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説明員(愛知揆一君) この問題につきましては、
大藏省といたしましても外貨
資金の獲得という点から申しまして、
戰前の國際
收支の計画等に顧りみて見まして、非常に重大な関心を持ちまして、何とか早く計画を推進したいものとかねがね考おておるわけであります。ところ員現在のところは
只今お話の
通り十分な成果を挙げておらないわけでございますので、その
経過を最初に申上げてみたいと思ます。
私共が当初考えましたのは、やはり何らかの形で預金部の
資金を活用する以外に差当り良い案はないという
結論でございまして、その方向でいろいろと計画をいたしたわけでございます。ところが御
承知のように観光施設の問題に限らず、いわゆる九原則下における金融政策の一番大きな要素といたしまして、財政と金融とを完全に分離するということが非常に強く要請されておるわけでございまして、その観点から当初私共が考えました
ごとく、預金部
資金で例えば地方債、或いは興業銀行債券というものを引受けまして、その金で外客誘致のための施設をするという案は、なかなかその根本的な考え方から言うと、筋が
通りにくいわけでございます。でその次に考えましたのは預金部が地方債を通して、そうして覧光施設を拡
充するという考え方でございやすが、これは地方公共團体の公営という形をとらなければならないわけでございまして、ところが御
承知の
ごとく今
年度におきましては、地方債の発行許可額いうものが二百三十三億ということに限定されておりまして、その殆んど大部分は災害復旧等に充当されなければならない極めて緊急なものでございました。それすら、災害復旧の
関係すら、この額を以
つてしては十分とは言えないわけでございまして、最近恐らく三十至乃四十億は地方の枠が特別に拡げられると思いますが、到底他の施設にこれを向けることができないというような状況でございまして、その方も現在行詰りを來たしておるわけでございます。で今
年度の状況はそういう状況でございますが、同時に新らしく他の金融問題が起
つておりまして、例えば公團の
関係でございますが、公團は
政府機関であるということからいたしまして、むうろ覽光施設等に先んじて公團の金融というものを預金部が先ず第一に見るべきげやないか。れそがいわゆる財政と金融との分離という線から出て参りまするところの一つの考え方で、この点についてはいろいろ私共も実は異論を持
つておるわけでございます。今日の
結論としてはどうしても止むを得ず公團の方のお手傳いを預金部がしなければならぬという状況でございますが、そういたしますると、当
年度におきまして約六百二十六億の預金部として運用し得る金があるわけでありますが、
只今申しました地方債の
関係と、それからすでに公團
関係で融資しております金が二百億足らずに達しておるのでございます。更に今後需要されるところの公團
関係の
資金、地方債の額の増額ということから申のまして、今後は当初相当余裕があると
見込んでおりました預金部
資金それ自体に余裕がなくな
つて來るということになりますので、根本的な考え方の問題、それから実際の
資金繰りの面と両方からますます以て問題が困難にな
つて参
つたのでございます。然らば
來年度においてはどう考えられるかということでございますが、
來年度中預金部
資金増額運用
見込額は大体固く見ますると、四百億、相当樂に見ますると五百億となるかと思うのでありますが、然るところシヤウプ勧告にも多少示唆が出ておりますけれども、地方債の許可は今少の現在よりも樂にのてやるべきではないかというような示唆ひ現われておるような
関係がございますしで、仮に四百億という純
増加資金でありますると、これはやはり地方債に殆んど喰われてしまうということになるのではなかろうか。若干余有がございましても、來年の四月以降に若干存続すると思われる公團
関係の
方面にも或る
程度の手当をしなければならんということになりますると、折角のこの預金部
資金の導入ということも
ちよつと今のところは
見込みが立たないという状況にな
つておるわけでございます。それで最初に申上げました財政と金融とをはつきり分離しようという考え方は、例えで覽光施設というものが國策として是非とも取上けられなければならついということであるならば、むしろこれは財政措置としてやるべきではないか。その際には要するに一口に申のますならば、租税
收入その他でその
年度の國の事業として行なうべきである。若し金融として行ううならば、預金部、或いは復金というような政治的機関によるところのフアイナンスによ
つてこれをやるべきではないかという考え方が、非常に率直に申しますと、強過ぎるのではないかという感じもするわけでございます。後で又お話も出るかと思いまするが、序でに申上げけすが、そういうような状況でございますので、
只今のところは覽光施設についてはどうしても普通融資で以て考える以外に方法はないのだ、こういう
状態でございますので、先般來衆議院等における
委員会でも要望が非常に強く出ておるのであります。融資斡旋については相当力を入れて強力にや
つておるわけでございます。
その一つの隘路であ
つたと思われまする外客誘致だけの目的でありますならば、融資順位も優先順位を與えているのでありますので、今回例えば問題にな
つております日本の宿屋を改裝いたしまして、
外國人にも泊り得るようにするという施設への融資は、
從來は丙に扱
つておりました。これが銀行側の一つの口実にもな
つてお
つたような感じもいたしましたので、実は一昨日取敢えず融資順位を変えるということになりますと、非常に問題が大きくなりますので、いささか疑義はごさいましたけれども、銀行局通牒を発しまして、先般來覽光
審議会で取上げられておりまするが、全國三十六ケ所のホテルの改裝につきましては、これを取敢えず乙とみなすという通牒を出したわけでございます。現在融資規制はなきにひとしいのでございますので、丙でありましても実は殆んど支障がない筈なのでありますが、今申しましす銀行側の口実には
利用される虞れもありますので乙にいたしました。尚運輕当局とも御相談をいたしまして、尚一層必要ということであるならば通牒で甲の扱いをすることも考えておるわけでございます。取敢えず乙ということにいたしました。この金額は若し銀行が應じますならば、取敢えず差当りのところ確か一億五千三百万円くらいの金額であ
つたと思いますが、これによりまして三十六ケ所の日本の宿屋が外人にも泊り得るように最小限度に改裝されるということにな
つておるのでございます。それから他にも実はよく御
承知のことと存じますが、外資の導入に関連しての計画が二、三ございます。その際外資の導外につきましても、導入されました外資の日本における利潤が上りました場合に、これをどれだけ
米國に還すことができるかということが、外資導入を計画している
外國人側の非常な問題にな
つておりました。又
國内的には、例えば
米國の資本が半分入ります場合に、後の半分くらいはどうや
つて調達するということになりますと、この点はやはり
長期に寢る金でございますので、現在の金融組織ではなかなか普通銀行にはこれの援助を求めることは困難であると思われます。それらに関連いたしまして、不動産金融会社というものを別に
只今法律として研究を殆めておるわけでございましては必ずしもホテルのためだけというわけではございませんで、不動産にも住宅もというようなことを考えまして、できるだけ
長期の金融債券を発行いたしまして、そうして相当
長期に固定するような設備
資金に充当し得るような組織も現在考案中でございますが、例えば勧業銀行が近く改組されるわけでございますが、その有能なスタツフ、或いは
從來の経驗というようなものをそういう
方面に活かす
意味におきまして、第二勧業会社とでも申しますようなものを或る
程度大規模に計画しているようなわけでございます。