○川野芳滿君 ただいま
議題となりました國の
所有に属する
物品の賣
拂代金の
納付に関する
法律案について、大藏
委員会における
審議の経過並びに結果を御報告いたします。
この法案が
提出いたされました
趣旨は、國の
所有に属する
物品の賣
拂代金の
納付及び延納に関する
規定を整備しようとするものでありまして、すなわちこの賣
拂代金の
納付に関しましては、從來会計法の
施行規定である予算、決算及会計令、及び
政府が物件を賣り拂う場合の代金の延納に関する勅令の
規定によ
つて來たのでありますが、これらの
規定は、
現下の
状況からその内容について変更を加える必要があり、また國有
財産の賣
拂代金等の
納付に関しましては、國有
財産法の改正の際これを整備して法律中に
規定しました関係上、
物品の賣
拂代金の
納付に関しましても法律で
規定することが望ましいので、今回法律をも
つてこれを整備しようとするものであります。
次に、この法案の要旨について申し上げます。すなわち第一は賣
拂代金の
納付期限に関するものでありまして、
物品の引渡しのときまでに
納付しなければならない旨
規定しております。第二は賣
拂代金の延納の特約に関するものでありまして、延納を認める必要がある場合を列挙しまして、この場合において確実な担保を提供させ、利息を付して一年以内の延納の特約をすることができる旨並びにその延納條件については大藏大臣と協議しなければならない旨
規定しております。第三は延納の場合における担保提供及び利息支拂いの免除に関するものでありまして、この場合における條件並びにその條件については大藏大臣と協議しなければならない旨
規定しております。
この法案は、四月三十日、本
委員会に付託されたものでありまして、五月六日提案理由の
説明を聽取し、同日質疑に入りましたところ、田中委員よりは公團
所有物件の拂下げ、國有林の拂下げ、延納利子の取扱等につき、塚田委員よりは國有建物の保險料につき、川島委員よりは延納の場合の担保内容、後拂いを慣習とする場合公團等
所有物件の賣拂い等につき質疑があり、さらに五月十日質疑を行いましたところ、田中委員より財政收入確保の見地から國有
財産の処分方針、処分價格の基準等につき、前尾委員より後拂いを慣習とする場合の実例につき、風早委員より國有
財産の
物品関係の主なる品目、数量、金額、延納の場合の担保、利息等につき質疑がありまして、これに対し
政府委員よりそれぞれ答弁がありました。次いで討論を省略し採決に入りましたところ、起立多数をも
つて原案の通り可決されました。以上御報告申し上げます。
次に
議題となりました
國家公務員の
ための
國設宿舎に関する
法律案について、大藏
委員会における議審の経過と結果を概略御報告申し上げます。
國家公務員の宿舎に関する基礎法規は、明治初年の太政官達等きわめて古く、今日の実情に適せざるとともに、各省取扱いも区々として統一を欠き、統轄官廳も明確を欠いている
状況であります。今回その管理等に関する
規定を整備し、統一した円滑な運営を確保しようというのが、この法律の意図するところであります。
この法律の内容の要点を述べれば、まず第一に、この法律は國がその事務、事業の円滑な運営に資する
目的をも
つてみずから設置し公務員を居住させる宿谷をも
つて國設宿舎とすることを明らかにしております。
次に、この設置利用等の統一を保持する
ため、
内閣総理大臣の所轄下に宿舎
審議会を設けること及びその権限、構成等を
規定するとともに、またその管理については大藏大臣が総合調整すること及び各省各廳の長はそれに
從つて管理すべき旨定めております。
次に宿舎の種類を公邸、無料宿舎、有料宿舎にわかち、おのおのにつき、だれに貸與するか、また有料、無料その他貸與條件を定め、また宿舎の明渡し等について
規定しております。そして最後に附則をも
つて、公布後二箇月を経て
施行する旨及び現存宿舎の取扱いについて
規定しております。
この
法律案は、四月二十八日
委員会に付託せられ、五月六日
政府委員の
説明を聽取し、ついで川島、風早、宮幡、三宅各委員から、主として明渡し期限を六十日に限定する十九條但書と居住権の関係について熱心な質疑が行われました。ついで宮幡委員より、共産党を除く各派共同提案になる修正案の動議がありました。それを朗読いたします。
國家公務員の
