○伊藤(憲)
委員 労働法規については
春日委員から
質問することにな
つておりますから、讓りたいと思います。問題なのは、これは何回も言
つておるのだが、三年何箇月も経驗があるのだから、またいろいろと
事情が違
つて來たから改正するのだ。しかし一体
労働省あるいは民主自由党の諸君は、何箇年間の労働運動をや
つて、そういうことをや
つておられるか、鈴木君にしても
高橋君にしてもそうである。
日本の労働運動は荒畑寒村氏の時代から数えても四十何年の歴史を持
つておる、そうして
日本には三十年内外の労働運動の経驗を持
つておる者が何十人、何百人とおる。しかも産別、総同盟とわかれておるような
状態である。そういうような
状態を無視しておる。鈴木君はこの間まで論説
委員をや
つていた男である。しかもこれは聽濤君と一緒に論説
委員をや
つてお
つた。聽濤君は御
承知のように終戦後における労働運動の指導者であるけれ
ども、彼ですらわれわれの前に來ると、労働運動についてはしろうとだと言
つておる。それが労働運動をや
つていないような鈴木君が、何をも
つてごの重大な
法規の改正をやろうとしておるのか、これが問題だ。どこにそういう根拠をも
つているのか。
それからこまごましいことはあるけれ
ども、これだけは聞いておきたいと思う。第一番に
労資一体あるいは
労資強調ということを言
つておる。そう言いながら、
労働法規の改正については、專從者に対して給與をや
つたものは第二條の
組合と認めない、すなわち法的な保護をしないという、ところが
労働組合法自体が、
労働者というものは職種のいかんに問わず、いかなる職種であ
つても、
賃金給料を得ておる者を
労働者と称しておる。專從者は
賃金給料をもらえなくな
つてしまう。それをもらえば、
労働組合でなくな
つてしまう。そういうことがある。しかも工作にい
つておる
使用者の利益を代表する者が加入したときは
労働組合でないということは、
労働者と
資本家が対立しておるということを認めておる。
労働法規そのものがどこで
労資一体になろうというのだ、また
労資協調をやろうというのだ。しかも專從者の給與問題というのは
労働者が獲得した
権利である。これは労働運動の闘爭の結果として獲得したもので、あるこういうものをやめさせた結果、実際問題として
労働組合運動は弱化しておるという事実にな
つて現われておる。
法律の改正前に、すでに何らの経驗のない者がこういうことをや
つておる。しかも決して
労働者の不利益になるものでありません。改惡を意図しておるものでありません、というようなことを言
つておるのですが、何の根拠に基いておるのか、お伺いしたい、これはあとで返答していただいてけつこうです。
今
島田委員の
質問に対して
政府側で答えておるところでは、失業者が百万ないし百四十万と答えられておる。今日の
新聞で見ると鈴木労働
大臣は百四十万ないし百七十万と言
つておる、今
政府側の
説明を聞くと、
政府側はどういう救済をするかわからないけれ
ども、大体特別会計を含めて二百億の予算をも
つて失業保險をや
つて、百万を救済することができるという御
説明であるが、しかし昨年十月に内閣
統計局が発表した数字によ
つても、これは労働
統計月報といいものた——しか十一月ごろだと思いますが、この國会図書館にある。それに発表した
統計によ
つても、一時間ないし三十四時間働けない半失業者が五百十五万います。しかも休業中と称しておる休業中というのは何も仕事をしていないので、実際上は完全失業者です。これが昨年四月で百三十八万、一月においてに二百九万、それから完全失業と称しておるのですが、四月が二十三万で一月が四十七万、かりに四月の
統計をも
つてしても、完全失業者で百六十一万おることになる。そうすると労働
大臣の言う
通りとすれば、今年新たに行政整理や企業合理化をや
つて出て來る失業者は、最低三百万である。これに対して半失業者もちろんふえて行くと思う。現に
賃金不
拂い、欠配です。それから資材の割当がないために仕事ができない。これは失業者とはな
つていない。みな就職していることにな
つている。しかし雇用
関係はあ
つても実際仕事はしていない。働いても
賃金をもらえなければ失業者である。そうであるならば、少く見積
つても一千万人以上の失業者が今年出なければならぬことになる。実際問題として、これの救済を
政府が國家の負担においてやろうとしているかどうか、非常に疑問であると思う。そこで私はお伺いしたい。今度は失業保險の対象を拡げるそうであるが、どの程度に拡げるか、これはちよいちよいかかわるようであるから、もうぺんはつきりさしていただきたいと思う。はつきりさしていただきたいと同時に、今
