○宮幡靖君 ただいま
議題となりました
國民金融公庫法案の、
委員会における
審議の
経過並びに結果について概略御
報告申し上げます。
まず、この
法案が
提出されました
趣旨について申し上げます。すなわちこの
法案は、金融
機関再建整備法による最終処理の結果資本金の全額を切り捨てられました庶民金庫と、同じく資本金の九割を切り捨てられました恩給金庫との両金庫の業務を受け継ぎまして、新たに
國民金融金庫を
設立し、一般金融
機関から資金の融通を受けることの困難な
國民大衆に対して必要な
事業資金を供給しようとするものであります。
次に、この
法案の内容の主要な点について申し上げます。すなわち第一は資本金に関するものでありまして、資本金は十三億円とし、
政府がその全額を出資することといたしております。
第二は業務の範囲に関するものでありまして、公庫の行なう業務は、生業資金の小口貸付、すなわち独立して
事業を遂行する意思を有し、かつ適切な
事業の計画を持つ者で、一般金融
機関から資金の融通を受けることの困難な者に対する小口の
事業資金の供給でありまして、
生活困窮者に対する救済資金の供給でないことを明らかにしております。
第三は
國民金融
審議会に関するものでありまして、
國民金融
審議会は、公庫の運営に関する重要事項につき大藏大臣の諮問に應じ、また進んで
意見を述べるために大藏省内に設置され、その
委員は
関係官廳を代表する者二人、農工商業及び金融界を代表する者四人、
國民大衆の利益を代表する者三人、合計九人といたしまして、通貨発行
審議会の推薦に基き、内閣の承認を得て大藏大臣が任命することといたしております。
第四は会計に関するものでありまして、公庫の
予算決算については
國会の議決承認を経ることといたしております。
この
法案は、去る二十二日、本
委員会に付託されたものでありまして、翌二十三日
提案理由の
説明を聴取し、二十六日
質疑に入りましたが、前尾
委員よりは庶民金庫、恩給金庫の貸し出していた金額等について、塚田
委員よりは両金庫貸付金の回収状態、
國民金融公庫と通貨発行
審議会との
関係について、河田
委員よりは公庫の貸付
條件について、川島
委員よりは公庫の資金内容、やみ金融の取締り等について
質疑がありまして、愛知
政府委員よりそれぞれ
答弁がありました。
次いで
討論に入りましたところ、前尾
委員は
民主自由党を代表して、この
法案は羊頭を掲げて狗肉を賣る感はあるが、恩給金庫、庶民金庫の跡始末をするとともに、その業務を受け継いで小口貸付を行
つて行くために必要なものであるから
賛成する旨を述べられ、
田中委員は
社会党を代表して、強い希望
條件を付して
賛成する旨を述べられ、その希望
條件として、公庫は実際に運用される資金が微々たるものであるから、きわめてすみやかな時期に相当多額の資金を確保して公庫の使命が達成できるよう
努力してもらいたい、またこれによ
つて両金庫が統合される結果起ると思われる從業員の整理が行われないようにしてもらいたいと申し述べられました。次に河田
委員は
共産党を代表して、
賛成するものについて希望
條件を付する旨述べられ、その希望
條件として、
田中委員の述べられた希望
條件と大体同様の
趣旨を申し述べられました。次いで
採決に入りましたところ、全会一致をも
つて原案の通り可決いたしました。
以上、御
報告申し上げます。(
拍手)
次に、
酒税法等の一部を改正する
法律案及び
揮発油税法案について、大藏
委員会の
審議の
経過並びに結果を御
報告申し上げます。
今次の改正
法案は、当面緊急必要とする税制の部分的改正であります。すなわち、本
年度予算編成に際して極力税収減を防ぐため、さしあたり現行税制はそのまま踏襲せられておるのであ
つて、税制の全般にわたる改正、すなわち
國民租税
負担の軽減及び
合理化については迫
