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説明員(目黒清雄君)
デラ台風に対する我々のと
つた態度それからその経過を御
報告申上げます。
先程お話がありました通りに
相当大きな
被害であります。併しながらこの
被害は時期的にはまだ
台風時期という八月、九月以前に起
つたのでありまして、これをこのまま放置いたしますれば、再び來たる
台風に対して如何ともし難い、いわゆる更に
災害を増加するという非常な危險な
状態に
災害が起
つたのでありまして、これをこのまま放置するということは我々としては忍び難いという意見が出たのであります。併しながらこれに対して不幸にして公共事業費には予備金というものを持
つておらないので、これらの予備金支出の方法は到底採れなか
つたのであります。併しながらそういうふうな
状態でありまするから、何とかしてこれに対する應急措置を講じなければならんということで、我々協議しました結果、すでに御
承知の通りに、公共事業費のまだ認承の済んでおらない三・四半期以降の金の中から十億を目途として、これは十二億になりましたが、十二億だけ繰上げて
災害に充当するということにな
つたのであります。併しながらこれは一應繰上げでありますから、三・四半期以降の公共事業費の中でこの金を一應分担しなければならん傾向で、この点は各事業とも非常に問題があ
つたのでありますが、併しながら将來としてはどうしても補正予算なり何かの方法を講じて、この穴を埋めなければならんという考え方で一應充当したのであります。この十二億の配分は目下いろいろ協議しておりますが、大体の各府縣の配分が定ま
つたのであります。
これより以前にこの公共事業費十二億を出すということは
関係方面といろいろ折衝しなくちやならんし、各省との折衝もありますので、なかなか手間取るという心配があ
つたものでありますから、一應
地方に一時的な融資をしたいということで、十億の金を融資したのであります。これは一應短期融資でありまするが、將來は長期に考え直す場合があるというようなことで短期融資をしたのでありますが、その金は大体各府縣の割合は
鹿兒島が二億、
宮崎が二億、大分が一億、熊本が五千万円、福岡が一億五千万円、高知が一億、徳島が六千万円、愛媛が四千万円、山口の一億というように十億の金をこの府縣に配分したのであります。併しながらこれはどこまでも一時融資でありまして、更に公共事業費の十二億を配分する場合には
現地を査定いたしまして、実地
調査をいたしまして正確なる資料の下にこれを配分しなければならんというのが各
方面の強い要求でありましたので、我々の方から
現地に人を
派遣して大体先月一杯で査定は完了したのであります。その資料に基いて今後十二億の配分をするのであります。
ところがこの十二億の配分の内訳を見ますると、十二億の中に
河川関係といたしましてはその中の八億八千万円であります。他の三億二千万円の金は運輸省の港湾或いは農林省の
漁港というような
災害に振向けられるのであります。その八億八千万円の中に國の直轄
河川の復旧費が一億、北海道の
災害、これは
デラ台風ではありませんが、北海道の雪解け
災害に対するものは未だ
國費の支出をしていなか
つたのであります。而も北海道は御
承知の通り全部
國費であります。
地方がこの
工事を行うことができないのでそのまま放置して置く
状態でありますので、これだけは特別に九千万円の
國費を投じたのであります。從
つて各府縣に今後配当します金は六億九千万円ということに相成るのであります。
これが現在
デラ台風に対する我々のと
つた方法でありまするが、最近の、皆んな
現地に査定に行
つて参りました、或いは山口國務大臣が
現地を御視察になりました結果、
相当被害が甚大である、最初のように十億の融資を短期融資でこれをそのまま短期にしてしまうことは、各府縣の財政上非常に困るのではないかというようなことから、まだはつきりいたしませんが、場合によりまするとこの十億がそのまま長期融資に替わるという可能性が大分起
つて参りました。從
つてそれが長期になりますると、この十二億に対する
