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平川篤雄君 私は昨日
立花敏男君と
小西寅松君の
両君に対して、
懲罰委員会に付するに値する事犯ありと認めまして、
動議を
提出いたしましたところ、
全会一致の御
賛成を得た次第でございますが、ここにいささか私の考えておりますところを述べまして、
趣旨の
弁明をいたしたいと存じます。
私がこの
両君を
懲罰委員会に付すべき十分なる
理由ありと断定する
根拠は、きわめて簡明でありまして、
皆さんがすでに目撃せられましたように、ともかくも
言論以外の
暴力を行使したという点、この点のみにおきまして、すでに
委員会に付託すべき問題であると考えておるからでございます。もとよりこの
行動というものは、分析をいたしてみますならば、いろいろな
考え方ができるかと思います。たとえば、その場の
雰囲氣というものも考えなければなりません、あるいは
因果関係も考えなければならないと思う。その
原因につきましても、
心理的な、あるいは物理的な、肉体的ないろいろな
原因もございましよう。また時間的な系列ということも考えてみなければならないと思います。けれ
ども、さようなことを考えますのは、すべて当
委員会の問題でございまして、さような
判断は賢明なる
懲罰委員諸君がおやりくださればいい。問題はただ
委員会に付すべき
行為があ
つたとすれば、本
会議のあの議決と申しますものは、送り込む
一つの手続として行われていいものであると
判断をいたした次第でございます。
さて
皆さんも御
承知のように、かなり長い時間にわたりまして紛乱は続けられたのでありまして、それに参加いたしました者は、かなり多人数に及んでおることは事実でございます。
議場内で組み伏せたり、あるいは毆打いたしましたり、あるいは
秩序を守
つておりますところの
衞視諸君に対しましても、相当な暴行のあ
つたことは事実でございますし、そういうような
方々の中には、名前を指摘することのできるような、
はつきりした人ももちろんあるのであります。けれ
ども、私が特にこの
立花敏男君と
小西寅松君だけを選びましたことは、
一つには、
民主自由党におかれましても
立花君を指摘しておいでにな
つたようでございますし、また
共産党の方におきましても
小西寅松君を御指摘にな
つてお
つたようである。このことはよほど
はつきりした事実に基いておるものと考えますし、私
どももさように思
つておるわけでありますが、さらに特に私ここに一言いたしたいと思いますことは、この
両君のみを指摘いたしました
理由の最大のものは、次のような
氣持にあるのであります。
すなわちもしもあのときに
院内秩序を乱し、規則に違反した
行動を取上げますならば、無数でありましようけれ
ども、さようなことよりも
——つまり個々人が行いました
行動、これはもちろん
責任を追究すべきでありますけれ
ども、それよりももつと考えなければならないことは、今
國会に入りまして
與党の
諸君も野党の
諸君も、
議長のもとにおきましてできるだけ
國民の信頼にこたえ得るような
議会運営の形式を樹立することに努力をして
参つて來たのでありますが、しかもそれはなかなか確立せられるに至りませんで、これほどまでの問題ではありませんが、小さな紛糾は常に続けられて來たわけでございます。かような事態におきまして、
暴力的な
言動はもちろん、卑猥なるやじでありますとか、あるいは
個人の名誉を毀損しますような
言動、あるいは、公党の
立場をま
つたく何と申しますかどろを塗
つてしまうような、そういう
言動に対しても、
責任をと
つてもらうことはもちろんでありますけれ
ども、いわゆる
暴力ざたというものも含めまして、
民主主義の
議会からかかる一切のものを
將來にわた
つて放逐いたしたいという
心持が十分にあることをお認め願いたいのであります。
次に、私
どもは、すでに起りました件に対しましては、率直にその非を認めまして、
國民に対しまして謹愼の意を表する必要があると考えた次第でございます。これは
小西寅松君あるいは
立花敏男君
個人がさようにすべきことはもとよりでありますけれ
ども、衆議院といたしましてさような
氣持を表明することは、最も
議会の威信を保持する上に大切な問題ではないかということを考えたわけであります。
かかる
意味におきまして、大衆の持
つております
判断と
感情に從順であることのうちに、眞に公平なものが存在すると私は考えざるを得なか
つたのであります。いかにも私
どもは当事者でございませんので、第三者的な冷静な裁判官的な冷たい態度をも
つてこれに当
つて來たように思われるのでありますけれ
ども、決してさような
心持はございません。もつぱらただいま申しましたような
心持によ
つて、この
両君の
懲罰動議を
提出した次第であります。幸いに全員の御
賛成を得まして、ここに私
どもの
動議が御採択になりましたことをたいへんありがたく考えておる次第でございます。これは私の権限ではないのでございますが、ただいま申しましたようなこの
両君の
行動につきまして、いかなる御裁量が行われるか、こういう点につきましては、
先ほど申し上げましたように種々の御
観点もあろうかと存じまする私の
先ほど以來、るる申し上げましたような、
將來にわた
つて民主主義議会から
暴力を駆逐したいというこの
氣持を、その中に十分取込んでいただきますならば、仕合せこれに過ぎるものはないと考える次第でございます。これはまことに蛇足でございますけれ
ども、私の
希望をつけ加えまして以上簡單でございますが
趣旨の
弁明といたしたいと存ずる次第でございます。