新聞その他で発表されたり、あるいはうわさに上
つているところによると、接客業者などをこの適用範囲に入れようとしている。一方においては、こういうものを入れて、いかにも失業保險の適用範囲が拡大されたように装
つているけれ
ども、五人以下はこれは除外している。ところが接客業者ろいうものは大体五人以下が多い。そうすると範囲を拡大してどういうことになるか。一方においては千万人からの失業者があるが、
政府は百万人だけしか救済できない。その範囲を拡大して被保險者をふやすと、どういうことになるかというと、とにかく保險料だけはよけいとることになる。と同時に、五人や六人
使つている料理店のおやじは、
政府が三分の一だけ補助して保險料をかけているが、それをも
つて、
政府がつくり出そうとしている失業者に與えようとしているではないか。だから失業保險の適用範囲に拡げるということは、失業者を救済することではなくして、
政府がこれからつくり出して行こうとする失業者の救済を、
労働者、中小商工業者——小さな料理店のおやじだとか、小さな
経営者の負担において、これをや
つて行くということではないか。それを伺いたい。
もう一つは、今政務次官から、完全雇用を目標としてや
つておるというようなことを言われたが、これはたくさんな例があるけれ
ども、私は二、三の例を申し述べたい。
政府はただ單に、やむを得ない失業というのではなしに、実際にはむりやりに失業者をつく
つている。たとんばこれは自動車工業に現われている。今日自動車工業の生産能力は年産三万台に復活している。昨年は二万一千台つくらしている。ところが今年は一万数千台しかつくらせない。しこうして需要はどうかというと、そうではない。
昭和二十三年度における需要申請、これは十一万二千八百台にな
つている。ところが実際に生産割当をしたのはいくらかというと、わずかに一万三千八百台である。これは一二%弱である。一方において自動車の重要はあり、生産能力もある。しこうして去年よりも今年は少い生産割当をしている。これでは失業せざるを得ない。失業せざるを得ないばかりでなしに、自動車生産のコストが高くつく。それでは材料はないか。鉄鋼生産は二百四十万トン見込んでおいて、そのうちの七十万トン、三十%を海外に輸出しようとしている。これは明らかに生産能力があり、材料があり、しかも需要があるのにもかかわらず、わざわざ自動車をつくらせないで、失業者をつくり出そうとしていることにほかならない。もう一つある。それは硫安、昨日の本
会議においてわが党の徳田書記長が
質問した硫安、でもそうです。去年は九十万トンつく
つた。今年は百万トンの割当をしている、ところが硫安製造に最も必要な電力の割当はわずかに一%しかふやしておらない。これでは硫安のつくりようがない。ことに食糧増産のためにこれは必要である。こういうふうに、実際にあるものをつくらせないで、わざわざ失業者を出して行こうとする。もつと、重要なのは塩です。塩の
ごときに至
つては、
政府の今年の需給計画によると百七十七万トンを必要とするそうです。ところがこのうち百四十万トンを輸入にまわし、四十万トン弱しか生産させない。現在八十二万トンの生産能力を持
つているのを、させないというのはどういうことであるかというと、平釜式、蒸利式をオミツトすることである。しかも買上げ價格はトンあたり一万一千円にしようとしているが、原價は二万三千円から一万五千円している。だからこういう低い買上げ價格にすれば、生産はそのままや
つてもよろしいということにしても、実際は放擲せざるを得ない。ところがこういうものに対して実際上において、たとえば燃料はないかというと、燃料はある。これらの塩を生産するについては、三千カロリーは必要としない。俗にいえば惡炭でもや
つて行ける。ところが一方四千二百万トンの炭鉱生産については、三百四十九に及ぶ三千カロリー以下の石炭を生産する中小炭鉱をオミットしておる。これは四千二百万トンに対してわずかに二%であるが、わずか二%といえ
ども、これだけの石炭を
使つて塩の生産をやれば、塩をつくる
労働者において五万人の失業者が防げるし、炭鉱
労働者においては十万人の失業者が出ないばかりでなしに、製塩業者並びに中小炭鉱業者は業を締める必要がなくな
つて來る。ところが資材も資金も抑えられてしま
つて、統制のわくをはずして、配炭公團の買上げは停止して、わざわざ失業者をつくり出しておる、こういうことに対して、
労働省としてはどういう
見解を持
つておられるか、もつとたくさんあるけれ
ども、これは重要な問題ですから答えていただきたい。