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政府委員(
内田常雄君)
安定本部の
財政金融局長であります。今お尋の点に対して、これは私
委員会で形式的なことを申上げるのではなしに、
政府と
國会とが一体にな
つて、肚を割
つてお打合せをするという
意味で何も彼も申上げるのでありますが、
只今長官から
お話がありましたように、
飼くまでそういうように持
つて参るということでありまして、決ま
つておりません。と申しますのは
見返り資金は、
國会で
予算或いは
特別会計法の御審議を願いましたように、その総額は千七百五十億であります。その中で出すことが許され、從
つて決められておりますのが、これも御
承知のように
鉄道建設費勘定の百五十億、
通信建設費勘定の百二十億、合計二百七十億でありまして、
あとの千四百八十億というものは現在までのところ決ま
つておらないのでありますが、この
残りの千四百八十億の一部は、
公債の買入れ又は
償還という形でその金が
金融機関に戻される分と、
あとの一部は直接この
産業或いはその他の
事業に対して投資されるという仕組のものなんです。そこで私共としては投資される分は今のところできるだけ多くを
残りの千四百八十億の中から取りたい。一遍
金融機関に
公債買上げの形で戻り分はできるだけ少い方が望ましいというような氣持を以ちまして、仮に千四百八十億の半分くらい、つまり七百億
程度或いはそれ以上のものは直接投資に向けたいと思
つております。これはできれば
公債の買入れ、
償還というような形で、
日本銀行或いは
市中金融機関に戻るのは少なければ少い程いいというような感じもしますが、私の想像では、今回の
予算に含まれておるところの
復興金融庫のいわゆる
復金債の
償還のために、
政府は六百二十五億円
程度の
交付公債を
復金に渡しておる、この
交付公債は今まで
復金債の
償還の代りに
一般の
銀行或いは
日銀に、
法律の規定なくしてこの
交付公債を大
部分返済として押し付けるわけには行かないので、この六百二十五億円は必ずどこかに
行つて、
復金がそれを金にして、その金で
償還するという筋合になるわけなんで、そこで私の想像ですが、結局この六百二十五億というものは今の見返
資金の千四百八十億によ
つて買上げられるものだろうと思います。これ即ち使途から見ると、見返
資金を以て
公債の買入れに充当した、こういうことになるのであります。少くとも六百二十五億円だけは千四百八十億の中から取るというようになるのじやないかと想像される、それには見返勘定は
資金を
供給するばかりでなしに一種のマーケツト・オペレーシヨン的なものもやりますが、更にそれ以上の
公債の
償還もあるわけで、私の希望にも拘わらず
一般の
産業、その他の
企業に直接投資される金というものは、やはり多くても七百億を出でない、或いはそれより少いかも知れません計算になると思います。それも
國会で
質問がございましたが、その見返
資金の使い方は四月一日付の連合國最高司令部の指令によりますと、これは日本
政府が勝手に放出するものではなしに、セパレート・アンド・スペシフイツクのケースとして、つまり一々の具体的なケースとして司令部のアツピールを得なければならない、こういうことになる。そうすると結局形の上から言うと大
企業のようなものでないと、一々取上げて司令部に申込まないといけないことになる。これを
経済全般から申すと、いろいろな日本の総済にも隘路はあるけれども、その中で
日本経済の一番基礎になるような部門の、又その中で隘路になるようなものを取上げて、そうしてそのものについて、
産業資金はこの見返
資金から金を出す、こういう恰好になると、むしろ大
企業というよりは、特定の
産業とか
企業とかいうものにならざるを得ないというようなものが示されておる。そこでそうなると
中小企業金融のむずかしさがありまして、あの
資金から素直には
中小企業金融の方には廻らないので、
長官初め私共の希望としては、この見返
資金を出す場合に、
日本経済として單に具体的に隘路があるばかりでなしに、
企業全体としてのアンバランスを生じたのでは
経済の
復興にもならないので、どうしても
中小企業なり或いは直接関係はありませんが、農林、水
産業のような形態は、一々の
企業体は小いけれども、どうしても、取上げなければならないものがある。そのことについては
一つ、例えばこれは興業
銀行をして債券を発行して貰
つて、債券も増発して興業債券の引受けをやる、或いは商工中金をして商工中金債を発行させてその債券を引受ける、或いは農林中央金庫に債券を発行させて見返
資金を以て引受けるというような形を取
つて頂くことを関係
方面に懇請して、その
資金を一度興銀なり或いは商工中金なり、その他特定の債券発行の
可能性ある
金融機関に渡す。そこでこれらの
金融機関から、
從來の経驗によ
つて中小企業資金というようなものを出すことを希望しておるのでありますが、
只今まで申しましたような
意味において、この問題には相当の困難が予想され、且つ私自身が一、二回当りましたところによりましても、相当の困難がありますので、これも相互の理解を深めて今後もや
つて参る外ないと思います。先程商工中金債券を発行せしめてその債券を見返
資金を以て引受けるというようなことを申しましたが、商工中金あたりも
法律によると若干発券限度はあるのでありますが、現実の問題としては先般の
金融機関再建整備をやりました際に、事実の問題としては、自分の方は債券発行を遠慮して、專らその商工
協同組合等の下部の團体から預金を吸收する、つまり預金吸收の
金融機関として今後は更生する、こういうふうな
金融機関再建整備ですか、そういうものにいろいろ支障があることを商人からお出しにな
つておるために、これも一筋縄では商工中金債の発行というものは、
政府がこう
考えたからと言
つて行くものではない。そういう困難が現在ございます。これも何とかして克服すべきだと思います。商工中金の
理事者もその点希望し、期待しておられるようであります。それから更に
預金部の
お話が大臣から出ましたのですが、この
預金部につきましても、これも関係
方面から明確なる指令が昭和二十一年に出されておりまして、この指令によりますと、
預金部資金というものは
公債、
地方債その他
公債に準ずる國の債務であるところの
復金債引受け以外には、
一般産業等には現在のところ金が出せない建前にな
つております。ところが御
承知のように今度の
経済九
原則の下に、
政府は
公債を出さないさつき申した鉄道、通信の二百七十億を見返
資金から引受けて貰う。それ以外には
一般会計は勿論、特別会計でも
公債を出しませんから、從
つて預金部で
政府の新らしい
公債を引受ける必要はない、
復金債も新らしい債券の発行は停止して、これを引受ける必要はない。ただ
地方債だけは御
承知のように二百三十三億円ですか、これは発行が認められることになりまして、この
資金供給は同じく
預金部に集まる
資金、國の財政の余裕、言い換えれば簡易保險とか、郵便年金とか、船員保險というような國の特別会計の
事業の余裕金として、
預金部に入
つて來る金を引当に、
預金部は
地方債を持つのでありますから、
一般の郵便貯金とかで、二百億や、それ以上の預金が集まるとすると、この金は浮くわけになります。そこでこの浮くべき金を
是非産業方面に廻すように承認を取りたい。その場合に
國債はまだ二千五百億もありますから、
預金部はその集まつた金で
國債を買取るべきである。そうして
國債をじつと持
つているインフレーシヨンを克服すべきだという意見もありますが、そういうふうにいたさないで、新らしく集まつた貯蓄金はもう一遍
産業へ戻す、その場合に
預金部資金は
地方の
資金が多いのであるから、
地方へ還元するという趣旨の下に、これはひとり
中小企業と言わず、或いは農林水産等の
産業資金にも、この金は出すべきだという願いを持
つて当
つておりますが、これも現在まではまだ解決がついておりません。正直に申上げます。