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山口國務大臣 先ほど申し上げました
通り、まだ
政府に公な
情報が入
つていませんので、私から確たるお答えをすることは、まだ困難な段階にあるのであります。しかしながらわれわれの受けた
情報なり、ただいまお読み上げにな
つた新聞の
報道等に徴しまして、われわれが常識的にこれを判断すれば、おそらく全部を
中止するというようなことは
極東委員会の議を経なければできないことであろうと思いますから、ただいま行
つておりますところの、われわれの言葉で申しますと、三割
賠償、この
中間賠償を
中止するの意向を漏らされたのではないかしらというふうに考えられる節があるのであります。しこうしてその場合においては
賠償廳のただいま御
審議を願いました
定員法との
関連はどういうことになるかということが、きわめて重大な課題にな
つて來る次第でありますが、われわれといたしましては、
中間賠償の
中止ということが
いかような
方法によ
つて行われるにしても、また行われたといたしましても、
日本國にとりましてはきわめてありがたい福音であると受取
つてさしつかえないと考えられる次第であります。そういう場合において
賠償廳の
定員をしからば削減してもさしつかえないではないかということも一應考えられます。しかしながら平たにものを申し上げますれば、われわれの考え方としては
賠償を
中止されたと同時に、その
中止された
指定賠償物件を他に轉用させてもらうように努力しなければならぬ面があるのでありまして、
賠償廳といたしましては從前戰時中になしてお
つた作業を継続することを
轉換と申しまして、またその
作業以外の
平和産業にこれを轉用することを再
轉換と申しておりますが、われわれといたしましては、この指定された
賠償物件を
國家再建のために、他の
平和産業の方に一時借用の形においてでも、
講和会議終了後、あらためてこの
賠償問題が明確になるまで、その間に大いにフルに機械を動かしてもらうように努力すべきである、こう考えておるような次第であります。御
承知のごとく今年度
予算にもこれらの
賠償物件の
維持管理費を二十六億六千万円要求しておる次第であります。この二十六億六千万円の
維持管理費を
いかようにして軽減して、
國家予算の上から他の
方面にこれをまわし得るようにするかということが重大な
政治技術であろう、こういうことも考えられるのであります。將來におきましては
賠償中止ということは、すなわち
賠償廳などを必要としないということになりますが、それに到達するまでには、ただいま申し上げました
通り、
維持管理費に二十六億六千万円というものを計上しておるようなことでありますから、これを
賠償問題が
最終決定に行くまでに各
工場の
能率等に應じまして、これを他の
平和産業に切りかえるとかいうようなことの選択、あるいは
工場との交渉、あるいはまた
関係当局との折衝というようなことに、もしもただいま
池田委員が読み上げられたことが事実であるとするならば、当面の問題としては、
賠償廳の
仕事はより一層多くなるのではないかと予想される面もございますので、われわれといたしましては、現在要求しております百七十二名でとりあえず当面の問題を処理して行きたい。しかし先ほど申し上げました
通り、あるいはむしろ一時的にせよ増員しなければならないような段階になるのではないか、かように考えておりますがゆえに、御
審議を願いました百七十二名という要求に、ただいま即刻変更する意思を持
つておらないことを御承認願いたいと思います。