○齋藤(三)
政府委員 十六條の第四号の
犯罪の予防に関する適当な計画というのは、いろいろな場合があると存じまするが、最も
とつさに考えられまするのは、再犯者が再びまた
犯罪を犯すというような場合は、この
委員会が前にあやまちを犯した人を対象といたしておりますので、さようなことが最も適切な計画と思
つております。また
少年について見ますると、東京なら東京のどういう地区に、どういう
犯罪少年が多数できているか、それに対する健全なる娯樂
施設、遊び場等がどういうふうに配置されているか、どこにその
少年が不良化する原因が存在するか、またその更生的な
施設、矯正的な
施設がいかに配置されておるかというようなことを
調査いたしまして、
関係官廳、
関係團体の協力を得て、それに対する対策を考え、それぞれのプロパーの分野の事業をいかに最も促進せしめて行くかというようなことが考えられると思います。もちろんこの
犯罪の予防につきましては、十六條一項の但書にございまする通りに、この
委員会だけがやるものではございませんで、だれがや
つてもけつこうなことであると存じますので、注意までにさような但書をつけた次第であります。
次に二十條の第四項の成人部において成人の仮出獄、仮退院の
事務をつかさどるということでございますが、
少年院法におきまして、ごく異例なことでございまするが、二十歳が一應最高限でございまして、二十歳に達しても
犯罪性がまだ濃厚であるという際には、家庭
裁判所の
承認を得て二十三歳まで置けるのであります。また二十三歳に達したが、精神的疾患等があるために、まだ
社会に出すのは非常に危險であるという場合には、さらに家庭
裁判所の
承認を経まして、二十六歳まで、家庭
裁判所のきめた期間まで置くことができる
規定にな
つておりまするので、ごくまれなる例ではあると思いますが、理論的において、
本法で言いまする二十三歳以上の成人がやはり
少年院に收容されることがあるので、かような
規定を置いた次第であります。
四十四條の第二項で、仮出獄の取消は
委員会の審理を経た後にしなければならないということにな
つておりまして、審理は本人と
面接してその弁明をよく聞くということになると思います。もちろんこの審理を受ける者は被疑者でもありませんし、被告人でもありませんので、
刑事訴訟法で言うような弁護人というものは予定されておりませんが、しかし十分本人の言わんとすることを聞くために何らか本人が十分言い得るような、さような仕組みを考えなければならぬと思いますので、これらにつきましては、中央
委員がルールをつくる権利を持
つておりますので、そのルールにおいて研究し、万然を期するような
措置をとるものと考えております。その地方の
委員会の決定に不服の場合には中央
委員が再審査する。そうして不当と認めた場合には変更するというようなことも考えまして、地方
委員会の不当なる結果がないように万然の準備をいたしておるつもりでおります。
次に五十九條の場合でありまするが、これは
委員会の職員はほんとうに本人の親がわり、兄弟として本人を
保護するのでありまして、いろいろな祕密のことも当然に相談相手にな
つて聞くと思いますので、それを不当に証言を強制されることは、
保護観察の上において支障があるので、拒絶権を認めたのでありますが、しかしそれはあくまでも本人の正当なる権利のためでありまするので、本人が承諾した場合、あるいは権利の濫用と認められる場合、その他
裁判所の規則で定めた場合はこの限りでない、こういうふうにいたしましたので、いかなる場合が権利の濫用と認められるかという具体的例は、今ちよつと適切なものを思い起さないのでありますが、かような場合も相当あり得るというように考えましてこういう
規定をいたしました。