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小澤國務大臣 田島さんにお答えいたします。
まず第一点の、当初
逓信省で建設資金として三百二十億を要請したにもかかわらず、現実の
予算面においては、一切を集めて百九十億しかないじやないか。しかもその百九十億というものは昨
年度と同一
金額ではあるけれども、
物價の
値上り、
賃金の
値上り等によ
つて三分の二
程度の
事業しかできないじやないか。こういう形において逓信、ことに
通信事業が完璧を期せられるか。こういう点の御
質問でありまするが、三百二十億を最初
逓信省といたしまして立案した
理由は、大体戰前におきましては電話の総数が全國で百八万個であ
つたのであります。ところがその後漸次復旧、復興あるいは新設ををいたしまして、現在では、八十五万個にな
つておるのであります。八十五万個というのでありますから、二十四
年度で、戰前の開通率に近い百万個計画というものをするにはこの三百二十億の建設資金がいる段階であ
つたのであります。換言すれば、あと十五万個をふやしますと、全國に百万個の電話が開通するということになるのであります。ところがこの三百二十億のわくがとれませんで、ただいま申し上げました
程度の建設勘定になりまするから、六万七千個
程度の増設しか可能じやないのであります。そこで
物價と
賃金の率からいうと、たとえばいろいろなストックとか、その他を
利用しまして、この点で八万個から九万個を今
年度で増設をしたい、復興をしたいと
考えておるのであります。でありますから事、三百二十億のわくがとれなかつたことが、ただちに逓信
事業の復興が不可能になるというのではなくて、本年の計画からいたしますと先ほど
お話申し上げた
通り、十五万個を一挙に新設、復興いたしまして、そうして戰前の開通量に近づけようという当初の計画であ
つたのが、それが約半減とまでは行きませんけれども、三分の二
程度しかできないという結果になるのでありまして、ただ十五万箇の電話復興計画が、結局は八万個か九万個しかできないという勘定になるのであります。もちろん理想といたしましては、十五万個の開設が望ましいのでありますけれども、今申し上げました
通り、建設のわくがずつと減
つておりまするから、今
年度だけで仕上げるのを、本
年度と來
年度で仕上げるよりほかに道がないという事情でありまして、これによ
つてただちに逓信
事業が壊滅の危機に瀕するとか、あるいは逓信
事業が不可能になるということはもちろんないのでありまして、御指摘のありました
通り、すでに電話の諸機械というものが老朽化しております。自働電話交換機におきましても、大体二十年
程度の壽命しかないのに、いずれの電話交換局の機械も、二十年以上経過いたしております。これが結局、
加入者をして
利用の不便を感ぜしめておるような原因でありまするから、これはどうしても根本的に改善しなければなりません。しかしながら申すまでもなく、復旧、復興さえもできないのでありまするから、少々不便を忍んでも、復旧、復興の方を先にいたしまして、改善は漸次や
つて行こうというのが、まず私の
考えであります。もちろん理想的に申し上げますならば、ここで一千億くらいの建設費を出しますと、どうやらかつこうがつくのでありますけれども、客観的に日本の現在置かれました経済情勢が、これを許しませんので、漸次いわゆる三箇年計画、五箇年計画において、われわれの理想とする
國民の期待するような通信機を開設したい、こう
考えておるような次第であります。
それから第二は、
行政整理で今
政府が企図しておるように、現業は二割、あるいは非現業は三割というような
整理をしても、
結論においては
一般サービスを落すことになり、また労働強化することになり、さらにひいては特定局の設置なども不可能にな
つて、
國民に対して
公共事業たるこの
通信事業が、その機能を発揮しないのじやないかというような
お話でありますが、それは抽象的に申し上げますれば、その
通りであります。しかしながら今回の
行政整理に際しましては、極力事務の簡素化、すなわちむだな事務をしておるのを簡素にして、仕事の量を減して、
行政整理もやろうというのが最も大きなねらいでありまして、人間が減つたということが、ただちに労働強化になるという方向には行かないような方針で進んでおります。先ほども申し上げました
通り、要するに現在の計画以上に
行政整理を敢行いたしますれば、自然と
サービスの面にも
影響すると申したのはその意味でありまして、すなわち労働強化はできるだけしない。そうしてサビースを落さぬというところの限界点が、現在
考えておる点であ
つて、これを言葉をかえて申し上げますと、いわゆる事務の簡素化、あるいは改良化によりまして、ただいまの方針
通りの
整理を敢行しようと思
