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1949-04-23 第5回国会 衆議院 法務委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年四月二十三日(土曜日)     午後一時四十六分開議  出席委員    委員長 花村 四郎君    理事 北川 定務君 理事 金原 舜二君    理事 小玉 治行君 理事 高木 松吉君    理事 石川金次郎君 理事 梨木作次郎君    理事 吉田  安君       佐瀬 昌三君    田嶋 好文君       古島 義英君    松木  弘君       眞鍋  勝君    武藤 嘉一君       上村  進君    大西 正男君  出席國務大臣         法 務 総 裁         國 務 大 臣 殖田 俊吉君  出席政府委員         檢 務 長 官 木内 曽益君  委員外出席者         議     員 高橋 英吉君         專  門  員 村  教三君         專  門  員 小木 貞一君 四月二十日  委員高橋英吉君辞任につき、その補欠として田  中萬逸君が議長指名委員に選任された。 同月二十三日  理事高橋英吉君の補欠として金原舜二君が理事  に当選した。     ――――――――――――― 四月二十一日  出席法及び新聞紙法廃止する法律案内閣提  出第六五号)  少年法の一部を改正する法律案内閣提出第六  七号)  少年院法の一部を改正する法律案内閣提出第  六八号)  下級裁判所設立及び管轄区域に関する法律の  一部を改正する法律案内閣提出第七〇号) 同月二十日  訟訴費用等臨時措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出第六〇号)(予) の審査を本委員会に付託された。 同月二十一日  戸籍事務費全額國庫負担陳情書外百十三件  (第二一六号)  労働者の債権に関する陳情書  (第二二九号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  連合審査会開会に関する件  出版法及び新聞紙法廃止する法律案内閣提  出第六五号)  少年法の一部を改正する法律案内閣提出第六  七号)  少年院法の一部を改正する法律案内閣提出第  六八号)  下級裁判所設立及び轄区域に関する法律の一  部を改正する法律案内閣提出第七〇号)  訟訴費用等臨時措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出第六〇号)(予)  法制及び法務行政に関する件  議院における証人宣誓及び証言等に関する法  律の一部改正に関する件     ―――――――――――――
  2. 花村四郎

    花村委員長 これより会議を開きます。  本日の議題に入ります前に、御報告いたしたいことがあります。去る四月二十日、理事高橋英吉君が委員を辞任せられ、その補欠として田中萬逸君が同日議長よりの指名補欠選任せられましたことを御報告いたします。つきましてはこの際理事補欠選任を行いたいと思いますが、いかがとりはからいいたしましようか。
  3. 北川定務

    北川委員 理事補欠選挙につきましては、選挙手続を省略せられまして、委員長において御指名せられんことをお願いいたします。
  4. 花村四郎

    花村委員長 北川君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 花村四郎

    花村委員長 御異議なければ金原舜二君を理事に御指名いたします。     —————————————
  6. 花村四郎

    花村委員長 次に去る四月十九日の委員会において決定いたしました内閣委員会との連合審査会は、内閣委員会と協議いたしました結果、月曜日、四月二十五日が都合がよいとのことでありますから、二十五日午後一時より連合審査会を開きたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 花村四郎

    花村委員長 御異議なければさよう決定いたします。     —————————————
  8. 花村四郎

    花村委員長 なおこの際お諮りいたしておきたいことがあります。それは去る四月八日、委員会において猪俣、田嶋委員より横浜地檢問題について、現地調査報告を聽取いたしたのでありますが、本問題は國政調査の一環として行つたのでありますから、議長委員会より文書の報告をいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 花村四郎

    花村委員長 御異議なしと認め、さようとりはからいます。なお報告書内容に関しましては、委員長に御一任を願います。     —————————————
  10. 花村四郎

    花村委員長 これより本日の日程に入ります。本日は出版法及び新聞紙法廃止する法律案少年法の一部を改正する法律案少年院法の一部を改正する法律案下級裁判所設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律案の各案について提案理由説明を聽取いたし、質疑は次会において行いたいと存じます。それではこれより各案につきまして、順次提案理由説明を求めます。殖田法務総裁。     —————————————
  11. 殖田俊吉

