○淺岡信夫君 それでは、この間私岡元
委員と共々に派遣されました
関係につきましての大要を、
簡單に御報告申上げたいと思います。皆さん各
委員のお手許に、この
信洋丸船長が告訴人となりましたその告訴状をお手許に配
つてございまするが、それからそれ以外に一應願末書といたしまして、船の事務長、それから問題になりました船員、ドクター、それからこれは
援護廳側でありまするけれども、
復員官、杉原
復員官並びに都井
復員官、と同時に、その
信洋丸の操舵手でありましたところの林靜夫君、
信洋丸の一等
航海士、これはこの
船長と密に関連が深かつた人でありますが、竹中一等
航海士、それから
信洋丸の事務長の森田事務長、それから医師は今回医師でありまするが、それからそれ以外はやはり若干問題に関連いたしておりまする
信洋丸の山本甲板長、同じく甲板員でありまする赤岡甲板員、そうした方々の顛末書を一應又
委員会として求めたのであります。更に
舞鶴市の東警察署長に、大体取調べた
引揚者の暴行
事件についてということで一應の顛末書を書いて貰つたのであります。それから更に
信洋丸で
上陸いたしました後、いろいろな問題が起
つて、大半……六十五名の人だけは一應残
つて頂いて上つたものですから、その中の副
梯團長二人を初めといたしまして、その司会者、議長を勤めた山田幸雄君以下十数名の
人間といろいろ懇談もし、更に調査も進めました。それから一方京都地方檢察局の告訴に対する大國主任檢事、その人の意向を一應聽取いたしまして、それに基いたところの大要を聞いたのであります。一、京都地方檢察局
舞鶴支部に対し告訴することに決定した。二、告訴人、原告、
信洋丸乘組員一同右代表者
信洋丸船長、三、被告
信洋丸引揚者全員二千名、四、事実、刑法二百二十二條の脅迫、二百三十六條の強奪、九十五條の公務執行妨害等以上であります。こうした面につきましてはすでに檢察廳でこれを取上げておりまして、その結果板垣、宝田両副
梯團長、それから山田議長、山田久吉中隊長、以上が一生檢察廳に留め置かれて調査のさなかにあります。本
委員会といたしましては、すでにこれが檢察廳で取上げておりまするから、そうした問題に対しての又行き方と違つた
考え方を持たなければならんというところから、この九十四名の
信洋丸の全
乘組員を要請いたしましたところが、九十一名の
乘組員が、私共の調査のときに
信洋丸船上の人達として我々の調査に一々答えて貰つたわけであります。ここにあります
乾パンが、これは二十二年度の
乾パンであります。二十二年の十二月に作製したという
乾パン、それから二十三年三月から九月までに作つたという
乾パンであります。我々
委員といたしまして、この
乾パンをあつちこつち引張り出して開けて見ました。成る程この
乾パンの中にはパーセンテージにして、どうかは分りませんが、まあ二%や三%ぐらいは虫があるのじやなかろうかという結論に一應達したわけであります。そこでこの今の
引揚関係の予算の面から
考えて見ましても、敢て
乾パンを支給しないでもいいのじやなかろうかというような
考え方も一應持しているわけであります。それからまあここに
乾パンの写眞もございますし、両副
梯團長、山田議長、それから
向う側の、つまり
引揚者側のお医者さん、元軍医、この人達のいろいろ捜査途上の写眞もございます。それから二番船艙の、いわゆる吊し上げをしたと、こう言われておりまするところの写眞もございます。更にこの写眞の外に何メートルあ
つて、この人員はどういうふうに
なつたという写眞も檢察廳に事細かにありますから、必要とあれば取り寄せて見てもいいのでありますが、要は私共が一番心配いたしました問題は、この
信洋丸の九十一名の船員すべてというわけには行きませんが、殆んどその九十一名の人に、あなたはこういうような問題が仮に今後起らないとしても、起るか起らんか分らないけれども、
自分の事務として、船員として乘込んで貰えるかということを聞きましたところが、どうも私共は船が遭難に会つたとか、或いは衝突をしたとか、暴風に遭遇したとか、暗礁に乘上げたとか、そういうような問題に対して
生命を堵して戰い、或いは努力することはちつとも構いません。併し何が何だか訳の分らんようなことで以て、事によれば
生命を
危險に曝さなければならんというようなことは到底
自分達は堪えられん、だから
一つ自分達が安全に船の上で
作業ができるような
状態に置いて貰うということを強く要請され、ま
あとにかくそうした点については、國会としてはできるだけの
措置をして努力するから、一應まああなた方も
自分の
仕事を果す上において努力して呉れんかということを話しましたところが、どうも余り氣持よく、それじや愉快に
自分の職域を果す
意味におきまして船に乘りましようと言
つて呉れた人は殆んどないのであります。皆不安が
つておる。それを更に突き詰めて行きますと、
自分は構いませんが、
自分達の家族が、ああいう
引揚船、或いは
復員業務の
輸送船には乘
つて呉れるなという要望がありましたということが大体九十一名の大半の意見でありました。この点については当
委員会といたしまして、どうか適切なる
措置を各
委員に
委員長から要請して頂きたいと思うのであります。それからこの中の起
つて参りましたところの問題は、副
梯團長、或いは
引揚者諸君に聞きますると、いやこれ座談会だ、或いは
懇談会だとか、或いは大衆討議だとか、これは
向うの慣行なんだということを強く皆一樣に主張しておりました。けれども、一應調査が終
つてなごやかな懇談に入
つて見た場合に、大衆討議の結論と言いますものは何かというと、それはお互いに反省だということを言
つておりました。それではあなた方は反省する
余地はないかということを言つたのであります。ところが反省する
余地はないということを強硬に言う人もありましたし、我々の取つた
行動に対しては大きな反省をしなければならんという人も出ております。いずれにいたしましようとも、大体
信洋丸事件の大要というものはそういうような面にございまして、詳細は、この顛末その他につきまして、主要な面をプリントにいたしまして各
委員にお配りいたすようにいたしたいと、こう思
つております。ただ問題といたしますることは、この
乘組員の方はそういうふうでありましたが、
引揚者諸君の大要の意見を申上げますると、ああした
船長、ああした
乘組員なんというものは
復員業務に携わ
つて貰つちや困る。むしろ
下船して貰いたい。そうして
本当に
我我を理解するところの人達によ
つて復員業務を、或いは
引揚の船を操作をするようにして貰いたいというような、その要請が非常に強うございました。そこでその口裏からいろいろ私共は
考えて見ますると、これは一
信洋丸の問題ではない。必ず次から次へとこうした問題が、
船長ばかりではない、事務長ばかりではない、或いは一等運轉士にしましても、或いはその他の人達にしましても、いやこういう人達の操作ではもう御免蒙むると、こういう問題は次から次へと起
つて來る問題だというふうに一應私が岡元
委員と共に結論付けたのであります。そこでこの
委員会といたしまして、
政府なり、
船舶運営会なり、要すれば
関係方面に対して強く議を纏めて、強い要望をして頂きたいということに盡きるのじやないかと思うのであります。更に、この問題につきましては、岡元
委員から重ねてこの月末二十八、九日頃に
委員会を開いて頂いて、要すれば、それまでには檢察廳
方面の結論も相当出ておるのではなかろうか、そこで証人喚問、その他によ
つて然るべく
委員会の動向その他を決定して頂きたいということなんでありましたから、一應取纏めて御報告をいたして置きます。それから檢察廳
方面の意向といたしましては、非常に強い意向を持
つておられますことを附言いたしまして、一應私の報告を終らして頂きたいと思います。