○藥師神
委員 日程も少いようでありますから、できるだけ簡単にいたしたいと思います。ただ二点だけとらえて答弁を促しておつたのでありますが、私は第一の問題を一番重視しておるわけでありまして、この指令云々という話でありましたけれ
ども、指令は出ていない。主任官
会議というような話でありますが、私にはどちちでもそれでよいと思
つている。問題はどこにあるかというと、私はこの事情というものはよく知
つておる。私は愛媛県の農業会長をや
つて、現在でもその
生産陣を担当しています。全乾連の方も幹事をしておるのでありますが、これも私はやめることにしております。全部やめてしま
つて、正面からこの問題にぶつか
つて行きたいと思う。私は自前の手前みそを述べようと思わぬ。ただ蚕糸局長が先ほど言われたように、
農民の自由意思において蚕糸協同組合をつくる、養蚕協同組合をつくる云々ということを言われたけれ
ども、私は主任官
会議のときでも、訓辞なり何なりの
内容ということは、私は知らねわけでありますけれ
ども、少くとも、蚕糸局が中心にな
つて農協に対して反対の行動をとられたということだけは、指導
方針をとられたということだけは、これは私はおおう余地はないと思うのです。農協の指導
方針と、蚕糸局を中心とする指導
方針というものは二元的にな
つている。つまり露骨に言えば、農協をかたきのようにしてこれをや
つて来たということだけは、争う余地はないと思います。私はここに名前を出してもいいのですけれ
ども、機会において個人の名前を出すこともどうかと思うから、これは言わなくても、あなたの方でわかるはずですけれ
ども、ある一蚕糸業の指導者とも言うべきものが蚕糸局に来ておる。
むしろこれは、私は縣の蚕糸家の方ではこれを使うと言
つており、それには大製糸家というものが大きな因縁
関係があるということを私は知
つている。それがわれわれから見ればコンマ以下の
人間です。要するに、それらの人々がかきまぜて、大将になりたいために策動するのであ
つて、眞の養蚕家のやることでも何でもない。それを使
つてかけずりまわ
つてこの問題をや
つている。一面から言えば、蚕糸局のまるでひものような態度で活動している。それで先ほど
言つたように、われわれの県は十二郡ある。十二郡のうち、現在二部独立している。ところが農業会の当時においては、蚕糸行政というものは、ひつくるめて農業会の蚕糸課でや
つていたわけです。いまだにその形態というものは残
つておる。徳島のごとくこれが独立しているところもあるし、愛媛のごとく、
生産縣の中に包含されているところもあるが、そのままの形態が残
つている。ところが一部分においては蚕糸局のどういう指令か命令か知りませんけれ
ども、その結果というものは、それが中心にな
つて縣の蚕糸課が主体にな
つて、
地方事務所まで使
つて、そうしてどんどん独立の問題をしている。養蚕家の自由意思でやつたのではないのです。十五名以上ありますれば労働組合をつくること
はつくれるのですから、それもほんとうに
農民の自由意思でやるならよいのだけれ
ども、実際はそうではないのです。十二郡のうち、二郡だけ独立して、どういう結果を招来するかというと、独立のできない郡だけは農協の方で引受けなくちやならぬ。収支償う郡だけ独立して、
一体どういうことになる。これでは養蚕行政が二元的にな
つてしまう。私はこう言えば
はつきりわかると思うが、あまり長いことに時間がかかるから申しません。実に私は言語道断だと思う。われわれは冒頭に
言つたことく、何も養蚕協同組合なり、あるいは連合体なりが独立することを阻止するわけではないのです。愛媛のごときは四つにわかれておる。農業会が四つにわかれて、協同組合の連合会にな
つておるけれ
ども、それでも今日は存続ができないわけです。これは各縣の事情によ
つて比較的うまく行
つてるところもありますけれ
ども、総体的に言えば、今日四つにも六つにもわかれたというものは、今日の経営ほほとんどできない状態にな
つておる。すでに今日では全国的に農業協同組合の連合会というものを合同なければならない、他の事業母体だけは合同しなければならないという機運は全国的にみなぎ
