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1949-10-19 第5回国会 衆議院 地方行政委員会 第40号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十四年十月十九日(水曜日) 午前十時四十三分
開議
出席委員
委員長
中島
守利君
理事
大泉 寛三君
理事
川西 清君
理事
川本 末治君
理事
菅家 喜六君
理事
藤田 義光君
理事
立花 敏男君
理事
小平 忠君 大内 一郎君
河原伊三郎
君 清水 逸平君
野村專太郎
君 門司 亮君
井出一太郎
君
出席国務大臣
国 務 大 臣 木村小
左衞門
君
委員外
の
出席者
地方自治政務次
官 小野 哲君
地方自治庁次長
遠山信一郎
君
総理府事務官
鈴木
俊一君
総理府事務官
荻田 保君
文部事務官
稻田 清助君 專 門 員 有松 昇君 專 門 員 長橋 茂男君 九月二十九日
委員
八百
板正
君辞任につき、その補欠として足
鹿覺
君が議長の指名で
委員
に選任された。 ————————————— 本日の
会議
に付した
事件
地方自治
に関する件
地方財政
に関する件 閉会中
審査事件
の処理に関する件 —————————————
中島守利
1
○
中島委員長
これより
会議
を開きます。 本日の日程は、
地方自治
に関する件、及び
地方財政
に関する件であります。まず
地方自治
に関する件を議題にいたします。
東京
都の特別区等の問題について、
野村委員
より
質疑
の通告がありますから、これを許します。
野村專太郎
2
○
野村委員
地方自治
に関して、
東京
都の特別区に関する問題について、
政府当局
にお尋ねをいたしたいと思います。
東京
都の特別区は、
地方自治法
第
一條
におきましては、
地方公共団体
であることを明らかに定めておるのであります。同法第二百八十三條及び同
法附則
十七條によ
つて
、市と同様の
権能
を付與されているのでありますが、
現行地方税法
は、その第
一條
に
規定
する
地方団体
の中から特別区を除外し、かつ同法第百三十條及び百三十
一條
におきましては、その
自主的権能
を認めないのでありまして、ま
つた
くこの間にありまして矛盾した法制に
なつ
ているのであります。これがため現在
東京
都の特別区は、
地方公共団体
と
言つて
も、これは空名でありまして、いわゆる
地方自治
を尊重して
地方自治行政
を民主化する
憲法
に反するのみならず、
平和都市
としての発展を阻害するものが大きいのであります。今回
政府
は
シヤウプ勧告
に基いて、
地方税制
の
画期的改正
を行うに際しまして、同
勧告
が、
地方財政強化
の線に
沿つて
、
東京
都の特別区に
自主的財政権
を付與する意図ありやいなかをお尋ねする次第でございます。なお特別区に
自主的財政権
を付與する意図ありとしまするならば、少くともこれから申し上げる
事項
を
関係法令
の中に明定する必要があると思うのであります。これに対する
地方自治庁
の御
所見
を伺いたいと思うのであります。 すなわち第一に、
東京
都の特別区に対して
市町村
同様の
課税権
を付與すること。第二に特別区
相互
間における
財政調整
の必要に対しましては
東京
都がこれを行うものとし、その資金に充てるため、都は各特別区の
同意
を得て、
東京
都條例
をも
つて
特別区税の一部を
東京
都税として
賦課徴收
に得るものとすること。第三には、
東京
都が行う特別区
相互
間の
財政調整
については、適正なる
配分基準
その他の
事項
を
東京
都條例
をも
つて
定めるものとすることであります。第四には、警察、
消防等
のごとく特別区が連合して負担すべき経費につきましても、
東京
都は特別区税の一部を
東京
都税として
賦課徴收
し得るようにするということであります。第五は、以上第二、第三、第四の各
都條例
の
制定
にあたりましては、
地方財政委員会
の
制度
になら
つて
、
関係者
をも
つて
構成する
委員会
において議決するというようにすることであります。以上のようなことが考えられるのでありまして、この問題は、従来から
地方自治
における特別の立場における
東京
都の特別区が、非常に真劍に、いわゆる
地方自治法
の指向する明文によ
つて
、
完全自治
区の実現を従来非常にやかましく主張されてお
つた
わけでありますが、今回
シヤウプ勧告
によりまして、根本的にここで考えねばならぬときにあたりまして、
自治庁
のこれに対する
所見
を伺
つて
おきたいと思う次第でございます。
遠山信一郎
3
○
遠山説明員
ただいま
野村
さんからの御
質疑
でございますが、お説の通り特別区は、
現行
の
地方自治法
におきましては、大体市と同一に取扱う
建前
に
なつ
ておりまして、ただ
人事行政
、
財務行政
並びに道路、水道、伝染病及び
都市計画行政
のごとき
事項
について、都が原則として統一的に処理いたし、区の
自治権
を認めない
建前
に
なつ
ております。そこでただいま御希望がありましたように、
大都市
の取扱いにおきまして区と市とま
つた
く同様な
建前
を認めようとする説と、
大都市
の社会の
特質
にかんがみ、都において一方的に処理して区の
自治権
を認めない、あるいはこれを認めても現在のように範囲をできるだけ小さくしようという
意見
とがございまして、この
両方
の説はそれぞれ一長一短があり、なかなか一概に
決定
のできない点があるのでございまして、
当局
も従来
検討
を加えてお
つた
次第であります。しかるに今度
シヤウプ勧告案
によりまして、この
自治関係
に一層の
検討
を要するところが與えられたのであります。そういうわけでございまして、従来の諸問題についてもただいまそれぞれ練
つて
おる次第でございまするが、後段特別区に
財政権
を付與する意図ありやいなや、特別区に対し、
市町村
同様に
課税権
を與えるかいなか、以下数項の御
質疑
につきましても、実は
シヤウプ勧告案
とにらみ合せまして、ただいまそれぞれ熱心に
検討
を加えておるような次第でございますが、まだ御確答を申し上げられるまでに至
つて
おらないような次第であります。なおこの
方針
をきめまするにあたりましては、できるだけ
利害関係
の深い各方面から、それぞれ御
意見
を十分聞かせていただきたいということでございますので、
機会
あるごとにできるだけ御
意見
をお聞かせくださいまするよう、この
機会
にお願いいたしておく次第であります。
野村專太郎
4
○
野村委員
ただいまの御答弁も今日の
段階
ではやむを得ない、かように考えておりまするが、しかし
両方
の矛盾からいたしましても、この
機会
に何らか
はつ
きりした形に持
つて
行かなければならぬ、かように考えます。これは
東京
の特別区だけが特殊の性格を持
つて
いる、せつかく
地方自治法
が明らかに
民主的憲法
の精神を汲んで、これに指向しておるのですから、同時に
地方税法
もこの点を考えて行かなければならぬと思うのです。しかし実際問題に対しては、今お話の
通り二つ
の考えがあることは、われわれも考慮しなければならぬと思います。われわれ
委員会
としても、これに対しては
十分同僚各位
の御研究を願わなくてはなりませんが、
政府当局
はよろしくこの
機会
にこそ、
はつ
きりした結論を出さなければならぬと存じます。この点に対して近い
機会
に成案を得るように十分御努力を願いたい、かように思う次第であります。
中島守利
5
○
中島委員長
次に、
臨時国会
へ提案せられる予定でありまするが、
地方公務員法
、
