○大森
委員 私は各
委員から非常に微に入り細に入
つて質問に
なつたので、この
食糧確保臨時措置法に対しましては、かいつまんで私の
意見を述べ、当局の所信を承わりたいと思うのであります。現在
農村におきましては、御
承知のように
事前割当の
供出に対しましても満足をいたしておる状況ではないのであります。そこで先ほどからもいろいろ論議がありましたように、非常にその
割当て等に対しても完全を期していないという点も多々あるのであります。今度その上に
超過供出によ
つてこれを強いて、それをなおかつ
法律によ
つて縛らんとするがごときことは、私はどうかと思うのであります。大体人間はなぐられて、たたかれて仕事をなすということは
氣持がいいかどうか。やはりまことに済まないが、どうか
増産をや
つてくれないか、もう少し米を出してくれないか、こういうふうに
農村の人たちに懇請し、さらにまた情味を持
つて、またおだてるというとはなはだ語弊がありますが、こういうふうにいたした方がかえ
つて私はいいのではないか。今の改惡の
法案からなにしますと、
超過供出に対しましても、やはり罰をも
つて臨む。これは神でない限りは、この
超過供出に対して、やはり実行できないところはできると思います。それはなぜかと申しますると、一旦
事前割当をいたして、しかるのちまた
超過供出でありますから、これは実行不可能なものが多々あると思います。こういう場合において、これを法規をも
つて罰するということはまことに遺憾なことであると思います。私
どもただいま申し上げましたように、それよりかも
超過供出はむしろ
農民が納得いたし、またそれを指導する人たちによ
つてもこれを納得さして、
超過供出をさすということが、今日の
食糧事情から
考えて、最も適当ではないかと思うのであります。なおまた私は今度の
法案を提案いたされるに
当りましては、いろいろな
事情があると思う。私はその点は
考えておりまするが、しかしながらこれをもう少し
政府といたしましては根本的に
考えるお
考えはないか。これは
食糧が足らないから、先ほど
大臣が百五十万トンとか輸入してもらうのだと仰せられたのであります。しかしわが
日本の國内において、これを十分に確保するということに対して一段の
努力を拂つたかどうか。先ほどの局長の
答弁にありましたように、二十三
年度には二百九十五万町歩の作付面積があると仰せられた。これを三百万町歩と仮定いたしまするならば、三石取れば九千万石になる。でありまするから、今日の時代において何も不可能ではないのだ。私は常にこれを論議いたしておる。私
どもの地方におきましては、今や私の指揮しておりまする一團の連中は、五十箇所ばかり支部をつくり、そうして篤
農家というものがこれにまつ先に立
つて、今や六石取りということを主張して、毎日それに当
つておる。こういうことを
考えまするときに、こういう
法律によ
つてしば
つてとろうというよりかも、むしろこういう
方面に着眼し、そうした
方面にもう少し
農村のために費用を出す。それが本年の予算を見るとどうであるかと申しますると、個人の土地改良は申し上げるまでもなく、あるいは土讓改良であるとか、あるいは耕地整理であるとか、最も
農村になくてはならないところの重要な問題に対しては、一銭の予算もないというようなことで、一体
食糧増産ができるかどうか。
食糧増産の道を與えずして
増産を強要することは、な
いものを出せということになるのであります。こういうことではいけないと思う。でありますから、本年の予算におきましても、個人の土地改良に対しましては十分の予算を出し、そうして
農村には、お前たちにはこれだけのものを出してやるから、本年から
増産をせよ、輸入米はいらない。これまで
政府当局が確信を持てるようでなければいけないと思う。
政府当局はまたそれだけの腹がなければいけない。現在の
日本の農作物を
考えてみるときに、しからば
食糧は絶対足りないかと言うと、断言はいたしませんが私は疑問を持つのであります。現在は一体どういう
事情にあるか。この中におられる方々で、一体
配給だけで生きている人があるか。もしも
配給だけで生きている人があるとすれば、それはいつぞや
配給だけで栄養失調にな
つて死んだ山口という判事一人である。
日本では
あとは全部
やみ米を買
つて、そうして
食糧は十分に食
つているのだ、こういうことを申し上げてさしつかえないと思う。しからばこの
食糧に対しては、わずかばかりのものを輸入するよりか、國内においてこれを確保するということに対して
努力をいたさなければならないと
考えのであります。これに対しまして、
政府が本年
農民に対してとられたところの農業政策は万全であつたかどうか、私ははなはだ遺憾に思いまするが、
政務次官はいかように
考えておられまするか、この点をお尋ねいたすのであります。
さらに今私
どもはどうであるかと言うと、昨年の選挙当時から、民自党内閣が生れれば、米の
供出後には必ず自由販賣をさせてやるという
お話であつた。それでありますから、その点に対しては私もただちに民自党に入党しようと
考えておつた。しかしながら、それが今度どうであるかと言うと、自由販賣どころではない、
超過供出に関して
法律をも
つて縛るという案を出されるに至りましては、私も入党ができなく
なつた。先ほど申しましたように、私は現吉田内閣に対しては、
反対党でありながらも、やはり尊敬をしてお
つて、何とかそうしてほしいと
考えておつたのが、現実にこういう
法案が出ることをはなはだ遺憾に思うのでありますが、これに対しまして
政務次官はいかなるお
考えを持
つておられるか。あるいは、今度はこういう
法律を出すが、本年の秋あたりになると全部撤廃するようなお
考えはあるか。それならば私も
考えてみて、あるいは入党してもよいと思う。それに対しまして
政務次官のお
所見を伺
つて、さらに重ねて
質問をいたしたいと思います。