    ○殖田國務大臣 まず出版法及び新聞紙法廃止する法律案提案理由について御説明申し上げます。御承知通り終戰直後におきまして、言論及び出版の自由を抑圧していた一切の制限が取除かれたのであります。具体的に申しますれば、昭和二十年九月二十七日の連合國最高司令官覚書によりまして、新聞紙法を初め十二法令覚書に牴触する條項廃止日本政府に命令されたものであります。よつて政府は、右のうち新聞紙法を除き、他の十一の法令に対してはそれぞれ同年十月中に正式に廃止手続をとりました。ただ新聞紙法につきましては、その規定の全部が必ずしも檢閲、発禁処分、その他言論の自由を抑圧するものばかりでもありませんでしたので、当時内務省司令部との間におきまして、新聞紙法及び出版法はこれらにかわるべき適当な法律が制定せられるまでその效力を停止しておき、その正式の廃止手続はしばらくこれを見合せることとしていたのであります。ちなみに申しますが、出版法前述覚書の中には列挙せられていませんが、その内容からして当然新聞紙法と同列にこれを取扱うこととされたのであります。しかしながら新聞紙法及び出版法改正の問題はその後進展せず、そのうちに二十二年五月には、出版に関する事務は文部省に引継がれ、また内務省は同年末をもつて解体せらるるに至りました。なお一昨年刑法の一部分が改正されました際に、猥褻罪の罰の程度が高められ、名誉毀損罪に関する部分に、從來新聞紙法及び出版法のうちの規定の一部が取入れられたり、罰の程度が高められたり、いたしましたので、今般政府といたしましては、新聞紙法及び出版法成規手続を経て廃止し、もつて覚書の趣旨の通りに結末をつけることとした次第であります。  法律案法文自体はきわめて簡單なものでありまして、説明の要もないかと存じますが、附則の中で予約出版法の一部を改正いたしておりますので、この点について若干説明を申し上げたいと存じます。元來この予約出版法言論、思想の自由を取締るための法律ではなくして、予約購読者たる一般國民を惡徳出版業者から行政的に保護することを目的とするものであります。從つてこの法律廃止したり、あるいはこれに対して実質的な改正を加えたりすることは、今後の研究問題であります。ただこの法律の中には、出版法を引用している箇所が若干ありますので、今回は出版法廃止伴つて当然加えられなくてはならない形式的な改正、すなわち字句の削除または書きかえをこの法律に対して行つただけであります。何とぞよろしく御審議を賜わり、またすみやかに可決の運びに至りますよう御願いいたします。  その次は、少年法の一部を改正する法律案提案理由つて、御説明申し上げます。御承知通り昨年第二國会において成立いたしました新少年法昭和二十三年法律第百六十八号)は本年一月一日から施行されたのでありますが、その運用実績について檢討いたしましたところ、少年院法兒童福祉法及び近く本國会に別に提案する考えでありますところの犯罪者予防更生法案との間に調整を要する点があり、また少年保護事件身柄の取扱い、証拠品の処理その他について、法の不備を補正する必要が感ぜられますので、これらの諸点にわたつて少年法の円滑な運用を期するために、所要の改正をいたすこととしたのであります。  まず改正の第一点は、少年院法との関係においてでありますが、少年法第二十六條第一項の規定によりますと、家庭裁判所が同法第二十四條第一項その他の現定によつてなした決定執行する権限が、当の少年を現に收容観護してい少年観護所または少年院議院ため、これら決定の円滑な執行に大きな支障を來しておりますので、本改正において少年法第二十六條第一項の執行権者に「法務廳教官」を加えることといたし、後に述べます同法第二十六條の二の規定の新設と相まつて少年保護事件家庭裁判所から事後の執行機関へきわめて適切に移行できるように、その手続を整えることを企囲いたしたのであります。  改正の第二点は、兒童福祉法との関係においてでありますが、從來少年法及び兒童福祉法規定によりますと、家庭裁判所都道縣知事との権限は一應区別されておりますけれども、その規定が簡略に過ぎるためか、それが実際の適用におきましては、とかく紛淆を來すおそれがあり、また相互連絡に関する規定が十分でないうらみがありますので、この点を是正して、両者の権限をできるだけ明確に規定するとともに、両種機関について、少年の健全な育成のために必要な相互援助連携の方法を規定しておく必要があります。そこで十四歳に満たない少年は、本來刑法第四十一條規定によりましても明らかでありますように、刑事未成年の者でありますが、これを年齢的に見ましても、その心身発育の過程から考えまして、十四歳以上の者とはおのずからその取扱いを別個に考慮する必要がありますから、少年法対象となる少年でありましても、十四歳未満の者につきましては、一應これに兒童福祉法措置を優先的に適用するのが妥当であると思われますので、このたびの改正におきまして、少年法第三條第二項を改正して、十四歳未満のいわゆる虞犯少年だけに限らず「十四歳に満たないで刑罰法令に触れる行為をした少年」を加えたすべての十四歳未満少年につきまして、家庭裁判所都道縣知事または兒童相談所長から送致を受けて、初めてこれを取扱うこととし、これに應じて同條一項を整理して書きわけることといたしたのであります。