地方行政調査委員会議設置法
、
地方自治法
の一部を
改正
する
法律案
、これを
政府
は参考のために当
委員会
に送付されましたから、まず
地方自治法
の一部を
改正
する
法律案
に対して、大体この
法律
を
改正
する
要点
の
説明
をしてもら
つた
方が便利じやないかと思うのです。いずれも正式には
臨時国会開会
後の仕事でありますが、別に御
異議
ありませんければ、そういうふうにはからいたいと思います。どうですか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
中島守利
6
○
中島委員長
御
異議
なければさよういたします。
鈴木俊一
7
○
鈴木説明員
それでは
地方自治法
の一部を
改正
する
法律案
の
要点
を御
説明
申し上げます。
地方自治法
の
改正
をせよというような
要望
は、最近
地方
から頻々としてございまして、全国の
地方団体
の
各種
の
連合会等
からも、この点をああせよ、こうせよというように、
改正
の
意見
が多々あ
つたの
でございますが、そういうようなものの中で、さしあたり
政府
といたしまして
改正
をしていただきたいというものを拾いあげて、今回の
地方自治法
の一部
改正法律案
の提案をいたす運びに、今いたしておる次第でございます。その中の主要な点について御
説明
を申し上げますと、まず一番最初の第四條であります。第四條は
都道府県
の
府県庁
、あるいは
市役所
、
町村役場
というような
地方団体
の
事務所
の
位置
を定めたり、
変更
いたします場合は、
條例
で定めるように
なつ
ておるわけであります。その
條例
を
制定
変更
いたします場合には、現在では
地方団体
の
議会
が、
單純
な
過半数
の
決定
によ
つて
これを定めることができるように
なつ
ておるのでありますけれども、
地方
におきましては、この
役場位置
の
変更
、あるいは
県庁所在地
の
変更
というようなことで、いろいろ政治的な問題を起しておりまして、また事柄としては
住民
の
利害
に直接非常に
関係
のある問題でありまして、まことに重大な問題でもありますので、
單純
なる
過半数決
でなくて、
出席議員
の三分の二以上の多数による
同意
を得るようにしようというのが、この
改正
の
一つ
の
要点
であります。 それからその次の十六條の
関係
の
改正
は、やや技術的な点でございますが、やはり裁判上いろいろ問題に
なつ
ておりまして、たとえば
知事
が
條例
を
公布
いたします場合には、自分の
署名
をいたしまして、さらに捺印をいたして、これを公示するわけでございますが、そのような
手続
が確実に行われておりませなか
つた
ために、その
條例
をもととして行いました
知事
の
処分
が無効になるというような
例等
がありまして、どうも
條例
の
公布手続
その他につきまして、今少しく基本的な
規定
を
法律
におきましても、
地方
の
條例
におきましても、明確に
規定
する必要があるというふうに考えまして、第十六條の
改正
をお願いしたいと思うのであります。
條例
を
議会
で議決いたしましたならば、その日から三日以内に長の方に送
つて
来る。長はそれから二十日以内に
公布
をする。
公布
の日から起算をして十日経過すれば
施行
をする。そういうふうに
法律
、
條例
の
公布
に関する
手続
を明確に書きまして、さらにその次の項に、
地方公共団体
の長の
署名
とか、
施行期日
の
特例等
も
條例
で明確に定めるように、
法律
をも
つて
要求をするようにいたしたい。 それからその次の七十四條の二の
改正
でございますが、これは一番
地方
で問題に
なつ
ております
各種
の直接
請求
の
制度
につきましての
改正
でございます。直接
請求
の
制度
は、御
承知
のように
地方
の
條例
の
制定
、
改廃
の
請求
と、
知事
、
市町村長
あるいは
議員
というような、
主要公職
におる者の
解職
の
請求
と、
議会
の
解散
の
請求
、それから
事務監査
の
請求
、この四つの直接
請求
の
方法
があるのでございます。そのいずれの直接
請求
の
方法
におきましても、非常に問題に
なつ
ておりまする点は、
署名
の点であります。この
議会
の
解散
と、
主要公職
におります者の
解職
の
請求
につきましては、
関係区域
の
有権者総数
の三分の一以上の
署名
がなければならない。
條例
の
制定改廃
と
事務監査
の
請求
につきましては、同じく
有権者
の五十分の一の
署名
がなければならない。こういうことに
なつ
ておりまするが、その
署名
を集めます
方法
、また集められた
署名
を
選挙管理委員会
におきまして
審査
いたしまして、はたして
法定
の数に達しておるかどうかということを調べます
手続
が、従来非常に不十分でございまして、そのために
選挙委員会
といたしましては、非常に
審査
に困難を感じておるのみならず、またそういう
運動
をいたしまする者も
はつ
きりとした
基準
を定めておりませんので、非常に迷惑を感じておるというような
実情
でございまするし、また
署名
の
運動
に際しましても、そういうような
関係
から、相当場合によりましては
各種
の適当でない
方法
を用いまして、たとえば代筆をいたしまするとか、あるいは不正の
方法
によりまして
署名
を集めまするとか、全然違うことを
言つて署名
を求めるというような、
各種
の不都合な点がございまするので、そのような場合におきましては、大体この
選挙
の
運動
と同じような形において是正をするようにいたしたいというようなところから、直接
請求制度
につきましての
改正
をいたしたい、こう考えたのでございます。 その
内容
を概略申し上げますと、まず七十四條の二では、直接
請求
の
代表者
が
署名
を集めました場合には、その
署名簿
を
市町村
の
選挙管理委員会
に
提出
をいたしまして、
審査
を受けるわけでありまするが、
選挙委員会
はその
署名簿
の
提出
がありましてから、二十日以内に
審査
をするということに
はつ
きりと法の上で
規定
して、そうして
審査
が終りましたならば、その終りました日から十日以内に
市役所
とか、
町村役場
というような指定した場所において
一般関係人
の
縦覧
に供する。その
縦覧
の
手続
を経まして初めて確定する。こういうような形にいたしたのであります。なお
縦覧期間
中において、
異議
があります場合には、
選挙管理委員会
に
異議
の
申立て
をすることを認めまして、それによ
つて選挙管理委員会
がさらに自己の
審査
の補正をする、こういうことの
手続
を認めたのであります。そういうふうにして
縦覧
が済みまして確定をいたしました場合には、その
総数
を告示するわけであります。なお
異議
の
決定
についても不服があれば
訴願
をいたしまするし、
訴願
の裁決に不服があれば
高等裁判所
に三十日以内に出訴ができるというような救済の
手続
も認めておるわけであります。 そうしてその次の七十四條の三でありますが、
選挙管理委員会
がただいま申し上げましたように、
署名簿
の
提出
を受けまして、これを
審査
いたしまする場合には、従来
法律
上
はつ
きりとした
基準
がございません。
投票
の有効、無効を
決定
すると同じような
意味
の
基準
がございませんので、
法律
の上にそういう
基準
を
はつ
きりと書くことにいたしたのであります。すなわちその一は、
法令
の定める
成規
の
手続
によらない
署名
、これは無効である。それから何人であるかを確認しがたい
