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1949-05-07 第5回国会 衆議院 文部委員会 第13号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十四年五月七日(土曜日) 午後二時四十九分
開議
出席委員
委員長
原 彪君
理事
伊藤
郷一
君
理事
佐藤 重遠君
理事
圓谷
光衞
君
理事
水谷
昇君
理事
松本 七郎君
理事
稻葉 修君
理事
今野
武雄
君
理事
長野
長廣
君 淺香 忠雄君
岡延右エ門
君
甲木
保君 千賀 康治君
高木
章君 田中 啓一君
庄司
一郎
君 若林 義孝君 受田 新吉君 森戸 辰男君 小林
運美
君
渡部
義通
君 船田 享二君
出席國務大臣
文 部 大 臣
高瀬荘太郎
君
出席政府委員
文部政務次官
柏原 義則君
文部事務官
(
学校教育局長
)
日高
第四郎君
文部事務官
(
教科書局長
) 稻田 清助君
文部事務官
(
調査局長
) 辻田 力君
委員外
の
出席者
文 部 次 官
伊藤日出登
君 專 門 員 武藤 智雄君 專 門 員
横田重左衞門
君
—————————————
五月七日
委員中山マサ
君辞任につき、その補欠として庄
司一郎
君が議長の指名で
委員
に選任された。
—————————————
四月二十七日
國立学校設置法案
(
内閣提出
第一三〇号) 同月三十日
社会教育法案
(
内閣提出
第一五八号)(予) 同月二十七日
習字教育振興
に関する
請願
(
高木吉之助
君紹 介)(第五三八号)
新制中学校建設費助成
に関する
請願
(守島
伍郎
君
紹介
)(第五三九号) 六・三
制完全実施
のため
予算確保
に関する
請願
(
橋本登美三郎
君外二名
紹介
)(第五八八号) 同月二十八日
新制中学校建設費助成
に関する
請願
(
淺利三朗
君外五名
紹介
)(第六四一号) 同(
橋本登美三郎
君外二名
紹介
)(第六四二 号) 中尊寺の
学生團体見学禁止解除
の
請願
(
淺利三
郎君外五名
紹介
)(第六六〇号) 六・三
制完全実施
のため
予算確保
に関する
請願
(
松永佛骨
君
紹介
)(第七〇四号) 同月三十日
新制中学校建設費助成
に関する
請願
(
木村公平
君外二名
紹介
)(第七三五号) 同(
岡田春夫
君
紹介
)(第七五九号) 同(
今野武雄
君外二名
紹介
)(第七六〇号) 廣瀬村の樺太無縁故
引揚兒童教育施設費國庫補
助の
請願
(
庄司一郎
君
紹介
)(第七六一号)
宮城縣立農学寮
を
農業高等学校
に昇格の
請願
(
庄司一郎
君外三名
紹介
)(第七六二号) 五月四日
新制高等学校卒業程度
の
檢定制定
に関する
請願
(
三浦寅之助
君外一名
紹介
)(第八〇〇号)
新制中学校建設費助成
に関する
請願
(
柄澤登志
子君外一名
紹介
)(第八〇九号)
観光関係出版物
に
用紙割当
の
請願
(
岡田五郎
君
紹介
)(第八一六号)
新制中学校建設費助成
に関する
請願
(
河口陽一
君
紹介
)(第八二四号) 同(
中島守利
君
紹介
)(第八二五号)
國宝保存法改正
に関する
請願
(
圓谷光衞
君紹 介)(第八四一号)
新制中学校建設費助成
に関する
請願
(
渡部義通
君外二名
紹介
)(第八四九号) 同(
木村榮
君
紹介
)(第九〇五号)
教育予算削減
並びに
学校寄附反対
の
請願
(神山 茂夫君
紹介
)(第九〇六号) 六・三
制完全実施
のため
予算確保
に関する
請願
(
塚原俊郎
君
紹介
)(第九〇七号)
國宝
の
保存
に関する
請願
(
前田正男
君
紹介
)( 第九〇八号)
習字教育振興
に関する
請願
(
福井勇
君
紹介
)( 第九〇九号) 同(
前田正男
君
紹介
)(第九一〇号)
新制中学校建設費助成
に関する
請願外
一件(高
倉定助
君
紹介
)(第九一一号)
新制中学校建設費助成
に関する
請願
(
福田昌子
君
紹介
)(第九六二号) 同(
大石武一
君外一名
紹介
)(第九六三号) 同(
前田郁
君
紹介
)(第九六四号) 同(
足鹿覺
君
紹介
)(第九六五号) 福岡県の
國宝
及び
重要美術品保存
に関する
請願
(
福田昌子
君
紹介
)(第九六六号) 同月六日 名古屋市に
愛知学芸大学本部設置
の
請願
(
辻寛
一君外三名
紹介
)(第一〇〇二号) 六・三
制完全実施
のため
全額國庫負担
並びに教
育予算増額
の
請願
(
水谷昇
君
紹介
)(第一〇三 二号)
朝鮮人学校教育費國庫負担
の
請願
(
春日正一
君 外三名
紹介
)(第一〇三五号) 大
学校案反対
に関する
請願
(
春日正一
君外一名
紹介
)(第一〇三六号) 大
学校案反対
並びに
大学予算確保
に関する
請願
(
渡部義通
君外二名
紹介
)(第一〇三七号) 六・三
制完全実施
のため
予算確保
に関する
請願
(
菅家喜六
君
紹介
)(第一〇七〇号)
新制中学校建設費助成
に関する
請願
(
佐々木更
三君
紹介
)(第一〇八九号) カレンダーを
出版部類
に
編入
の
請願
(
角田幸吉
君外一名
紹介
)(第一一一七号) 六・三
制完全実施
のため
予算確保
に関する
請願
(
笹山茂太郎
君
紹介
)(第一一二四号)
朝鮮人教育問題等
に関する
請願
(
今野武雄
君外 一名
紹介
)(第一一三六号)
宮城学芸大学設立
の
請願
(
庄司一郎
君
紹介
)( 第一一三七号)
大学設置法案
に関する
請願
(
庄司一郎
君
紹介
) (第一一三八号)
著作権法
の一部
改正
に関する
請願
(
淺香忠雄
君
紹介
)(第一一四三号)
文部省
における
教育関係
諸
法案
の
審議公開
に関 する
請願
(
渡部義通
君外一名
紹介
)(第一一六 六号)
教育関係
諸
法案
に関する
公聽会開催
の
請願
(今
野武雄
君外一名
紹介
)(第一一六七号)
國立学校授業措置
の
請願
(
渡部義通
君外一名紹 介)(第一一七〇号)
國立学校
の
困窮制
に対し
授業料減免制確立
の請 願(
今野武雄
君外一名
紹介
)(第一一七一号)
私立学校経営費國庫補助
及び
貸付金復活
の
請願
(
渡部義通
君外一名
紹介
)(第一一七二号)
舞鶴座存続
に関する
請願
(
大石ヨシエ
君
紹介
) (第一一八〇号) 名古屋工業
大学
の名称に関する
請願
(
辻寛一
君
紹介
)(第一一八二号) の
審査
を本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した事件
文部省著作教科書
の
出版権等
に関する
法律案
(
内閣提出
第一一九号)
学校教育法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第一一六号)
國立学校設置法案
(
内閣提出
第一三〇号)
—————————————
原彪
1
○
原委員長
これより
会議
を開きます。 議事に入る前に一言御了解を得ておきたいことがございます。過日の
常任委員長会議
におきまして、
從來
の
付託議案
の
修正
あるいは
議員発議
の
議案
にいたしましても、
議員諸君
が
関係方面
と直接折衝されるのが慣例でございましたが、
議員提出法律案
あるいは
議案
の
修正
の場合には、直接その筋と折衝されることなく、一
應渉外課
及び
法制局
を必ず通じて、その筋と折衝されるようにということでございます。その点特に御了承願いたいと存じます。
—ちよ
つと
速記
をとめて。 〔
速記中止
〕
原彪
2
○
原委員長
それでは
速記
を始めてください。 これから
日程
に入ります。
日程
第一、
文部省著作教科書
の
出版権等
に関する
法律案
を
議題
といたします。
政府
より
提案理由
の
説明
を求めます。
高瀬荘太郎
3
○
高瀬國務大臣
文部省著作教科書
の
出版権等
に関する
法律案
について御
説明
申し上げます。
文部省
が
著作
の
名義
を有する
教科書
につきましては、多年数箇の
出版会社
に、独占的にその
飜刻発行
を許可して参りましたが、
社会情勢
の
変化
に伴い、今後は
自由競争
の
方法
によ
つて出版権
を
設定
することにいたしたいと考えまして、ここにその
方法等
につきまして必要な
規定
を整備し、この
法律案
を提出するに
至つたの
であります。 次に、この
法律案
の
内容
につきまして
大要
を御
説明
いたします。第一に、
文部省著作教科書
の
出版権
を取得しようとする者に対しまして、まずその
資格
についての
審査
を行うことであります。すなわち
教育
上
支障
を生じないことを期しますために、
出版権
を取得しようとする者が、良質の
教科書
を、
学校
において必要とする時期までに
製造供給
するだけの
事業能力
及び
信用状態
を有するかどうかを
審査
することを
目的
といたすもので、そのために
文部大臣
の
諮問機関
として
教科書出版資格審査会
を設けることにいたしました。 第二に
出版権設定
の方式についてであります。すなわち
教科書出版
の
資格審査
に合格した者の
競争入札
によりまして、
出版権設定契約
を結ぶことにいたしました。そして
入札
は、
教科書
一部当りの
製造
原價について行うこととし、
文部大臣
の予定した
製造
原價以内で最も低額の
入札
をした者に
出版権
を
設定
することといたしました。 第三に、
出版料
についての
規定
であります。すなわち、
出版権者
に
発行