次に少年法第三條第一項中の從來の第二号、本改正案による第三号のいわゆる虞犯少年中、十四歳以上の者でありましても、事案によりましては、少年法によつて家庭裁判所がただちにこれを取扱うよりも、まず兒童福祉法措置にゆだねるのが適当であると認められる者もありますので、少年法第六條第二項として新たにこれについての規定を設け、その具体的な事案について、最も適切な判断のできる立場にある警察職員保護者は、さような少年を直接兒童相談所に通告することができる道を開くことといたしたのであります。これによりまして少年法及び兒童福祉法による一般人の家庭裁判所及び兒童相談所に対する通告義務の混乱が、相当大幅に整備される結果となるのであります。かようにして兒童福祉法による都道縣知事または兒童相談所長権限は、少年決による家庭裁判所限権と明確に区別されることになりますが、一方兒童福祉法による措置においても、きわめて例外的ではありますが、対象兒童の行動の自由を制限し、またはその自由を奪うような強制的措置をとることが、その兒童の福祉のために必要であることがたまたまある場合も予想されるのであります。このような場合には、行政機関である都道縣知事または兒童相談所長といたしましては、兒童福祉法第三十三條及び第四十七條規定により、当然にその親権または親権的措置の範囲として認められる場合を除き、それを越えて強制力を用いることができない関係にありますので、少年法第六條第三項として新たな規定を設け、また同法第十八條改正して、この点について、必要の最小限度家庭裁判所兒童福祉措置に関與する道を開き、兒童の健全な育成をはかることといたしたのであります。なおこれらの諸点にわたる少年法改正に伴いまして、兒童福祉法におきましてもその第二十七條の二として、少年法第六條第三項に相應する規定を新たに設けるほか、同法第二十五條ないし第二十七條について両法第による手続相互連絡につき必要な改正を加えることとなつておりまして、今期國会に別に提案するつもりでありますから、この点申し添えておきます。  改正の第三点は、犯罪者予防更生法案との関係においてでありますが、少年法第十七條第一項第二号の規定による身柄收容観護中の少年保護事件について、家庭裁判所処分決定した場合にこれを地方少年保護委員会保護観察に移し、その他の処置を適切円滑に取運ぶためには、一時的に少年を引続き少年観護所に收容しておく必要のある場合がありますので、新たに少年法第二十六條の二の規定を設けてその必要に應ずるほか、少年法犯罪者予防更生法案との用語の統一をはかるために、從來少年法中に第十三條、第二十四條、第二十六條等において「観察」「観察官」「保護委員」としてある表現を「保護観察」「保護観察官」「司法保護委員」と改めることといたしたのであります。  改正の第四点は、家庭裁判所少年保護事件について処分決定する場合に、すでに証拠品として領置されている兇器その他刑罰法令に触れる行為の用に供したもの等、これを返還すると本人の將來に惡影響を及ぼす物を、必要に應じて適法に処分することができるようにするため、新たに少年法第二十四條の二の規定を設けたのであります。  以上が改正の要点でありますが、その他少年法第十一條、第三十一條、第三十七條及び第四十七條中の一部を修正または補足いたしまして、少年法の円滑な運営を期したいと思うのであります。何とぞ愼重御審議の上、これまたすみやかに御可決あらんことを希望いたします。  その次は少年院法の一部を改正する法律案提案理由について御説明申し上げます。御承知通り少年院法昭和二十三年法律第百六十九号)は、本年一月一日から施行されたのでありますが、その運用を檢討いたしました結果、十四歳に満たない少年は、少年法の一部を改正する法律案提案理由にも説明いたしましたように、これを十四歳以上の犯罪少年または虞犯少年と同一に取扱うことは適切でなく、もしこれに收容保護を加える必要のあるときは、すべてこれを兒童福祉法による施設に入れるのが妥当と思われ、また少年院運用もさようする方が一層効果的になりますので、少年院法二條第二項を改めて、十四歳以下の少年少年院には收容しないことにいたしたのであります。  次に少年法昭和二十三年法律第百六十八号)第十七條第一項第二号の規定、すなわち收容観護措置によつて家庭裁判所から送致された者を收容する少年観護所は、本年一月一日から開設されたのでありますが、その実施にあたつては、その施設を整備する時間的余裕がなかつたのと、予算的措置が十分にこれに伴わなかつたため、從來仮委託少年を收容しておりましたところの少年院の出張所または少年院の廳舎の一部を、應急的に少年観護所施設に充てたのであります。しかるに改正少年法実施によりまして、從來刑事事件としてただちに勾留処分に付せられるような惡質な犯罪少年が、観護措置によつて少年観護所に收容されることになりましたため、少年観護所收容施設相当強固なものを必要とし、また最近の少年犯罪の激増、ことに惡質化はとういて現在の收容施設では收容しきれない現状でありまして、これが施設拡充強化を取急ぎ進めているのでありますが、それが整備するまでには多少の日時を要しますので、この際第二十一條を改めまして、その施設の補充をはかるため、昭和二十六年三月三十一日までの二箇年間は、拘置監の特に区別した場所を少年観護所に充てることができるようにし、これには犯罪少年であつて、逃走のおそれのあるものに限つて收容することといたしたのであります。  以上に二点が改正要旨であります。何とぞ愼重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを希望いたします。     —————————————
  12. 花村四郎