署名
、よく氏名のわからないというような
署名
、この
二つ
は当然形式によ
つて
明確でありますから、無効ということにいたします。なお
詐欺
、
強迫
に基くものにつきましては、やはりそういうような
署名
を無効とすることが望ましいのでありまするが、そういう意思の内部の
関係
のことは
選挙委員会
が書面の
審査
いたしましてもわかりませんので、そういうような
詐欺強迫
に基く
申立て
がありましたものについてだけそれを
審査
いたしまして、間違いなく
詐欺強迫
に基くものであるという場合には、これを無効とするというふうにいたしまして、この
審査
をいたします場合に必要があるときには、
関係人
の
出頭証言
を求めるというような形にいたしております。 それから七十四條の四でありますが、これは
署名
につきましては従来全然
罰則
の適用がございませんが、大体
選挙
の
投票
と同じような
内容
の
行為
であるにかかわらず、全然これを放任をいたしおるということは、一面
選挙運動
との
関係
を考えましても、必ずしも適当と思えない
状態
でございまするし、またそのように
罰則関係
が放任せられておりまするために、
各種
の
署名
の自由公正を害するような
行為
が行われておりまするので、
署名
につきましても
署名運動
の自由公正を確保するために、特に必要であると思う
事項
につきまして、
選挙法
に定めておりまする
罰則
と同じ程度の
罰則
を定めることにいたしたのであります。大体種類をわけますと三つございまして、
署名
に際して
暴行威力
を加え、あるいはそれを拐引する、あるいは
交通集会
の便をさまたげたり、演説を妨害したり、その他要するに不正の
方法
をも
つて
署名
の自由を妨害するというようなものが
一つ
であります。それからいま
一つ
はいわゆる
利害関係
を利用いたしまして、
署名運動者
あるいは
署名権者
を威逼したというようなものでございます。この
二つ
のものは四年以下の
懲役
もしくは
禁錮
。これは
選挙法
の
規定
とま
つた
く同じ
内容
の
規定
でございます。それから
署名
の数の
増減
をしたり、
偽造
をしたりした者、こういう者につきましても、もちろんこれは何らかの矯正をする必要がございますので、これも
投票
の
偽造増減罪
と同じような形に三年以下の
懲役禁錮
、五万円以下の
罰金
というふうにいたしたわけでございます。それからなお
政令
の
規定
に違反したものにつきましては一万円以下の
罰金
を科する。こういうような
内容
の、
署名運動
におきまする自由公正を確保するための
制裁規定
を加えたということであります。 それから七十
五條
以下は、
各種
の直接
請求制度
につきまして、ただいま直接
請求
につきまして申し上げましたものと同じような
趣旨
のものを書き加えておるのであります。 それから百二條の二に、
都道府県
にあ
つて
は毎年四回以上
定例会
を開くというふうなことにいたしてございます。現在は
都道府県
も
市町村
も、ともに毎年六回以上の
議会
を開くことに
なつ
ておりまするが、最近の
実情
を見ますと、隔月に一回
定例会
を開くことは、やはり
議会
を開きますと、
追加予算
の
提出
とか、その他そういうようなことがございまして、
執行機関側
もそのための
予算編成等
につきましては相当の時間を費されるということでありまするし、そういう
意味
で
府県行政
全体の
能率
の上から申しまして、いま少しく少くしてもいいのではないか、一方
臨時会
という
制度
がありまして、緊急の必要がある場合は、いつでも招集できるように
なつ
ておりまするから、
定例会
として開くべきものは一応最低限を四回くらいにしたらどうであろうか、ことに
府県
内の各
地方
から
議員
がお集りになるわけでございますから、六回きちんと開くということは、どうも六回きちんと開くということは少し
むりな点
がありはしないかというようなことで、四回以上ということにいたしたのであります。
市町村
の方は集まると言いましても簡單でございますから、この点は
現状通り
六回ということにいたしておきたい、こう考えておるのであります。 それから百五十
五條
でありますが、百五十
五條
に
市町村
におきましては現在
支所
を設けることができる、こういう
規定
に
なつ
ておりまして、
町村
を市が合併いたしましたような場合におきましては、前の
町村役場
の
所在地
を
市役所
の
支所
という形にしております。いろいろ
市役所
から
連絡
をいたします
事項
のために事実上
連絡事務所
とか、そういうようなものを置いてある例が多々ございますが、そういうような点は
政令
第十五
号等
との
関係
もございますので、法文に
はつ
きりとその根拠を與えたいということでありまして、
市町村
が
出張所
を設けることができるというふうにいたしたのであります。
五大都市
とか
東京
都におきましては区役所の
出張所
が設けられます。 それから百五十八條であります。百五十八條におきましては
都道府県
の
局部
の
制度
を定めてございますが、この
建前
は従来全部の
都道府県
の
事務
につきまして、それを処理する
部局
を
法定
いたしてお
つたの
でございますが、
改正案
におきましては、
公共事業
の
経営
に関するものは、
企業
の
能率
を最もよく増進せしめるために
法定
をすることをやめまして、その
都道府県
の
実情
並びに
公企業
の
特質
に従うように、自由に定められるようにいたそうということで、
法定
をすることをやめて
しまつたの
であります。
條例
で、
公企業
の
経営
に関する
事務
を処理するためには、どういうような組織を設けてもいいということにいたしたのでございます。これに反しまして、いわば行政的な
事務
を処理いたしますものにつきましては、これは
政府
の各省との
関係
もございますし、あまり乱雑な
局部
の姿になりましては、また
住民
の側から申しましてもいろいろ不便もあろうと思いますので、そういう
行政的事務
を処理する
部局
だけを
法定
するというふうにいたしたのでございます。そういうように
建前
をかえました結果、たとえば
東京
都の
交通局
とか、水道局とかいうものを
法定
いたしますことをやめまして、また
道府県
の
公共事業部
というようなものを
法定
することをやめたのであります。なおこれに関連いたしまして
農地部
というのが
道府県
に必置の部として置いてあるのでありますが、
農地改革
後いわゆる荒削りの
段階
は終りまして、現在では登記というようなことが残された一番主要な
事務
に
なつ
ておりますので、これを必ず置かなければならない部から
任意
に置く置かないということをきめる、
任意設置部
の方にまわしまして、置く置かないということを
都道府県
の自由にきめるようにすることにいたしたのであります。これが
都道府県
の
局部
に関する
改正
でございます。 それから百九十九條の第五項として、
地方団体
が
補助金
、
交付金
、
貸付金
その他
財政的援助
を與えておる
団体等
につきまして、
監査委員
の
出納
その他の
事務
の
監査権
を認めるようにいたしました。この点は従来
監査委員
の
連合会
からも、しばしば
要望
のありました点でございますし、
公金
の適正なる使用を確保するという
意味
から、こういうようなことを認めることが適当であろうと考えたのでございます。 二百四十四條の二でありますが、これは
出納長
、
收入役
につきまして
賠償責任
の
規定
を設けたのであります。現在
出納長
、
收入役
が善良な
管理者