つておるような次第であります。特に特定局の設置について御
意見がございましたが、これはまつたく同感であります。現在日本中に千三百の全然
郵便局のない町村があるのであります。同じ
公共事業でありながら、山村僻地の人が恩惠に浴さないということは、どうしても公平の原則からいたしましても、看過することができない問題でありますので、これはできるだけすみやかに、各町村に少くとも
一つくらいの特定局があることを理想といたしております。ただここに一点申し上げたいことは、現在特定局の大半は大体五十万から六十万――
金額は必ずしも一定いたしませんが、少くとも欠損をいたしておるのであります。すなわち支出と
收入とを
比較してみますると、約半分くらいしか実費があが
つておらぬのであります。
独立採算制からはおよそ遠いような経済情勢にな
つておりますので、現在の
独立採算制を考慮する建前からは、無限に特定局をふやすということは非常に困難であります。そこで今これはまだ正式に閣議にもかか
つておりませんけれども、私の
考えといたしましては、ここに簡易
郵便局というようなものを設置いたしまして、そうして本來の
公共性であるところの
通信事業の使命を全うすると同時に、一方
独立採算制をとりたいと
考えておるような次第であります。かりにその簡易
郵便局というようなものをどんな構想で行くかと言いますと、ただいま申し上げました千三百に余る町村の役場、あるいは公共團体、たとえば農業協同組合であるとか、漁業協同組合というような團体から、
逓信省に、いわゆる簡易
郵便局の設置を申し込んだ場合におきましては、その事情を調査いたしまして、それに簡易
郵便局の設置を許可いたすのであります。そうして許可いたしますと、一應その團体の代表者は、適当な事務担当者を
逓信大臣に申請をいたしまして、その事務担当者が
郵便事務を取扱う。その担当者は事実上におきましては、その簡易
郵便局の主任というような形になりますが、身分はやはり役場の吏員であり、また組合の職員であるというような制度にいたしまして、給料はもちろん
逓信省は拂いません。しかし本來の吏員としての給料を役場から受け、組合から受けるのであります。それに対して
逓信省はどういう出資にするかと言いますと、たとえばはがきであるとか、
郵便切手であるとか、印紙
收入の歩合を、一定量基準をきめましてそこへ交付いたします。また
書留郵便を扱つたような場合におきましては、一通についていくらというような
考えで、これをまた交付いたします。保險金を扱つたような場合は保險金の一定の手当によ
つてこれを交付いたします。そういうふうにいたしますと、大体一人のいわゆる俸給費その他の給與費くらいに該当する勘定になるのであります。でありまするから、現実の面におきましては、町村におきましても損得がない。また
逓信省におきましても、当然一定のコストのかか
つておる費用だけ出せば、
一つの
郵便事務がその千三百の村においても施行できるというような気持のもの、すなわち簡易
郵便局というようなものを設置いたしまして、やがてその
郵便局の取扱い事務が増加いたしまして、同時に
独立採算制がとれるという見込みが立つた簡易
郵便局から、順次に特定局に昇格して行こう、こういうふうな方針で、今申し上げました
通り独立採算制を一方においては継持し、また一方におきましては
通信事業の
公共性というものの使命を全うして行きたい、こういうふうに
考えておるのであります。
それから
行政整理をして減員をしましたならば、むしろその減員したことによ
つてかえ
つて收入が減ずるではないか。これは
お話の
通りそういう面があるのであります。たとえば御指摘の交換手が少いということは、ひいては電話における
收入が減じます。またこの交換手を非常にふやすということは、結局回線をむだなく
利用するというような意味において、
増收が非常にあつた例も、先般ここで
お話申し上げた
通りあるのでありまして、それにはまた特殊の奬励方法を講ずるというようなことが必要にな
つて参りまするが、要は
お話のように、この減員が必ずしも
節約ではない、
増收にならなくて、かえ
つて欠損になるではないかという例は具体的にたくさんあります。しかしそういう職場に対しましては、減員はいたしません。すなわち今
田島君の御指摘のような交換事務であるとか、あるいは保險の勧誘とかいうような、それによ
つてその人の給料をまかない、また逓信
事業の
收入の増加するというような面におきましては、減員をいたじません。その他のいわゆる簡素化することができる可能のある面から、大きな率で
行政整理をしようと思
つております。
それからこれははつきりわかりませんでしたが、
逓信省からの発注をいたした電気器具の製造工場に対する品物の納入の規格が非常に嚴格なために、こうした生産業者、すなわちメーカーが非常に困
つておるらしい。こういうことはひいては逓信