の
指示
がありましたときは、すみやかにその
部数
に應じて、
一定基準
により算定した額の
出版料
を
國庫
に納付する
義務
を課しますとともに、
災害
その他の
事由
に基く
減免
の
規定
を設けました。 第四に、
出版権
の消滅についての
規定
であります。すなわち
出版権
の
設定
後におきまして、
出版権者
が
教科書
を
発行
するものとして不適当と認められる特別の
事由
の生じました場合には、
文部大臣
は
出版権
を消滅させることができることであります。 第五に、
出版権
の譲渡につきましては、
文部大臣
の
認可
を必要といたしました。 以上本
法案
の
提出理由
及びその
内容
につきましての
大要
を申し上げましたが、要するに
文部省著作教科書
の
著作権
及び
出版権
に関しまして適正な
管理
をいたしまするとともに、
教科書
の
発行
に
支障
を生ぜしめないことを期しておる次第でございますので、何とぞその
趣旨
をお認めくださいまして、本
法案
に御賛成くださることをお願いいたします。
原彪
4
○
原委員長
なお本
法案
につきまして、敷衍して
稻田政
府
委員
より
説明
させます。
稻田清助
5
○
稻田政
府
委員
この
法案
の
内容
に関しまして概畧御
説明
申し上げたいと存じます。 この
法案
は、
著作権法
、
財政法
、
固有財産法
及び
会計法
の
特別規定
という
性質
を帯びておるものでございまして、第
一條
に
規定
いたしておりますことは、
文部省
が
著作
の
名義
を有する
教科書
の
著作権
の
管理
、及びその
管理権
に基いての
出版権
の
設定
に関します
文部大臣
の権限の
規定
であります。 第
二條
、第三條に掲げておりますのは、ただいま
提案理由
にも
説明
がありましたように、
教科書
のごとき特殊な
出版物
を
自由競争
によりまして
出版権
を
設定
する場合に、
教育
上
支障
を来すことなからしめる
目的
をもちまして、
出版権
を
設定
しようとする者、すなわち
一般競争入札
に
加入せん
とする者の
資格
に関して、愼重なる
審査
を行う
趣旨
の
規定
でございます。しかもその
審査
を適正公平ならしめる意味におきまして、
文部大臣
の
諮問機関
として出版
資格審査
委員会
なるものを設ける
規定
を置いた次第でございます。 第四條は、この
出版権設定契約
のやり方でありますが、
規定
いたしておりますごとく、
出版権
の
設定
は、ただいま申しました
審査
に合格した者の
競争
によ
つて
行うことといたされております。しかしながら時が迫りまして
競争
に付するのいとまがないときは、第
二條
の
審査
に合格した者との
随意契約
によることを許す
規定
にいたしております。 第
五條
から第十條に至ります間の
規定
は、
一般
の
かく
のごとき
入札競争
の場合に設けられております普通の
規定
と大差ない
規定
でございます。すなわち
競争
に加わらんとする者に対しまして
保証金
をとり、
契約
を結ばない場合にはその
保証金
を
國庫
に帰属せしめる。あるいはまた
入札
の
順序方法等
を、
規定
いたし、開札から
落札
に至るまでの
規定
、さらにまたもし開札いたしました場合に
予定價格以
内における
落札者
のない場合に再度の
入札
を行うことができる
規定
というようなものを、
順序
によりまして
規定
いたしたわけでございます。 第十
一條
の
規定
は、
かく
のごとき
手続
を経て
出版権
の
設定
をいたしました場合におきましては、
出版業者
は
教科書
の
発行
に関する
臨時措置法
の
適用
を受けなければならない。すなわち同法の
規定
によりまして、
文部大臣
が都道府
縣教育委員会
を通じて集めました
教科書
の
需要数
を基礎として
発行部数
を
指示
いたしました場合に、その
指示
を引受けなければならない
趣旨
の
規定
でございます。
かく
のごとく
出版権
を
設定
いたしまして
文部省著作教科書
を
発行
させました場合に、その後
社会情勢
の
変化
によりまして、
物價
の変動その他やむを得ない
事由
によ
つて
、
入札
の際の
製造
原價を改訂しなければならぬ必要が生じました場合におきましては、第十
二條
の
規定
によりまして、
文部大臣
と
出版権者
と
協議
してこれを改定し得る
規定
を設けたのであります。 第十三條は、
出版権
の
設定
を受けました者は、
出版部数
に應じまして
一定率
の
出版料
、つまり
一般
の
出版物
につきますいわゆる印税に相当する
性質
のものでございますが、それを
國庫
に納付しなければならないという
趣旨
の
規定
を設けております。 第十四條におきましては、
災害
その他
出版権者
の責に帰すべからざる
事由
によりまして
製造供給
ができなく
なつ
た場合に、ただいま申し上げました
出版料納付
の
義務
を
減免
することができる。あるいはまた
出版部數
が非常に少い、しかも
義務教育
上の見地から見て特に定價を低廉ならしめる必要があります場合に、
出版料
を
減免
することができるという
趣旨
の
規定
を設けてあるのであります。 次に
規定
いたしております第十
五條
は、
出版権者
において
特定
の
事由
がありました場合に、
文部大臣
の側から
出版権
を消滅させることができる場合を列挙いたしております。その第一といたしまして、
出版権者
の
事業能力
、
信用状態
が、当初
出版権設定
の当事からかわりまして、
支障
なく
教科書
を
製造供給
するのに不適当と認められた場合には
出版権
を消滅させる。また第十
一條
、第十三條に
規定
いたしております
教科書
の
発行
に関する
臨時措置法
の
適用
を受けた
義務
を怠り、あるいはまた
出版料納付
の
義務
を怠つた場合の
出版権設定
の取消し、それから第三に掲げておりますのは、
臨時措置法
第十四條、十
五條
の
規定
によりまして、やはり
臨時措置法
によりまする
義務違反
のありました場合、
文部大臣
が
発行
の
指示
を取消したときに、またこの
出版権
を取消すことができるという
趣旨
の
規定
でございます。 次に第十六條に
規定
いたしておりますことは
出版権
の
設定
を取消した場合に、
教科書
につきましては紙その他の
資材
が
指定生産資材
でありまするし、またその
発行供給
が
一定
の時期に間に合せなければならないというような経済的の
理由
及び時期的の
理由
から考えまして、
出版権
の消滅いたした者に対しまして、それらの
教科書
の
原料品
、あるいは紙型その他の版型を、新たに
出版権
を
設定
した者に対して
讓渡
せしめるように、
協議
を
文部大臣
から命令することができる
趣旨
の
規定
を設けたのであります。さらにこの
協議
のととのわなかつた場合に関しまする諸種の
規定
を引続いて
設定
いたしております。 次に
出版権
の
讓渡
に関する
規定
でありますが、
出版権者
において種々の
理由
から
出版権
を他に
讓渡
したいという場合におきましては、
文部大臣
の
認可
を得て
讓渡
することができる
趣旨
の
規定
を設けたわけであります。またこの、
出版権
は、
國有財産
でありますので、その
管理
の必要から質入れすることがでまない
趣旨
の
規定
を設けたわけであります。 以上が大体この
出版権設定
に至りまする
手続
でございますが、他に
教科書
ばかりでなく、第十八條におきましては政令の定めるところにより、
文部省
が
著作
の
名義
を有する
教育
上用いられる
図書学習指導要領
、その他こうした
種類
のものにまでこれを準用することができる道を開いておるわけであります。 第十九條におきましては、先ほど申し上げましたように、他の
一般法
との
関係
を
規定
いたしております。 さらに
附則
といたしまして、現に幾つかの
出版社
と
教科書
の
発行
に関しまして、
出版権設定契約
を締結いたしております。それは
本法施行
の日から、この
法律
の
規定
によ
つて
設定
された
出版権
とみなす。さらにまた
昭和
二十三年十月一日から
昭和
二十五年三月三十一日までの間に
出版権設定契約
の消滅いたしまする
教科書
につきましては、突然この
自由競争
による
方法
をも
つて
新たに
出版権設定契約
を結んだ場合に、その時期が
明年度
教科書使用
の時期に間に合わなくなるおそれのある場合を考慮いたしまして、そうした
特定
の
教科書
につきましては
随意契約
によることができる。しかしながらこの場合におきましても
十分教科用図書委員会
の
審議
を経まして、その結果によ
つて
きまりました
種類
のものについて、ただいま申し上げました
随意契約
によることができるというように、
経過規定
を設けた次第でございます。 以上大体御
説明
申しあげた次第であります。
—————————————
原彪
6
○
原委員長
質疑
は後刻にお願いすることにいたしまして、
日程
第二、
学校教育法
の一部を
改正
、する
法律案
を
議題
とし、
政府
の
説明
を求めます。
高瀬荘太郎
7
○
高瀬國務大臣
ただいま
議題
となりました
学校教育法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、その
提案理由
及びこの
法律案
の
骨子
とするところを御
説明
申し上げます。 まず
提案
の
理由