の注意を怠りましたために、現金、
物品等
を亡失、毀損したというような場合においては、
一般民法
の
規定
の適用によ
つて
これを処理することにいたしているのでありまするが、やはり
公金
の保管の責に任じまする
出納長
、
收入役
については、
一般
の
裁判所
による
賠償責任
の
決定
というよりも、その前の
段階
におきまして、やはりそういう事実を
監査委員
の
監査
に付し、さらに
議会
にも
関係
をつけまして、
監査委員
の
監査
の結果に基いて期限を定めて
賠償
をさせる。またもしもその
出納管理
について免責を受けるだけの正当な事由があるという場合においては、
監査委員
が再
審査
をして、さらに
議会
の
同意
を得て、
賠償責任
を免除するという
方法
をあわせて認めるようにいたしたい、こういうことによりまして、
賠償責任
の
訴訟
によらず、すみやかにかつ合理的に解決するようにいたしたいと考えたのであります。 それから
各種
の
地方自治法
に基く
争訟
の問題でありますが、これは御
承知
のように
行政事件訴訟特例法
という
法律
がございまして、すべての
知事
、
市町村長等
の
処分
につきまして、一定の
條件
に該当いたしまするものは
処分
を、六箇月の
期間
内に
裁判所
に出訴できることに
なつ
ておりまするために、たとえばいろいろな
選挙
あるいは
投票
に関する
争訟
でありますとか、先ほど申しました直接
請求
に関する
争訟
、あるいは
議会
の
解散
の
処分
あるいは
不信任議決等
につきましての
各種
の
争訟
が、
地方自治法
に書いてありますもの以外にも提起提訴できるように
なつ
ておりまして、そのために
地方議会
が一応
決定
をいたしたこと、あるいは
知事
、
市町村長
が
処分
処理いたしましたことが、常に不確定な
状態
にあるような形に
なつ
ているのであります。そこで
地方自治法
においては出訴をでき得まする場合を
はつ
きりと
規定
いたしまするとともに、また出訴する
期間
も
はつ
きりと特別に
法定
いたしまして、そしてまた
裁判所
に参りましてから後も、
選挙投票
その他のすみやかに解決を必要とするような
争訟
につきましては、大体百日以内に判決をするように努力しなければならないというようなことを
規定
いたしまして、
争訟
の結果に基きまして、長い間不安定な
状態
に
地方政治
を置くことを避けよう、そのために
地方自治法
に基きまする
争訟
は、すべて
地方自治法
が定めたその
手続
によ
つて
これを処理して行こう、こういうふうにいたしたいというのが、この二百五十
五條
の二の
改正
並びにその他各條に、そういう
趣旨
を盛り込んだ
規定
がいろいろ入
つて
おります。そういう
訴訟手続
を
改正
した点が今後の
一つ
の点であります。 最後に
出先機関
、いわゆる国の
地方出先機関
の整理の問題でありますが、これに関連して
政府
といたしましては、通産省の
地方
の
通商産業局
の
分室
と、運輸省の
陸運局
の
分室
とこの
二つ
を、十一月一日から廃止して、
都道府県
に統合するということに閣議で
方針
を
決定
いたしているのでありまするが、それを具体化するために、
地方自治法
の
附則
の中に、その
関係
の
規定
を若干盛り込んであるのであります。それは
附則
の第三項に書いてありまするが、今の
二つ
の
出先機関
を統合いたしまして、当分の
間條例
で、そういう
事務
を処理するための
事務所
を置くということを
規定
いたしたのであります。 それからなお臨時物資需給調整法に基きまして、この
陸運局
の
分室
、あるいは
通商産業局
の
分室
が仕事をいたしておりまするが、その臨時物資需給調整法に基きます
事務
を処理いたします場合におきましては、「主務大臣は、」——主務大臣というのは運輸大臣あるいは通商産業省の大臣でありますが、
事務
の管理又は執行が、
法令
の
規定
又はこれに基く主務大臣の命令に違反するものであると認めるときは、これを取り消し、又は停止することができる。」ということを、この
附則
の第七項に、特に
出先機関
の廃止に関連して加えた次第であります。
地方自治法
の
改正
は大体以上のような点が主要な
要点
でございます。 —————————————
中島守利
8
○
中島委員長
次いで
地方行政調査委員会議設置法
案について
政府
の
説明
を願いたいと思いますが、御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
中島守利
9
○
中島委員長
御
異議
がなければ、さようにはからいます。
鈴木説明員
。
鈴木俊一
10
○
鈴木
(俊)
説明
員 それでは
地方行政調査委員会議設置法
案につきまして、概略のことを御
説明
いたします。 これは
シヤウプ勧告
の中に
地方自治
の関しまする問題として、この点に触れておるのであります。すなわち
地方自治庁
を廃止いたしまして、
地方財政委員会
を設けるということを一方において
規定
いたしておりますると同時に、他方におきまして
地方自治
の従来最も欠陷でございました財源は、
市町村
を第一に、都市、
都道府県
というような形で、
市町村
に優先権を認めました財源の配分をいたしますると同時に、
市町村
、
都道府県
あるいは国が行います行政
事務
につきましても、これをいかように配分するかというその基本の
方針
を欠いておるのであります。すなわち終戰後の
地方
制度
の
改正
によりまして、
地方自治法
がまず
制定
せられまして、
地方自治
の理念あるいは
地方自治
の運営の
方法
というものは、これは完全に民主化せられたわけでございますが、財源の問題につきましては、今日の
シヤウプ勧告
に至るまで解決せられていなか
つたの
であります。と同時に、またいかなる仕事を
都道府県
市町村
が行うかという点、すなわち
地方
分権の一番本質に触れます問題については、教育と警察
制度
につきまして
改正
の行われましたほかは、特に見るべきものが今までなか
つたの
であります。あるいは
法律
が若干
改正
せられましたけれども、法文の書き方が改ま
つた
という点、あるいはその他の点において
改正
が加えられたということでありまして、
事務
を国から
都道府県
に委讓するという
趣旨
の
改正
は、実は警察
制度
、教育
制度
の
改正
以外におきましては、ほとんど終戰後見るべき点がなか
つたの
でありまして、実は仏つく
つて
魂入れずというような形に
なつ
ております。この
地方自治
の
建前
を、
市町村
を中心として、
市町村
に処理できない仕事は、
都道府県
、
都道府県
に処理できない仕事は国がやるというような
建前
にいたしまして、すべての行政
事務
を処理して行く、行政
事務
を再
検討
して配分をきめて行く、こういうような形の仕事を処理するために、
地方
行政の組織
委員会
というものを設けて、專門家にそれを研究させてやるということが書いてあるのであります。それを具体化いたしましたのがこの
地方行政調査委員会議設置法
であります。これは考え方といたしましては、そういうようないろいろなものを企画立案をする機関でありますが、性格はやはり一種の審
議会
というようなものになるのであります。そこで総理府の附属機関として
地方
行政調査
委員会
議を置くことにいたしました。第三條にそのねらいが書いてございまして「
会議
は、
地方自治
を充実強化して国政の民主化を推進するため、
地方自治
を基底とする
市町村
、
都道府県
及び国
相互
間の
事務
の配分の調整等に関する計画につき調査立案し、その結果を内閣に