地方負担の起債分六億になりまするが、これが更に融資の方法を考えなければならんというようなことを言われておるようであります。まだこれははつきりいたしませんがそうなりますると最初の二十二億よりも更に六億の追加金額が
地方に行くのではないかというふうに我々は希望をつないでおるのであります。
次にその後に起りましたフェイ或いはヘスターというのでありますが、
フェイ台風は御
承知の通り
デラ台風が起
つて皆んな
現地に査定に行
つておりまするときに起
つたのでありまして、その受けた区域は大体
鹿兒島、
宮崎、熊本、長崎というようなところであります。でありまするから現在までのとられておりまする十二億余の配当の場合には、この
フェイ台風の
被害も加味されたものとしてこれは配付すべきではないかということになりまして、残るのは最近起りましいヘスターであります。ヘスター
台風は最初非常に速度の遅い、而も
中心の示度の非常に弱い
台風でありまするので、一應は我々としては安心したのでありまするが、この針路は今の小笠原から始まりして場合によりまして関東
地方を襲うのではないかという心配もありましたが、結局三重縣に上陸いたしまして福井縣に抜けたという針路を通
つております。この
地方には
相当な
被害があ
つたのであります。殊に三重、京都、滋賀、これらの府縣はこのヘスターによる最も大きな
被害地であります。ところがこのヘスターとその前にあります
台風といいますか不連続線のいたずらで、このときに徳島が
相当な豪雨を見たのであります。以前に
デラ台風のときには徳島の南半にはあ
つたのでありますが、今度は吉野川流域の所にヘスターの前にこの大暴風がありまして
相当な
被害を起しております。
それで現在までに我々のところに
報告がありまするのは、表に載つけてあります通りに、一番大きいのは京都の十一億四千万円、それから三重縣の九億というようなものであります。特にその外に徳島の二億五千万円、香川の五億はまだこの点ははつきりいたしませんが、一應香川が五億とな
つておりまするのは余りに数が多いのではないかという我々は見方をしておりますが、こんな程度であります。これも
相当な、デラと匹敵する程……まあデラよりも
相当小さいのでありますが、又これに対して何らかの方法を我々としては考えなければならないということで、これにもやはり、公共事業費の十二億以上にこれを増額して繰上げ支出は困難である場合には、少くともこれに短期融資か一時の繋ぎ資金を出さなければならんということをいわれております。目下その額については協議中でありますが、大体において出すという傾向には行
つております。昨日当りまでの協議の結果では、これに六億程度の融資をしようではないか、尤もこの金額は変わるかも知れませんが、そういうふうな経過を辿
つております。
そこでこの
災害の
原因でありまするが、もうすでに
皆さんの御
承知の通りにいろいろの
原因がありまするが、結果において我々が一番この
災害が未然に防げるというところで防げないのは、やはり何と申しましても洪水
予報の問題であります。目下各大きな
河川については
予報組織を拡充しておりますが、これも結論においては通信
連絡の
関係が非常にまずい、自分自身で通信機関を持
つておらないで
警察の通信やその他逓信者の通信を利用するというそのことが非常に
連絡の齟齬を來たしておるということであります。それから農林省
関係との計画に対する
災害防止的の
見地からの施工に対する
連絡が欠けてお
つた、例えば堰堤を造
つて農業用水を取ろうとする、それが
災害の
原因に
なつたとか、或いは開墾のため
災害を起したというようなことが、現在現実とな
つて現われて参りました。こういうようなことを考えて見ますると、かねてから我々からお願いしてあ
つたやはりこれらの組織を一纏めにした総合
建設省ですか、
國土省ですか、或いは公共事業省ですか、何かそういうものを作
つて頂かなければ、総合的にこれらのものを順序よく將來を考えた計画がなかなか立ち難いというようなことが考えられるのであります。若し今後
國土保全の意味で
災害防止に力を入れて頂くといたしますれば、そこまでお考え願うのが一番いいのじやないかということをこれは蛇足でありますが、お願いしたいと思うのであります。