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河野政府委員 移用という制度を設けましたゆえんでございますが、從来の
予算で申しますると、
目的別と
組織別と、それからそのほかに対象別、すなわちどういうものに
支出されるか、この三つの
予算のわけ方があると思うのであります。
目的別といいますか、機能別でありますが、食糧増産に使われるとか、社会施設に使うというのは機能別になります。それからどういう省のどういう局に幾ら幾ら使われるか、これが
予算としての盛り方の
一つであります。それからもう
一つは対象別、
俸給に幾ら使われる、あるいは
事務費に幾ら使われる、
旅費に幾ら使われる、こういうのが
予算のわけ方であります。大体
予算の区分の仕方としてはその三つあるのでありますが、從來の
予算で申しますと、まず部及び款はその
目的を表わしておりまして、社会及び労働施設費であるとか
国債費であるとか、裁判所費とか、そういうふうにわけてお
つたのでありますが、そのほかその部款項の名前を持
つて來まして、
おのおのの局の
予算を有します農林省の
農政局において、あるいは食糧管理局において、人件費の部、人件費の款、それから農林本省の農林食糧増産施設費の項というようなところから幾ら幾ら出て來るのだ、こういうふうなわけ方をしておりまして、その項の下にいわゆる対象、
俸給で幾ら出る、
職員の
手当で幾ら出る、いうようなわけ方をしてお
つたわけであります。結局
予算の
審議はその三つの対象から得られるのが相当であると思うのでありますが、從來の
目的別の
予算でありますると、その部局の中に入りまする部款項の金額を集計して参りますると、これがそのまま出て來るわけであります。
從つてこれは
一つの
予算の
参考資料というような
意味合いになる点もあるのでありますが、これらの
予算の執行は、
予算を執行する部局の責任においてやることがどうしても必要ではないか。
予算の
審議の上から申しますと、その三つの点がどうしても問題になります。國民その他の点から言いますと、どういう
目的に使われるかということが
一つの問題でありまするが、一方これを執行する官廳側の責任において、どういう
目的のためにどれだけの
経費を使うか、こういう責任を與えることが必要であると思うのであります。従いましてその場合に
農政局なりあるいは食糧管理局なりにそれぞれの
経費を、役人の
俸給に幾ら、あるいは
旅費は幾ら、こういうふうにわけておりますと、実際の経理上において、あるいは
俸給の高い人が来るとこの線で非常に
旅費がいるとい
つた場合に、非常にお互いに融通がきかないことが起
つて来るわけであります。それから机
一つ買うにしましても、紙一枚を買うにしましても、
おのおのの局で分担して
経費を
支出しなければならない非常に不経済なことになるということもございます。従いましてそうい
つた目的に反しない限りにおいては、
農政局の
経費を食糧管理局に移して使う、あるいは
俸給をこちらの
経費が足りなく
なつたから移して使うということは、そういう程度の、從來で申しますならば、
流用の観念に近いものでありますが、そうい
つた項の金額をこちらからこちらの局に移す。こういうことを
移用と言
つておるわけであります。從いまして
予算の
目的に背反するような
移用というものは
考えられないのでありまして、同じ部であり、同じ款の中の金額を、項があるいは
一つあることもありますし、
二つあることもあります、それを移して使う。あるいはこの局からこの局に同じ部款の中の
経費を移す。こういうふうに
考えておるのでありまして、
予算を
審議していただいております
基礎を全然くずしてしまう、そうい
つた移用とか、あるいは
流用とかいうことは全然
考えておらないのであります。先ほど申しまたように、あるいは足りなか
つた点があるかと思いますが、大体そういうような
考え方で
移用という制度を活用したいと
考えております。