    花村委員長 高橋英吉君より委員外の発言を求められておりますから、これを許します。高橋英吉君。     —————————————
  13. 高橋英吉

    高橋英吉君 議院における証人宣誓及び証言等に関する法律の一部を改正する法律案というものを、われわれ提案者として衆議院に提案することになつたのであります。その條文要旨とを申し上げさしていただきまして、御審議を得たいと思います。まず條文から申し上げます。   議院における証人宣誓及び証言等に関する法律の一部を次のように改正する。   第六條第一項中「三月以上十年以下の懲役」を「十年以下の懲役又は三万円以下の罰金」に改める。   第八條規定を同條第二項とし、同條第に一項として次の一項を加える。   前二條の罪は、各議院若くは委員会又は両議院合同審査会告発を待つてこれを論ずる。     附 則  1 この法律は、公布の日から施行する。  2 この法律施行前において議院における証人宣誓及び証言等に関する法律八條告発を待たないで公訴が提起された同法第六條または第七の罪については、この法律施行の日から十四日以内に各議院がその告発をしないときは、裁判所は、判決公訴を棄却しなければならない。  お手元にこの書類が行つておると思います。理由簡單に書いておりますが、いま少しく詳細に申し上げますと第六條第一項の改正は、申すまでもなく新たに三万円以下の罰金刑を附加したことになるのであります。一口に言えば、刑罰緩和ということになつて來るのです。これはどういうところからそういう改正を必要としたかといいますると、私ども不当財産取引特別調査委員会における昨年度の経驗からいたしまして、どうしてもこういう緩和規定を設けなければ、証人に対してあまりに苛酷であるという結論を得た次第なのであります。第一にあそこに出て來る証人相当多数の人々の中には、被疑者関係の者があるのであります。被疑者関係刑事訴訟法建前からいうと御承知のように今日では默秘権まで認められておるのでおりまして、非常に保護された立場になつておるにもかかわらず、被疑者立場でありながら、委員会の特質上、委員会へ出ました証人らは、この被疑者としての保護された権限が使用できないといえ立場になつておるのであります。すなわち純然たる証人と、被疑者と思われるような立場証人とが一つになつて、嚴格なる偽証罪の罰則のもとに立つて証言をしなければならないという非常に苦しい立場になつておるのであります。從つてやむを得ず偽証をするという被疑者的な立場の人の中には、相当情状を酌量してやらなければならないものがあるのでありまして、執行猶予という法律寛典によつて救われる一面もありますけれども、これを体刑でなくして、罰金刑によつて緩和してやろうという、実際に体驗した者たちが感じたところの氣持が、この改正法案となつておるのであります。  さらにもう一つ理由は、あの委員会に出ます人々相当多数が公務員なのでありまして、公務員が一たび偽証を犯しました場合に体刑に処せられるということになれば、申すまでもなく公務員としての一生が葬られることになる。普通の刑事法廷における偽証は、たとえ体刑になりましても、執行猶予になりましても、公務員以外の人はその生活にそう重大なる影響は及ぼさない、公務員のごとく一生を棒に振つてしまうということにはならないのでありまするが、当國会に出席する多くの人々はどうしても公務員が多数でありまするから、一たびこれに触れると、ほんとうに一生を棒に振らなければならないことになるのであつて、これは非常に過酷である。罰金刑であれば、國会議員としてもその職務を棒に振らなくてもよろしい、また官吏としてもそう重大影響もないということになるのでありますから、國会における証人に対しては、どうしても罰金刑緩和規定を設けてやらなければ、あまり酷だという結論なつた次第であります。  次の親告罪の問題を簡單に言いますならば、まず偽証罪を同告罪とするかしないかという問題であります。