○勝間田
委員 私は
日本社会党を代表いたしまして、このたび提案されました
昭和二十四
年度一般会計、特別会計並びに
政府関係機関の
予算に対しましては、これを返上申し上げまして、この組みかえをお願いいたしたいと思うものであります。
特に今度のこの
予算をきめるにあたりまして、
地方配付税法の改正法案も、また
アメリカの対
日援助に関する特別会計の法案も、まだ
委員会で決定を見ておらない状況のもとにおいて、こういう
予算をきめなければならないという
事情をまことに遺憾とするものでありまして、もしこの
法律のいかんによ
つては、あるいは追加
予算などに非常に大きな変更が來るわけでありまして、こういう問題についての密接な連繁なしに、われわれはこれをきめざるを得ないところに、非常な不安を感ぜざるを得ないのであります。
今度の
予算を見まして、この
予算に、いわゆる
民主自由党が日ごろ公約されてお
つた約束がどういうふうに実現されて行くのか、それからわれわれ
日本國民に與えられた
経済九
原則を、いかに
民主自由党内閣が実行して行くかということは、私どもの非常な注目をも
つて見てお
つた問題であります。
民主自由党の公約が延期されたというよりは、完全にたな上げにな
つただけでなしに、その多くの矛盾がはつきりとここに露呈されて、
国民の批判の前に立
つたということは私は遺憾であります。
責任政治の現在最も叫ばれる
現実において、われわれの最も注意すべき問題であると私は
考えるものであります。
経済九
原則についての実行の仕方につきましては、私は幾多の
方法があると思うのであります。結局いかにインフレを処理し、
日本の安定と
自立の道を切り開いて行くかということが、われわれの最大の任務ではありますけれども、それに行く手段に対しまして、私どもはいかなる処置を選んで行くか、いかなる
方法をわれわれはそこに選ぶかは、これは眞剣に討議しなければならぬ問題ではあります。不幸にいたしまして、
民主自由党内閣が最も集約された形において提案された今度の全
予算案を見ますと、その
予算というものが恐るべき大衆負と担、一面におきましては金融資本に対する非常な
援助とをも
つて、これを実行いたそうと
考えておるのでありまして、この道がそのまま続行されて行くといたしますならば、インフレ処理の過程におけるあらゆる一切の犠牲が
國民に負いかぶさ
つて來るでありましようし、また同時にそれが到達するであろうところのいわゆる
自立と安定の道を、われわれは不安をも
つて迎えざるを得ないことになるのであります。現在から將來への
見通しの中に、私どもはほんとうに働いて祖國を
再建しようと
考えておるところの労働者諸君や、農民や中小商
工業者や、あるいはその他のいわゆる働く人たちの大きな協力を得なければならない点があるにもかかわらず、その協力がはたして得られるかどうかを、私はま
つたく疑わざるを得ないのであります。
特に本
予算におきましては、なるほど一応これは形式的にはいわゆる
均衡予算であり、眞実のそれは
均衡予算という形をと
つておるかもしれません。しかし一たび突き進んでそれを私どもが
考えてみますと、それにごまかされてはならないという
考えを私は持つものであります。特に收入の面におきまして非常に大きな見積りをいたしておる。特に
所得税においてしかりであります。
所得税のごときは四割をま
つたく源泉課税にゆだねておる、そうして厖大な
予算額にそれが達しておる。その他の
政策を通じて見ましても、これによ
つて生ずる勤労大衆の窮乏、生活の困難、あるいは実質賃金の下ることによ
つて生ずる生活の非常な窮迫、こうい
つた事実の上に、いかに個々の源泉
所得税を積み重ねてみても、それ自身は結局課税所得の基礎をみずから破壊することになると思うのであります。特に農業
関係を見ましても、災害復旧はできない、土地改良はできない、そうして一切の農業の民主化の道もとざされようとしておる。すでに農業恐慌の
状態さえ生れつつある。それが一層拍車と圧力とを加えて行くために、いかに
所得税を
見積つてお
つても、それは苛斂誅求以外の何ものでもないのであ
つて、その中から収入面の大きな破綻が來るであらうことが、われわれには予測されるのであります。それをあえて強行することになりますならば、そこに私どもは社会不安をどうしても
考えざるを得ない。そういう実情を
考えて参りますと、中小
工業においても同様であ
つて、集中
