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今野委員 先ほど
松本君と同様の
質問をして、まだその
お答えを得てなか
つたのでありますが、大体
松本君の
質問に対する
政府委員の
お答えで、おおよそのことは了承いたしましたが、念のためになお
ちよつとお伺いしておきたいと思います。それは元來
新聞紙法を
廃止することによりまして
日本の商業
新聞は全面的に自由になるということが
——これは
從來でもあ
つたのでありますが、はつきりと確認されたわけであります。しかしその
内容についてつぶさに
考えてみまするに、元來
日本の
新聞というものは、世界に非常に特殊な地位を占めておると思うのであります。たとえば、アメリカにおいては一九四六年三月現在の数字でありますが、
新聞紙の総
発行部数は四千八百七十五万部であります。
新聞社の数は大体二千二十社というふうにな
つておりますが、それに対して
日本では
新聞紙の
発行部数はそれの半分より
ちよつと下の二千万部であ
つて、しかも
新聞社の数は百五十四社というように十分の一以下でございます。
從つて一社当りの
発行部数について見ますと、アメリカにおいては平均二万四千であるのに対して、
日本においては十二万九千というふうにな
つておる。しかもこの百五十四のうち大多数のものは小さいのでありまして、ごく少数のものが特に大
新聞社といわれるものである。
從つて言論は完全に自由でありますが、実質においては、その数社の
言論が非常に重きをなすということは、これは
國民の常識でございます。
從つて私
ども法律の上で
言論が自由にされておることは
けつこうだと存ずるのですが、同時に実質的には、その数社の
新聞社の意向によ
つて輿論が強力に指導されるということは、認めざるを得ないのであります。これに対する
手段といたしましては、戰後特に
日本の社会が民主化の道を歩み続けるのに際して生れました各種の民主的な團体、政党、こういうものの活動が非常に大きな役割を占めることは言うまでもございません。これが輿論を十分に指導しなければならないことになるのであります。しかるに四月四日に
政府は
政令をもちまして、新しい
憲法においてはつきりと認められておる結社の自由に対する
制限を
意味するような團体等規正令というものを出しました。このこと自身が
國会が開会されておる際に、それがなされておることは、私
どもはつきりと
憲法に違反した行為ではないかと
考えておるのでありますが、特に
出版、
新聞に関する点についは申しますならば、その中でさつきのような届出についての制度がやはりあるということ、これは直接には
檢閲ではないとしても、大いに民主的な團体の活動に制約を加えるものである。こういうふうに
考えるものでありまして、その点やはり先ほどの御意見もありましたが、これははつきりと取除くべきである。私
どももちろん團体等規正令そのものを廃すべきであると
考えるのでありますが、特にその中の
出版、
新聞に関する
條項を即刻これとともに取除くべきである、こういうふうに
考える次第でありますが、
政府の御意見をお伺いしたいと思います。