現在の法文解釈から行くと、親告罪ともとれ、親告罪でないともとれるということになつておるのであつて、現に係属しておる偽証罪の裁判においては、第一審では親告罪として無罪の判決があつたにもかかわらず、第二審においては親告罪でないという判定によつて、有罪の決判を下されておるのであります。しかしこれは私たち同士の考え方でありまするが、あの規定の精神からしても親告罪であるべきであり、第一審の判決があの法文の正当なる解釈であると考えておるのでありまするけれども、現に第二審においては異つた見解を持つておるというように、現在の法律では二樣に解釈ができるようにとられておるので、この法文を誤解のないようにはつきりしたものにするためにも、改正の必要があるのでありますしからば改正をしてはつきりさすためには親告罪にすべきであるか、非親告罪にすべきであるかということが問題になつて來ますが、私ども議会内における出來事はなるべく議会内で処理しなければならないと思う。よほど重大な問題であつた場合はともかくでありまするけれども、重大問題でない場合においては、議会内の出來事議会権威において、自主的にこれを処理しなければならないという建前をとつておりまするし、またそれが建前になつて國会内の各法規類ができ上つているものと私どもは信じておるのであります。しかるに偽証罪の問題については、過去の実績から見ますると、國会において一たび偽証を犯した者が、その前非を反省して、虚偽の陳述をやつたことを自白し、しかしてその陳述を訂正しようというように、國会内における自主的な関係においてその証言が正しく表現されようとしまする前に、檢察廳親告罪でないとしてこの問題を起訴したという事実があるのであります。かりにこれが親告罪でないといたしましても、國会内の態度を見てから後に檢察廳あたり態度決定すべきがほんとうであるにかかわらず、國会の方で態度決定しない。いな各関係者証言を訂正して、いわゆる偽証罪というものが免除されるというような非常に穏健な成行きになつておる場合において、ことさら外部から國会内部の特別な偽証について檢挙の手が延びたというふうな、われわれから言いますと、非常に國会権威を冐涜したと思われるような事象も起つておるのであります。從つて國会内ででき上つたものは國会内で自主的に処理するという原則に基いて、親告罪にすべきものだという結論にも到達したのであります。そういう意味においてこの改正案を出すに至つた次第であります。 それから附則の問題でありますが、これは現在起訴されて公判にまわつておる人たちに対しましても、この穏和的な改正法案の恩典に浴せしめてやらなければならないという氣持から、特に附加されたのであります。しかしこれは、私が申し上げるまでもなく、專門家の皆樣方がよく御承知のように、あの刑法の六條から言つても、また刑事訴訟法にもあつたと思いますが、刑の変更があつたり刑がなくなつた罪に対しては、当然軽きによつて処断されるということになりますから、この附則がなくとも、私どもは当然現在係属しておる事件判決が確定していない事件に対しても、効果を及ぼすというふうに考えておりますけども、この問題は起訴條件であつても、刑法の問題ではなくして、刑事訴訟法の問題であるから、特にかように書かなければ効果が及はないという説があつて、念のために附加した次第であります。しかしいろいろ刑法学者の説を聞きましても、それがなくとも当然現在の係属しておる事件にも適用されるものである。そういう解釈をとられておるようでありますから、この点については愼重御審議の上、もしこの附則が蛇足であつて附則がなくしても効果が、刑法の大原則、すなわち軽きによつて処断するというあの大精神によつて、当然現在係属しておる事件に適用されるということになりますならば、これは削除されてもよろしいと思います。簡單でありますが、一通り理由説明いたしました。もし何か御質問がありますれば、御答弁いたしたいと思います。
  14. 花村四郎

