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小笠原委員長 ではさようとりはからいます。
昭和二十一年冬関東、東北地帯の風水害がありました後、嚴冬を控えて薪炭の最需要期に入つた際、いろいろな惡條件が累積して、突如都市燃料の危機が襲来し、住民を不安のどん底に突き落したことは、いまだ記憶に新たなるところでありまするが、爾來生産者の熱烈な努力の結果、家庭燃料に関する限りいささか愁眉を開く
段階と相な
つたのであります。しかるに二十三年の暖冬異変以後、経済九原則の実施とも関連し、薪炭需要が激減するや、薪炭需給調節
特別会計の運営内容はすこぶるきゆうくつ化し、ついに放漫にして乱脉をきわめた経理
状況が暴露し、
新聞等にいち早く宣傳されるに至つたことは、はなはだ遺憾とするところであります。しかるに事務当局は、その事態拾收のために昭和二十四年初冬以來、從來とり來つた
特別会計の一手買入れ賣渡し機能を全面的に停止するに至り、
國家財政に五十数億に上る莫大な
損害を與えると同時に、その負債を薪炭生産者に轉嫁し、營々として薪炭生産に協力して來たこれら生産者を塗炭の苦しみに陥れたのであります。われわれ農林行政を審議するものとしては、これらの事柄が究極において國民の政治に対する信頼を失墜させ、ひいては薪炭の減産をもたらし、國民生活に重大なる脅威をもたらすことなきやを恐れるのであります。衆議院農林
委員会としては、再びかかる失態をくりかえすことのないように、眞相と責任を追究し、今後における薪炭の生産
並びに配給に支障のないようにいたしたいと思うのであります。
以後は御質問申し上げるところを一箇條すづ申し上げまして、新たにまた文書をもつて
政府の方にその内容をお送りいたしますから、それに対して文書をもつて
委員会の方に御回答を願います。なお個々の場合で、その時期だけを明確に、いつ回答ができるやを御返答願いたいのであります。
一、薪炭需給調節
特別会計の生産者に対する未拂中、債務の確定している分として、商品費十八億、集荷業者に対する手数料三億、輸送費九億といわれているが、
政府はこの債務をいついかなる
方法で生産者に支拂うつもりであるか。
次に
特別会計が生産者より買うべくしていまだ買つてない分、すなわち生産者の手持品の数量と金額はどの
程度であるか、都道
府縣別に明らかにせられたい。また
政府はこの分をいかに処理するつもりであるか。また生産者の実際生産量の七、八割
程度を買上げ数量のわくとして、二、三割
程度はわく外生産として買上げ数量から除外するというが、そのためにこうむつた生産者の
損失はいかなる
方法によつて補填するつもりであるか。
本年七月三十一日以前に補炭されたものについては、
政府は全量買上の義務があると思うが、その点いかん。
一、昭和二十三年貸借対照表によれば、薪炭現物不足約十四億円といわれるが、かかる赤字を出した原因を、事務当局のいう十九原因の一々につき徹底的に
調査し、その責任の所在をあくまで追究し、惡質なる者に対しては嚴重処分すべきものと思うが所見いかん。
また二十三
年度冬期に大都市に備蓄の
状態と
なつた薪炭の保管、減耗、手直費による約十億円、昨年十二月に行つた長尺まきの値下げによる
損失約三億四千万円及び増産
並びに輸送増強のためやむを得ず支出された経費約五億五千万円の赤字の内容につき、詳細な資料を提出する用意があるかどうか、その提出期間いかん。
一、事務当局の
説明によれば、帳簿面と実際手持高との差額が
特別会計の赤字を招來した重大原因と言つているが、その実際にある数量あるいは不足する数量をいかにして把握したのか、末端よりの申告に不正をいれる
余地が大きいと思うが、その不正をいかなる
方法と手段で追究するか。
一、直接責任者たる
木炭事務所の功罪を徹底的に究明する反面、惡質者を除きその他の職員の身分保証をはかる要があるが、その用意いかん。
一、
政府の卸賣業者その他に対する約三十億円の債権については、一刻の猶予もなく、その確保についての手を打たなければならぬが、いかなる
処置を講じつつあるか、また講ずるつもりであるか。林野当局は重役の
個人保証をとつているというが、それに関する資料を提出せられたい。
一、
特別会計の停止によつて、
政府手持薪炭の値下げあるいは減耗による
損失二十億円を予想しているが、
政府はこれらの手持現物の処理について、惡徳業者の跳梁を押え、
政府の
損害を最小減度に喰いとめるべく、いかなる用意と対策があるか。
一、去る二月薪炭の
政府買上げを停止して以來、農業協同組合等が立替えた代金は莫大な金額に上つており、その支拂いを遅延せば農協運営に重大な支障を生ずるおそれがある。
政府は債権の取立て以前にこの立替え代金を支拂う意図があるかどうか。
一、來るべき冬の燃料危機を回避するために、強力なる増産措置を講ずべきものと思うが、なかんずく
資金の融通について、いかなる
見通しと対策を持つているか、特に生産者の原木購入
資金対策の具体的内容を明示せられたい。市中銀行より
融資あつせんを行うとしてもその効果は少いように思われるが、
政府は
預金部見返り
資金等より直接
融資の
方法を
考えておるか、どうか。
一、輸送途中の紛失数量は
木炭約二万三千トン、まき約二十二万総積石、ガスまき約千百トンと言われておるが、これらの紛失の責任者たる日本通運会社に対し、徹底的に弁償責任を追求すべきであるが、訴訟の提起をする場合詳細、正確な資料の準備ができているかどうか。またこれから作成するとすればその期間はいつか。またどこかの
木炭事務所において弁償請求中であるとすれば、いかなる理由でいかなる
程度の金額を請求中であるか、その資料を提出せられたい。
一、
特別会計の経理内容について会計檢査院の檢査を受けたよしであるが、その檢査結果に関する資料を提出せられたい。
一、
特別会計の赤字内容について、官行炭、民間炭別の
調査資料を提出せられたい。
以上でありますが、これらの回答を文書をもつていつごろまでにこちらの方に提出していただけるか、その点だけをお答えを願つて、
あとは文書をもつて御回答を願います。