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政府委員(加賀山之雄君)
結論から先に申上げたいと思いますが、今の
委員長のお言葉でありますけれども、
運賃が調整できないと、この
輸送の調整が私共としては絶対にできない、かように
考えておるわけであります。で、御承知のように今言われましたような
状態でございまして、
鉄道の
貨物運賃は確かにコストを非常に割つておりまして、昨年度の第二、四半期の実績におきましても、コスト対收入は四十三という指数に
なつておるわけであります。非常にコストを割
つた運賃に
なつておるという実情でありますので、
鉄道の立場といたしましては是非共これをコストに近い
運賃にいたしたいというのが我々の強い主張であるわけであります。いつでも物價との
関係が先に出まして、低物價政策或いは物價が据置というようなことになります場合には、必ず
鉄道、
國鉄の
運賃が据置という結果になる、いわゆる
政策運賃であるというような形に
なつておるわけであります。從いましてこれが
経営に非常な影響を與えるわけであります。それと同時に
輸送に変調を來たすわけであります。如何に海陸の
輸送を調整いたそうといたしましても、やはり運送費の低い方へ流れるということは、これは自然でありまして、從いまして從來我々が努めて参りました
輸送の調整は、この
運賃の面で非常な限界点があ
つたのです。できるだけ海陸の運送調整を從來もいたしまして、不必要に陸上に荷物が上つて参ることを調整して参
つたのでございますけれども、この努力には限度がありまして、我々が思うような
輸送調整が困難であ
つたという実情であります。特にこの本年度の陸上
輸送を
考えてみますと、
鉄道といたしましては、勿論営業
貨物がいかにコストを割つているとは申しながら、
貨物輸送上の
施設を遊ばせて置くわけには行かないのでありまして、現有
施設をやはり極度に働かすということは、それだけコストを下げる、單位当りコストを下げる所以でありますので、やはり
貨物輸送は努めなければならないと同時に、今問題に
なつておりまする焦点といたしましては、
國鉄が使用いたしまする石炭の運送についてであります。御承知のように
國鉄で使用いたしまする石炭は、その大半が九州並びに北海道から
輸送されるものでありまして、そのうち特に九州からのものは非常に大きな部分を
機帆船によつて
輸送して参つているわけであります。
國鉄は関門隊道を通します直通の方策を持つているわけでございまするけれども、年度中の
輸送計画を定めまして、その
計画に基いて常用炭は幾ら関門を通過させるかということを定めて、その
方針に從つてやつて参つているというのが、現状であります。その結果非常に、先程も申しましたように相当多くの部分が
機帆船の
輸送に掛かつているのであります。然るに本年度に入りまして、御承知のような事情から收支の均衡を如何にしても合わさなければならない、而も旅客
運賃というものを、
経営を極度に合理化いたしまして、経費を極端に詰めてそうして尚且つそこに赤字が出て参る、その赤字は旅客
運賃のみによつて賄うのであつて、それは後日本
委員会におきまして御
審議を受ける準備をいたしておりますが、こういう
状態になります。そういたしますと第一点のコストを引下げるためには、何と言つても大きなものは石炭費でございまして、勿論石炭の山元の原價が高く
なつて來るのは或る
程度止むを得ないといたしましても、その間のいわゆる配炭公團における取扱費用並びに運送費とい
つたようなものを減らせるだけ減らすというのが、石炭費を低くする非常に大きな原因に
なつて來るわけであります。配炭公團の取扱諸費等につきましては、配炭公團との
折衝によりまして非常に多くの部分、相当の部分の値引をする交渉をいたしている最中でありますが、運送費ということにつきましては先程も
委員長が言われておりますように、山元の
鉄道が石炭を掘りまして、みずからの手で運送しておる実情からいたしまして、
機帆船で運ぶのと自分の持つている
國鉄の
鉄道によつて運ぶのとは非常に違う、運送費用を減らす大きな要素になるわけであります。かたがた物の購入等につきましてその筋から非常に強い指令を受けておりまして、二十四年度以降はすべてオープン・ビツトによるということに相成つておるわけであります。これによつて
資材等の價格をより安く低く手に入れるという必要が出て参つておるわけであります。これはただ
國鉄だけの
意思と申しまするよりも、むしろ強いその筋の
意思としてメモランダムの形で來ておるわけであります。そういう方策の轉換等と見合いましたときには、何といたしましても
國鉄としては、こうすれば最も低く安くなるのに、これ以外の
方法を採るということは絶対にできないという
状態であるのであります。こういう
状態に
なつておりますことは御了承願わなければならないと思うのでありますが、然らば
機帆船との
関係をどうするか、汽船並びに
機帆船との
関係はどうするのかということに相成りますと、これは先程から申し上げておりますように
運賃そのものに不合理があるかと思いますから、これをいわゆる経済
運賃に直すということは私は唯一の方策であろう、で、その外の方策としては勿論一方に対する補給というような
方法はないではないと
考えますが、九原則下の今日におきましてはそれも望みが薄いということになります。從いまして唯一の方途は
運賃の調整、
運賃を合理的なところに置くという以外に途はないものと、私共としては
考えておる次第であります。