○專門員(古谷善亮君)
委員長から御指名を受けまして、
運輸審議会の
公聽会に
出席いたしまして、その模樣を聞いて参
つたのでございますが、簡單に御
報告申上げます。御
承知の
通り公聽会は九月の一、二、五、六日の四日に亘
つて行われました。多数の公述者が出て、今回
政府が貨物運賃について値上げをするという案につきまして公述を行な
つたのであります。各人の申しましたことを述べますことは、いささか冗漫に流れますので、それを私が取纏めまして、その思想の流れを先ず申上げて見たいと思いますが、大体
公聽会に現われました思想として私が特に印象を受けました点が二点ございます。
その
一つは國鉄や運営会のような独占的事業の独占價格の調整に重きを置いた値上げであ
つて、陸運部内や海運部内、又海陸両事業相互の運賃調整を考えていないという点が一点であります。
第二点といたしましては、國鉄や海運の運賃を決める場合には、少くともその前提として國鉄の経営合理化又は海陸を通じての交通政策の樹立を必要とするという思想が、各公述人からいろいろの言葉で以て現われておりました。思想の流れといたしましては、この二つの印象を受けたのであります。
次にやや細かい点に亘りまして、原案につきましてのいろいろ批判を加えておりますが、その原案の批判のうち主なものを八つばかり項目書きにいたしまして申上げて見たいと思います。
一つは
海上運賃というものは陸上運賃より安いのが本筋ではないか、こういう
意味のことを二、三の海運業者から話が出ておりました。
それから第二番目には、海陸共に予想するところの貨物があるかどうか、最近の現状から見ては荷物が減
つておる。然るに收入
予算においては
相当の荷物があるようにな
つておるが、この貨物があるかどうかという問題が第二点であります。
第三点には、貨物運賃の値上げによりまして、國鉄は三%の自然減を見ております。この三はやや甘過ぎはしないかという批判が出ております。
それから四の点といたしましては、國鉄運賃のコスト計算は適正であるかどうか、殊に海運業者からの公述人の数人から、言葉は違いますけれども同樣に言われておりましたことは、國鉄の運賃のコストの中に金利であるとか、償却であるとか、或いは保險というようなものがどういうふうに織込まれているかどいう点について、特に
意見の開陳があ
つた。
それから次に海運賃につきましてもに同樣このコストについて
檢討する價値がある。例えば石炭費におきましては、一五%の節約を見てできておりまするが、果して一五%の節約をする余地があるかどうか、或いは港湾荷役料の節約を考えておるようでありまするが、港湾荷役料はこれ以上節約する余地はない。そういうような節約を考えてできた貨物運賃が、果してコストの上から見て適正であるかどうかという点において
意見の開陳があ
つた。
次は海運の採算運賃というものは、一体何を標準にしているのだろうか、即ち大型の船あり、小型の船あり、船には古い船あり、新らしい船あり、いろいろありますのですが、海運の採算運賃と一口に言うときには、何を一体標準に採算運賃ということが言えるかという点を問題にしておりました。
それから次には貨物運賃の値上げと同時に旅客運賃の引下げを考慮する必要があるのではないか、特にこの遠距離逓減の問題、急行料金、一、二等の等級間の比率につきまして、考慮の余地があるようなことを申されておりました。
最後に物價の影響は少いという
意見があるが、この場合は結局
関係業者の負担とな
つて、その業界は衰微するということを示唆されておるんでありまして、運賃と物價の
関係につきまして熱心な開陳があ
つたのでありますが、これを申しますと長くなりますので、この
程度で打切ります。こうい
つたようなまあ八つばかりの点を挙げましたけれども、これらの点が
公聽会を通じて現われましたところの原案の批判に対しまする印象を受けた問題であります。以上を以ちまして簡單でありまするが、御
報告といたします。