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鈴木(義)
委員 私は
日本社会党を代表いたしまして、原案並びに
修正案ともに含めて
反対の
意見を表明するものであります。一般的に
定員法との
関係において、わが党はすべての
設置法案に
反対をいたすのでありますが、それはしばらくおきまして、
機構だけの問題といたしますれば、大体においてはやむを得ない改正と存じまして、一年前にできたものでありますが、
賛成をいたすのでありますけれども、どうしてもわれわれとして
賛成いたしかねますのは、法務府の新
機構におきまして、法制長官と
調査意見長官とを併合してしまうという点であります。何ゆえに
賛成できないかという
理由を述べまして
反対の
理由といたします。
新憲法の
実施によりまして、三権分立の建前が確立され、裁判権が完全に元の司法省の管轄から最高裁判所に移りました結果、司法省という名前が第一適当でないことは別論といたしまして、司法省に残されたものが、檢察と行刑、
登記というような
事務でありまして、これらを集めて独立の一省にするには不適当であ
つたと信ぜられるのであります。むしろそれらはそれぞれ独立の官廳として運営してさしつかえないものであります。そこで司法省を廃止するということになりましたときに、当時の片山
内閣は
構想を新たにして、行政部における法務一切を管轄する官廳を創設することとして法務府を設け、その長たる法務総裁は法務行政一切を統轄するとともに、
内閣及び
内閣総理大臣並びに各省
大臣の諮問に應じ、
内閣の最高顧問たる任務を帶びるとともに、
意見を
提出し、勧告をするというきわめて重要な役割を持たせることにいたしたわけであります。はたしてしからば新しいこの法務府の中心的任務は、法務並びに行政一般について常に世界の
制度との比較研究、
資料の收集等をいたしまして、
調査研究に從事し、ときに應じて諮問に答え、進んで改正の
意見を
提出することに存すると思うのであります。行政
制度の
調査研究には行政管理廳がありますけれども、これは本來
行政整理の立案
施行のためにつくられた暫定的性格のものと了解をいたすのでありまして、恒久的のものとしては、結局法務総裁がこれに当るべきものと存ずるのであります。
從つて法務総裁の補助官府としては、
調査意見長官は第一位におるべき最も大切な官府と信ずるのであります。これなくしては法務府の生命がないと申しても過言ではないと思うのであります。しかる改正案によりますれば、
從來の法制長官、
調査意見長官とを併合して一身に兼ねさせるということにな
つておりますが、法制局の
仕事は各省各廳の
法律、政令等の立案の技術的檢討に存するのでありまして、審査はすこぶる敏速を要しますし、
仕事の量も多いし、將來もだんだん立法が議会でだけやられるようになりましても、なお政令等の審査には多忙なること決して今日に劣るものではないと信ずるのでありまして、かようなことでは廣く内外の
制度に眼をさらして、
國家百年の長計の立場から、愼重に研究
調査をするということは望むべくもないのではないかと思うのであります。この二つの任務を統合するということは不可能に属すると思うのであります。日常目前の
事務を処理する法制長官のほかに、恒久的に
制度と
法令との長所短所欠陷等を
調査して、諮問に應じて
資料を提供し、進んで立法の
意見を
提出することを任務とする
調査意見長官の存在は、どうしても必要欠くべからざるものと存するのであります。今回の
機構の改正がもし
行政整理の
目的のためでありますならば、
整理すべき人員の数から見て、財政負担の軽減から見ましても、二、三十人を淘汰するだけでありまして、得るところは言うに足りない、失うところは非常に大きいと信ずるのであります。
調査意見局は
内閣の研究室にも比すべきものでありまして、
調査能力のゆたかな少数の行政官吏を存置しても、その構成員並びに経費というものは、きわめて軽微で足りるのであります。最初あまりに小人数であるからこれを局とすることに異議があ
つたそうでありますが、他の実際的の
事務をとる官廳と異なりまして、こういう頭脳的な少数人員部局もあ
つてよろしい、現にアメリカなどでは十人でセクシヨンをつくり、五人でデヴイジヨンをつく
つておるというような例もあるのでありますから、そういう見地からわが行政
制度の上に新例を開く意味において、少数の人数の局というものが、法務廳において初めて設けられたというように
承知いたしておるのであります。そうして長官以下最も有能なブレーンを招致して、発足してわずか一年にして性格の異なる法制局と併合しようということはまことに遺憾なことであります。他の部局の分合につきましては、やむを得ないと存じますが、
調査意見長官とその部局、法制長官とその部局との構成は、現行法が妥当なものと確信をいたしますので、改正案に対して
反対の意を表する次第であります。実は
修正案として
提出するはずでアプルーブをとりに参
つておるのでありますが、御審議の都合上、民自党の方では党議で原案を支持するということに御決定に
なつたそうでありますから、やむを得ず
意見の開陳ということにとどめておくのでありますが、これは強いわれわれの
希望であります。