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森戸委員 六・三制の問題は、わが國の
教育の基本的なものであることは御承知の
通りでございますが、このたび
予算の
関係並びにその他から非常な
危機も当謝しておるように傳えられておるのでありまして、
委員長初め私
ども文部委員は、これに対して非常な
関心を持
つておるのであります。
日本社会党におきましては、ことにこの問題について重大な
関心を持
つておりまして、ぜひともこの六・三制の
完盡をしていただいて、これを裏づける
予算の確保が昭ましいということを
政府に
要望いたすような
決議を、実は昨日
中央執行委員でいたしたわけでありますが、この六・三制の問題は、申すまでもないことでありますけれ
ども、
米國の
教育使節の強い
勧告に基いてなされたという点を、特に私
ども考えることであります。第二に、これは一
文部省の案でなくして、
教育刷新委員会という
日本における
教育に
関心を持
つた専門家の
一致した
勧告に基いてなされたものであるという点であります。第三には、第一次
吉田内閣——このたびは第三次の
吉田内閣ですが、第一次の
吉田内閣でこれが取上げられて、
日本の
教育刷新の
基本政策と
なつたということでございます。第四には、これはただ
日本だけの問題でなく、中外に宣明されて、
外國においても
日本の
建設にこの
教育の
制度をと
つたということが廣く傳えられまして、強い
賛同と支持とを得ておるという、ただ
日本だけの問題ではないという性質を持
つておることであります。さらにこの問題に対する
國会の審議の
経過は、六・三制に対するいろいろな問題につきましても、
各党は
一致でいつも
決議をして
参つておるような
状態でございます。
文部省においては
——私一年半ほどおりましたけれ
ども、その全
努力といつてはやや強いかもしれませんけれ
ども、主要な
努力は、困難やに見える六・三制を貫徹するという
方向に向われたのでありまするし、
日本の
國民も、実はこの
制度に
日本の國にと
つては重い
経済負担であるし、なかなか善しか
つたのでありまするけれ
ども、一度この新しい
教育刷新の
方向がきまりましたときには、
全力をあげて非常な犠牲を忍んでもこれに
努力を盡して参
つたような
状態であります。かような特殊な
方策でありますのに、その
方策が今日急に
予算等の
事情から大きな変更でも受けるということでありまするときには、これにまことに
日本再建にと
つて憂うべきことであると私は考えておるのであります。
先ほどから
文部大臣も強い
決意を持たれておりまするけれ
ども、どうかこの六・三制の完遂と、これを保障する
予算を獲得することに
最善の
努力を盡していたたきたいと思う。
先ほども
圓谷委員等から御
指摘に
なつたように、
地方ではこれがためにすでにいろいろな計画もいたしておりますして、その責任を持
つておるところの
市町村長等も多数にあるのであります。さらにこの
教育の
制度という基本的な
政策が、一年二年三年くらいの間に大きな轉換をするということに、まことに新しい
日本を建てて行くという國としては遺憾なことでございまして、あくまでこれは堅持されて行くことが必要であろうと思うのであります。なるほど今日のような
経済状態にある國でありますから、これを行うには幾多の困難がございますけれ
ども、みずからこの困難を突破してやるという
決意でなされたのでありまするし、ことに第一次
吉田内閣のときに決定されまして、実は七億余の
予算で、これではとうていできなか
つたので、私文相の責を負いましたときには、里子をもら
つたような形で、
最善を盡して、実は一年半
努力して
参つて、ようやく育ちかけたところで、またこれが困難な
事情に置かれるということは、私この上なく遺憾なことと思うのであります。しかもこれは
日本再建の
基本政策であるだけでなく、一千万の
子供たちにも
影響がありまするし、
親たちにも強い
影響があると私
どもは思
つております。こういう
政策がぐらつきますと、
子供たちにも、
先ほどもしばしば御
指摘に
なつたような、いろいろな思想的にも好ましくない
影響があるのではないかと私は思いますので、そういう面からも、これはぜひとも堅持していただきたい。
さらにいろいろ聞くところよりますると、
日本の
経済の
事情から、
教育の面では一應
予算を縮めなければならぬというような
お話ではございまするけれ
ども、私は
日本の
再建をただそろばんだけで物的な面からのみ
重点を置いて考えることは、ことに今日のような
日本においては、大いに考えなければならぬことであると思います。この点においても、
アメリカの
事情と
日本とはたいへん違いますので、
アメリカにおいて成功した
政策がそのまま必ずしも
日本に成功するとは私は思いませんが、どうか
政府におきましては物的の
生産と並んで、あるいはより以上に人間の
生産に
重点を置いていただきたいと思うのであります。
か
つて九十
議会でありましたか、第一次
吉田内閣のときでありますが、石橋さんが、
教育のことは困
つておるときにはあとまわしでもよいというような話をされて、
議会はあげてこれに反対をしまして、
文教再建の
決議を
満場一致でいたしたような
事情があるのであります。今日はややその時のよう
事情に置かれておるのではないかと私は心配をいたしておるのであります。さらにこの六・三制は、巷間でしばしば
アメリカの
方々の
勧告によ
つて行われたものであるというような説も述べられておるのでありまして、この困難な
政策が行われて、また二、三年の後に轉換するということでありましては、私は
教育をややもてあそぶような印象を受ける人があ
つても何とも言えないのではないかと考えるのであります。かような
事情から
社会党といたしましては六・三制をあくまで
完全実施していただいて、しかもそれに必要なる
予算を
政府に確保するように
努力をしていただきたいと思うのであります。これは
再建日本が
國民に対してまた
世界に対して文化的な、平和な
日本をつくろうとする
意思を表明するものであると思いますので、どうか
委員長並びに
委員の
方々は、このような線において
政府を鞭撻いたしまして、せつかく
吉田内閣が
日本國民に始めたこのよい
制度を、あくまでも守
つて行くようにしていただきたいと存ずるのであります。