事業の、ことに電話
事業の日本の將來に対する非常な憂慮すべき事態を発生するではないかという
お話でありますが、そういう点も一應あります。すなわち檢査に関する規格、あるいは調査の度が非常に嚴格にな
つておりまするから、不良品がたくさんできております。不良品ができるということは、現実に言いますと、優良品だけでなければ、納入ができないということになりまするので、実際の電話機を使用する面からいつたら、
けつこうなのであります。しかし一方生産者から言いますと、精密な完全な機械をこしらえなければ合格いたしませんので、どうも不良品がたくさんできますから、会社の経理上から言つたならば、非常な損失でありますけれども、しかし今後日本の電話機が海外に輸出せられるというようなことを
考えまするならば、この際日本のいわゆる機械器具というものは、他の諸國に
比較して優秀な機械であるという
程度にまで、生産品が向上して行くということがむしろ望ましいことであると思うのでありまして、これは
程度の問題もありまするが、漸次この納入品の檢査については、むしろ今後も強化して行きたい。しかし強化を急激に行うために、会社経理に急激な
影響を及ぼして、それがために会社が立
つて行かぬというような措置には出ないで、その緩急の度はよろしきをはか
つて進んで行きたいと
考えております。
それから現在
通信事業が非常に建設資金に欠乏いたしてお
つて、このままでは完全なる電話機、完全なる通信機の改良をすることができないから、漸次外資を導入して、その外資によ
つて日本の通信なり電話なりが復興することにな
つて、自然に日本の
通信事業が自主性を失うのではないかというような御
質問でありまするが、それはもし外資が強力に
通信事業に入
つて参しますれば、一應そうした心配というものは多分にあるのであります。しかしながら
逓信省といたしましては、現在外資をただちに導入するという
結論には到達しませんので、もし外資を導入する場合におきましては、ただいまの
田島君の
意見のように、十分警戒と申しましようか、嚴重に注意しながら外資を導入したいと
考えております。
さらに厚生施設の問題でありまするが、先ほども
お話申し上げましたように、少くとも
昭和二十四
年度の
予算におきましては、非常に厚生面においてわれわれの
考えておる線からは遠い点があります。いわゆる
予算編成の客観情勢から、思う存分のことができないことは非常に残念ではございまするが、われわれのできる範囲内において、たとえば將來、費目の流用というようなことも今回財政法の
改正によ
つて認められておりまするので、極力他の費目を
節約いたしまして、そうして新たに追加
予算を出さぬでも、
最小限度の、すなわちがまんできる
程度の厚生施設を行
つて行きたいと
考えておりまするし、この点につきましては、ことに全逓の代表者からいろいろそうした
質問がありましたが、その際にも私の決意のほどを
お話して、それ以上こまかく話すと、私自身が仕事がやりにくくなるからというような意味で、了解願
つておるような次第であります。少くとも今
年度において、厚生施設費がわれわれの理想
通りに組み立てられていないということは認めます。しかしこれは今申し上げました
通りの
考え方で、ことに住宅問題では、さらに住宅法案が近く國会に
提案されることにな
つております。この
予算が十一億ばかりあります。嚴格に議論をしますと、
逓信省の職員の住宅は、この費用では立てられないのが建前のようでありますけれども、われらは今
田島委員が御指摘になりました運輸省等の住宅の比率、
一般の職員との比率を考慮いたしまして、極力この十一億の住宅費に対する割込みと申しましようか、すなわち均分の配分方を、
相当の自信をも
つて要求するつもりでおります。
それから被服の面でありまするが、被服の問題も御指摘の
通りであります。何を申しても、われわれから見ましても――私も地方へも行
つて見ましたけれども、まつたく
田島委員と同じ感じを持
つております。
從つてこういう点をおろそかにするという氣は毛頭ありません。現在の大きなわくの制限内において、できるだけの努力をして、この被服の問題等も改善したいと思
つております。
それから医療問題でありまするが、これはまだ省議できま
つておりませんけれども、二省に分割したために、病院まで分割する。たとえばレントゲンも二台いるじやないかという場合も非常にあるのでありまして、この場合にはたとえば共管とか何とか
考えて、
経費の少いうちは、
逓信省が二つに
なつたから、病院を二つ建てて、しかも不完全な薬や機械を與えて、医療に当るということは、かえ
つて危險でもありまするので、これは今後分割の具体的措置を講ずる場合には、共管とか何とかいうことで、わずかな資金で効果のあるような方策を講ずるつもりでおります。以上大体御質疑の点にお答えした次第であります。