でありますが、
医学
または
歯学
の
学部
を置く
大学
におきましては、單に練達した
技術者
を養成するにとどまらず、
社会人
としても
りつぱな医師
または
歯科医
を養成しなければなりません。そこでその
教育
の改善と
向上
をはかりますために、これらの
学校
の
入学資格
の
程度
を特に高め、その
目的
を達成する必要があるのであります。 次に新
学制
の
最後
の段階たる
新制大学
につきまして、
学校教育法
では
修業年限
四年とな
つて
おりますが、この際國の現状としましては、
入学志望者
の側における父兄の
経済的負担力
の点、あるいは短期間に
実務者
を養成しなければならない
社会的必要性等
を考慮いたしますと、短かい期間に完成する、いわゆる
短期大学
を必要とするように考えるのであります。
從つて
当分の間、
修業年限
二年または三年の
短期大学
の
制度
を認めることにより、一面すみやかに新
学制
の完成をはかるとともに、他面
社会
の要望に沿いたいと考えるのでございます。 次にこの
法律案
の
骨子
とするところを御
説明
いたします。 まず第一は、
学校教育法
の
規定
によれば、
新制大学
の
入学資格
は、
新制高等学校卒業程度
をも
つて
原則
とするのでありますが、
医学
または
歯学
の
学部
を置く
大学
に入学しようとする者の
入学資格
については、特例を認めて、より高い
程度
、すなわち他の
学部
において二年以上在学して、所定の
課程
を履修した者と定めようとするのであります。 次に
新制大学
の
修業年限
は、
学校教育法
に
規定
するごとく、四年をも
つて
原則
としますが、これを二年または三年
課程
に短縮した
短期大学
をも認めることにしようとするのであります。なお、この
短期大学
の取扱い方につきましては、
大学院
を置くことを認めないこととし、その他はすべて四年
制大学
に関する
規定
を準用するものであります。
最後
に、
短期大学
を卒業した者のうち、さらに四年制の
大学
へ進学する希望を有する者については、
一定
の
基準
に從い、四年
制大学
の
相当学年
に
編入
する道を開こうとするものであります。 なお、
短期大学
の
実施
につきましては、諸般の
準備
を必要といたしますので、
昭和
二十五
年度
より開設することといたしたいと存ずるのであります。 以上が本
法律案
の
提案理由
とその
骨子
とするところであります。何とぞ
愼重御審議
の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
原彪
8
○
原委員長
なお
稻田政
府
委員
より
内容
についての
説明
を求めます。
稻田清助
9
○
稻田政
府
委員
本案の
内容
につきまして簡單に御
説明
申し上げます。 最初の
規定
は、
医学
または
歯学
の
学部
への
入学資格
に関する
規定
であります。御承知のごとく
学校教育法
第五十六條には、
大学
の
入学資格
が
規定
されておりまして、
高等学校
を卒業した者、もしくは通常の
課程
による十二年の
学校教育
を修了した者が、
大学
の
入学資格
にな
つて
おるわけでありますが、
医学
または
歯学
の
学部
に関する限り、これに対しまする
例外規定
をここに設けておるのでありまして
高等学校
を卒業いたしました上に、
医学
または
歯学
以外の
学部
において二年以上在学して、
監督廳
の定める
課程
を履修することをも
つて
入学資格
といたした次第でございます。 次はいわゆる
短期大学
に関しまする
規定
でございます。
学校教育法
第五十
五條
には、
大学
の
修業年限
に関しまする
一般規定
が設けられております。すなわち
大学
の
修業年限
は四年とするという
趣旨
の
規定
があるのでありますが、これに対する
例外
といたしまして、当分の間、
文部大臣
の
認可
を受けて、
大学
の
修業年限
は二年または三年とすることができる旨を
規定
いたしたのであります。しかして前項の
大学
は
短期大学
と称する。さらに次の項におきましては、
学校教育法
第六十
二條
に「
大学
には、
大学院
を置くことができる。」という
趣旨
の
規定
があるのでありますが、これを排除いたしております。 それから次に第百十條といたしまして、いわゆる
短期大学
を卒業した者が普通の
大学学部
に入学する場合、
編入
に関しまする
資格
の
規定
を設けておるわけであります。 それから
附則
といたしまして、前の
医学
または
歯学
に関しまする
改正規定
は、ただちに公布の日から施行するのでありますが、
短期大学
に関しまする
規定
は
準備
の
関係
もありまして、
明年度
から
実施
する。しかもまた
改正
の
準備
がありますので、
昭和
二十五年三月一日から施行するという
趣旨
の
規定
を設けた次第であります。
—————————————
原彪
10
○
原委員長
質疑
はあとまわしといたしまして、
日程
を追加いたしまして
國立学校設置法
を
議題
といたします。
政府
の
説明
を求めます。
高瀬荘太郎
11
○
高瀬國務大臣
ただいま
議題
となりました
國立学校設置法案
につきまして、その
提案理由
を御
説明
申し上げます。 この
法律
は、
國家行政組織法
に基き、
國立
の
新制大学
及び
高等学校
並びに
盲教育
、
聾教育
の
研究
を行い、あわせて
盲学校
、
ろう学校
の
教員養成
を
目的
とする
國立
の
各種学校
の
設置
を定めるものであります。
新制國立大学
につきましては、
旧制
の
大学
、
大学予科
、
高等学校
、
專門学校
及び
教員養成
諸
学校等
二百六十七の
官立学校
を、一部の
学校
を除いて六十七の
大学
に編成し、これに今後一年間を限り、
農林大臣
の所轄に属する東京水産
大学
を加えて、六十八の
新制國立大学
を
設置
するものであります。これらの
学校
については、
大学設置委員会
においても、本年三月の総会において
昭和
二十四
年度
から開設することを適当と認定したのであります。
新制國立大学
の編成につきましては、
実施
上の
基本方針
を定め、それによ
つて計画
に当
つたの
でありますが、
旧制学校
の
新制國立大学
への転換の
具体的計画
については、
文部省
はできる事だけ地方及び
学校
の意見を尊重して
計画
を定めることといたしまして、しばしばそれらの
関係者
と
協議
して
計画
を進めたのであります。大部分の
学校
については
協議
がととのい、
基本方針
に沿
つて
編成することができたのでありますが、二、三の
学校
については未解決のまま現在に至りましたことは、はなはだ遺憾でありまして、それらの
学校
はやむなく当分の間、
旧制
の
学校
として存続することをこの
法律
に
規定
したのであります。 次に
國立
の、
電波高等学校
について申し上げます。
無線通信士
の
一般教養
の
向上
が、各
方面
から要望せられ、
無線通信
に関する
專門教育
のほかに、
普通教育
にも相当重点を置いて、
無線通信士
の
教育
に当らなければならなくなりましたので、
無線電信講習所
を
昭和
二十三年八月
逓信省
から
文部省
に移管し、全國に三箇所ありました
無線電信講習所
を、
昭和
二十四
年度
から
國立
の
電波高等学校
に
組織
を変更することとな
つたの
であります。
國立盲教育学校
及び
ろう教育学校
につきましては、
昭和
二十三
年度
から盲、
ろう学校義務制
が
実施
事せられ、これに
伴つて
、さらに多数の
教員
を必要とするようになりましたが、
從來
の
東京盲学校
及び
東京聾唖学校師範部
の機構では、
教典養成
の
制度
上においても、
収容力
においても、また
研究施設
においても、はなはだ不十分でありますので、本
年度
はとりあえず
両校師範部
を拡充し、本
教育学校
を
設置
して、この
教育
の
研究
を一層深めるとともに、資質において優秀な
教員
を養成しようとするものであります。 次に本
法案
の
内容
について要点を申し上げます。 まず第一に、
新制國立大学
については、各
大学
の名称、位置及び
学部
について
規定
し、あわせてそれぞれの
國立
大学
に包括される
旧制
の
学校
を掲げました。 第二に、名
國立
大学
に附置される
研究
所の名称、位置及びその
目的
について
規定
いたしました。 第三に、各
國立
大学
の
学部
に附置される
研究施設
を掲げました。 第四に、三つの
電波高等学校
については、その名称、位置について
規定
し、
國立盲教育学校
及び
ろう教育学校
については、その名称、位置及び
目的
について
規定
にいたします。 第五に、各
國立学校
に置かれる職員の定員を、各
学校
ごとに
規定
いたしました。 以上本
法案
の
提案理由
及び
内容
の
骨子
について御
説明
申し上げましたが、何とぞ十分御
審議
の上、すみやかに可決下さいますようお願いいたします。
原彪
12
○
原委員長
なおこの概要につきまして、
日高
政府
員より
説明
を聽取いたします。
日高第四郎
13
○
日高
政府
委員
國立学校設置法案
の概畧を御
説明
申し上げます。 この
法律
は
國家行政組織法
に基きまして、六十八の
新制國立大学
、三つの
國立
の
電波高等学校
及び
國立
の
各種学校
と、
國立
盲学校
及び
ろう学校
の
設置
を定めるものでございます。
國家行政組織法