    花村委員長 高橋英吉君の発言に対し、御質疑はありませんか。——なければ、これは委員の墾談会に移しまして、また御協議を願いたいと思います。     —————————————
  15. 花村四郎

    花村委員長 それでは引続いて提案理由の御説明を願います。     —————————————
  16. 殖田俊吉

    ○殖田國務大臣 それでは引続きまして御説明申し上げます。  今度は下級裁判所設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案でございます。この法律昭和二十二年法律第六十三號でありますが、この法律の一部を改正する法律案といたしまして提案をいたしたのでありまして、その理由を御説明申し上げます。 この法律は憲法第七十六條第一項及び裁判所法第二條第二項の規定に基きまして、高等裁判所以下の下級裁判所設立及び管轄区域につきまして規定しておるのでありますが、昭和二十二年四月法律第六十三號をもつて制定公布せられ、同年七月法律第八十九號、昭和二十三年十二月法律第二百三十三號をもつてそれぞれその一部が改正されたのでありますが、今回さらに次のような改正を要することになりましたので、この法律案を提出いたしました。  すなわちその改正の第一点は簡易裁判所の増設であります。簡易裁判所は、裁判所法の制定に伴いまして、全國に五百五十九箇所設置されたのでありますが、この裁判所は直接社会の治安確保に任ずる第一線の裁判所でありまして、國民の利害に関係するところがきわめて多いはもかかわらず、その数が十分でなく、その後その増設方について全國各地より熱心に國会その他に請願や陳情がありまして、その数は二十数箇所に及んでおるのであります。政府といたしましては、最高裁判所とも協議をとげまして、そのうちさしあたり次の六箇所、すなわち岐阜地法裁判所管内の岐阜縣武儀郡関町、廣島地方裁判所管内の廣島縣賀茂郡西條町、岡山地方裁判所管内の兒島市、鳥取地方裁判所管内の鳥取縣岩美郡浦富町、山形地方裁判所管内の山形縣東置賜郡赤湯町及び松山地方裁判所管内の新居浜市に、それぞれ簡易裁判所を設置せんとするものでありまして、その予定管轄区域内の事件数及び交通状況等より、新設地として最も適当と存ずるのであります。  第二点は土地の状況及び交通の便否等にかんがみまして、簡易裁判所管轄区域を是正することであります。すなわち宇都宮簡易裁判所管内の栃木縣上都賀郡西方村外五村を栃木簡易裁判所の管轄に変更いたしますことと、尾道簡易裁判所管内の廣島縣沼隈郡山南村を福山簡易裁判所の管轄に変更せんとするものでありまして、これらの変更は、いずれも地元市町村及び関係官公署並びに地元弁護士会の意向等を十分参酌いたしまして、最高裁判所とも協議の上決定いたしたのであります。  さらに第三点は、裁判所管轄区域の基準となつた市町村、その他の行政区画に変更がありまして、これに伴いこの法律の別表を訂正する点であります。すなわち從前の市、町、村が合併または分離して新たに市、町、村ができ、また市町村の一部が他の市町村に編入せられる等、裁判所管轄区域の基準となつた行政区画に変更のあつたもの等につきまして、この法律の別表の記載を訂正しようとするものであります。  以上この法律案の要点について御説明申し上げましたが、何とぞ愼重御審議の上、すみやかに御賛同を賜わらんことをお願いいたします。  次に訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。執行吏の恩給につきましては、御承知通り執達吏規則により執行吏が手数料の不足額を國庫から補助を受ける場合の基準たる六百円を、俸給年額とみなしまして算定することになつておるのであります。しかるに手数料不足額の國庫補助の基準額は、終戰後における諸物價の高騰に伴い、数次にわたつて増額せられましたにもかかわらず、ひとり執行吏の恩給については、從前り六百円を基準として算定されておるわけであります。  また他方昭和二十三年法律第百九十号、恩給法臨時特例の制定によりまして、一般公務員の恩給については、その額の算定について俸給額の増加部分を制限することをやめるとともに、すでに給與事由の生じたものに対しても、相当程度の増額を認めることとなりました。從いまして執行吏の恩給についてもこれにならい、その臨時的措置をとる必要があるのでありまして、これがこの法律案を提出いたしました理由であります。以上改正の要点を申し上げます。  第一は、執行吏の受くべき恩給年額は、執行吏に対する國庫補助の基準額を定めた政令の額を俸給額とみなして算定しようとするものであります。執行吏に対する國庫補助の基準額は、物價の変動に即應するための臨時的措置として、訴訟費用等臨時措置法第五條により、その定めを政令に委任しておるのでありますが、執行吏の受くべき恩給額は、從前の建前から申しましても、この政令の定める額にスライドせしめることが最も合理的であると考えられますので、この措置を講ぜんとするものであります。そしてこの措置昭和二十三年七月一日以後に給與事由の生じたものに適用せんとするものであります。  第二点は、同年六月三十日以前に給與事由の生じた執行吏の恩給については、一般官吏の例にならい、同年九月分まではなお從前通りとし、同年十月分以後は一万五千八百四十円を俸給年額とみなして算出した額を、恩給年額としようとするものであります。なおこの一万五千八百四十円という額は、現在の恩給額の算定上執行吏の俸給額とみなされている六百円という額を、前述の恩給法臨時特例の例にならつて増額したものであります。附則第二項及び第三項がその規定であります。何とぞ愼重御審議の上、すみやかに可決せられんことをお願いいたします。     —————————————
  17. 花村四郎