勧告
する。」それから「前項の計画は、左に掲げる
事項
に関するものとする」とありまして、「
市町村
、
都道府県
及び国
相互
間の
事務
の配分の調整」それから「
地方公共団体
の機関に委任して行う委任
事務
の調整」——これは現在国が
地方
に委任する仕事といたしまして、団体自体に委任いたします仕事と、
市町村
とか
地方公共団体
の機関に委任する
方法
と
両方
あるのであります。機関に対して委任する
方法
といたしましては、
議会
が本来的な議決権を持
つて
おりませんので、そういうようなことも、やはり
地方自治
の本旨からして適当でない。そういうようなものをやはり再
検討
しよう。こういうことであります。そういう
地方
に委任をしてあります
事務
に関連をして
補助金
制度
があるわけでありますが、
事務
の存廃に関連をいたしまして、
補助金
制度
についても
改正
を加える。それからさらに
事務
の配分の調整に関連をいたしまして、あるいは
地方団体
の区域等につきましても徴税の措置を講ずる必要が出て来るというような点にも
勧告
の中に触れておりまして、そういうような点を第四号で今
規定
をいたしておるのであります。なおこの
委員会
の性格といたしましては、内閣に
勧告
をいたすわけでありますが、内閣はその
関係
の法案
提出
等については、
会議
の
勧告
を十分尊重しなければならないということを
規定
いたしておるのであります。 それから第
五條
ではこの
委員会
の構成の
方法
を
規定
いたしております。これは
勧告
に書いてあります通りでございまして、
知事
会、市長会、
町村
長会の連合組織の
代表者
が推薦した者各一人、総理大臣が任命いたします者二人、この五人でこれを組織するというふうに
規定
をいたしておるのであります。なお
連絡
協
議会
というものを設けまして、
関係
の各省側と各
地方公共団体
側の
両方
からの
代表者
をも
つて
構成をいたしまして、現在中央各省において、また
地方団体
において処理しておりますすべての行政
事務
について、その再配分を
検討
するその
連絡
機関にこれをしようということであります。 それから第九條で、專門調査員を置きまして、こういうような仕事を各部門に分けまして、研究をいたすわけでありますが、その責任をも
つて
調査をいたします仕事に当らせるためには、二十人の專門調査員を置くというのが大体の調査
委員会
設置法案の
内容
でございます。 —————————————
中島守利
11
○
中島委員長
木村国務大臣がお見えになりましたから、法案の
説明
はこのくらいにしておきまして、この際
地方財政
に関する件と
地方自治法
に関する件を
両方
一緒にしましてあわせて議題といたします。各
委員
の
質疑
を許したいと思います。教職員に関する
関係
で文部省より初等中等教育局長の稻田清助君が出席されておりますから、前会において問題に
なつ
ておりました定員定額に関する教職員の
関係
の
質疑
をこの際許したいと思います。
川本末治
12
○川本
委員
私は義務教育に従事する教員の定員定額の点につきまして、この際文部
当局
にお尋ねいたしたいと思います。すでに本件につきましては、
地方自治庁
の財政部長から、本年六月三十日付で、各
都道府県
知事
あてに義務教育に従事する教員の定員及び給與の定額等についてと題する通牒が発せられたのでありまするが、この通牒の取扱いにつきましては、各
地方
庁におきまして相当波瀾が起りまして、本
委員会
におきましても問題と
なつ
ておるところでありまして、問題の
要点
といたしまするところは、右の通牒において財政部長は、先般文部省から各教育
委員会
あてに通達された教員の配当定員は国庫負担の
基準
とするもので、
地方
負担の財源もこれに即応して措置するものであることを示しております。さらに右の定員以上の人員を
都道府県
が單独
地方
費をも
つて
設置することは、現下の財政事情にかんがみ、
地方財政
法第二條に違反し、さらに同法第二十六條に該当するものであるので、必ず年度末までには整理を完了して、来年度以降定員は義務教育費国庫負担法に基く該当定員以内とすることを指示しておるのであります。はたして
地方自治庁
が、
地方
に対し、右の定員以上の人員を年度末までに必ず整理することができるかどうかということ、もしこれを整理するとしますれば、
地方
の自主性を害して、
地方自治
を侵害することになるというこの点が問題と
なつ
ておりましたが、この点につきましては前回の
委員会
において
政府当局
に対して
質疑
がなされております。当時御出席の小野政務次官の答弁によりますると、財政部長の通牒はもつぱら財政上の見地からなされたものであ
つて
、決して
地方
の教育上自主性を害するものではない。ただ
地方財政
窮迫の現状においては、ある
地方
が定員以上の人員を擁しておれば、勢い隣接
府県
にも影響がある、かかる余力ある
地方
に対しては、
地方財政
の全般的調整上、操作に考慮が拂われなければならない。かような結果になるのである。すなわち通牒の文面によりますれば、
政府
の指示した定員以外には、絶対人員を置けないと解されるが、実際上は各
地方
の特殊
事件
もあ
つて
、定員だけで片ずかない問題もあるので、それでも
自治庁
はこれを認めるのかという質問であります。自治という質問に対しまして、
地方財政
の見地から所要の措置を
要望
する必要があるのですが、自治の本旨を尊重し、
政府
としてもこれに対してはとかくの干渉はしない。すなわち原理的には反対しない旨の答弁があ
つたの
であります。しかしながら実質問題といたしましては、定員外定員をそのままにしておいたり、また新しく置いたりすれば、たといその
地方
の單独経費をも
つて
処理するといたしましても、それだけ
地方財政
を圧迫することに
なつ
て参ります。結局
地方財政
の
一般
的調整の上から操作を加えられることとなるのでありますが、義務教育に従事する教員の俸給の半額は国家が負担しており、さらに国が国家的見地から、全般的に各
地方
の
財政調整
をしておりまする事実等に徴しましても、右の財政的見地から見ますれば一応もつとものことであるとも考えられます。結局問題は、財政部長の通牒の基礎と
なつ
ておりまする定員定額が、はたして妥当なものであるかどうかということであります。そこで私は文部
当局
に対しましてお聞きしようといたしますることは、この定員定額の根本的の
趣旨
、すなわち定員定額は、どういう目的精神から定められたものであるか、従
つて
これは実際にどういうふうに運用すべきものであるかということであります。なおこの
制度
はどういう
手続
経過を経て定められたものか、文部
当局
としてはこの定員並びに定額は、十分
地方
の
実情
に即し、
要望
に沿う完璧のものとされておる。また運用面におきましても伸縮を加えたり、あるいは定員数そのものを
変更
するほど、彈力性を持たせることができるものであるかどうか、端的に申しますれば、
地方
が定員外の人員を置いた場合に、文部
当局
としてはこれを禁ずる
方針
であるか、これらの点につきまして定員定額制の直接の所管省でありまする文部
当局
の、明確な御見解を第一に承りたいと思う。
稻田清助
13
○稻田
説明
員 前回の
委員会
における
質疑
応答の状況につきまして
承知
いたしませんので、あるいは御質問の御
趣旨
に応じないお答えになりはしないかという点をおそれるのでありますけれども、ただいま御質問の
趣旨
に要約いたされました諸点につきましてお答えいたしたいと存じます。 第一はいかにしてこの定員定額制というものが勘案せられて来たかというような御