つておる。おそらくこれは近き將來にこれが合同する機会が到来すると思う。GHQの方でこれを容認する時期が近き將來に來る思
つておる。そこに持
つて行
つて蚕糸局が中心にな
つて、
農民の自由意思でこしらえたならばよろしいが、
むしろ天くだり式にそういうふうに各
府縣の製糸家を通じてこういうふうに独立し、われわれの縣のごとき一部分だけ独立してかたわにな
つておる。
一体この
責任をだれが持つかという問題です。総合的にや
つて行く場合であ
つても、これが独立する場合であ
つても、全縣が同一の行動でなくてはどういう結果を招来するか、
はつきりとわかるはずです。私はそこに中央
官廳における1つのなわ張りと言いますか、努力のの温存と言いますか、こういうものが從来においても同じ
農林省の課においても、各局においてあ
つて、私はいまわしい事実で苦い体験をなめさせられておる。養蚕
農民という独立したものがない、養蚕をや
つておる者は専業の養蚕家というものはほとんどない。皆農業協同組合の会員である
農民で、養蚕というものが独立しているものはほとんどありません。決して今の農業協同組合なるものは養蚕家の敵でも何でもない。自分らの連合会、その中に総合的にや
つておりてどこに不都合があるか。しかし養蚕業が発達して、元のごとく行かないにしても、相当に復興して行
つて、十分養蚕の方の連合会というものの養蚕経営というものが可能に
なつた暁においては、わかれることは
けつこうだと私は思う。それもただ役人の
考えのみによ
つてこれをつつつくということはね
末端においてはどういう不自然な結果を襲来するかということを、われわれは
現実に知
つている。これは私は、この際は時間もありませんから重ねて答弁を
要求しません。またの機会にこの推移を見て、この問題に対して徹底的に追求してみたいと思
つておる。
第二点の問題は、これは私はこの間監査をして驚いたわけです。ただ問題は努力にな
つておるということも私は会長らも聞いたわけであります。まさにそうだろうと思いますが、ただれが全連のほうでは早く処分することを念願しておつた。五億円以上の金をむりして借りて、保有繭を扱
つているのだから、一日も早く手を抜きたいことはやまやまなんだか、そこは蚕糸局ばかりではない、安本の方でもこれにタッチして掣肘したということを私は聞いておる。そのいずれがどこに原因があるにしたところで統制解除後においてその二千貫を流したか、あるいは統制解除以前にこの指令は出しておつたか、そういう
事務的な問題に私は拘泥するのではない。いずれにしても統制を解除したことは
政府がやつた。統制を設けたことも
政府がやつた。これは同じだと思う。結局私の言うのは、全乾連のや
つて行つた保有繭の
取扱いというものは、
政府の代行としてや
つていた。全乾連をしてやらしめたのではないか。そこにも
つて來て運営上に起
つて来るところの欠陥は当然全乾連が負うべきものでもあるけれ
ども、この為替
操作その他によ
つて、ここへ大きな欠損を来すという場合においては、三万俵の糸を買い入れるということも、この不自然な状態をある程度匡救するという
意味から出て來ている。これは金額の問題ではなく、しりはこの間全乾連の決算においては百五十何万円というものが雑損として出ている。これはわれわれは認めるわけにはいかない。ということを言
つておいた。たといこれが五十万円であろうと百万円であううと、養蚕
農民にしりを持
つて行くべきではない。とかくこれまでのやり方というものは、私は資本家ばかり養護するようなことをや
つていると思う。養蚕
農民の出資金にまで食い込むようなことをさしてはいかぬ。たといそれが一銭でもいかぬ。当然
政府が
責任を持つべきものではないか。この点を
はつきり承
つておきたい。金額の問題でも何でもない。あなた方の努力によ
つて、
政府が補償しなくても回収できることを私たちは希望しますけれ
ども、順序として幾らのそこにロスが出ても、その
責任がどこにあるかという答弁さえ聞けばいいわけです。