    花村委員長 次に先日この委員会におきまして、答弁の留保されておりました大津事件、松島事件に関して政府の答弁を求めます。
  18. 木内曽益

    ○木内政府委員 松木委員の先般の御質問中、松島事件関係証拠品紛失の問題につきましては、答弁を留保しておつたのでありますが、主任檢事が出張先からもどつて参りましたので、事情を聞いてみますると、東京地方檢察廳では、この事件について証拠品を紛失したということはない。本件の証拠品として正式に受入れられたものは、松澤病院任意提出にかかる松島謙三、佐々木正一両名の病床日誌二册であつて、この証拠品檢察廳で不起訴拠分に付したので、告訴人側から刑事訴訟法二百六十二條により東京地方裁判所に審判の請求があつたから、その証拠品として記録とともに裁判所へ送つたということであります。なお告訴人から当時の主任檢事である中西檢事あてに提出された上申書が二通あるそうでありますが、これは同檢事の手元に保管されておるのであります。この上申書が一件記録に添付されていなかつたことは、事案の処理について何らの支障を認めなかつたが、記録に添付されていないので、あるいに間違えてこの上申書を証拠品と考えて、証拠品を紛失したと誤解しておるのではないかということでありました。万一別に何か証拠品がありまして、これが紛失したということでありまするならば、あらためて具体的にお話を願えればさらに調べる、こういうことでございました。  次に大津事件について御答弁申し上げます。大津地方檢察廳からの報告によりますると、大津地方裁判所の雇い人岩本博文という者があつたそうでありまするが、これは本年二月十八日附依願免官とな人ておるのであります。その依願免官となつた原因は、同人が昭和二十四年二月十三日日曜日午後零時三十分ごろ、大津地方裁判所宿直室にいた際に、窃盜被疑者の清水清子、当十九年が大津地方檢察廳の細野檢察事務官の、十二日に出頭せられたしとの呼出状を間違えた、十三日の日曜日に出頭して來たのであります。それで当時裁判所の宿直室におつた岩本が、この清子という女の子を、檢察廳で執務していた当直の会計係北脇檢察事務官のもとに案内したところ、北脇檢察事務官は、主任の捜査係である細野檢察事務官が日曜日で不在であるから、明日出直するようにと告げて帰宅方を促して席をはずしたところ、岩本が同人に対する少年審判記録が一月上旬、京都少年審判所より大津家庭裁判所に送付されていたのを思い出して、清子を家庭裁判所少年部に連れて行つて、同日午後三時ごろまで事情を聽取したことが、取調べの結果明白いたしましたが、清水清子は、取調べの間に身体檢査をすると言つて、二、三回乳房にさわられたと述べておりまするが、岩本はさような事実はないと否認しており、この点に関する確証はないのであります。しかし清水清子自身も、この問題につきましては告訴の意思がないので、この点については不起訴処分にいたし、裁判所側ではいずれにせよ岩本の行為が妥当でないというので、依願免官にしたということであります。  これに関連しまして、御質問の、岩本博文及びその父である岩本兵吉護係の事件について申し上げます。滋賀新報社記者の菊地三太郎は、岩本博文の、前申し上げました悲違の眞相の摘発ということで、再三滋賀縣栗太郡治田村澁川の岩本兵吉方を訪れましたが、面会できず、結局二月二十二日の午前七時ごろ、兵吉方を訪れて面会を強要したので、兵吉は非常に腹を立てて、右博文の加勢を得て、菊地をなわで縛り、同日午後八時駒までそのまま自宅に監禁し、さらに翌二十三日、栗太郡瀬田町菊地三太郎方附近において滋賀新報社山本均に対し、同人が菊地同樣、面会を強要したことをなじつて、殴打暴行を加えたというのであります。これによつて岩本兵吉を、本年三月十一日大津地方裁判所に、菊地三太郎に対する不法逮捕、不法監禁及び山本均に対する暴行の事実によつて起訴いたしたのであります。岩本博文の方は、昭和二十四年三月十一日、清水清子に対する強制わいせつ行為親告罪であるが、被害者が先ほど申しました通り、告訴の意思がないということを表明したので、不起訴処分に付しておるわけであります。それから菊地三太郎に対する不法監禁、不法逮捕及び山本均に対する暴行の点は、起訴猶予にしてあります。その理由は、父の兵吉が本件の主犯者であり、父の命のままに荷担したものであつて、かつ親子二人を起訴することが、少し苛酷に失するものがあると考えたので、檢察廳においては、この博文に対して起訴猶予にしたということであります。  この事案の状況及びこの報告等によりましても、岩本博文の方を起訴猶予にしたというものは、御質問のように裁判所の職員であるから、特に犯罪を隠蔽せんとしてこれを不起訴処分として、そして罪を親の方に負わしたというような事実はないのでありまして、これを私どもから見ましても、この事件の処理は妥当である、かように考える次第であります。
  19. 花村四郎

