも引続いてでありますが、
日本の
産業の、殊に
輸出産業について考えて見ましても、
從來合理化が
相当怠られておつたということでございますが、一本
レートにな
つて、それでなければ出せないという目安が與えられて來るようになりますと、それで條件のよいところはどんどん余計出ることになります。けれども條件の惡いところはそれに歩調を合すためには、どうして
合理化を強力に推進して行かなければならんという
要請が生れて來るわけです。それで以て一本
レートで
合理化の結果立行くようになるとすれば、その生産というものは
相当ベースが固いものにな
つて参るわけでありますが、どうしたら
合理化を推進できるということは商工省の大きな仕事だろうと思
つております。それからもう
一つは、
合理化と同時に今までの
企業採算ベースというものが終戰後、例えば償却の問題とか、税金の問題におきましても、まあ極端に言いますれば、丁度個人
経済の賣喰いで、筍で暮すといつたような、資本の食潰しを強制されておつた。それを建直して正常なベースで、資本の正常な蓄積も行なわなければならないというようなことを、一本
レートの
実施と
関連して是非実現して貰いたいということを商工省としては今日考えておるわけであります。先の
企業合理化の問題でございますが、この問題は若干どういうことを考えておりますかということを
申上げたいと思います。
企業合理化という言葉でございますが、
合理化自身というものは、戰爭中いろいろ戰力増強、
企業整備とかいうようないろいろなことも行われたわけでございますが、私共の
考え方は、
合理化の
実施そのものというものは、これは各
産業の業者がおやりになることなんで、
政府としては業者が
合理化をおやりになるについての目安を與えるとか、或いはいろいろな資料を與えるとかいうようなこともしなければなりませんが、業者が直接
合理化をなさるについて、
政府は業者に
合理化を強制するような周囲の條件というものを作
つて行くということ、それから業者のなさる
合理化を
政府のや
つておることで妨げておるものがあるとすれば、それを修正して行くというようなことが、
政府側の立場から政策として現われて來るのではないかというような
考え方で、いろいろなことをいたそうとしておるわけであります。戰爭中にやりましたような戰爭増強、
企業整備とか、ああいう直接に個々の
企業というものに
政府が手を打ちまして、段々とこれらをやりたいということでして、あなたの所は仕事を止めて下さいというようなやり方は、それ程の何と申しますか、強制能力と言いますか、適正な判断というものが的確にできるわけのものでもないと思いますし、戰爭中はそれによ
つて労働力を浮かして外を廻そう、強制的に廻そうという
一つのせつぱ詰つた大きな
要請もあ
つたのでありますが、そういう方法を採らない行き方で行きたいと思
つております。具体的にどういうことになるかと申しますと、
日本の
経済が長い間、戰爭から計算しますれば十年近くも外國との接触がなかつたわけでありますが、いろいろな面で外國の
事情にも疎い。それから自分の
産業のレベルがどこにあるかということも業者自体、大きなところはいろいろな資料をお持ちでしようが、全般として見ればそういうデーターをお持ちにな
つていないというようなことがあるわけです。これは
政府も十分資料があるわけじやございませんが、
政府はそういうものについて資料を請求して業者にお知らせする。例えば或る
産業についての能率生産、業種別の労働生産がどうであるとか、原單位がどうであるとか、コストがどうであるとか、いろいろな
状況をお知らせする。外國との比較なり、或いは戰前との比較というようなものを、データーを作
つて業者にお知らせをするというようなことが
一つの目安になるのじやないかと思
つております。それからこの一本
レートの
実施に
関連して、一挙に一本
レートに行けないので、先程來
お話がありましたように、取敢えず四百五十円を頭にして
切つて見たりして段々や
つておりますが、そういう形で一本
レートの枠へ逐次追込む、四百五十円ということにして、いわゆる一本
レートということで、今問題にされております行き方も、先程の
お話のように過渡的には補助金制度というものがあるわけです。それを段々絞
つて行くという形で逐次矯正して行くというのが
一つの
合理化の企画になるのじやないかと思うのであります。それから今の
政府のや
つておりますことが、
合理化を妨げてお
つたのではないかという面を考えて見ますと、商工省が直接
関係します面は、一番大きいのは
資材の割当というのがあるのです。
資材の割当につきまして、これは自由
経済なら何でもないのですが、
政府が主要な生産
資材、原材料というものを配給統制しておるのです。それの配り方、
資材というものが能率のいいところに本当に行くようにな
つておれば問題はないのですが、その割当というものを反省して見る必要があるのではないか。まあ
從來性能の惡いものにつきましても成るべく公平にということで、
合理化と申しますか、能率重点というような見地は非較的薄くしか要素に取入れられておりませんでした。從いまして結果的に見ますれば、新規業者が必ずしも惡いわけではありませんけれども、設備の過剰にな
つておるような業種について、技術なり、設備の足りない新規
企業を起しても、そういう方にもやはり
資材は配給しておつたわけです。その結果、前からの業者の方の
資材を削
つて渡すということになるのでありますが、全体に廣く薄く渡すということであ
つて、まあ折角貰
つて仕事をしておる人から見れば、そういう人には
資材は段々減るというようなことが今の割当
事情ではないかと思います。そういうことを一本
レートということで、
日本の
経済の本当の
合理化ということを考えますと、そういう点を徹底的に改める必要があるのではないかと思います。さりとてその改め方を
政府が直接、
從來から申しますように工場の順位を決めまして、この
企業が重要だからこの
企業を一にやる、この
企業を第二順位にやるというようなやり方は、これは非常にむずかしい問題を含んでおりますので、その間どうすればよいかということでありますが、私の今考えております大体の
考え方は、成るべくできる限りの業種について需要者選択の制度というものがよいというわけであります。
輸出産業につきましては、これは敢てお客さんのあることで、お客さんの註文がなければ……あるところにはその生産の原材料はどんどん渡すということになるのであります。これも非常に分り易く理解が行くと思いますが、それによ
つて伸びる
企業は伸びる、註文の貰えない
企業は潰れるということは理の当然のことで非常に分り易いと思います。同じようなアイデアというものを
國内産業につきましてもできるだけ廣
範囲にや
つて行きたいというつもりでや
つて行きたいと思います。