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和田博雄君 社会党はこの
法律に実は反対でありまして、私も二、三の点から多少反対してみたいと思うのですが、今度の独禁法の
改正は、
一つは或る
程度企業の要求を認めて行こうという立場である
ようであります。その点については、制限を緩和するわけでありますから、一應緩やかにな
つて來ると、こういう感じがするのでありますが、
一つの反対理由は、私は今度の
改正は、事業者團体法との
関係で、非常に不均衡だろうと実は思うのであります。この行き方で見ますると、
独占禁止でありながら、実は役員の兼任であるとか……。成る程表面競爭しておる会社はそれは禁じられておりますが、
関連産業等については、役員も兼任すれば、
株式も
取得できるということにな
つている。過度の経済力集中排除の場合には、
関連産業が一番問題にな
つて來るのです。そういう
一つの独占の影態といつたものが、これによ
つて考えられて來る。むしろその途が拓かれて來るという
ように極論すればできると思う。事業者團体法を
改正いたしますれば、今後の集中生産という形と相俟
つて非常に中小
企業に圧力が加わ
つて來る。これは
政府も認められておつたと思う。この点については、恐らく今度の
國会等でも是非
改正して貰いたいと思うのですが、そういつた点で非常な不均衝な点がある。役員の兼任の点について、競爭
関係を押えておるから、ちつとも心配ないと言われまするが、これはこの
法律では、
日本の
一つの経済の管理方式ではあるけれども、非常にいい点を持
つていると思う。やはり経済の民主化という点については、この
法律の精神はどうしても私は酌みとらなければならんと思うのでありまして、そういつた
ような点について、役員の兼任その他を自由にすることが、そういつた
ような
日本の場合において、片方で非常に独占的な
関連産業その他を通じて、なり得る場合に、妥当であるかどうかということにな
つて來ると、非常に大きな疑問が私にはあるわけであります。
それからもう
一つは、
外資導入の話を聞きましたが、外資の導入ということは、これは今の
ような
日本の國情にと
つて、非常に必要だと思います。でき得べくんは外資の導入は
日本の経済が恢復するまで、そうして民間の資本というよりは、むしろフアンドの形で貰つたものを成るべく早く返して、自立できる
方向をとることが好ましいのでありまするが、民間の資本に入
つて來ることも私は非常に好ましいとは思うが、今話を聞けば、殆んど本格的な
投資というものはないと言
つてもいいくらい商業的な
投資に限られてお
つて、
日本の復興には殆んど役立たな
いものにな
つている。それから又外國資本については、國内資本と同じ
ように取扱
つておるとは言いながら、やはり
日本の今の実情から言
つて、國内
関係でなくて、國際的
関係だけで
一つの競爭
関係にあるといつた
ようなものについては、これは
日本側としては、実は殆んど手のつかない
ような状態にあるという
ような点を今見ますると、この
改正が
企業家の方では大きな期待があるとは思いまするが、むしろ下手をやると、丁度行水の水を捨てると同時に子供を捨ててしまうという
ような、経済の民主化の精神までも沒却した
ような形になる途を拓く
ような感じが私はいたしますので、こういう
改正は私は本來ならば、こういう
ように部分的な
改正でなくて、もつと本格的なあらゆる面と
関連を持つた
改正を
政府としては、これはやるべきであ
つて、ただ小手先の
改正だけで、これを
法律による
日本経済の例えば回復というものを大いに期待してもできないことだと私は思うのであります。殊に若しもこの
考えに盛られたものをもう一歩進められるならば、制限会社令なり証券保有等制限令なんかやめてしま
つて、本当の資本主義の
合理化を図
つて行く、而もこれには或る
程度独占形態も止むを得ないというくらいのところまで行
つて初めてこれは筋が通るのであります。そうでないとするならば、この競爭原理を本当に活かして行くというのであれば、少くとも独占の形になり得る
ようなものについては、これはやはり
現実に制約というものは與えておいて、そうして生産力の発展をそういう形に図
つて行くことをむしろ
考えるのが妥当じやないかと思うのでありまして、この
法律については、
日本社会党としては反対の立場をとりたいとこう思いまして、私自身はこれに反対であります。