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政府委員(菊池明君) 前回お尋ねのありました本
年度の
予算編成に当りましての
基礎資料にいたしましたものを一週間ぐらい前に差上げましたが、「道路荒廃の
現状資料」というのをお開き願いたい。これは平たく道路の
現状を数字的に表わしましたものでありまして、第一の表は、現在の法によりまして道路の種別が分れておりますその
通りに、國道、指定
府縣道、一般の
府縣道、準
地方費道、これは北海道であります、それから市道、町村道というふうに分けまして、現在ある全体の総
延長。それからその中で一應規定にあります幅員或いは勾配に改良されておりますものの
延長、それのまだ未改良のものの
延長、次がこの幅に構わず舗装されております
延長というようなものであります。これを差引きました舗装をしてない
延長の中で、砂利道、砂利を敷いてあるところ、砂利も敷いてない
土砂の道路というようなもの、そういう
延長調べ。それから最後の欄はこれは幅員とか舗装とかいうことに拘わりませず、現在自動車が通れば通れるという
延長が掲げてございます。総
延長と申しますものは、これは全体の
延長なんですが、御
承知のように國道につきましては本法に明記してありまして、それの
延長でございます。それから
府縣道の方は各
府縣におきましてその縣の
方針で認定いたしますので、勿論これは大臣の認可を得るわけですが、この
延長は縣々によ
つて方針が幾らか違います。基本
方針は勿論本法に示してありますが、やはりいろいろと縣の事情がありまして、割合余計密度が高く
府縣道が入
つておる縣と、そうでない縣とありますので、全体的な
重要性から行きますと、まちまちにな
つておりますが、幾らかまちまちにな
つておりますが、相当
地方的な事情を加味されて決ま
つておるわけであります。市道、町村道も同じようであります。ですからこの改良済という改良いたしました
延長が、國道につきましてはここに約四割改良済にな
つておりますが、次の
府縣道につきましてのパーセンテージは、五四%とか三四%というものは、これはまあ全体での平均でありまして、各
府縣につきましては相当まちまちにな
つておりますので、この数が的確には、判断いたします資料にはなりにくい場合がございます。各縣々について
考えます場合には、取敢えず全体につきまして、こういうパーセンテージで國道、
府縣道を通じまして三割七分だけが規定の幅員にな
つておるわけであります。それから市町村道は、これは御
承知のように、市道或いは町村道が細かい幅の狹いものを含んでおりまするので、総
延長の割りに改良した
延長というものは僅かに一割二分でありまして、低いことにな
つております。それから舗装の方は、これは國道につきまして一割七分、
府縣道につきましては三・四%であります、三分四厘でございます。それから市道が、そこに参りますとこれが増しまして、市道がやはり五・九%、町村道が僅かに〇・一%であります、千分の一だけ舗装しておる。まあ総計いたしましては一・二%、これはやはり小さな市町村道の
延長が影響いたしておりますので、比率は低くな
つておるような次第であります。で又大体を御覧になりますのに、この國
府縣道のところで御覧になると、全体の事情を大観することはできると思います。ですから先ず三、四%、三%ぐらいが、百分の三ぐらいが舗装されておるという
現状であります。それから自動車の
通ります最後の欄でございまするが、これは幅が必ずしも法にありまする規格の幅、或いは勾配、屈曲のカーブ等が規格のようにな
つておりませんでも、速力を落すとか不自由を忍んで
通りますれば通れますので、割合にパーセンテージは高くな
つておりまして、國道については八割三分まで自動車が通れる。指定
府縣道については七割三分、一般の
府縣道では四割七分で、北海道の準
地方費道では四割、國
府縣道を通じまして五割二分、約半分だけは自動車が走れる。市道になりますと、これは御
承知のように割合に、町の中を走れますので、これは八割八分までは一應通れる幅にな
つておる。町村道で四割、全体で四割六分、これも
延長にして約半分ぐらいは一應自動車は通れる幅にな
つておる、こういう
現状であります。
それから特に橋梁を取上げて掲げましたのが次の第二の表でございます。これは橋でございますが、橋梁を分けて木橋、石橋……まだ現在も石橋が相当に残
つております。それからコンクリート橋、鉄筋コンクリート橋、鋼橋……鉄の本当の橋であります。それらを合計いたしまして、國道では八千三百六十七橋、
府縣道では九万五千五百七十三橋、市町村道では二十九万二千九百六十四橋ありまして、現在合計が三十九万六千九百四橋、約四十万橋。これは昨年私がここで申上げました橋梁の数は三十万と申上げましたが、これは統計の取り方により、橋と名の付けられる長さをどこから取るかというようなこともありますしするので、統計がまつまちにな
つて甚だ申訳ありませんが、今日この表は約四十万橋で、問題はこの中の一置上の欄の木橋の、右の端の欄にある二十三万橋で、これは木橋でありまして、今後問題になる、特に
予算に
関係する問題は、この二十三万の木橋で、これが戰前、戰時中、戰後非常に腐朽いたしまして、荷重を制限いたすとか、或いは通行を止めるとか、しばしばその橋で交通事故をおるというような問題の種になるものでございます。本