    花村委員長 梨木事次郎君より質疑の通告がありますから、これを許します。梨木作次郎君。
  20. 梨木作次郎

    ○梨木委員 最初の松島謙三の件については、当事者の言うところとちよつと違つておりますから、その違つている点について、のちほどまた質問いたすことにして、きようはこの程度にいたしておきます。  大津事件の処理の問題でありますが私の方へ入つている事実関係は、強制わいせつ罪の点のみならず、これは職権濫用罪に該当すると思うのであります。この点については、職権濫用罪が成立するといたしますれば、告訴がなくても起訴できるわけでありまして、これがまだ私は納得が行かないのであります。こういう点については、檢察当局はどういうふうにお考えになつておるのか、これをちよつと伺いたい。
  21. 木内曽益

    ○木内政府委員 檢察廳報告は、その点に触れておりませんが、この問題が職権濫用になるがどうかということも、研究の余地があると思いますし、裁判におきましても、ただちにこの責任を問うて依願免官の処置をしておるのでありますから、この点なども考慮に入れていいのじやないかと思います。
  22. 梨木作次郎

    ○梨木委員 これは私の考えでは、裁判や檢察に関する威信保持のためにも、こういう事件はもつと徹底的に、つまり関係者並びに一般の國民が納得の行くような処分をされることが必要だと思うのであります。親子二人を起訴するのは苛酷だというような御意見で、一人だけを起訴したのだとおつしやいますが、しかしこの点についても、私たちの聞いておるところでは、これはもう親の命でやつたというよりも、二人が共謀してやつておつたということが大体明らかになつておるのであります。この点については、どうも事件の起きた当時の新聞報道などを丸ましても、これは滋賀新報のみならず、京都の新聞にも大きく報道された事件でありまして、裁判所並びに檢察廳では、この事件が起つて、やはり何か臭いものにはふたをするというような処理の仕方をしておるようであります。それでは決して裁判、檢察の威信と公正を保持するゆえんではないと思いますから、こういう点についてはもつと國民の納得の行くような、徹底して処理の仕方をしていただきたい。こういうような希望する次第であります。
  23. 花村四郎

    花村委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後二時四十九分散会