つて再検討せられることにな
つております。しかして
揮発油税法案は、右改正による減収を補い、健全
財政を確保せんがため新税を起さんとするものであります。
次に各
法案の内容についての概略を申し上げます。
酒税法等の一部を改正する
法律案は、酒税法、清涼飲料税法、物品税法、
取引高税法、租税特別
措置法及び
昭和二十四
年度の所得の四月予定申告書の
提出及び第一期の納期の特例に関する
法律の六
法律の一部改正であります。
まず第一條は酒税法の一部改正であります。酒類は現在配給酒と特別
價格酒とにわかれ、特別
價格酒に対しては高い税率を適用しているのでありますが、今回その配給の
方法を変更し、家庭用配給はこれをとりやめ、労務者及び農村等に対し最小限配給を行うにとどめて、配給は極力その数量を圧縮し、残りは全部自由販売にしようというのでありまして、これに伴
つて、その
價格を配給酒
價格においては現在の配給
價格程度に、自由販売酒
價格は
原則として現行特別
價格との中間程度にするよう税率を調整しようというのであります。そして、この際清酒に特級酒を、また合成酒に一級酒を設けて、特に特級酒、一級酒等はその
價格をある程度高位にきめ、増税を
負担せしめるとともに、しようちゆう等大衆用の酒については、その消費の性質及び密造防止の見地から、でき得る限り低
價格にするよう税率の低下をはからんとするのであります。なおあわせて、近時密造の激増にかんがみ、密造酒類の所持犯、密造未遂について処罰規定を設ける等罰則の強化を行おうというのであります。
第二條は清涼飲料税法の一部改正であります。サイダー、ラムネ等は昨年七月相当の税率
引上げを行
つたのでありますが、その後の
課税の実情は、税率が高きに過ぎ、需要と生産を阻害するきらいがあるのであります。そこで、サイダーの税率を、一石につき現行九千五百円から八千円に引下げ、その他の清涼飲料についても、これに準じて税率の引下げを行おうというのであります。
第三條は物品税法の一部改正であります。第一種物品中、照明器具、かばん、トランク、行季、乳母車、運動具等について税
負担を合理的なものとするため一段階引下げ、緑茶につき、消費の性質及び
課税の実情にかんがみ、從來の從價
課税を從量
課税に改め、その際税
負担を若干軽減するとともに、乗用小型自動車、自動自轉車等若干の物品を新規に第一種物品として
課税するものであります。
第四條は
取引高税法の一部改正であります。今回の改正は部分的改正であ
つて、根本的檢討は近き將來に譲るものでありますが、今次改正のおもな点をあげれば納付
方法につき印紙納税制度を廃止し、
営業者の毎月申告による現金納付とし、非
課税範囲を拡張し、理容業、簡易
旅館業、配給加工水産物の製造、取次、販賣、
主要食糧及び蔬菜の種苗の販賣、取次、
外食券食堂における販賣、葬儀の
請負等を非
課税とし、免税点を設け、毎月の取引三万円以下の零細な
営業者について非
課税とする等であります。
次に第五條は租税特別
措置法の一部改正であります。それは一、納税預金制度の創設、二、法人税に関する改正、三、輸入砂糖に対する消費税の免税であります。法人税については、法人の増資拂込みによる資本調達を容易ならしめることが今回の
経済再建の急務なるにかんがみ、法人がプレミアムを積み立てた場合、現行の十分の五を改め当分の間全額を益金に算入しないこととし、これに対する
課税を行わないこととするとともに、法人が法令または法令に基く命令によ
つてその所有固定資産を買収、収用または譲渡したる場合の
課税上の特例を設けんとするものであります。納税準備預金は、その利子につき所得税を免除することにより納税を容易ならしめ、なかんずく申告所得税につきこの制度の活用をはからんとするのであります。砂糖消費税は、先般砂糖が
主食からはずされた際
課税を復活したのであるが、連合國の好意により、輸入砂糖に対しては再び非