年度の
予算にもこの木橋を補修するという問題が相言強く取上げられております。
その次の頁でありますが、前回
ちよつと触れましたように、二十四
年度においては道路の維持確繕、それらを補修という名前ず申上げましたが、補修の方に非常に
重点が置かれることにな
つております。それの全貌を
説明いたしますめに、
昭和九年以來、大体普通の
状態にありました
昭和九年に使いました維持修繕費はどのくらいか、それから以後二十年、二十一年までの修繕津の全額をずつと掲げてございます。それに物價指数がありまして、これで割りまして逆に
昭和十
年度に比較いたしました。昨年の維持修繕費が次の終りから二欄目にございます。御覧になりますように
昭和九年に四十七億余万ありましたものが、段々と減りまして、二十一
年度には十九億七千万円というふうに減
つてしまいまして、その差額を九
年度を標準の
年度といたしまして、その差額を出しましたのが、最後の欄の差額と申しますのは、つまり九
年度で相当の修理ができたものとしますと、それに対して足りない、標準に不足する額が次の欄に現われるわけであります。それらを合計いたしますと、一番最後の合計の二百十億という金額、ですから、この十二、三年の間に補修維持修繕すべきものをいろいろの
関係で怠つたその金額が段々と累積いたしまして、九年の物價指数で
考えて二百十億という金額に相成るわけでありまするから、現在ではこれが又大変な金額になるわけであります。それだけ維持修繕が怠られて道路や橋梁が傷んでおるということに御推測を願いたいと思います。
次の頁はこれは橋梁でありまするが、
昭和十度年以降の橋梁の破損いたしましたものの調べであ
つて、木橋のみにつきまして、ここに書いてございます。これを國道、
府縣道に別けましていろいろ合計いたしますと、木橋の数がさつき申しました表の中にあります数をここに掲げまして、合計いたしたのでありますが、それが先程申しました二十三万橋、それから
延長、平均の幅員、それにかけました全体の面積、橋梁の総面積が八百三十八万平方米、次に少し仮定の入つた数字が掲げてございますが、十五年
程度の壽命が木橋にあるといたしまして、毎年五十六万平米ぐらいは段々と
復旧する
計画にしなければ木橋を十分な
状態に保つことはできないでしよう。然るに戰爭中これを怠りましたので、すでに
復旧を必要とする面積
が大体二百万平米に達しておる。これは昨年中ばの單價でございますが、平米に五千円かかるといたしまして、この金でも九十八億円がなければ普通の
状態には持
つて行かれないという形に相成
つてお
つたのであります。それから本
年度で申しますれば二十四
年度に対しましては、百億、少くとも一〇%増しまして、百億ぐらいは必要ということに相成るのであります。次に永久橋とありますが、これは先程の欄で申しますと鋼橋とコンクリートを使いました橋のことでございますが、特にここでは鉄筋コンクリートじやなくて鋼鉄を使つた橋、これは永久橋とありますが、決して永久というわけには行きませんで、やはり維持修繕が要る。御
承知のようにこれにペンキの塗替をしなければならない。これも戰爭前から戰爭中にかけまして、ペンキ等は殆んど橋梁の方に廻りません。そんな
関係もありまして塗
つてありません。これが段々腐蝕いたしまして、橋梁のスチールにも穴があくという
状態が至るところに起
つて來て、何とかしなければならん、この金が二十億、塗替に金が少くとも二億要る。それから御
承知のように橋の高欄をスクラップ供出の
関係で無理に取りました。それを元に返すのに三億、その他爆撃の
被害等約二億円で、合計二十四億円というものに直ぐに何とか要る
状況であります。
その次の頁以後は、これはいろいろ経済的に自動車の運轉の経費の方からどういう
被害にな
つておるかということをざつと掲げてございますが、最初の表は自動車が道路が傷んでおりますために、年間経費としてどれくらい損失があるか。燃料が余計要る、タイヤ、チユーブが余計余る。車の消耗が多くて修理費が余計要ります。從
つて又償却費が高くなる。それを合計いたしますと、年々百二十三億ぐらいの損失を知らないうちにや
つておるという計算が出て参ります。それからそのぐらいの金を道路にかけて修繕をしますと、どういう
効果を得られるかというのが次の表でございます。百二十三億二千万円で道路補償を行うものとしますと、維持補修がどれくらいできるか。
復旧がどれくらいできるかというわけであります。
次は道路が非常に惡く傷んでおりますために物的損害、交通事故がどういうふうに起きておるかという、これは警察の統計でありますが、これを挙げてあります。そこで最後の頁でありますが、これは本
年度提出の
予算とは直接
関係はありませんが、
只今計算をや
つて見たに過ぎませんが、概ね五ケ年間にはこれぐらいの
是非道路の整備をしなければならんだろうという表を御参考に掲げました。一番最後の欄に合計
予算額といたしまして七百四十二億、これぐらいのものが要るのではないかというのでありまして、二十四
年度提出申上げます中には、これの極く一部しか出ておりませんので、これと比較申上げるということは、殆んど問題にならない
程度の開きがありまするので、これは御参考までにそこに掲げたのであります。
只今提出いたしました表につきましてはこういう次第でございます。