○加藤(充)
委員 私は今の点に関連して簡單に御
質疑をしたい。結局訴願権を剥奪してしまうということについて、何か勇ましいとかい勇ましくないとかいうような
お話があ
つたと思うのですが、去年の十一月に行われた
公務員法の改正案
審議の間に、
淺井さんはたいへん勇ましい発言をおやりにな
つたことを今覚えていらつしやるかどうか、それをひとつ聞きただしてみたいのであります。二十三年十一月十一日の
人事委員会の
淺井さんの発言を見ますと、これは拔き出したものですが、
人事委員会の
組織及び権限の強化、これが
公務員法改正の主眼点であるというようなことを言
つておりまして、「不偏不党、いかなる勢力の制肘をも受けることなく、嚴正公平な
人事行政を行うとともに、
國家公務員の福祉と利益との保護機関としての機能を果すためには、この
委員会は、そのために必要とし、かつ十分な権限が與えられるとともに、あとう限りの独立制が確保されること…。」これが
公務員法改正の理由の一つであるということを言
つておるようであります。それからそれに関道して職務の分限、服務、懲戒、保障等に関する改正の点の
説明に至りましては、「任命権者が
職員の休職、
免職、復職、
退職等のことを行う場合には、この
法律及び
人事院規則によらなくてはならない」ことにしたのだ。「
職員がその意の反して
降任され休職され、または
免職される事由を、
法律及び
人事院規則で定めること」にしたというのですが、今の御
答弁によりますと、第七十
八條に
適用云々関係がどうもおかしくなると思うのであります。そしてまた給料の点、また
退職金の問題、あるいは意に反したる
退職の問題にも関連すると思うのであります。公務員の福祉というものは、そういう廣汎な
内容を当然に包含したものだと思うのでありますが、その点について去年の十一月二十二日の
人事委員会の
淺井さんの発言
答弁の中には、「この法案が公務員の福祉をはたして守
つておるかどうか」ということについて「さいふを持
つておりますところと離れた別個の機関、すなわち
人事院とか、
人事委員会とかいうものができまして、そこで何か合理的な給與をきめて、これを明らかにする。これに対して」
云々ということを言
つております。それに続いて「今のようなやり方では、
從來大藏当局が給與をきめていたときと今度と、結局において違いがないじやないかというようなお尋ねでございまするが、これは現に大いに違
つておると思うのでございます。もしもあれを
人事委員会という独立の機関がきめませんで、大藏当局にまかしておきましたならば、結局何が合理的なる給與であるかということは少しも世間にわかりませんで、当局そろばんから出たものしかない、こういうことになると思います。」これではいれないから
人事委員会の職務権限というものが強化されたのだ、だから賛成してくれ。それからそれに続いて「この身分の保障でありまするとか、不当なる
処分に対するところの訴えでありますとか、そういう点はいずれもこれ
國家公務員の福祉を守る手段にな
つているように思います。」と言われておるのでありますが、今までの御
答弁を見ますと、あの
新聞記者なんかといろいろなもんちやくを起して箝口令を引きまく
つて、結局何が何だかわからぬような、不偏不党といいますものの、結局上からと言
つては語弊がありますが、よそのさいふを持
つておる所とは離れた、しかも
人事院はそれに対して独立な、強固な、必要にして十分な権利を持
つた独立の機関であると、たいへん勇ましいことを言
つたにもかかわりませず、それと違
つた官廳方面からの
方針、もつと
はつきり言うならば、民自党の、あとにまた質問を続けさせていただきますからきようはこれでやめますけれ
ども、インチキな
行政整理をやる
方針、それを不偏不党ではなしに、それに合わして、
定員法は結局準備中であるとか、あるいは完備というまでに至
つていないとか、わかり切
つたようなことを言いながら、それに数字を合わせて、無
責任きわまる
定員法の数字をただ結論的に出して來てしま
つた。こういう不見識な
定員法の
定め方というものは、
職階制とかなんとかいうことが
公務員法の中心あるいは
人事院の中心的な機能であるし、それを定めるということが職責にな
つておりますときに、そういうものと別個に、ただ結論を合せた首切り、天くだり天引き首切りということに
人事院が同調しているということ以外に理解の方法がないのであります。こういうことについて前には非常に勇ましく、必要にして十分な権限、
大藏省に握られたのでは福祉が守れませんから、独立の権限で、さいふを持たない
人事院がやります、何でも持
つて來い。これが
公務員法改正の主眼である、御賛成を願います、とい
つたような、非常に勢い込んだ勇ましい発言
答弁をなさ
つておりますが、初めは脱兎のごとく終りは処女のごとくという言葉がありますが、どうも
人事院総裁は、事はやるとなると悩んでおります、苦しんでおります、いたしかたがありません、と言
つて、天くだり
行政整理、べらぼうきわまる首切りに数字を合せた
定員法を通してくれということはも
つてのほかである。要するの私
どもは、繁文縟礼、複雜怪奇な官僚機構、官僚政治というものに賛成するものではありません。私は東京に初めて出て
人事院というお役所を拜見したが、あすこに
人事院ビルデイングと書いてある。あのビルデイングの表現の仕方も、文部省がきめたかなづかいに反している、間違
つている。こういうでたらめきわまる
人事院ビルデイングは看板をおろすか、あのかなづかいを改めて、それだけのほんとうに勇氣のある勇まして発言をなさるだけのことをや
つていただきたい。今ごろにな
つて、訴願権を引受けたと言
つてもしようがない。あの昔の武家の秩祿を取上げた明治維新当時のあの問題を持
つて來て、こんなことになるからやめますと言うのでは、看板に偽りあり、羊頭を掲げて狗肉を賣るにひとしい。
はつきり言うならば、
退職金の勧告をしたこともない。
退職金なしに首切られる人間ができる。この恐慌期に、永久に復職の
目途がないようなときに、何十万と首切られて行く。それに何もやらない。こういうことであれば、
淺井総裁を含めた
人事院の高級官僚のサボあるいは機構をまつ先に改正されなければならない。
簡素化されなければならない。機構の澁滯のために、結局看板に偽りありで、下級公務員諸君の負担にな
つているということをひとつ勇氣を鼓して御
答弁願いたい。