第八條の第一項によりますと、國の行政機関には、内部部局の外、
法律
の定める所掌事務の範囲内で、特に必要がある場合においては、
法律
の定めるところにより、
審議
会または
協議
会及び試験所、
研究
所、文教施設、医療、施設その他の機関を置くことができることを
規定
されているのであります。また今回この
法案
と同時に提出されまする
文部省
設置
法の中にも、
國立
の
学校
については
國立学校設置法
の定めるところによるということを
規定
してございまして、
從來
官立学校
の
設置
組織
及び定員は、特例として官制をも
つて
定められておりましたのを、
法律
をも
つて
規定
することとな
つたの
でございます。 新
学制
は
昭和
三十二
年度
から、小
学校
及び中
学校
を、
昭和
二十三
年度
から
高等学校
を
実施
いたしましたが、
新制大学
は
昭和
二十三
年度
から発足いたしまして、公私立十二
大学
を除いて新制
高等学校
の最初の卒業者の出る
昭和
二十四
年度
から
実施
することを方針として進めて参
つたの
でございます。
新制大学
に切りかえる
旧制
の
大学
、
大学予科
、
專門学校
及び
教員養成
諸
学校
でありますが、
新制國立大学
に切りかえる
学校
は、これらの
学校
のうち
官立学校
を対象といたしまして、別に地元の希望があり、かつ
新制國立大学
の編成上適当と認めたものは、公立の
專門学校
もその一部分として合併したのでございます。
新制國立大学
の編成につきましては、十一項にわたる
基本方針
を定めまして、この
基本方針
に基いて昨年八月現在で二百六十七ございました全國の官立の
大学
、
大学予科
、
高等学校
、
專門学校
及び
教員養成
諸
学校
を六十九の
新制國立大学
に統合する
計画
を立てまして、これによ
つて
経費の膨張を防ぐとともに、
大学
の基礎を確立することにいたしたのでございます。 この
基本方針
によ
つて
統合の
計画
を立てました
國立
六十九
大学
設置
の可否につきましては、公立の
学校
二十四、私立百三十三、他省所管のものとともに昨年八月
大学設置委員会
に諮問したのでございます。
大学設置委員会
は、
学校教育法
によ
つて
定められた
文部大臣
の
諮問機関
でございまして、四十五名
委員
をも
つて
組織
し、
大学
の
設置
認可
に関する事項及び博士その他の学位に関する事項を定めるについては、
文部大臣
はこの
委員会
に諮問しなければならないことにな
つて
おります。
大学設置委員会
は昨年八月以來、鋭意新制校の
審査
に当り、
学校
も実情も実地について漏れなく視察いたしまして、本年二月と三月に総会を開き、
國立
大学
については六十九
大学
のうち、新制をとり下げました
学校
だけを除いて、六十八
大学
中六十七
大学
と、他省所管の
大学
は農林省
関係
の東京水産
大学
、運輸省
関係
の商船
大学
で、合計六十九の
大学
を
昭和
二十四
年度
から
大学
開設を適当と認めて答申いたされました。その後商船
大学
につきましては実現不可能の、事情が起りまして、この
法律
では合計六十八の
國立
大学
の
設置
を認めてあるわけでございます。
新制國立大学
への転換の
具体的計画
については、
文部省
はできるだけ地方及び
学校
の意見を尊重して定めることにいたしまして、
文部省
はこの方針に
從つて
、しばしば地元または
学校
当局と
協議
して統合の
計画
を定めたのでございます。幸い大部分の
学校
とは
協議
が整いましたが、秋田鉱山
專門学校
、上田繊維専門
学校
の二つの
学校
に
関係
する問題が未解決のまま残
つて
おりますことは、まことに残念なことと存じております。この二件につきましては、目下
文部大臣
は
大学設置委員会
に特に諮問中でございます。 次に、
新制國立大学
の
学部
編成等について特に考慮いたしました点は、第一は、学芸
学部
及び
教育
学部
は、
教員養成
の必要から最も重点を置いて
計画
したということでございます。 第二に、
学部
各科の編成は、現存の
組織
を基礎といたしておりますが、全國的も考慮して
計画
いたしました。 第三に地元の希望があり、
國立
大学
編成上適当と認めたものについては、公立
專門学校
を
國立
大学
の一部として合併いたしました。 第四に学科目については、まず
新制大学
の特色である
一般教養
科目の制定をできるだけ十分に考慮したということでございます。
電波高等学校
は、仙台
電波高等学校
、詫間
電波高等学校
、熊本
電波高等学校
の三つでございまして、それぞれ旧仙台無線電波講習所、旧大阪
無線電信講習所
、旧態本
無線電信講習所
が転換するものであります。本科は新制中
学校
卒業者を
入学資格
とし、
修業年限
は三年で、高等
普通教育
並びに
無線通信
に関する
專門教育
を施して、二級通信士の実力ある者を養成したいのであります。本科のほかに別科、專攻科をも置いてございます。
國立
の
各種学校
は、
國立盲教育学校
を東京都に、
國立
の
ろう教育学校
を千葉縣に
設置
するものでありまして、前のものは
東京盲学校
が転換し、後者は東京聾唖
学校
が転換したものであります。本科は
修業年限
一年で、
新制大学
卒業者を入学させるのを建前としておりますが、当分の間師範
学校
本科、
旧制
高等学校
高等科、
專門学校
または
大学
の卒業者等を入学させるものであります。本科のほかに理療科と音樂科を置いてございます。
原彪
14
○
原委員長
政府
の
提案理由
の
説明
はこの
程度
にいたしたいと存じます。
—————————————
原彪
15
○
原委員長
次に
文部省著作教科書
の
出版権等
に関する
法律案
、
学校教育法
の一部を
改正
する
法律案
、右二案を一括して
議題
に供し
質疑
に入ります。
質疑
は通告順にこれを許します。
質疑
者は
委員長
まであらかじめ御通告を願いたいと思います。
小林運美
16
○小林(運)
委員
ただいま
委員長
からお話がありましたが、
國立学校設置法
の御
説明
もありましたし、
國立
学校教育法
の
改正
の問題と
國立学校設置法
等には相当関連もあると思いますので、できるならただいま御
説明
になりました三つは、
学校教育法
と
國立学校設置法
と一括してや
つて
いただいて、
著作権
の方だけお先に願つたらどうかと思います。
原彪
17
○
原委員長
ただいまの小林君の動議に御異議ありませんか。 〔「異議訓なし」と呼ぶ者あり〕
原彪
18
○
原委員長
それではさようとりはからいます。それでは
文部省著作教科書
の
出版権等
に関する
法律案
を
議題
に供します。
質疑
に入ります。
今野武雄
19
○
今野
委員
文部大臣
にお伺いしたいのでありますが、
文部省
においては、昨年
教育
の民主化のために検定
教科書
を促進する御方針をとられたように、われわれ考えておるわけでありますが、この
法律
を見ますと何か今後も
文部省
の
著作
教科書
というものがずんずん出るような印象を受けるのであります。今後どういうものが出るのか、あるいは今まで出ているものを、ずつとまだ続けるおつもりなのか、その点についてまずお伺いしたいと思います。
高瀬荘太郎
20
○
高瀬國務大臣
文部省
といたしましては、
教科書
は檢定主義によ
つて
出して行くという方針を立てております。ですから、できるだけ
文部省
自身の
著作
するものは、しない方針で行
つて
おるわけであります。ただしかし、過渡期といたしまして檢定のものが十分そろわない、いろいろな
準備
の足らないところもありますので、当分の間檢定でない
文部省
自体の
著作
のものも続いて出る、こういう状況であります。
今野武雄
21
○
今野
委員
現在ある
教科書
または今後つくる予定の
教科書
について具体的に、もし資料がありましたら、何点ぐらい、およそどんなものがあるかというくらいでけつこうですから、ひとつ御
説明
願いたい。
稻田清助
22
○
稻田政
府
委員
現在
発行
いたしておりまする
教科書
全体で五百五十七種でございますが、このうち百七十四種が
文部省
著作
の、
教科書
でございます。ただいま大臣からお答えになりましたように、大体昨
年度
で
文部省
の新編纂は終
つたの
でありますが、なお
社会
科、理科、それから歴史及び特殊
教育
の
教科書
につきまして、幾つかの單元がまだ編纂中でありますので、それを終了いたしますまでは編纂を継続する予定でございます。なおまた
発行
いたしておりまする國定
教科書
につきまして、訂正の必要のある箇所を発見いたしました場合は、多少の改訂は將來といえども行う予定でございます。
今野武雄
23
○
今野
委員
昨年の檢定の、実績を見てみますると、
文部省
で國定
教科書
の出でおらないものについては、たとえば歴史などのようなものについては、この檢定を行わないというようなことがあつたように記憶いたします。その点についてお伺いいたします点は二点でありまして、第一に、さきに、「國のあゆみ」という
教科書
が
文部省
として出でおつたようでありますが、あれは現在絶版にな
つて
おるか。それからまた現在使われておらないかどうか。それからなお今言つたようなことが、たとえば歴史においてあつたことは事実であるかどうか、ちよつとお伺いいたしたいと思います。
稻田清助
24
○
稻田政
府
委員
御質問の「國のあゆみ」は、いわゆる新
教育
の
教科書