ための
國設宿舎に関する
法律案の一部を次のように修正する。
第十條第一号、第二号及び第四号を次のように改める。
一 参議院
議長及び衆議院副
議長
二 参議院
議長及び参議院副
議長
四 最高裁判所裁判官
同條第七号を第八号とし、以下順次一号ずつ繰り下げ、第七号として次の一号を加える。
七 衆議院事務総長及び参議院事務総長
第十九條但書を次のように改める。
但し、公邸及び無料宿舎にあ
つては六十日、有料宿舎にあ
つては六月をこえてはならない。
附則に次の二項を加え、附則第三項を第五項とする。
3 宿舎
審議会は、第三條第二項に掲げる事項につき、
調査審議の結果を國会に報告しなければならない。
4 宿舎
審議会が第三條第二項に掲げる事項につき
調査審議を完了するまでは、
國家公務員に貸與すべき宿舎に関しては、この法律の
規定にかかわらず、なお從前の例による。以上が修正案の内容であります。
続いて討論に入り、民自党を代表して宮幡委員は修正案及び修正部分を除く原案に
賛成され、
社会党を代表して田中委員は修正案及び修正部分を除く原案に対し
希望意見を付して
賛成され、次いで民主党を代表して荒木委員は修正案及び修正部分を除く原案ともに
賛成され、共産党を代表して風早委員は修正案及び原案に反対せられ、最後に内藤委員は新政治協議会を代表し修正案及び修正部分を除く原案ともに
賛成され、ただちに採決に入りましたところ、各派共同提案による修正案は多数をも
つて可決し、また修正部分を除く原案についても多数をも
つて可決し、よ
つて本案は修正議決せられました。以上御報告いたします。(
拍手)
次に
臨時宅地賃貸價格修正法案について申し上げます。
この
法律案の
目的とするところは、この第一條にうたわれている通り、宅地につき地租の課税標準たる賃貸價格が
経済事情の変動等により著しく不
均衡とな
つている
状況にかんがみ、租税負担の適正をはかる
ため、さしあたり土地の賃貸價格の一般改定と切り離して、臨時に宅地の賃貸價格を修正せんとするものであり、この法律は、その
実施の時期、基準、方法その他必要事項を
規定するものであります。
本
法律案の内容を見まするに、まず修正の時期に関しては、本年四月一日現在の土地台帳に登録されている宅地の賃貸價格で著しく不
均衡とな
つているものについて、本年十月一日においてこれを行うというのであります。
次に修正賃貸價格の算出方法は、まず基準地区を選ぶのであります。すなわちこの基準地区は、戰災その他の災害を受けず、インフレーションによる一般的影響を受けていないと認められる市町村のうちからこれを選びます。この基準地区内の宅地に関しては、その賃貸價格を現行のままにすえ置くこととし、これを基準として基準地区以外の区域の宅地の賃貸價格を修正するのであります。基準地区以外の区域内の宅地に関しましては、原則として区域主義をとり、
経済事情の変動等による影響の
程度が同様であると認められる区域を一区域として、
一定の割合をも
つて一律に各筆の賃貸價格を修正するのであります。次に戰災その他により各筆相互間に不
均衡のはなはだしい区域については、これは不適当でありますから、宅地各筆ごとにさらに修正を行うのであります。これらの宅地の賃貸價格は、地租の課税標準であり、
國民の税負担に影響し、また地方公共團体の歳入にも関係するので、この修正にあた
つて大藏省内に基準地区
調査会を、財務局に原則として
都道府縣ごとに地方宅地賃貸價格
調査会を設置し、地方職員、学識経驗者等から委員を選び諮問することとな
つております。なおこのほか、審査訴願等に関する
規定その他必要な
規定を定めております。
本
法律案は、四月二十八日付託されたもので、五月三日提案理由の
説明を聽取し、十日に二、三の質疑を行つた後、討論を省略し、ただちに採決に入りましたが、多数をも
つて原案の通り可決いたしました。以上御報告申し上げます。(
拍手)
次は、ただいま
議題となりました
復興金融公庫に対する
政府出資等に関する
法律案並びに
興業債券の
発行限度の
特例に関する
法律案について、
委員会における
審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず第一の法案について申し上げます。この法案が
提出いたされました
趣旨は、第一に、
昭和二十四年度において、
