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國務大臣(
殖田俊吉君) それでは……。昨日でございましたか、一昨日でございましたか、
衆議院の
法務委員会におきまして、この
吉村隊事件に関連する質疑がございまして、それに私が答をいたしておりますのが
新聞に傳えられまして、或る
新聞にはそれがいろいろ應答のありましたのを断片的に食つ付けまして、
一つのレポートを載せておりまして、それが私のその席で述べました本旨とは
大分隔つております
記事にな
つております。或いは皆樣のみならず世間へも
誤解を招いておりはせんかと思いますので、この際私のそのときにおける
お話を申上げまして、
皆さんの御了承をお願いたしたいと思うのであります。私のそのときに申上げましたことは、格別私といたしまして
間違つたことは言わなか
つたつもりでありまするけれども、
誤解を招きましたことは誠に遺憾であります。この際私の
立場を申上げまして御了承願いたいと思うのでございます。或る
委員から、この
参議化における
吉村隊事件の
取扱方は適当でないと思わんかというような話がありましたが、それは私が
法務総裁といたしましても、
國会における議員の行動を
批判する何らの権能もありませんし、義務もありませんし、
責任もありません。
從つて私は
批判の限りでない。又たとえそれを私個人として不適当であると
考えて見たところで、その
意見を
議会に反映せしむる何らの手段もないのであります。これはすべて
議会における問題は
議会が自主的に御判断なさることであ
つて、
外部から
政府が何ら関與すべきものでありませんから、これはすべて
議会の自主的の判断に俟つべきものであるということを申上げました。何遍もそれに類した
質問がありましたが、悉くそれは
議会が御
決定になることであ
つて、
政府がかれこれ申上げることではないということを申上げたのであります。それから、この
証人尋問の話が出て参りまして、それは
渡邊という
軍曹の死んだという
新聞記事に関連してであ
つたのでありますが、私は、具体的の事実は
議会内の問題でありまして、私共の
外部から何も正確な知識を持たん者がかれこれ云々すべきものでは勿論ありませんし、具体的事実は
法務廳は直接の問題といたしましても、何らまだ承知しておらんのであります。具体的事実に基いての
お話ができないけれども、ただ純粹の抽象的な
法律論であるならば、こういう議論が立つということを申しまして、ここに私は書いて実はこれを読んだのであります。
議院における
証人の
宣誓及び
証言等に関する
法律は、もとより
憲法第三十
八條第一項の
規定の下に
解釈運用せらるべきものであるから、この
法律に基き
証人として
議院において
証言を求められた者が
犯罪を犯した者である場合には、その者に対し
憲法第三十
八條の
解釈上、刑罰を以て
眞実の
供述を強要し得ないと解するのが相当である。こういうふうに私はこの
通り読んだのであります。それからまだ先があります。
從つて、仮にその者が
宣誓の上
自己が
刑事上の処分を受くるに價することを犯していることを
供述しなくても
違法性はなく、同法第六條により
処罰し得ないと解するのが相当であろう。
これは
憲法第三十
八條が前述のごとき
基本的人権を保障しているからであ
つて、これは
刑事訴訟法の
規定等の併せ
考え、
憲法第十三條によ
つて制限し得ないものと解すべきであります。こういうふうに申上げましたのでありました。これだけであります。これが敷衍されましたか、歪曲されたとは申されませんが、拡大されて、いろいろ報道されたのではないかと思うのであります。もう少し私がいろいろ制限を附して申上げればよか
つたのでありますが、少し簡略に過ぎましたために
誤解を招いたのではないかと思いまして、甚だ遺憾に存じております。併せて御了承願います。