として
発行
されたものではないので、ございまして、國民
学校
の各
教科書
について 一應全面的に暫定本を
昭和
二十一
年度
に作成いたしましたその一種であ
つたの
であります。從いまして、新
教育
の学習指導要領等に適合しない
教科書
でありますので、新
教育
が発足いたしました
昭和
二十三年以後におきましては、
教科書
としては使わせないことにいたしたのでありますけれども、せつ
かく
出ているつもりでありますので、中等
学校
において参考書としてこれを用いることを許して参つた
性質
のものでございます。御質問にありましたように昨年檢定
制度
を
実施
いたしました場合は、
文部省
著作
のものといえども、新
教育
の日本歴史の
教科書
はなか
つたの
でございます。またコース・オブ・スタデイにもなか
つたの
であります。そういうような
関係
から、昨
年度
においては日本史については檢定申請を受付けない取扱いをいたしたのでありますが、
昭和
二十五
年度
分といたしましては、中
学校
の日本史、それから
高等学校
の世界史、これは受付種目にな
つて
おりますし、現にまた出願もある次第でございます。
今野武雄
25
○
今野
委員
「國のあゆみ」が
教科書
として使われなくな
つたの
は、何ゆえでありましようか。その不適切な
理由
があつたと思うのでありますが、それはただいまでも絶版にしてあらないのでございましようか。
稻田清助
26
○
稻田政
府
委員
ただいま申し上げましたように「國のあゆみ」は、國民
学校
の
教科書
でございます。旧
学制
教育
内容
に適合いたしました
教科書
でありまして、新しい
社会
科、理科となりましたような廣範囲の教科の
教科書
としては不適当だ、そういう意味におきまして、小
学校
でこれを用いることをやめて、中
学校
の参考教材として使うことを許した、そういう
趣旨
でございます。
今野武雄
27
○
今野
委員
なおこの点については、後ほどにお伺いする機会もあるかと存ずるので、後に讓りますが、先日やはりこの
委員会
において、現在の算数の
教科書
が非常に不適切である、コース・オブ・スタデイにも合わないものを使わせておる。しかもそれのみでなくして、昨年一年生に教えた
教科書
が、ほとんどそのまま二年生の
教科書
にな
つて
おり、二年生の
教科書
が三年生の
教科書
にな
つて
おる等々、みんな五年生の
教科書
が六年生の
教科書
にこのままかわ
つて
おる、こういう事実があるのであります。それに対して
政府
委員
も、それがコース・オブ・スタデイに合わないということをお認めになり、かつ私が九月からでもそういう事態を取除くために何らかの処置をおとりになる考えかと申したところ、それに対して善処なさるというお話でありましたが、この処置は非常に急を要すると考えますので、いかなる処置をその後おとりにな
つて
おるか、ちよつとお伺いいたしたいと思います。
稻田清助
28
○
稻田政
府
委員
この四月から数学の学習指導要領が変更になりまして、その点昨年の五月に予見いたしましたために、五月にその
内容
を発表いたしまして、移りかわりに遺憾のないように通牒もし、あるいは講習、
研究
会、ラジオ放送等で連絡をと
つて
参りました点は、先般御質問に対しましてお答え申し上げたような次第でございます。昨年新しい学習指導要領によりまして國定
教科書
の一部を編纂いたしましたり、また
一般
に檢定
教科書
の出ることも予期いたしたのでありますけれども、何分時期が短かかつたために遺憾ながら檢定
教科書
が現われずに、本学年におきましては、古い
教科書
を大体一年持上りの形をも
つて
使い、昨年中に教えなかつた部分を今年教えるというような処置をとらざるを得なか
つたの
でありますが、実際の
教育
にあたりましては、昨年内たびたびの
研究
会、
協議
会、通牒等で
趣旨
が明らかにな
つて
おりますので、適切にそれを利用していただけることとは存ずるのでありますが、なお今後とも各種の
研究
会、講習会を通じましてその
趣旨
の普及徹底に努めて参りたいと思
つて
おります。ただいまの御質問は、新しい合格した檢定
教科書
を今年から使うことはできないかという御質問のやうでありますが、この点この前もお答え申し上げましたように、現在
審査
中の檢定
教科書
が檢定確定いたしまして、種々の
手続
きを経て
発行供給
に至りますのは、どういたしましても別
年度
の新学年にぎりぎりに間に合うというような時期に相なりますので、その
方法
はまあ不可能だろうと思います。私が先般この点につきまして、数学
教育
に関しまして遺憾のないような措置を今後とも考究すると申しました一つの例といたしましては、また本
年度
におきましてもこうした
研究
会、
協議
会等を、予算もございますし、種々企画して参りたいと思うという点をも
つて
お答えといたしたいと思
つて
おります。
今野武雄
29
○
今野
委員
先日善処されるということで了承しておいたわけでありますが、ただいまのお答えによれば、これは講習会等によるということです。
從來
も、確かに今
政府
委員
がおつしやつたように、講習会その他通牒、ラジオ放送などをも
つて
いろいろとなされたようでありますが、現に今日まで
趣旨
が撤廃せず、しかも生徒が学習意欲を失
つて
おるというような事実が現われ、それが兒童の作文などにも現われておるような状態でありまして、こういう状態を放置することは、
教育
上ゆゆしいことだと思うのであります。願わくはそういうような問題に対して、現在いろいろ新しい方針に
從つて
研究
努力して参つた成果があちらこちらにあり、また檢定が通つたものもあるはずですから、そういうものを、何らかの
方法
によ
つて
急速にととのえるというような処置がとられないものかどうか、この点重大な問題ですから、重ねてお伺いしたいと存じます。
稻田清助
30
○
稻田政
府
委員
現在檢定
審査
中のものが、大体結果がわかりますのは、どういたしましても七月ごろであろうと思います。それから各
学校
の注文をとりまとめ、あるいはそのほかの
発行
準備
の
手続
をいたしまして、
発行
に着手いたしまするのが、どうしても十一月ぐらいになる、すなわち本
年度
の時期にはこれは間に合いかねる状態だと思
つて
おります。從いまして、御不満でもあろうかと存じますけれども、
教科書
を新しく本
年度
中に
発行
するという以外の
方法
をもちまして、努力いたすほかないと考えております。
今野武雄
31
○
今野
委員
今度は
文部大臣
にお伺いいたしたいと存じます。現在問題にな
つて
おる件は、ただ單なる一学科の
教科書
のように見えまするけれども、しかしながら現に
文部省
がみずからきめた学習指導要領というものがございまして、それに対してまつたく合わないところの、しかも学習意欲を低下させるような、そうして
学校教育
を混乱させる、そういう
教科書
が現に出ており、
文部省
の現在までの努力にもかかわらず、各所にそういう事実が現われておるということに対して、
文部大臣
といたしましてどういうふうにお考えになりましようか、この点お伺いいたしたいと存じます。
高瀬荘太郎
32
○
高瀬國務大臣
ただいまのお話にありましたような点で、いろいろと
教育
上思わしくない影響があるということは、私も認めておるわけであります。しかしそれもただいま局長から申し上げたような事情でも
つて
、これをすぐさま根本的に取除いてしまうということも事実上非常にむずかしい問題であります。ですからできるだけの手を盡しまして、そういうことを排除して行く
方法
を、
文部省
としては極力努力して参るというよりほかないかと思
つて
おります。今度のような問題も、やはり新しい
制度
がつくられて、
教科書
につきましても新しい方針で
計画
されますような場合には、どうしても起りがちなものでありまして、初め机の上で考えましたことも、なかなか実際や
つて
みるとその通りには行かぬような点もあ
つて
、そういう結果にも
なつ
たかと思いますから、そういう点は実際に即してできるだけ早くこれを改善して、いいものにするということで全力を盡して行く、こういう方針でおります。
今野武雄
33
○
今野
委員
先日私地方に参りまして視察いたしましたところが、中
学校
の生徒が現在使
つて
おる
教科書
が、依然として古いコース・オブ・スタデイによるものが使われており、しかもそれがそのままに使われておるというような事実が、実際に見られるわけでございます。たとえば、こまかいことでありますが、数学からは力学的な問題を除くという
趣旨
が徹底しないで、やはりそのままに使われておるということを、現実に目で見て参つたわけであります。そういうような事実がある。しかも
文部省
でもこういうことに対して十分な手を打たれていない。そのために今度は、参考書あるいは
教科書
類似の、粗悪な
出版物
も中にはまじ
つて
おりますが、中には良質なものもある。そういう参考書類というものが、非常にあふれておるように見受けられます。それで私はもしもかりにそういう参考書類の中で、比較的良質なものを幾つか指定して、そういうものでも使うというようなことになれば、かなり救えるのではあるまいかというような気もするのですが、実は
教育
に熱心な
学校
では、そういうものをかなり使
つて
おる。もしもそれほどでなくて使わないところがあればそれでもよろしいと思います。強制する必要は毛頭ありませんが、しかしそういうものを若干認めないと、粗悪なものが横行するというような状態にな
