○石井委員 ただいま
上村委員が、
法律的な
立場に立ちましていろいろ質問されたのでありますから、私は、
農村におけるこういう
相続の形が、実際において
政府の意図しておるような形になるか、あるいはまた逆の結果になるのではないか。そういう
農村の実情に即した
立場からお尋ねをし、農林行政、あるいは
日本における
均分相続体系にも
関係して参りますような、重大な点については農林大臣並びに
法務総裁等の御答弁もお願いしたいと思
つております。
大体
民法において、
相続の問題は
均分相続に
なつたのでありますが、今度
農村についてはこの
特例法が出たのであります。これは
農地だけでなく、今度は個人の営業の方においても、おそらく今後
特例を出してくれというのが頻繁に起ろうと思う。
農業資産、あるいは漁業資産、あるいはまた商人においても、あるいは個人の企業においても、みな同じような形が現われはしないかと思うのであります。こういうような
措置をとりますと、
相続の
均分、
相続の
法律の体系というものが、根本的にくつがえされて來ると思うのであります。これらの
相続の体系というものができたについて、それに対するいろいろな結果あるいは欠陥等が現われて來ると思う。あるいはまたこれに対して、
日本の國民が民主的にどう解決するかというような結論をまたないで、そういうような
特例を出すというようなことは、大きな
法律の体系を混乱に導くものではないかと
考えるのであります。これについて
法務総裁においては、
日本の
相続体系というものの形をくつがえしてしまうものではないか。たまたま
一つの例外であるが、今後さような問題が出た場合においては、現在の
憲法の体系をくつがえしてもそういう
特例を認めて、一般
均分相続が、実質上においては
特例の
法律にな
つてしまうというようなことについてどうお
考えになるか、お伺いしておきたいと思います。
それから
相続というものは、御
承知の
通り漫然とあるものではありません。各國の立法の体系、
相続の体系を見ると、大体
相続というものは
祭祀を
中心としたところの
相続、あるいは経済根拠また
経営から來る
相続、血族というものを
中心とした
相続、これらの
法律の体系から出て來ておるのでありまして、今度の
相続というものは、大体経済
経営ということを
中心として來ておるのであります。そういう
立場になりますと、
民法の
相続の問題等も、やはりそれに関連して根本的に
考え直さなければいかんと思います。
民法の
相続に対する根本的な基盤というものがどこにあるか、それに基いて今度
農業相続というものがどういう形をとるべきか、また他の
経営というものに対しては、どういう
相続の体形がとらるべきものであるか。こういう問題について、根本的に掘り下げた
一つの
相続の立法体系というものがつくられなければなるまいと思うのであります。問題が起るたびに、木に竹をついだように、ただ目前を糊塗するということであ
つては、非常に立法上の体裁からしても当を得ないようなかつこうになるのではないかと思うのでありますが、これらの点につきましては、
法務総裁より、
日本の法体系の
一つの行き方について責任を持
つておる
当局として、十分な根拠に基いて御答弁を願いたいと思うのであります。
さらに私は主として
農村の
立場から申し上げます。御
承知の
通り、けさの新聞等によりましても、ウ博士が、総司令部の人口問題の顧問でありますが、
日本の人口は多過ぎるということで心配しておるのであります。本日の新聞を見ますと、本年一月の人口は、千人につき四七・八の出生率、一二・七の死亡率である、自然増加が三五・一、昭和九年一月以来の人口増加である。かように言われておる。昭和五年十月の国勢
調査においては六千四百四十五万の人口が、十年になると六千九百二十五万にな
つております。十五年には七千二百十四万にな
つております。こういうふうに非常に人口が増加して來ておるのであります。昭和二十一年、戰後でありますが、五月一日から二十二年の九月三十日の十七箇月におきまして、人口が百六十七万人ふえた。食糧が不足である、人間が餓死をする、戰死者等も相当に出た、病人の手当もできないというようなときにおきましても、百六十七万人の人口の増加がある。こういうことが、反映いたしまして、
農村におきましても人口の増加が非常に大きくな
つて來ております。二十二年の八月一日においては、
農家人口三千五百九十一万余であります。二十一年の四月二十六日のときにおきましては三千四百二十四万人、この十四箇月に
農村の人口だけでも百六十七万人の増加、つまり五%の増加があるわけであります。この間におきまして、耕地を見まするというと、二十二年の八月一日五百三万七千町歩であります。二十一年四月六日におきましては、五百一万余町歩というふうにな
つておる。つまりその間において、耕地の増加は二万五千六百町歩ばかりでありまして、人口の増加は
農村におきまして五%であるのに、耕地は〇・五%である。こういうふうに
農村人口というものはやたらに多くな
つておる。しかるに耕地はふえない。これが実情である。今後開拓等をいたしましても、なかなか
農村の耕地というものは、人間がふえるようにふえない。こういうふうな問題になるときに、根本的に
農村の人口問題というもの
——日本の全体の人口問題等もありまするが、こういうふうな大きな問題を考慮に入れないで、
農村に置いたところの少しの人間だけが、耕地をこれをだれかに
経営させて、この
経営規模を
細分したくないというふうにお
考えにな
つておりますが、そこでそのはみ出されたところの人間を、一体どういうふうに処置されるおつもりであるか、一体
農業経営にありついた者はどうにかなるが、それ以外の人間になりますと行き場がない。これらの問題について、法務廳方面におきまして、一体この人口問題について、どういうふうな厚生省との
関係があるか、また農林省
当局においても一体どういうふうにしてその問題を処理して行くつもりであるかということ等々について、根本方針がありませんと、他にはけ口のない人聞は
農家のうちにこも
つて來るということになると、
農業経営の
規模の
零細化というものは防げますけれ
ども、しかしながら一
経営規模のうちにおいて多くの人間をかかえるということになる。昔の新潟縣のように
二男、三男というと、それには嫁をもらわせない。婿に行くまではおじとして家の中にとじ込めて置くという
制度ならよろしいと思いますが、今ではだれも細君を持ちたがるというふうな実情にな
つて來ると、非常に小さい
経営規模で、他に人間のはけ口ができないという現在の
状態において、一体それらの問題をどういうふうに解決するか。こういうふうな、根本的な問題に触れないでは、問題の解決ができない、この場合問題と
農業経営の形態というものによ
つて、農林省並びに法務廳
当局におきましては、産児制限、堕胎罪の廃止、こんなふうないろいろな問題にも
関係があると思います。また農林省におきましては、過剰人口、
農村からはみ出すようなこういう人間をどういうふうに
考えるか。また將來において、根本的にどう
考えたらいいかというようなことについて、大臣の答弁する範囲もありましようが、
当局の答弁を求めます。