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小野哲君 この
改正法律案につきましてその
内容において
必らずしも満足すべきものでないのでありますが、目下の諸
情勢から考えまして誠に遺憾ながら止むを得ないものと認める次第でありまして、ただこの際次の
諸点について
政府に対して要望いたしておきたいと思います。
先ず第一は、この
法律案は本
年度予算案の
審議に先行し、又は少くともこれと並行して、提案され、且つ
審議さるべきものであるに拘わらず、
予算案成立後提案せられましたことは妥当でない。且つ
実施期日を予定して
國会の
審議を著しく制約するがごとき印象を與えておりますことは極めて遺憾であります。私は本
委員会においてこの点に関する注意を喚起いたしましたところが、
運輸大臣よりも遺憾の意を表せられたのでありますが、
將來かかる事態を再現しないように篤と留意されたいのであります。
第二は
國有鉄道の
運賃及び料金は、特に公正妥当なものであ
つて、
原價を償うものであるということを
原則としなければなりません。然るに昨年七月に行われました
改正においても、亦今回の
改正に当
つても、この
原則は必ずしも行われておらないのであります。
國有鉄道事業は一方において、
独立採算制の下に
企業的経営が強く要求されておりますのみならず、他方において、
物價政策上の
理由によ
つて合理的な
運賃体系に服することを強く阻まれておる
現状であります。
政府も亦これを十分認めながら未だ適当な時期でないことを御弁明されておるのでありますが、
旅客、
貨物両
運賃において
均衡を失した不合理な
運賃を継続する場合においては、必ずや
均衡財政の
確立に好ましからん
影響を與えるだろうと思います。
政府はよろしく、國六
鉄道事業のこの轉換期を迎えるに当
つて、その運営の実態に即應する
運賃体系の整備を急速に努められたいと思うのであります。
第三は
海陸輸送の両分野に亘り欠けておるところは
総合計画のないという点であります。而もこれは両者の
運賃調整を行わなければ、実現を期そうもないのであります。然るに
鉄道汽船機帆船等相互の
現状は極めて憂うべきものがあります。
政府みずからこの問題を是任し、成るだけ近い
將來においてこれが是正を考慮すべきことを言明いたしておるのでありますが、徒らにその場限りの逃げ口上に終らしめないで、この確約通り実行されたいのであります。以上の
諸点につきまして
政府が
眞劍なる
努力を傾倒されることを切に熱望して止みません。