○
齋藤(三)
政府委員 お答え申し上げます。
終戰後少年の
犯罪の絶対の件数は非常にふえております。しかし
警察官の人数がふえておらない
関係上、実際に表面化しておるのはそれほどでもございませんが、特に私
どもの心配いたしまするのは、
強盗とか、そういうような
凶惡な
犯罪が非常にふえておることであります。結局
警察官の手が足らないために、さような重大な
凶惡な
犯罪に檢挙の重点を集中しておるのでありまして、その
原因についていろいろ
研究いたして、考えさせられておるのでありまするが、第一に氣がつきますることは、非常に簡單な動機でさような
強盗等の重大な
犯罪を犯しておるという点であります。また
少年刑務所とか、あるいは
少年院等に收容されておる
少年について
調査をいたしてみますると、さような
少年は、尊敬すべき人物を書けと言われても書くことができない。白紙で出すというような
現況であります。ひつきようそれらの
少年が夢を持たない、理想を持つていないということが一番根本的な
原因ではないか。さらに考えますると、
終戰後一般の
道徳観念が、革命的な変革によりまして、
從來理想としてお
つたものがすつかり失われてしまつて、しかも世間を知り
社会生活に入ろうとする
少年、しかも非常に
複雜微妙な反抗的な感情を持つておる年代の
少年が、さような指導すべき
道徳観念を持たずにおとなになりかけておるというところに、根本の
原因があるのではないか、かように存じておるのであります。さらにかてて加えて
社会の一般的な混乱、やみ市であるとか、また
娯樂にいたしましても、健全な
娯樂がない。かような
関係から、
内外ともに
少年がさような重大な
犯罪を、さしたる惡事とも思わないで平然として犯すという
現況に相
なつておると思うのであります。從いましてさような惡いことを、惡いと思わないで
犯罪を犯す者に、いたずらに
刑罰を科することは、決して賢明なる方法ではないと考えまして、前々
國会において
少年法の御改正を願いまして、さような
少年は
刑罰の
対象とは見ないで、教育の
対象に見たいというような
考え方で
家庭裁判所が創設され、さらにそれらを教育すべき
少年院等を新設することに努力して参
つたのであります。しかし遺憾ながら予算の
関係等において思うにまかせませんで、いろいろな点で非常な隘路を感じておるのでありますが、さような考えで、私
どもは今後ともこの
少年問題の解決に努力いたしたいと存じておる次第であります。