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平川政府委員 ただいま御
説明のありました
農林省資材事務所の問題につきましては、御
紹介にありましたごとく、昨年の春ごろから、主として
地方長官会議、あるいは
府縣会議長の
会議等におきまして、これを
地方廳に委讓したならばどうかという御
意見がありました。その主たる
理由とするところは、
地方自治の強化という面において、
地方廳にできるだけ
仕事を任せて行
つたらいいじやないか。そういう
意味において
生産その他に
責任を持
つておられる
地方長官に、
資材の
配給も全部任せる方がいい、こういう
理由のようであります。その当時におきましてはいろいろな議論がございまして、これは留保にな
つてお
つたような形にな
つておりましたが、最近また
行政整理の問題とからみまして、
行政整理の一環として
資材事務所を廃止して、
地方廳にこれを移すという
考え方が一部にあ
つたわけであります。
農林省といたしましては、この
資材事務所が発足いたしました当初の
理由が、ただいまの御
紹介にもありましたごとく、主要なる
生産資材については、現在非常にこれが不足しておる
状況である。この非常に不足しておる
状況の
資材、殊にその中にはたとえば
石油のごとき、あるいは
漁網用の綿糸のごとき、あるいはその他の
輸入物資も
相当にあるわけでありまして、
ガリオア資金等から入
つて來ておるものも
相当あるわけであります。こういうような
資材について、これを最も
嚴正公平に
割当を
実施するということについては、それぞれの
担当各省大臣が直接みずからの
責任において
配給をしなければいかぬ。こういう
考え方が
司令部の方にありまして、その
考え方に
政府としても同意をいたして、一昨年設立をせられたようなわけでありまして、
資材の
配給を直接に
本省が
責任をも
つて実施をいたすということは、その公正、円滑を期する
意味においては、
地方廳に任せるよりは確かに優れているだろうと思うのであります。現に各
方面の
民間の意向を聽取いたしてみますると、大多数の、殊に
中小の
農山漁民、あるいは
農林省関係の
食品工業その他の
産業もございますが、それらの
配給を受けている
民間のまず九〇%までは、この
機構でや
つてもらいたい。
それから
地方長官等におかれましても、たとえば昨年
あたりの
災害等がありました場合に、應急にそれに要するいろいろな
資材を特配する。こういうような場合においても、
本省の
出先が直接にただちに
本省と連絡し、
本省はまたただちに安本その他と連絡をいたして、敏速に、どこの縣にいくらということで、
資材を
配給する上において非常に役に立
つた。
災害復旧用の
資材、あるいは去年の
病虫害用の
石油その他の
配給において、非常に役立
つたということで、その
関係の縣からは非常に感謝を受けているような
状況であります。
資材の
配給を
地方廳に任せるということは、一面においていい面もあろうかと思いますけれども、一面においてややもすれば
地方的な勢力に左右されまして、殊に
中小の
業者が、公正な
配給を受け得ないというような実例がかなりあるようであります。そういう
意味において、
農林省としましては、この際これを
移管するというようなことはする必要がないのではないか、むしろ根本的にはどうせ暫定的な
機関でありまして、
資材が順次豊富になりまするとともに、逐次
統制を緩和いたしまして、その
機構を縮小し、またすべての
資材が自由に入手できるようになれば、当然廃止せらるべき運命にある
役所でありまするけれども、それまでの間において、せつかく
職員もこの
仕事に慣れて円滑に動いている際に、これを
移管するということになりますと、またその間に数箇月
仕事の運行を妨げられるという事態も必ず起る問題でありまして、
機構の
編成替えがありますると、必ずそこに若干の
空白の
状態が起るということは免れがたいことでありますし、むしろ根本的に
資材そのものの
需給状況を勘案しながら
統制自体を緩和して、そうしてその
部門について
整理を行
つて行くことが本筋ではないか、殊に
行政整理の問題にからんで云々することは、ま
つたく
意味をなさないではないか、どこでやりましても同じ人数はいるわけであります。現に
調整事務所において人が余
つているということはございません。これは実際に現地をごらんくださればわかるわけでありますけれども、毎日多くの
配給切符を切
つているわけでありまして、現在の
統制方式を改めざる限りは、それだけの人をかりに縣に移しましても、これを省くわけにはまいらないわけであります。從
つて財政的な緊縮ということには、
移管ということとは
関係がない。全然廃止するならば別でありまするけれども、これは
統制を廃止せざる限りはできないことでありますから、特に
行政整理の問題としてこれを論ずることは、少し筋が違うのではないかというふうに考えているのであります。いろいろ実際の
運用の問題になりますと微妙な問題でありますけれども、
民間としては
資材事務所にいろいろ申し入れをすることが、ただちに
農林省に申入れをしたと同じような効果があるという、そういう
便宜を非常に感じておられるようであります。
地方においては実際に
切符を
現物化するということがなかなか大きな問題であります。実際問題としましては、一昨年
あたりはせつかく
切符をもらいましても、なかなかそれが
現物化しない。おそらく物によりましては五割も
現物化しないような場合がずいぶんあ
つたのであります。
資材事務所の方では
農林省の名においてただちに
地方の
商工局、あるいは輸送の方の
鉄道局等に交渉をいたしまして、
現物化、あるいは現実にそれを手に入れることについては、非常な努力を拂
つておりまして、昨年のごときは大体において八割以上の
現物化を見ておるというようなことであります。これは
資材の
状況の緩和した
事情もありますけれども、しかし
農林省の名において、
商工省なり、あるいは運輸省とただちに
折衝をして
現物化をするという点の有利な面もあるようであります。それこれの
事情からいたしまして、この際ことに
行政整理とからんでこれを
地方に
移管することは、いたずらにマイナスが多くて得るところが少いのではないか。かような
見解をと
つて、
政府部内においてもまだ檢討をいたしておるような
状況であります。