趣旨
であるようでありますが、御
承知
のごとく十何年以前のおきましては教員の俸給費は
市町村
費の支弁であ
つた
わけであります。その当時におきまして
市町村
の財力その他の
関係
におきまして、非常に
市町村
ごとに教員の待遇が区々であ
つた
。そういう点が教育に及ぼしまする影響を考えまして、一面これを
都道府県
費支弁といたしまするとともに、また
府県
間の財力によりまする分均衡を是正するという
趣旨
によりまして、教員俸給費の半額国庫負担ということが考えられまして、この義務教育費国庫負担法が
制定
せられたというように承
つて
おるのでございます。ただその教育費国庫負担法
制定
当時より昨年度に至りまする長い間におきましては、いわゆる補充費の
制度
で経過して参
つた
ことは申すまでもないことでありますが、補充費と申しますれば、
都道府県
においてまず必要な経費を計上する、その半額をあとから国が補給する、こういうような
方法
で参
つたの
であります。しかるにごく近年の趨勢を見ますると、
地方
の財政的
自治権
が非常に拡張いたしました結果でありまするが、当初国が国庫負担分として見積りました経費よりも、年々の補充分が非常に実際支給において増大化しまして予備金その他の
方法
によりまして、追加支給いたします分が非常に多く
なつ
た。そこでいろいろ財務
関係
当局
とも研究いたしまして、半額負担すべき定員、定額はまず国費において予算をきめます場合に、国費負担分は国費として先にきめて、これに対応すべき県費を県において負担する。その場合、合理的な定員、定額を算定しようということから出発いたしまして、いろいろ適当な定員、定額を研究いたして参
つたの
でございます。そこで一応定員におきましても、生徒一人当り小学校において五十分の一・五あるいは中学校において五十分の一・八というような数字も考えまして、進めて参
つたの
でありますけれども、御
承知
のように均衡財政を確立するというような、非常に大きな要請に当面いたしまして、結局のところ定員におきましては、二十三年の現状において特別の整理はしないが、その現状を維持するというような線で完了いたしました。その結果において、小学校において御
承知
のごとく五十分の一・三五、中学校において五十分の一・七をという数字が算出せられたわけであります。教育上の観点から見まして、このわくは決して十分ではない。県におきましてもこれを経理せられます上において、非常に困難であるとは存じたのでありますけれども、今日各方面におきまして、人件費につきまして、あるいは定員につきまして、非常にその苦痛を忍ばなければならぬ現状を、やはり教育におきましても忍ばなければならぬというような観点をもちまして、この予算が先般の国会において御
決定
に
なつ
たものと考えるわけでございます。ところで各
府県
におきまする定員の
決定
であるとか、あるいは任免の問題でございまするが、この点につきましては、やはり前の国会において御
決定
になりました新しい教育
委員会
の法規の精神、
内容
から推して考えますれば、ま
つた
くその任免権は
地方
の
都道府県
教育
委員会
にあるのでありまして、文部大臣といたしましては、これに対しまする監督権、指示権を今日におきましては持
つて
ないのであります。従いまして
地方
におきまするこうした義務教育職員の任免等につきましては、任免権者でありまする
都道府県
教育
委員会
が、
財政権
者であります
都道府県
知事
とよく御相談になりまして、適当なところに落ちつけていただくということを、私どもといたしましては期待する以外に、特別の監督筋を現状において行い得ないという機構に
なつ
ておる次第でございます。
川本末治
14
○川本
委員
今の御答弁で、私がいま一度お尋ねしておきたいと思いますることは、文部
当局
といたしまして、現在の定員、定額を、特にこの定員数をも
つて
全国の義務教育の教員の数に充てて十分であるとお考えに
なつ
ておるかという点であります。
稻田清助
15
○稻田
説明
員 あらゆる面もそうでございまするけれども、そうした理想と現実という面につきまして、われわれといたしましては、常に十分であると満足することは非常にまれでございまして、この点につきましても、いろいろな財政問題その他の状況を勘案いたしまして、まずやむを得ないと考えておるような次第でございます。
川本末治
16
○川本
委員
そういうお答えを承りますと、文部省の方では義務教育の教員の数が、理想的には足らなくてもやむを得ないというような御答弁のように聞えるのであります。義務教育である以上、さようなことをしておかれて、それで
政府当局
としては責任はない、こういうふうにお考えに
なつ
ておるかどうか、こういう点であります。
稻田清助
17
○稻田
説明
員
政府当局
といたしましては、国会の議決せられました予算、及び国会の議決いたしました
法律
の線に沿いまして、その
趣旨
を行政に現わします以外に
方法
はないと考えております。
川本末治
18
○川本
委員
お尋ねしておるのはそういう点じやないのです。予算の面ばかりでなく、現在のような人員をも
つて
して、当面の監督の責任のある文部
当局
はそれで満足しておられるかどうかということを承りたい。もし満足していないという御答弁でありますならば、実際上
地方
におきましては、あの定員法によ
つて
はや
つて
行けないということは、これはもう私が申し上げるまでもなく、
当局
はよく御
承知
のはずだと思う。そうすれば、前国会においてはそういうふうに
なつ
たが、次にはこれに対してどういう手を打
つて
行きたいというようなことをお考えに
なつ
ておりますかという点を、さらに承りたい。
稻田清助
19
○稻田
説明
員 満足不満足の点につきましては、また繰返してお答え申し上げることは差控えたいと思います。 次の国会の問題でありまするが、これは当
委員会
におきましてもすでに御研究の問題だと存じますが、明年度以降におきましては、例の
シヤウプ勧告
の線に沿いまして、おそらくこうした
補助金
は廃止せられまして、新たにこうした
地方
の必要、財政需要につきましては、
法律
の根拠といたしまして一定の
基準
ができまして、そうした財政需要費と
地方
の財源に対しまする
基準
の算定が行われる。その算定の差額に対しましては、新たに設けられる平衡
交付金
において充当せられるということになるであろうと想像せられるのであります。従いましてこの教育につきましてもそうした財政需要費算定の
基準
の作成におきまして、十分行政の要旨が満たせられますように、われわれとしては研究いたして参りたいと考えております。
門司亮
20
○門司
委員
私はこの前の
委員会
に出ておりませんでしたので、多少問題が前後するかもしれませんが、財政
当局
と
両方
にあわせて少しお聞きしておきたいと思うのであります。その
内容
はすでに前の
委員会
にも申し上げましたように、今の川本君のお話にもありました通り、
地方
の教育
状態
というものは、文部
当局
がお考えに
なつ
ておるような国家予算のみに拘泥して
地方
の教育というものをま
つた
く無視したお考えでおやりに
なつ
ておることについては、非常にきゆうくつな思いを実はいたしておるのであります。財政
関係
からああいう通達が出ませんでも、
地方
におきましては、この定員定額については、かなり大きな支障を来しておるようであります。
一つ
の実例を申し上げますと、教員の中にはからだが悪か
つた
り、あるいはその他の事情で休校をいたしておる、いわゆる休職の
状態
にある職員がかなり
一つ