復興金融公庫に対し六百二十四億六千七百万円を限り登録國債の交付をも
つて出資することができることといたしますとともに、第二に、同金庫の毎
事業年度の剩余金を國庫に
納付しなければならないことといたそうとするものであります。
次に、この法案の要旨について申し上げますと、第一は登録國債の交付による
政府出資に関するものでありまして、
政府は
昭和二十四年度において六百二十四億六千七百万円を限り登録國債を発行し、これを
政府出資として
復興金融公庫に交付することができることといたしております。これにより、本年度予算に計上されております現金出資分三百億円と合算して九百二十四億六千七百万円となりますので、全額
政府出資である同金庫の現在資本金千四百五十億円のうち出資未済とな
つております千二百億円は二百七十五億三千三百万円となるわけであります。
第二は、同金庫の毎
事業年度の剩余金の國庫
納付に関するものでありまして、毎
事業年度において國庫に
納付しなければならないことといたしております。これにより、從來
復興金融
委員会の承認を受けて次年度に繰越し新規資金に充当しておりました剩余金を、同金庫が全額
政府出資の法人でありまして、かつ今後の貸付金が回收金をも
つてまかなわれることとなりましたので、本年度から國庫に
納付しなければならないことといたそうとするものであります。
次に第二の法案について申し上げます。この法案が
提出いたされました
趣旨は、本年度予算において
復興金融公庫の機能が著しく縮小されるようになりました
ため、
産業に必要な長期資金の供給が著しくきゆうくつとな
つて参りましたが、
経済の安定の
復興の
ためには長期資金の円滑な供給がどうしても必要でありますので、この要請に應ずる
ため日本興業銀行の
興業債券発行の
限度を引上げることとしようとするものであります。
次に本案の内容について申し上げますと、
日本興業銀行は
昭和二十五年三月末日まで拂込資本金額の二十倍に相当する金額を限り債券を発行することができることといたしておりまして、これにより現在拂込資本金額五億円の十倍、すなわち五十億円まで
興業債券の発行ができることといたしております。
以上が二法案の大要でありますが、第一の法案は、四月二十七日、本
委員会に付託されたものでありまして、翌二十八日提案理由の
説明を聽取し、第二の法案は、四月三十日、本
委員会に付託されたものでありまして、五月六日提案理由の
説明を聽取し、両案について昨十一日質疑に入りましたところ、田中委員よりは復金融資方針変更にかわる
対策、交付國債の償還方法、復金の今後一箇年間の運営等について、島村委員よりは
興業債券の償還期限及び利率並びに消化の見通しについて、風早委員よりは
産業資金、ことに長期
産業資金計画、復金融資先監査の根本的態度及びその方法等について質疑があり、宮幡委員よりは復金に関する小
委員会設置の提案がありました。
次いで討論に入りましたところ、宮幡委員は民主自由党を代表して、復金に対する交付國債は
政府出資の未済分出資であ
つて、復金債の償却に充てらるべきもので、明年二月をも
つて終了する復金をして有終の美をなさしめる
ための当然の措置であり、また、
興業債券発行限度の拡張は、復金融資が期待できぬ実情において、
産業資金緩和の
ためこれによるほかない旨を述べて、両案に対し
賛成の意を表せられ、田中委員は
社会党を代表して、中小企業、農林水
産業に対する
産業資金の方針が明確でなく、調達資金は独占資本を擁護することとなる点において両案に反対する旨を述べられ、荒木委員は民主党を代表して、
興業債券発行限度の拡張により興銀から
産業資金が出ることとなり、また復金に対する交付國債は現状やむを得ぬものとして、両案に対し
賛成の意を表せられ、風早委員は共産党を代表して、確たる
産業資金計画を持ち合わさないで、いたずらにこのような法案をつく
つても有害無益である、ことに復金融資の回収分は、集中生産方式から考えて、きわめて巨大な企業のみに向けられることになり、
興業債券についても、これに関連して同様のことが考えられる、かような反動的な両法案には絶体に反対する旨述べられました。次いで採決に入りましたところ、両案とも起立多数をも
つて原案の通り可決いたしました。
以上、はなはだ
簡單でありますが、御報告申し上げます。(
拍手)