課税とすることとし、これに伴う必要な規定を整備せんとするのであります。
次に第六條の所得税に関しては、先般三月三十一日
法律第三十一号をも
つて、
昭和二十四
年度の所得の申告及び納付につき第一期を六月とする特例を設けたのであるが、さらに第二期を十月、第三期を來年一月の三期とし、それぞれ年税額の三分の一ずつ納付することとするのであります。なお施行期日は、酒税については公布の日より一月以内に、他は五月一日より施行せんとするものであります。
以上の諸点が酒税等の一部を改正する
法律の内容であります。
次に
揮発油税法案は、揮発油に対し新税を課し、諸税の軽減に対処して税收をはかり、当面の
財政需要に應ぜしめんとするものであります。すなわち、最近における揮発油の需給及び
價格の状況にかんがみ揮発油に相当の租税力ありと認め、小賣
價格の從價十割の税率によ
つて製造場または保税地域より引取る都度引取人から撤收しようというのであり、これに関辿して免税取締等緒規定をおおむね他の間接税に準じて定めるものであり、公布後十日を經過した日より施行せんとするものであります。
両
法案中、
揮発油税法案は四月十九日、他は二十日大蔵
委員会に付託せられましたが、二十日両
法案につき一括
議題とし、まず
政府委員の
提案理由の
説明を開き、次いで二十一日、二十二日、二十三日、二十五日の四日にわたり、大蔵大臣、主税局長との間に熱心な
質疑應答がかわされました。その詳細については
速記録を参照願うこととし、ここでは主要なる数点についてのみ御
報告申し上げます。
まず第一に酒税に関しては、自由販責に密造が便乗するおそれはないかとの問いに対して、成規の醸造をふやし
價格を下げるほか抜本的な
方法はないが、財源の
関係もあり困難である、取締りを強化するとともに、しようちゆう等の
價格を低めて密造酒の横行しているところにさばき対抗するとの
答弁がありました。
第二に物品税に関しては、ほとんど全品目について請願が出ている、それはまともにかけられてはや
つて行けぬからであり、物品税過重が脱税を誘発している、
從つて税率を引下げても税收は減らぬと言われている。根本的な險討を加うべきではないかとの質問に対して、確かにそういう要素もある、將來
財政事情がよくなれば順次税率を下げたい、しかし税率を下げて税收がふえることは期待できぬとの
答弁がありました。
第三に
取引高税については、
取引高税の非
課税範囲の拡張はこの税の本旨に反する、大きな苦痛を伴うことなく相当の税收を毎日あげ得るのが
取引高税であ
つて、今日
敗戰日本において適当な財源である、印紙納付の廃止はむしろ脱線であるこれはむしろ脱税を多くする、印紙納付に罪があるのでなくて、その実行
方法に欠陥があ
つたのではないか、三万円以下の免税も同税法の本質上不合理ではないかとの質問に対して、印紙納付は理想的な制度であるが、
日本の現状では
営業者にはめんどうがられ、消費者の十分な関心もないからやむを得ない、月三万円以下の
営業者に対する
課税はめんどうでもあり、その免税により
営業者に不当な利益を與えるとも考えないとの
答弁がありました。
第四に法人税に関連しては、主として法人固定資産の再評價問題が
質疑されましたが、この問題はなるべく早急に実現したいとの
政府の
意見の開陳がありました。
次に砂糖消費税に関しては、酒、タバコの増税が断行せられる今日、砂糖のみ免税するのは不つり合いであり、むしろ專賈として増税をはかるべきではないかとの問いに対し、自力で輸入すればとにかく、ガリオア資金による救済物資である今日の事情ではできない、また為替率設定により國内
價格が上昇するのに対処するためにも免税が必要であるとの
答弁がありました。
納税準備預金制度に関しては、同時に納税証券制度を考えないかとの
質疑に対し、本年はまず準備預金制度で