の学校であるのであります。それらの職員もやはり定員の中に入
つて
おる。従
つて
実際の
実情
といたしましては、文部
当局
のお考えに
なつ
ておりますよりも、はるかに少い人員で実際の教育を行わなければならないということが
実情
であります。と同時にまた
地方
の
町村
の教育
状態
というものは、すでに御存じのように、この定員定額を当てはめられて行きますと、学級数よりも先生の数が減るような
状態
ができて来る。そういう場合におきましては
地方
ではこの休職の教員、さらに非常に兒童数の少い
地方
におきましては、やむを得ざる
実情
として、当然定員定額のみに拘泥するわけには行かない。そこで文部
当局
も前の
議会
でありますか、どこかの
会議
でお話になりました処置を聞きますと、必ずしもこれによらなくてもいいのだというお話があ
つた
かのようにわれわれは聞いておりますが、必ずしもこれによらなくてもいいという
状態
にありますために、多少
地方
の公共団体においては手心を加えて、そうして教育の完璧を期するために努力をしておることは事実である。その際に財政的の見地からこれを嚴守せよというようなことが、財政部長の名において通達が行くということになりますと、いまだ日本の行政が、中央集権から離れて、そうして
地方
の自治体で完全にや
つて
行けるというに至らない。先ほどお話のように、文部省としては教育問題については教育
委員会
がやるのだから、自分たちの関知するところじやないということを答弁されておるけれども、しかし文部
当局
がそういうお考えであ
つて
も、財務
当局
の方からそういう指示が出て参ると、
地方
の自治体というものはま
つた
くデイレンマに陷る。同時に財政の窮迫いたしておるときに、配付税が減らされるということになると、財政全体に影響を及ぼして参りますので、やむを得ざる処置としてこれに服従しなければならない。服従する県の
理事
者としては、單にこれは
手続
上の問題であり、あるいは行政上の問題でありますが、これに直接携
つて
おる教職員は、一面において自分の職を失います原因がここに生まれ、さらに残
つて
おる職員は、非常に過重な任務を負わされる、こういうことに
なつ
て来る。そう
なつ
て来ると今の教育
状態
が、ややもいたしますと自由の名のもとに比較的統制のない、自由をはき違えた教育が
地方
に行われてお
つて
、放任的の面が教育面に多少行われないでもないとわれわれは観察する。その際に教員の不足を来しておるような
状態
になるならば、せつかくの日本のほんとうの自由な教育というものは行われないで、放任の教育というものが行われる形になる。この点は文部
当局
としては多少お気づきのことだと思
つて
おる。そこで私のお聞きしたいのは、文部
当局
はこの財政部長の通牒に対して、いかなるお考えをお持ちに
なつ
ておるのかということを、一応、この
機会
にお聞きしておきたいと思う。
稻田清助
21
○稻田
説明
員 財政部長がそういう通牒を出されました点については、そうしたお考えを
地方自治庁
当局
が持
つて
おるということは、ときおり文部省としては
承知
いたしております。また今日の
法律
の解釈といたしまして、解釈上誤りのないことはもちろんでございます。ただ文部省としては実際にその警告を出されました線に沿うて適用せられる点については、十分
地方
の教育の
実情
を、
地方自治庁
当局
においても御考慮を願うように、ということはお話合いをいたしております。
門司亮
22
○門司
委員
文部
当局
が十分知
つて
お
つた
というお話でありますし、なおそれについては適当な処置をとられておると拜承いたしたのでありますが、もし文部
当局
がほんとうに十分その
実情
を知られてお
つた
とすれば、一方的のというか、お話合いであるならば、必ずしも
政府当局
としては一方的ではなか
つた
と思いますが、
地方
としてはこうした
一つ
の問題を指摘して、いわゆる
町村
の財政のすべてに対して冗費のないように警告を発するということは、これはある程度財務
当局
の任務だとも私は考えます。しかし特定のものをさしてこれをこうしろということは、
勧告
でなくて
一つ
の指示、命令に近いと思う。しかしそういうことを特定の文部
当局
の所管
事項
に関するものにのみ発せられるということについては、私は文部
当局
の諸君にもお聞きしたいと思いますことは、一体文部
当局
はこういう特定のものをさして、財務
当局
から通牒を発せられなければならないほど無力であ
つたの
かどうかということであります。その
実情
をほんとうに財務
当局
に訴えて、そうしてこれがこういう
状態
であるからこういう形なんだという釈明がどうしてできなか
つた
かということである。
法律
上何ら手違いがないということはお話の通りであります。しかし
法律
上の
手続
に間違いがないからとい
つて
、それが行政上に及ぼす影響がきわめて甚大と
なつ
て来ますならば、やはりこれは行政を行うものとしては考えていただかなければならないことだと思います。それが單に今のお話のように、
法律
の上で何らさしつかえがないからというようなりくつだけでは、私は日本の行政というものは満足に行
つて
いけないと考えております。この点について文部
当局
は一体どういうふうに今お考えに
なつ
ておるか、もう一応お伺いしておきたいと思います。
稻田清助
23
○稻田
説明
員 問題は五十分の一・三あるいは一・七の予算がきまりました点にあるのではないかと考えております。その予算がきまりました以上、その線に沿いまして文部省といたしましても、あるいは財務
当局
といたしましても、あるいは大藏省といたしましても、事を收拾して行くという点にわれわれ
事務
官庁といたしまして力をいたさなければならぬ。そういうような考えをも
つて
事務
を処理いたしたわけであります。
門司亮
24
○門司
委員
どうもその点がおかしいと思うのであります。なるほど
法律
を定めるときに、
法律
に非常に大きな欠陷があ
つた
ということは気がついておる。しかし
法律
で定められておるからこれはどうしても強要しなければならないというような、
事務
当局
の單なる
事務
的のお考えであ
つたの
では、非常に大きな行政上の問題を引起して来ると考えておるのであります。一体教育をすることが
建前
なのか、あるいは財政上の見地から教育自身が不完全に行われてもいいというような、極端に言いますとそういうお考えなのかということが、そういう御答弁を伺いますと聞きたく
なつ
て来る。こういう極論を私はしたくはないのであります。少くとも行政の上で手かげんして、そうやかましく言わなくても、
地方
の自治体というものは、財政はお互いに苦しいのでありますから、教育のみに非常に潤沢に経費を使わせるような非常識な自治体はないと思う。そういう教育に支障のない範囲において、定員定額を実施せよというお話ならわかると思いますが、支障があ
つて
もなくても、定員定額制をしなければ財政上の処置をするというような、威圧的のお考えが、いまだに教育並びに財政
当局
にあるということに
なつ
て参りますと、
地方
は非常にやりにくい考え方をする。これが及ぼします影響がさつきのお話のように教員の首切りに
なつ
て現われる。あるいは兒童の教育が満足にできない。学校に行
つて
もその担当の先生が休みであれば、そのかわりの先生がいないという場合がたくさんできて来る。生徒がきようは学校へ行
つたの
だが先生が来なか
つた
という
実情
はたくさんある。こういうきゆうくつなことを今から引起されるということは、單に
事務
当局
として
法律
上やむを得むというようなお考えでなくて、その点をもう少し、
自治庁
