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坂本(實)
委員 ただいま緊急上程になりました
小笠原八十英君外二十四名
提出によります
農業災害補償法の一部を
改正する
法律案につきまして、提案者を代表いたしまして、提案理由の
説明をいたします。
農業災害保障法の実施初
年度に当る
昭和二十三
年度におきましては、たまたま太平洋岸一帶を襲つたユーニス、アイオン台風による風水害を初めとし、各所に
農業災害の発生を見、そのため共済金の支拂い
総額は、農作物、蚕繭、家畜を合せまして、実に三十億円に達せんとしたのであります。これらの共済金は、死活の間にある
農家生活を救い、肥料、資材、薬剤等の購入を通じまして、
農業生産力を維持し、これがひいては、
食糧増産と推進し、経済九原則の実現に大いに貢献するところと
なつたのであります。以上実施初
年度における実績を顧み、あわせて今後における農村経済発展の方途を考えますと、
農業経営の安定と
農業生産力の確保を窮極の目標とする
農業災害補償制度の重要性は、いよいよその度を高めるに至つたことを痛感いたし、この際本制度の一段の完璧を期して、この
法案を提案する次第であります。以下この
法律案の主要な
内容を御
説明いたします。
第一は、
農業共済組合の共済事業の種類の拡張に関する事項であります。現行法では、
農業共済組合の共済事業は、米麦等
主要食糧農作物を対象とする農作物共済、蚕繭を対象とする蚕繭共済及び牛、馬、山羊、めん羊、種豚を対象とする家畜共済に限定されているのでありますが、農地改革によ
つて創設せられました自作
農家がこうむる災害による損失を保障して、その
経営の自立を維持し、あわせて、農村民主化の基礎を確保し、
農業生産力の発展を推進しなければならないところの
農業災害補償制度といたしましては、現行の限られた共済事業のみをも
つてしては、その
目的を選炭することはとうてい不可能であり、ぜひとも、
農業経営における災害による損失に対して総合的に共済事業を実施して行かなければならないと考えるのであります。このことは、いち早く、第一
國会において指摘せられたところであり、
農業災害補償法制定の附帯事項とな
つておりますし、また旧
農業保險法のもとにおきましても、共済事業を、総合的に実施して、家屋、
地方的特殊農作物等の共済におきまして、相当の実績を記録いたしておるのであります、これらの事実にもかんがみまして、この
法律案では、現行の
政府が再保險を行います農作物、蚕繭及び家畜についての
農業共済剛体の必須共済事業のほかに、團体限りにおいて任意に行うことができるものとして、
地方的特殊農作物、建物、農機具、輸送中における家畜等を対象とする共済事業を加えたのであります。
第二は、牛馬を死亡廃用共済に付する義務に関する事項であります。家畜中牛馬は、申すまでもなく重要かつ高値な
農業生産手段でありまして、その死亡による
農家の損失は、ただちに
農業経営に
決定的打撃を與え、その破綻の原因とな
つている
現状にかんがみまして、
農家がむりなく加入できる掛金負担の範囲内において、総会の議決を経て牛馬を死亡廃用共済に付すべきものといたしたのであります。
第三は、
農業共済組合の総代会に関する事項であります。現行法では、
市町村の
農業共済組合の総代会に関する
規定がございませんので、
農民の方々は、農繁期におきましても、再三開催されます臨時総会に、その都度みずから出席しなければならないので、このことは、事実上困難が伴うばかりでなく、かえ
つて農民の利益に反することが考えられますので、この点を是正いたしまして、この
法律案では、
農業共済組合に、三十人以上の総代からなる総代会を設け得るものとし、共済
金額、共済掛金等共済事業の
内容に関する事項等につきまして、総会にかわ
つて議決することができるものといたしたのであります。
第四は、
農業共済保險組合の
名称の変更に関する事項であります。現行法が使用しております都道
府縣の
農業共済保險組合という
名称は、
市町村の
農業共済組合の共済責任を保險するという同国体の事業の性質から名づけられたものでありますがこの
法律案におきましては、
農業共済保險組合を
農業共済組合連合会という
名称に改め、
農家が直接組織する
市町村の
農業共済組合の連合体であるという組織上の関連を明確に表現することといたし、事業
運営の便宜を考慮いたしたのであります。
以上がこの
法律案の大体の骨子でありますが、いずれも熱烈な
地方の要望のある緊急事項でありますとともに、本制度の血肉となる重要事項でありますから、慎重御審議の上、御賛同あらんことを切望いたす次第であります。