努力する、
営業者は毎月、農業者は供出代金等の入つたときにこの預金制度を活用するよう指導したい、納税証券は発行に手数もかかり、なお今後の研究にまちたいとの
答弁がありました。
次に所得税に関しては特に熱心な
質疑應答がありました。本年の税が重いとすれば、どこに重いと考えるか、また軽減の方向いかんとの質問に対しては、下の方に重いのであり、所得税は現在累進率の
関係で事実上の増税にな
つている、
從つてまず基礎控除、扶養控除の
引上げを考え、次に税率を考えるとの
答弁があり、また今まで
勤労者が重いと考えられていたが、今日の段階では、むしろ農業者、
事業者に対し重いのではないかとの質問に対し、税制の上では、差は主として二割五分の勤労控除である、制度としては大体現行で適当である、研究するとすれば、まず二割五分が適当であるかないかの問題であるとの
答弁がありました。また超過供出による農業所得については、所得計算上超過供出に要する経費を考慮に加えるが、税の免除や源泉
課税はむりである、匿名供出は供出に関しては匿名だが、税法上の匿名ではない等の
答弁がありました。
今日申告納税に関し大部分が更正決定であるが、各市町村に税務調査員を設ける意思はないか等の質問に対しては、それを正式に置くことは問題である、申告納税の本旨に反するからである、民間の意思を聞くことは必要である、
事業者團体には諮問するが、しかしそれに責任を持たすことは適当でない、團体交渉も一がいに悪いとは言えぬが、
原則としてはやらぬ、諸問は例外的に團体交渉となることもあるとの
答弁がありました。
次に、税務当局で
努力目標を指示しているが、その設定は事実上割当
課税となり、不当ではないかとの問いに対して、
努力目標を指示してはいるが、それは單なる
努力目標であ
つて、対納税者の
関係は税法のみがよりどころであるとの
答弁があり、次に今
年度税收の見通しについての問いに対し、二十四
年度は申告納税分を除いてはさほどの困難を
感じないとの
説明があり、最後に今後の軽減の問題について、シヨープ・ミツシヨンの渡來によ
つて税を軽くすると言われているが、今年中に軽減を期待し得るやとの問いに対しては、確約はできぬが
努力する、また三百六十円の為替率によ
つて補給金支出はふえると思うが、それでもなお軽減の見込みがあるかとの問いに対しては、実現困難なりとは考えない旨それぞれ
答弁がありました。以上が
質疑應答の主要点であります。
次いで、二十七日
討論に入りました。前尾
委員は
民主自由党を代表し、両
法案は妥当適切なりとして
賛成の意を表するとともに、あわせて、一、一刻も早く適正な改正に
努力すべきこと、二、威嚇的のきらいある税務行政を、指導に重点を置く
やり方に改正すべきこと、の二つの希望
意見を述べられました。次に川島
委員は
日本社会党を代表し、六箇の
法律を一括一
法律として
提出する
やり方ははなはだ不都合である、分割的に賛否を決する
方法なきがゆえに一括
反対せざるを得ない、
國民生活の安定を考慮せず、輿論に背を向けた
やり方には
反対であるとして、両
法案に
反対の意を表され、次いで荒木
委員は
民主党野党派を代表し、來るべき全面的改正の機会には所得税の軽減等に十分な考慮を拂うべきである、また
取引高税の部分的改正はむしろ改悪であり、ガソリン税については農業、漁業用及び輸出産業用の減免を講ずべかりしものであるが、両
法案には残念ながら
賛成すると述べられました。最後に河田
委員は
共産党を代表して、飲料税、物品税について
賛成する点なきにあらざるも、税制の
合理化を考えず、
國民負担の増大を來す両
法案には
反対である、間接税を撤廃して累進直接税を選ぶべきであると主張されました。
かくて
討論を終り
採決にはいりましたところ、
起立多数をも
つていずれも
原案通り可決いたしました。
右御
報告申し上げます。(
拍手)