生産が來る金詰まりが来る、いろいろの面が来る。それに対して今度の
民主自由党内閣が與えた結論は、結局企業整備をしろ、自分でやれ、一生懸命働け、節約をしろということにすぎなか
つた。だから結局中小
工業に対する
政策も何ら裏づけされていない。だから中小
工業が現在すでに破産のうき目にあ
つておるということは、われわれは街頭でよく見るところであります。こういう上にいろいろの税金をかける。
取引高税の撤廃ができないだけでなしに、税金がかか
つて行く、私はその中にほんとうの意味の所得のキャッチができるかどうかを非常に疑問に思うものであります。この意味において今度の収入の面で
相当の余力をと
つて、操作して余して、あとで使うというけれども、私は収入それ自体に非常に大きな疑惑を持つものであります。だから結局において自分みずからの
政策によ
つて、自分みずからの
政策の基礎を破壊しておる。こういうことがはつきりとこの
政策の中に現われておると私は思うのであります。
これと対照的に
考えられますのは、災害復旧費、あるいは土地改良費、その他國土保全に関する
予算でありますけれども、これも同様のことが言い得られるのであ
つて、先ほど來
総理大臣その他の方々の御
意見にもありました
通りに、やはりこれも基礎をほんとうに失
つてしまう、土地改良ができない、すでに都市の災害の復旧もしなければならない、そういう
状態の中で、これを出さなければ結局自分の
予算の基礎を失うだけでなしに、安定と
自立の基礎をそこで破壊するという事柄もまた明らかな事案であります。今後
予算を余して、それを使うという行き方もありますけれども、災害の七百九十九億というものが前
年度までにすでにあるのでありまして、その意味においては確かに時期がもう遅れておる。田植えもしなければならない、耕地も何とかしなければならないというような條件で間に合わない。こういう意味において私は非常な不安をここに感せざるを得ません。
なおそれ以外に
アメリカの見返り資金、あるいは救済資金によ
つて救済をしおる、これもわれわれの
考えからすれば、軍事公債の利
拂いは当然停止すべきであるし、ひいてはそれの打切りまでも
考えなければならぬという困難なる状況に
日本は現在あると思うのであります。それをあえて今日において救済する。この金額は約一千億円に達する。これらをも
つて建設や、國土保全や、あるいは農業の改善のために振り向けられたならば、むしろ一層の大きな安定と
自立が得られる。それをもあえて無視しておる。これに対する
努力が現在の
内閣は最も足りなか
つた、こういうことを感ぜざるを得ないのであります。なお復金の出資金、
貿易会計の出資金、あるいは価格調整費というものについての
努力のあ
つたことは、すでに
政府の発表によ
つてある
程度わか
つたのでありますけれども、これらのものも当然に勤労
所得税の軽減なり、その他の両に振り向けて行くべき性格のものだと思うのであります。さらに六・三制あるいは
地方配付金の減額、こうい
つた問題は、私は
民主主義政治の基礎を破壊することになると思うのであります。この意味において、
民主主義を唱えておる
政府の
政治的良心を疑わざるを得ません。
また総括いたしますと、今度の
予算で將來一番問題になるのは、単一為替レートの設定でありますが、単一為替レートに対しまして、現在のいわゆる補給金による価格
政策との結びつき、及び単一為替レートの維持の方策についての現在からの裏づけ、そういう問題については、ま
つたく無
計画であるといわざるを得ません。私はその意味におきましても、将來の為替レートの維持の問題について、本
予算に不安を持たざるを得ないのであります。さらにわれわれは、本
予算の
從來の編成過程から見まして、あるいは内示案が得られるような過程から見まして、また現に
審議されておる
アメリカの対
日援助特別会計に対するいろいろの
考え方から見まして、
日本の
政府の
自主性、これをまことに遺憾に思うものであります。われわれはやはり
日本の祖國をほんとうに担当する熱意と
責任との上において、眞に盡すべきを盡して行くことが、私はほんとうの
日本人の態度ということになると思うのであります。この意味において、自主権が喪失されておるということはい私どもまことに遺憾にたえないのであります。こうい
つた事情から見まして、私どもはどうしてもこれを返上いたしまして、組みかえをしていただきたいと思うものであります。