つて
おるように見受けられますが、この点について実際的な問題として、何らかの御処置は願えませんものでしようか、その点お伺いしたいと存じます。
稻田清助
34
○
稻田政
府
委員
御承知のごとく
学校教育法
の
規定
によりますれば、
教育
上有益な参考書は使用できることに相な
つて
おりますので、各
学校
とも相当各教科にわた
つて
参考書を使用しておる状態だと思
つて
おります。その中からいいものを選び出し、悪いものを排除する、こういうような点につきましては、
文部省
の立場におきまして、一つのオーソリティーをも
つて
それを行うという点につきましては、なお躊躇される問題だろうと思うのでありますが、私どもといたしましては、
從來
新
教育
が実際
教育
家の間において
研究
が旺盛になり、参考書の取捨選択等につきましても、相当進んで参るように御援助を申し上げ、御相談にもあずか
つて
おるような次第でございます。今日以後におきましても各教科については、各地にそれぞれ
教員
の間あるいは專門家をまじえての
研究
会が起
つて
参
つて
おりますので、そうした
方面
の活躍において今お話のような理想が遂げられるのではないかと考えます。
今野武雄
35
○
今野
委員
次に用紙の問題についてちよつとお伺いしたいと存じます。本年は
教科書
が去年と同じものが使われておるために、たいへん用紙や何かが余
つて
おるように思うのでありますが、そういうものはどういうふうに処置なされておるのでございましようか。
稻田清助
36
○
稻田政
府
委員
お言葉ではございますが、決して今日用紙が余
つて
おるような樂な状況ではないのであります。ただ二十二年、二十三年と比較いたしますればいささかなりとも用紙の状況は改善されて参りましたが、大体
教科書
といたしましては六千万ポンドほど私どもとしては必要だと考えておりますのが、二十四
年度
分としては四千八百万ポンド
程度
しか得られないわけであります。ただお話のように再版
発行
等によ
つて
多少浮くと勘定される面もございますけれども、これはまた一面において学習指導要領の
種類
もふえ、そのほか教師指導用等についてもいろいろ企画もございますので、そういう
方面
の需要にようやく間に合うか間に合わないかというような状況でございます。
今野武雄
37
○
今野
委員
たいへん、長くな
つて
申訳ございませんが、もう一点お聞きしたい。ただいま用紙の点をお伺いした
理由
は、算数の
教科書
は今度はあまりお刷りにならなか
つたの
じやないかとも考えられるのであります。もしそういうようなものを優良な参考書などにまわすならば、かなり
教員
もまた生徒も便宜が得られるのではあるまいか、もしそれがおつしやるようなまじめな各地の
教員
の
研究
会などにおいてそういうものが利用できたならば、非常に先生も生徒も助かるのではないか、こういうようなことから考えた次第なんでありますが、そういうようなものを特に用紙の面において助成するというようなお考えはございませんですか。
稻田清助
38
○
稻田政
府
委員
本年の四月から使います
教科書
用紙は、およそ昨
年度
の第二・四半期以降の用紙と本
年度
の第一・四半期の用紙をも
つて
充当いたします。本
年度
の第二・四半期以降は、そうした順で
明年度
の
教科書
に充てておりますので、今日その
計画
の途中におきまして、他に振り向けるというような余裕は発見しにくい状態でございます。
今野武雄
39
○
今野
委員
ほかの点についてちよつとお伺いいたしたいと存じます。この
附則
によりますと、現在すでに出版を行
つて
いる者の出版に関する権利は、この
法律
の
規定
によ
つて
設定
された
出版権
とみなすとありますから、考えようによると、大体のものはあらためて印刷をするまでもないということになるように考えられますが、新しく
入札
が行われる対象というのは、大体どのくらいあるものでございましようか。
稻田清助
40
○
稻田政
府
委員
ただいまの御質問でございますが、つまり險定
教科書
が何
種類
出て、それがどのくらい地方で採択されるかという数が確定いたしませんと、残りの
文部省
著作
のものがどのくらいの分量になり、どういう
種類
があるかということが予見できないのでございます。ただ今日まで檢定の出願の絶対にない科目があります。これはおそらくもうこれからは間に合わないと思いますので、そうした
種類
の科目につきましては、これは
文部省
著作
一本で参ります。ただその分量は今のところまだ未確定でございます。
今野武雄
41
○
今野
委員
それをもう少し具体的に
説明
願えませんでしようか。くどいようでありますけれども、現在出版しておるのは、これで見ると、いいということになるわけですね。ですから新しくやる分が、今おつしやつたような
理由
のも含めて一体どのくらいありますか。
稻田清助
42
○
稻田政
府
委員
今日まで
文部省
と七つほどの会社と
契約
いたして
文部省
著作
の
教科書
を
発行
いたしておりますが、その
契約
は
昭和
二十四
年度
分で切れるわけであります。すなわち二十五
年度
分につきましては、まつたく無
契約
になります。ここにあげております二十五年三月三十一日までの間に、出版に関する権利がすべての
教科書
について消滅してしまうわけでございます。そのうち、國定一本で参ります分につきましては、險定の合否が決定いたしますれば、採択という時期に至らないでも数量がわかりますから、その分は早くこの
入札
の
方法
で実行し得ると思います。おそらくその時期は七月か八月ごろだと思
つて
おります。ただ、ある
教科書
が檢定もあり國定もあり、というものにつきましては、実際見本展示会を経て地方の採択の数がまとま
つて
参りませんと、どのくらい國定
教科書
を刷るかということはわかりません。この分につきましては、そのわかつた時期に
入札
したのではあるいは間に合わないかもしれない。その分については
從來
の
発行
会社にもう一年やらせて、來年にな
つて
、見本展示会がもう少し早く
なつ
たら全面的に
競争入札
にし得る段階になるというふうに考えられます。
今野武雄
43
○
今野
委員
そうすると、
文部省
のお見込みとしては、この
法律
を実際に施行するのは当分ない。二十五
年度
分についても、見本展示が遅れるとたいがい間に合わないということになるのではないかと思いますが、そうなればこれが実際に施行されるのはいつごろでありますか。
稻田清助
44
○
稻田政
府
委員
ただいまのお答えにありましたように、檢定の結果がわかりますと、國定一本のものが残るのが七月か八月ぐらいになりますので、七月か八月ぐらいには幾つかの
種類
の
教科書
の本
年度
の
入札
が行い得ると考えております。それからさらに十月の末か、十一月ぐらいには残りの國定
教科書
について考えられるとは思いますけれども、これはその時期によ
つて
間に合わないことが考えられますれば
随意契約
にいたします。
今野武雄
45
○
今野
委員
これは
文部省
設置
法のこまかいところにも
関係
するので、お伺いいたしたいのでありますけれども、その檢定がなくて、そうして今後ずつと
文部省
でおやりになるらしいということを、さつきおつしや
つたの
でありますけれども、それは一体どんなものでございましようか、具体的にお話願いたい。
稻田清助
46
○
稻田政
府
委員
あらゆる
教科書
は、御承知のごとくに
教科書
発行
に関する
臨時措置法
によりまして、
教科書
目録に載せまして、その中からその
学校
で選択してもらいます。從いまして、國定の
教科書
を採択せられる方がずつと続く限りは、その
教科書
の
発行
というものは継続いたすのでございますけれども、
文部省
設置
法の
附則
にありますように、一万部を下つた場合には
発行
を停止するという予定であります。
今野武雄
47
○
今野
委員
私の質問の仕方が悪いのかもしれぬけれども、要点をはずしてお答えになるようでよくわからないのですが、さつきおつしやつた、今まで檢定が出ていないで、
從つて
今後とも永久に出ないものと考えられる。そういうものがいつまでも残るとおつしやるので、そういうものは一体、どれとどれでありますかということをお聞きしておるのであります。
稻田清助
48
○
稻田政
府
委員
全科目について、本
年度
はもう檢定を開始しております。申請が具体的にない科目もあるかもしれませんけれども、申請を拒否するような科目はもうない状態でございます。
今野武雄
49
○
今野
委員
そういうことを聞いているのではないのです。先ほども申したのですが、この
法案
について十分お聞きしたいというのは、実はこれは
文部省
としてどの
程度
までこの國定
教科書
というものをお続けになる考えか、これをはつきり知りたいわけであります。ただいま伺
つて
おりますと、出願がないものがあるというお話だ
つたの
で、それは一体何であるかということ、その事実をお聞きしておるのでありまして、予想とかいろんなものをお聞きしておるわけではないのであります。それをお答え願いたいと思います。
稻田清助
50
○
稻田政
府
委員
全然出願のない科目は、たとえば特殊
教育
に関します
教科書
、これはございません。それからあとは先ほど私が幾つかありそうだ、今はつきりしておるのは学習指導要領式のいわゆる
教科書
に準ずるもの、これはございません。それ以外は出願しても落ちる見込みのもの、これはおよそ二十種目ばかりあるかと記憶いたしております。
