○佐藤(藤)政府委員 さように私のお答えを曲げて解釈されますことは、はなはだ遺憾でありますが、私の言葉が足りないのでさような誤解を受けたことと存ずるのであります。普通人がきらうような労働を、特に受刑者を選んでやらせたわけでは決してないのであります。御
承知のように北海道の未開墾の土地は莫大なものでありまして、何千町歩という平野が未開墾のままにな
つておるのであります。ところが戰災者及び外地からの帰還者等が行
つて、すぐに開拓することができないような事情がたくさんあるのであります。今までデスク・ワークをしておつた者に、土地が空いておるから北海道へ行
つて働けと言
つてもなかなかできないので、入植させるにはまず道路や下水をこしらえ、水田の温度が低過ぎれば低温の水を一時貯えて置いて、水田に適するような高温にするダムをこしらえるとか、いろいろ入植者が入植しやすい下ごしらえをする作業に用いたのでありまして、私
どもは決して入道に触れるものとは
考えておらぬのであります。現に昨年初めて試みたことではありますけれ
ども、この点は明治初年に北海道開発作業について受刑者を使つた例にかんがみまして、いろいろな惡例もありましたので、そういう惡例をためつつ新たなる方法で開拓作業をなさしたつもりであります。昨年の夏に向うに行
つて、働いた受刑者についてそれぞれの感想も聞いてみましたし、また私自身八月向うに行
つて、方々働いておるところを慰問いたしたのでありますが、その際に受刑者の非常に喜んで働いておられた。またその働いておる近所の北海道の住民の方々も、非常にようことをしていただいた。自分たち個人の力ではとうていできない開拓作業を大勢の人がや
つてくれて、これで今年の冬も水が出る心配がない。昨年は氷の中で正月を迎えたが、ことしは安心して正月を迎え得るというようなことで、非常に喜んでくれたのでありまして、ただいま御
質問のような人道問題の御心配は絶対にないことを、私は断言できると思
つております。