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梨木委員 警察官が
警告を発する場合には、
警察官等職務執行法第四條で
條件があるわけなんです。これは非常に
嚴格な
條件がついておるのでありまして、
警察官等職務執行法は第四條で「人の
生命若しくは
身体に
危險を及ぼし、又は財産に重大な損害を及ぼす虞のある天災、事変、
工作物の
損壞、
交通事故、
危險物の爆発、狂犬、奔馬の
類等の出現、極端な
雜踏等危險な
事態がある場合においては、その場に居合わせた者、その事物の
管理者その他
関係者に必要な
警告を発し、」こういうことにな
つておるのでありまして、しかもこういう
警告を発した場合におきましては、ただちに順序を経て、所属の
公安委員会にこれを
報告しなければならぬとな
つておるのであります。ところが私の調査したところでは、こういう
事態は発生しておらないし、しかも
公安委員長はこういう
警告を発するについて、何ら
報告を受けておらないという事実があるのであります。從いまして今
法務総裁の
お答えですと、必要があればいつでも
警告が発せられるというような趣旨のものではないと思うので、こういう点についても、私は
鈴木警察局長のこの
警告文というものは
権限を逸脱した、しかもこの
内容を読みますと、
警棒で
制圧することがいともたやすくできるように書いてある。ところが
警棒が
一つの
武器だということになれば、この
武器を
使用するには非常に
嚴密な
法律上の
條件があるのであります。第
七條にありまして「
警察官等は、犯人の
逮捕若しくは逃走の防止、自己若しくは他人に対する防護又は
公務執行に対する抵抗の抑止のため必要であると認める相当な
理由のある場合においては、その
事態に應じ合理的に必要と
判断される限度において、
武器を
使用することができる。」というきわめて
嚴密な
條件がついておる。それにもかかわらず、單に「
不法越軌の
行動を継続する者は」
即座に
警棒で徹底的な
制圧を受けるというような、こういう
人民を威嚇するような
警告をあらかじめ発しておる。それから「
警察吏員の
警備地区内に
故意に侵入し又は
交通遮断線を突破した者は」
即座にこの
警棒の
制圧を受けるというような、こういう何か
人民を威嚇するような
警告をあらかじめ発しておるのであります。大体
デモ行進というものは、
憲法で保障された
勤労者の
権利なのであ
つて、これは正当なる合法的な
権利なのであります。この
権利に基いて
行動しておる。もしもこれがたまたま
警備地区に入るようなことがあ
つても、それだけのことで
即座に
武器を
使用するというようなことをあらかじめ許容しておるような、つまり
警察官等職務執行法に
規定しておる
條件以上の
條件を許容するかのごとき、非常に
憲法を蹂躙し、
人民の
権利を侵害するような
警告が、あらかじめ一
警察局長によ
つて発せられたということのうちに、私は去る三月二十七日並びに四月二日の
労働者大会のときにおける
デモ行進に対してと
つた大阪の
警察局長のやり方の、非常に
人権を蹂躙するおそれのある
行動であ
つたということを認定せざるを得ないと思うのであります。
それから今の
檢務長官の
報告では、
ジグザグの
行進が行われたので、それは
道路交通取締法に違反するから檢挙したのだという御
報告でありましたが、これは事実と非常に違うのであります。私の調査したところでは、
デモの
指揮者を突然檢束したという事実、そのために
大衆が非常に興奮いたしまして、いささか隊列が乱れた。こう私は聞いておるのでありまして、この点事実と非常に相違しておるのであります。それから
デモ行進の途中において、
行進に参加した人がすわり込んだ事実もあるのでありますが、このすわり込んだことがまた
道路交通取締法違反だと、こう認定したようにな
つておるのでありますが、これは事実がうらはらでありまして、実際は
デモ行進に向
つて警棒を
使つて、ここで血を流すような事実があ
つたわけなんで、これに対して
大衆が興奮し、さらにそこへ
消防自動車で
放水するというようなことが起
つたために
大衆はそこにすわり込んでしま
つたというのでありまして、これは
警察側の挑発的な活動によ
つて必然的に起
つた事実なのでありまして、この点が
報告と実際とは非常に違
つておるということを私は指摘したいのであります。
さらにこれは
法務廳の方へどういうような
報告が來ておるか伺いたいのでありますが、あらかじめ
デモ行進の順路というものは届出をしまして、その許可を得ておるのであります。ところがその
当局が許可した
道路というのは、わざわざ裏道の狹い道を許可しておる。それで解散すべき
場所といたしましても、公園の廣い
場所をこちらが申し出たにもかかわらず、特にこの
狹いところを指定しておるということのために、
デモ行進がやはり非常に
制約を受けておるわけです。こういう点について、なぜわざわざこういう狹い
道路を指定したかということ、こういう点のうちに、今までと今度の
デモの
取締りについて行われた一連の行為を想像してみますと、何かこう
警察当局が、わざわざ
混乱を起させるようにしてや
つたというような印象を受けるのであります。この点について
法務廳といたしまして、こちらが届け出た
行進順路の
道路と、
当局が指定した
行進順路の
道路とは、こういう
デモ行進を許可するについて、しかもそれが最も適切に行われるについて、
当局の指定した
道路がはたして適当であ
つたかどうかというようなことについての調査と、それに基く
判断があ
つたらお示しを願いたいと思います。