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中村正雄君 私は
懲罰委員会の
継続審査に対しましては反対であります。ただこれから私が申上げることは、今後の
参議院のあり方につきまして
考えるという点から御了承願いたい。現在目の前にありまするカニエ君以下四名の
懲罰事犯をどうするかという細かい観点から申上げるものではないということを、一應御了承願いたいと思います。
懲罰事犯につきまして、
継続審査ができるかどうかという点は、私は
國会法の六十八條や四十七條の二で解決できるものじやないと思います。この
條文によりますれば、できるとも
解釈できますし、又できないという
解釈もできると思います。それよりも
國会の
会期の性質がどんなものであるという点からこれは出発しなければならない点からこれは出発しなければならないと思う。
國会の
会期があるということは、外の
会議体と違いまして、一定の
会期の中ですべてを終了するというために、
会期不継続の原則があるわけでありまして、一の
國会から二の
國会に対しては何らの関連性を持たさないというところに、
國会の
会期制度の存在
理由があり、妙味があるわけであります。
從つて新らしい憲法になりましても、
國会法になりましても、
継続審査なり継続
調査が第一回
國会以來たびたびなされておりますけれども、不肖であります私の
考えを以てしましても、今までの
参議院におきまする
継続審査なり、継続
調査というものは私は余りにも簡單にやり過ぎてお
つたと
考えられます、申しまするのは
國会に
会期という制度があります以上は、この
継続審査ということは、
相当愼重にしなくてはいけない。言い換えれば、例えば十月一日からどうしても民法改正をしなければいけないという場合に、九月にな
つて國会が開かれるというようなことでありましては、到底一ケ月ではできないという
関係から前の
國会から
継続審査をするという場合に、
継続審査が認められるべきものだと
考えております。又國の非常に大事な事件、而も一定期日を限
つて、大事な事件で、その間に
國会が中断されるという場合にのみ
継続審査をやるべきが私は憲法の精神であろうと思います。言い換えれば
國会制度に
会期という制度を設けまして、
一つの
会期と次の会社については、全然関連性を持たせないという制度のゆえんから
考えますれば、
継続審査はもつと、愼重に、重大事件のみについてやるべきが私は本質であろうと思います。以上が大体私に
会期の本質論から出まする
懲罰事犯に対する
継続審査の不可能論の
法律的根拠であります。
それからもう
一つ私は
法律上の根拠にしたい点は、
懲罰事犯は、他の法案と違いまして、事犯が起きてから三日以内でなければ、
議員は懲罰動議を出せないようにな
つております。
從つて一般の
法律案以上に早く始末をつけなければいけない。この点については、先程大池君の
意見もありましたし、又
板野君も言われましたけれども、
懲罰事犯というものは
一つの
國会の秩序をみだした者、議院の秩序をみだした者に対しましての懲罰であります。
從つて第五
國会において秩序をみだしたものに対する懲罰を、何ら
関係がない第六
國会において、これを取上げるということは私は
懲罰事犯自体の性質に反すると思います。
又もう
一つ政治上から
考えて見ました場合、今の事犯について
考えて見ましても、今の場合は何とかしてこの
懲罰事犯を審議未了なり、或いは急速にや
つたのでは社会に対して
参議院の面目が立たないという氣分から、恐らくは
継続審査の要求があ
つたと思いますけれども、次の
國会が仮に九月に開かれるといたしましても、今の氣分と九月に
なつたときの氣分とは
相当変
つております。而も今の事態に比べまして九月の
國会の冒頭において
懲罰事犯の
委員長報告がありまして、採決に移る場合の本
会議場の空氣を皆さん御想像にな
つて頂きたいと思います。恐らくそのときは空氣が抜けたゴム毬のような情景ではないかと僕は思います。
又もう
一つ政治上の観点から見まして、先程申上げましたように、何とか結末をつけなければ
参議院の面目が立たないとかいういろいろな批評がありますけれども、今ああいう二十三日の事態があ
つてから一週間経
つておる現在におきましても、輿論というものは
相当忘れ勝ちにな
つております。これが九月にな
つてや
つて、果して
参議院の面目が回復できるでありましようか。そういう点もお
考えを願いたい。
私が冒頭申上げましたように、
参議院の制度というものは今後永久であります。日本國が存続する限りにおきましては永久であります。今目の、前の
参議院のあの混乱状態をどうするか、あれによ
つて参議院の面目が潰れると言うのなら、これは
参議院今後永久のあり方について
考えて見るならば微々たる現象であります。微々たることの前に永久のあり方を見る目が眩んで、
参議院の
会期制度をどうするか、
継続審査の制度をどうするかという点につきまして、誤りの判定をなさらんことを私は特に希望しまして、この
継続審査に対しましては、目の前の事犯に因われて
参議院全体の今後のあり方を
考えぬことに対して、理論的に反対いたしたいと思います。