今野武雄
51
○
今野
委員
なおこの
法律
によりますと、
出版料
というものが前も
つて
納められなければならないことにな
つて
おります。これは相当大きな経済的な負担なのでありますが、結局
文部省
としては、こういうことによ
つて
今までの七社以外に出ることができるか、あるいはそれ以上どの
程度
に拡大されるお見込みでございましようか。
稻田清助
52
○
稻田政
府
委員
各
教科書
種目ごとに
入札
を行いますけれども、もちろん一社でも
つて
幾つかの
種類
を引受けるものがありまして、これはや
つて
みないと、ただいまの御質問について的確なお答えはできにくいと思います。
今野武雄
53
○
今野
委員
この
法律
では、たとえば十三條によりますと、何か印税に相当するようなお金が「百分の二から百分の十六・六までの範囲内で」というようなことにな
つて
おりますが、これは何によ
つて
こういうふうに違
つて
來るのでありましようか、ちよつとお伺いいたしたいと思います。
稻田清助
54
○
稻田政
府
委員
これは現在
文部省著作教科書
について印税をと
つて
おりますそのままの標準を、ここに掲げておるわけでありますが、
文部省
と
物價
廳、それから
関係方面
と
協議
いたしました結果、スライド制によりまして、各
部数
に應じて納めます率がきま
つて
おるわけでありまして、それの最高と最低をここに書いたわけであります。
渡部義通
55
○
渡部
委員
文部省
の答えの中で、
文部省
の
教科書
をできるだけ少くして
一般
に廣く原稿を求めて檢定による
教科書
をつくると言われました。これは非常にけつこうなことでありますが、檢定は今までどういう
方法
で行われて來たのか。たとえば檢定
委員会
の構成がどういうふうにな
つて
おるか、また檢定の標準はだれがきめたのかというような点をまずお尋ねします。
稻田清助
56
○
稻田政
府
委員
檢定
委員会
は、十六名の檢定調査員と、その檢定調査員が各科目について選びましたおおよそ五百名ばかりの調査員と、それから事務的にこれを助けます幹事と、この三者の構成にな
つて
おります。大体原稿が出て参りますれば、その原稿を名前を隠しまして番号順に檢定調査員に——これも番号順にな
つて
おりますが、機械的に四人の方に見ていただいて、檢定
基準
によ
つて
採点していただく、その採点したものの合計を幹事が集計いたしまして、
関係
万両の檢閲にまわす。檢閲に合格いたしますれば、初めて檢定
委員会
から
文部省
へ合格ということで、
文部省
はその裁定通りに合否の処置をすることにな
つて
おります。しかしてただいまの檢定
基準
は、教科用図書
委員会
におきまして專門調査員を設けて作成していただいた
性質
のものであります。
渡部義通
57
○
渡部
委員
昨年の檢定問題が起きた当時、その檢定
委員会
の中に、民主主義科学者協会及び産別、総同盟、こういうふうな民主的な團体が参加してお
つたの
です。ところが途中にしてこの三つの團体が除外されてしまつたという件が起きた。この問題は当時御存じのように非常に大きな問題とな
つて
、
文部省
にしばしば諸團体から抗議があつたはずだと思いますが、
文部省
はなぜ檢定
委員会
の中からこういう三つの團体を除外されたのか。特に民主主義科学者協会と申しますと、これは
大学
、高等
專門学校
の進歩的な教師を中心に、ほとんど大部分の廣汎な学者が参加しておる團体であるのに、こういう團体をなぜ除外されたのか、この点をお聞きいたします。
稻田清助
58
○
稻田政
府
委員
檢定
委員
としてきまつた方々の中から、お話のような方々を除いたというような事実はないのであります。昨年初めて檢定
委員会
を構成いたしまする場合に、協会の図書
委員会
の推薦によ
つて
、その考えに
從つて
各
方面
の團体なり、あるいはまた
教育
界その他各界から代表の方にお集まりをいただいて、その方々をも
つて
準備
会的の相談会を開いたわけであります。教科用図書
委員会
としては、お話のような諸團体を含めて相当多数の團体を推薦して來られたわけでありますが、その後種々
研究
の結果、最も直接
学校教育
及び
教科書
というような面に
関係
のある方に限局いたしまして、今申し上げた相談会を開いた次第でございます。
渡部義通
59
○
渡部
委員
今御答弁に
なつ
た
趣旨
はどうも徹底しませんが、民主主義科学者協会というような、すでに國際的にも認められており、また学術
会議
においては專門家の学術團体として明確に選挙母体とさえな
つて
おるような團体を除外された
理由
が、少しもはつきりしていないわけです。そういう
理由
がはつきりしていませんと、今後檢定によ
つて
教科書
を決定される場合に、非常に重大な
関係
がありますので、その点をもつと明確にお答え願いたいと思います。
稻田清助
60
○
稻田政
府
委員
最初考えました各界、各團体の数が非常に各
方面
にわた
つて
おつたわけであります。ただその中から
教育
界から何人、学界から何人、あるいはその他の
審議
会から何人とだんだん少くして参りまして、それでおちついたところを実際に
実施
したわけでありまして、それだけの意味であります。
渡部義通
61
○
渡部
委員
その点私非常に不満でありますが、それは一應別としまして、当時歴史学
研究
会、民主主義科学者協会の歴史部会、この二つの團体が共同
研究
をしまして、共同の歴史
教科書
の編纂
委員会
をもちまして、ここで科学的な歴史
教科書
を檢定に出したわけであります。その場合に
文部省
の方から、まだ歴史
教科書
ができていないために檢定を中止するというようなことが、そのとつさのときに至
つて
起きたわけですが、なぜその場合に、このように最も有力な、えり抜きの学者たちによ
つて
つくられた原稿がすでにできているのに、これが檢定の対象にならなかつたか、その点をお聞きしたい。
稻田清助
62
○
稻田政
府
委員
昨年受付けました檢定の一種目は、二月に官報公示をいたしておりまして、決してとつさに変更いたしましたり、とつさにきめたわけではないのであります。昨年は
関係方面
から歴史については檢定出願を許されなかつたというような状況で、最初に公示いたしました種目のうちに歴史の科目はなか
つたの
であります。
渡部義通
63
○
渡部
委員
関係方面
から歴史に関する檢定の
指示
がなかつたという
理由
はお答え願えますか。
稻田清助
64
○
稻田政
府
委員
当時におきましては日本史のコース・オブ・スタデイもできておりませんし、また新コースによります日本歴史
教科書
もまだオーケーにな
つて
いなかつた、そういうふうな事情であ
つたの
であります。
渡部義通
65
○
渡部
委員
それで先ほどの問題に入るわけですが、そのために二十二
年度
用は、これは
教科書
ではないが、「くにのあゆみ」を
一般
に参考書として使用せしめているということでありましたが、この「くにのあゆみ」なるものがどのようなもので、あるかということについては、これは歴史の学問に少しでも身をゆだねている人ならば、すぐはつきりするように、非常に非科学的なものであ
つて
、
教科書
としては將來の日本の國民の歴史
教育
の上から絶対に許さるべきでないということにつきまして、これを絶版にするか、
教科書
として完全に廃止すべきであるということを歴史学
研究
会及び民主々義科学者協会の歴史部会において決議として、
文部省
の方に出されているはずと思う。ところが、
文部省
としましては、これを依然として参考書として許している。このよう非科学的な、日本の歴史を誤らせるような、あるいは歴史についての兒童の考え方を科学的なものでないようにするようなものを参考書として許されているとするならば、今後各
学校
におきまして教師がか
つて
に自分自身の意思によ
つて
どのような
教科書
を参考書として指導のために用いても、
文部省
としてはこれに干渉せず、あるいは黙認するという態度をとるわけですか。
稻田清助
66
○
稻田政
府
委員
「くにのあゆみ」は、先ほど
今野
委員
にもお答え申し上げましたように、國民
学校
当時に編纂いたしました暫定
教科書
でありまして、新
教育
になりましてからは増刷り再版はいたさなか
つたの
であります。ただ、その参考書として使用することを禁止あるいは拒否はしなかつたという
程度
の扱いをいたしたわけであります。
一般
に参考書でありますが、
学校教育法
の
指示
によりまして、参考書は自由に
学校
職員への選択によ
つて
使用し得る状態であります。
渡部義通
67
○
渡部
委員
それでは
文部省
は「くにのあゆみ」というか
つて
の
教科書
、これが科学的なものであり、
教科書
として妥当なものであるということを現在も認めておられますか。
稻田清助
68
○
稻田政
府
委員
現在
教科書
として妥当なものとは考えてないのであります。新
教育
におきましては、小
学校
の
社会
科におきましては、ああいう
教科書
は使いにくい、使い得ない状態であります。
文部省
におきましては、先般來新しく日本史の
教科書
の編纂に從事いたしております。
渡部義通
69
○
渡部
委員
科学的であるかどうかということをお尋ねしたわけであります。
稻田清助
70
○
稻田政
府
委員
科学的という点になりますと、いろいろな見解があろうと思いますけれども、私どもは決して非科学的とも考えておりません。
原彪
71
○
原委員長
渡部
君、共産党の方のお二人の発言で大分時間を独占されるような形にありますから、簡潔に願います。
渡部義通
72
○
渡部
委員
そこで、「民主主義」という
教科書
ですが、この問題はしばしば問題にな
つて
いるわけですが、たとえばフランス革命の歴史的な諸問題につきましても、これは非常に非歴史的なものであり、非科学的なものであることは、学者はみな認めているのです。それから、
最後
の、共産党に対する解釈の仕方も事実に反しているということ、何よりもまず事実こそが眞理なのであ
つて
、こういう眞理にも反している。
從つて
、理解的にはずさんきわまるものであり、單にずさんきわまるのみでなくて、デマゴーグとな
つて
いる。かようなものを
文部省
は
教科書
として用いることを妥当なりと考えているかどうか。
稻田清助
73
○
稻田政
府
委員
「民主主義」につきましては、先般
今野
委員
にもお答え申し上げたのでありますが、民主主義というものについてわが國憲法の立場に立
つて
編纂いたしました書物でありまして、
文部省
の
教科書
として押しつけるというようなお話でございますけれども、これは新
教育
に関する
教科書
一般
の
性質
から見て、
教科書
とし、あるいは
文部省
著作
としたからとい
つて
、決してその
内容
を学生生徒に押しつける
性質
のものにはならぬと考えております。
渡部義通
74
○
渡部
委員
非常に私たちは
文部省
の答弁が不確かであり、十分納得できない点があるわけですが、これは今後の
教育
の上に非常に重大な問題でありますので、さらに機会があれば御質問をすることにして、これで私の質問を打切ります。
庄司一郎
75
○
庄司
委員
それではごく簡單にお伺いしたい。
入札
の
方法
について、一部当りの、より低廉なるものに
落札
するというような意味のことがございましたが、一部当りの評價は、むろん
出版業者
、印刷業者を経ますけれども、全体で十万部印刷する、あるいは百万部であるということも同時にお示しになりませんと、一部の單價が出て來ないことは御承知の通りであります。そういう場合の
入札
の
方法
、また
落札
を決定する場合の運営
方法
、これらをお伺い申し上げます。 第二点は、
文部大臣
が最低の予定價格をきめるということが今の御
説明
のようでありました。
文部省
の中に、そういう予定價格を決定する、そういう見識のある、あるいは体験のある、お偉い方がいらつしやるかもしれませんけれども、それは紙の原價において、あるいはインクにおいて、活字において、あるいは製本において、あるいは日本國内の暖かい南國と保温を必要とする東北。北海道とにおいて、印刷工場における一冊当りの單價の計算が違
つて
参ります、そんな場合において、より低廉なる一冊を單位とせる
落札
予定價格の決定ということを、どんなふうになされる御方針であるか、具体的にお伺いしておきたい。
稻田清助
76
○
稻田政
府
委員
御質問の第一点でありますが、総
部数
はもとより告示にはつきりいたします。最初に、刷る
部数
が何万部であるか、その本が何ページであり、紙質がどうで、絵がどうだというようなことを詳細に告示いたしまして、
入札
を勧告するということにいたしたいと思
つて
おります。なお、
製造
原價の予定を立てる点につきましては、現在
文部省
におきましても、こういう
関係
の專門家が参與しておりまして、始終実際の状況について
研究
はいたしておりますが、用紙につきましてはマル公明定の価格にいたします。そのほか、製版費印刷料、運搬料、というようなものにつきましては、全國各地の実際状況を十分調査して、それに基いた資料によりまして
製造
原價の算定をいたすことにな
つて
おります。
稻葉修
77
○稻葉
委員
第
二條
、第三条、第四條につきまして、ちよつと御質問いたしたい。 第
二條
の、
出版権
を取得しようとする者は、その
資格
について
文部大臣
の
審査
を受けなければならない。
從つて
、
文部大臣
の
審査
権は非常に重要なものであろうと思います。その
審査
をなすにあた
つて
は、
教科書出版資格審査会
の諮問を経て行うということにな
つて
おりますが、
諮問機関
であるという点に議決機関的な権限をお與えになる御意思があるかどうか。それから
審査
会の
審査
員を二十人といたしまして「世論経験者及び
関係
各省各廳の職員の中から、
文部大臣
が任命する。」という
規定
がございますが、この学識経驗者とそれから
関係
各省各廳の職員のうちから選ばれる
審査
員との比率は、一体どの
程度
にお考えにな
つて
いるのか、お尋ねしたいのであります。それから第四條の但書「但し、
競争
に付するいとまがないときは、第
二條
の
審査
に合格した者との
随意契約
によることができる。」ということになりますと、第六條等の
規定
から考えまして、常に
競争
に付するいとまがないものとして、この第四條但書があるいは
審査
権限の濫用になるおそれがないであろうか。從いまして但書を削除する御意思はございませんかどうですか。あるいはまた少くともそういう急を要する場合には、ある
程度
審査
会の関與を必要とするというようなことにいたされる御意思がありますかどうか。それらの点を一括してお答え願いたいと思います。
稻田清助
78
○
稻田政
府
委員
第一の点でありますが、もとよりこうした
法律
において設けられる
審査
会でありますので、
諮問機関
ではありますけれども、十分その御決定を尊重することは当然であります。それから
審査
会の構成でありますが、一應ただいまのところ考えておりますのは、
関係
各省廳の官吏六名、それから紙の
関係
、出版の
関係
、印刷の
関係
その他の業界から七名、それから
教科書
の
発行供給
の実際の事業家四名、それ以外に学識経験者として三名以内、これは
教育
界とかあるいは
教科書
委員会
というような面から参與されるのだろうと思いますが、それで大体二十名の振合いを一應ただいまのところは考えております。それからなお「いとまがないとき」と申しますのは、御承知のごとく
教科書
は非常に大
部数
でございまして、
製造
いたしましてからこれを
学校
に間違いなく届けまする場合に相当な日数がかかります。しかして学年の点から逆算いたしまして、それだけの日数がどうしてもこうした
競争入札
をやるいとまがないと考えられまする場合に限
つて
随意契約
をいたすわけでございまして、要するにほかの
出版物
と違
つて
、できて賣ればいいというわけではありませんで、
一定
の時間に間違いなく
学校
に届くという点が非常に重要な問題でありますので、こうした條項を設けることは必要だと考えております。
稻葉修
79
○稻葉
委員
そうなりますと、第六條以下のこういう低廉な業者に
出版権
を與えるという
趣旨
の
規定
が、あるいは多くの場合に有名無実になるおそれがあるように思います。それならば、少くとも
審査
権限の濫用にならないように、
審査
会のある
程度
の関與、つまり議決を経るとか、あるいは諮問を経るとか、そういつた意味の関與を必要とするように思いますけれども、その点はお答えがなかつたようでありますから、あらためて伺いたいと思います。
稻田清助
80
○
稻田政
府
委員
言葉が足りませんでしたが、こうした場合は、おそらく非常にまれな場合だろうと思います。普通の場合は、こうした
趣旨
の
法律
をつくるのでありますから、
自由競争
という道に持
つて
参り、非常に
例外
のような場合に今申したようなことはいたすのであります。もとよりわれわれといたしましては、その前に
審査
会を開くのでありますから、十分
審査
会の了解を得て、
審査
会においてもそうしたことがやむを得ないのだというお考えがある場合に限
つて
、これを
実施
したいと考えております。
稻葉修
81
○稻葉
委員
終りました。
原彪
82
○
原委員長
ほかに御
質疑
はございませんか。
圓谷光衞
83
○
圓谷
委員
この
法案
について質問を打切
つて
討論に入ることを動議として提出いたします。お諮り願います。
原彪
84
○
原委員長
ただいまの
圓谷
君の動議に御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
原彪
85
○
原委員長
御異議なしと認めます。
水谷昇
86
○
水谷
(昇)
委員
この際討論を省畧して採決に入りたいと思います。この動議を提出いたします。
原彪
87
○
原委員長
水谷
君の動議に御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
原彪
88
○
原委員長
御異議なしと認めます。それでは
文部省著作教科書
の
出版権等
に関する
法律案
の採決をいたします。本案に賛成の方の起立を求めます。 〔総員起立〕
原彪
89
○
原委員長
起立全員。よ
つて
本案は満場一致を、も
つて
可決と相なりました。(拍手) 本
法案
について本
会議
に報告する報告文の
内容
につきましては、
委員長
に御一任願えましようか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
原彪
90
○
原委員長
それではさようとりはからいます。 本日はこの
程度
で散会いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
原彪
91
○
原委員長
それでは本日はこれにて散会いたします。 午後四時四十分散会