と文部省との間に交渉がなぜ持たれなか
つた
かということに対して、文部
当局
としては
自治庁
に対して、この
委員会
でありますのでここでは遠慮なく文部
当局
の
意見
というものを十分や
つて
いただきたい。
両方
とも官庁でありますためと、
両方
そこにおいでに
なつ
ております
関係
で、何か文部省の
意見
を強く言うと
自治庁
へ当るというような考え方で御答弁されては、われわれは迷惑いたします。文部省の
意見
はこうだということで、あるいは
自治庁
が行き過ぎておれば行き過ぎておるということで、そういう自治体の行き過ぎた通牒に対しては、あらためて文部省から通牒を出していただかなければならない。これが
地方自治庁
の親切な行き方だと思う。官庁同士が遠慮し合
つて
や
つて
おることのために、
地方
の自治体が迷惑するという行き方はこの際避けていただきたい。従
つて
文部
当局
の出されました通牒に対して、もう一応忌憚のない
意見
をここで聞かしていただきたい。
稻田清助
25
○稻田
説明
員 繰り返して申し上げますれば、警告の線は万全であると考えております。ただこれを実際に適用せせれます場合におきましては、
地方
の教育の
実情
をよくお考えいただきまして、むりのない御措置をと
つて
いただきたいことを
自治庁
に
要望
しておる。こういうふうな点を文部
当局
としては考えております。
門司亮
26
○門司
委員
大体だんだんわか
つて
来えような気がしますが、そういうお考えがありますならば、それについて文部
当局
は、
地方
の公共団体に対して、何らかの通牒なり、あるいはお話なりをされた事実があるかどうかということであります。
稻田清助
27
○稻田
説明
員 ございませんし、またやるべきでもないと考えております。
藤田義光
28
○藤田
委員
先般の本
委員会
におきまして、文部
当局
の出席をお願いしました一員としまして、簡單にお尋ねいたしたいと思います。先ほど来稻田局長の御答弁を拙聽いたしておりますと、定員定額というものを実施した根本の理由は、国会の審議をした予算の結果だというふうに私たちに聞えたのでありますが、その予算の見通しが立
つて
おりましたころ、文部大臣は当
委員会
におきまして、定員の
増減
はやらぬということを言明されたと記憶いたしております。予算のわく内でや
つた
ために、あの定員定額を実施せざるを得なか
つた
という理由は一応うなづけますが、文部大臣の言明との食い違いはいかなる理由であるか、まずお尋ねしたいと思います。 それから第二は、先ほど局長が述べられた通り、まさに
地方公共団体
の
財政権
は
自治庁
に移り、任免権は教育
委員会
に移
つて
おりますが、この定員定額の実施によりまして、
地方
の自主権というものが非常に侵害されておりまして、局長のところ、あるいは課長のところには、連日莫大な出張旅費を使いました陳情団が殺到いたしております。かかる現実を見ましても、現在の定員定額は大失敗であるということは局長も認めておられると思います。うわさに聞きますれば、今回の補正予算で相当の予算をとられる予定だというふうに拜聽いたしておりますが、大体この
臨時国会
に
提出
を予定されます補正予算におきまして、どのくらいの予算を計上し、これによりましてどの程度の定員の修正ができるかという見通しを拜聽いたしたいと思います。 それから時間がありませんので、もう一、二簡單にお聞きしたい点は、平衡
交付金
制度
が、二十五年度から
シヤウプ勧告
に基きまして実施になりますが、これによりまして教育費が大半平衡
交付金
のわく内に入
つて
行く。これを阻止するために、文部
当局
は教育財政法という新しい
法律
を計画し、あくまで従来の義務教育費に対する文部省の統制権と申しますか、監督権、
決定
権を保持したいという計画があるやに拜聽いたしておりますが、この点に関する御答弁をお願いいたしたいと思います。 最後にいま
一つ
、この
地方自治庁
の財政部長名で出ました通牒は、あくまで根本は文部
当局
の定員定額の
決定
、これに基いて出たのでありまして、一切の責任は文部
当局
にあるというふうに前回の
委員会
でも私は
はつ
きり私見を述べておきましたが、先ほど来拜聽いたしておりますと、局長はすでにこの指令の発送にも十分認識があ
つた
ようでございます。定員定額の失敗を認めながら、財政部長の通牒が出ることを承認されたということになりますると、ますます稻田局長
関係
の文部
当局
の責任問題が
はつ
きりして来るわけでございまして、本
委員会
におきましてせつかく文部
当局
の出席を願いました
関係
上、財政部長の通牒の問題も、本
委員会
において本日
はつ
きりさせていただきたいというふうに考えておりますが、この点に対する局長の御答弁をもう一回、明解なところをお願いいたしたいと思います。
稻田清助
29
○稻田
説明
員 お答え申し上げる前に、第一の点につきまして、文部大臣が、定員の
増減
を行わないと言
つた
というお言葉がありましたが、その
意味
がわかりませんが、どういうことでございますか。
藤田義光
30
○藤田
委員
行政職員定員法によりまして、他の官庁の首切りはあるが、学校教職員に関するかかる首切りはないという
意味
の答弁があ
つた
ように拜聽いたしております。ところが予算の執行
段階
に入りましたら、定員定額問題が表面化して、実際に首切りが始ま
つた
というこの矛盾でございます。
稻田清助
31
○稻田
説明
員 第一の点でありますが、過ぐる国会におきまして、文部大臣は、この定員定額の問題に関連いたしまして、大体年々の退職歩合から推算いたしました場合に、現在の超過教員の数と比較いたしますれば、退職歩合の方が大きいので、もし不補充の
方法
をも
つて
すれば整理を行わないでも済むであろうという見解を述べられたと承
つて
おります。ただいまの御質問の点は、そうした点ではないかと存じます。年々の退職歩合はおよそ三万人、七%であります。しかるに超過いたしましたのが、予算作成当時におきまして約一万人足らず、この四月におきましてやはり一万人余りでありますので、大臣の見解は別に相違いたしていない事実であろうと思います。 それから第二に、
地方
におきまして非常にこの問題で御心配になり、そうした御心配のあまり、いろいろ文部省に御要求になりまするそのお気持はよくわかるのでございますけれども、われわれといたしましては、十分
地方
の教員構成の
実情
を正確な決算書等によりまして把握いたしまして、機械的に計算いたすわけでありますので、そう
地方
におきまして
運動
等の
方法
によりまして御心配になるような結果に、影響せられないような配分を考慮いたしておるわけでございます。 それから補正予算につきましては、まだ本
決定
に
なつ
ていないのでありますが、先般
地方
に出しました通牒にも出しておりますように、超過分の約半分につきましては、国で心配いたしたいと思
つて
考えておる次第でございます。超過分につきましては、指定統計の正確な数字が出て参りましたが、約一万人でございます。各
府県
からは相当多くの数を
言つて
来られますが、正確な統計の数字は約一万人でございます。その一万人の約半分につきまして、前に申しましたように予算的の手当をいたしたいと考えております。 それから文部省におきましては、この前の国会に教育に関しまする財政法を
提出
いたしたいと思
つて
準備いたしてお
つた
ことがございます。しかしながらいろいろな
関係
で遅れて参りまして、新たに
シヤウプ勧告
の線に沿うて、財政、行政の根本的の改革を企図せられることになりましたので、こうした計画は一擲いたしまして、
シヤウプ勧告
の線に沿いまして、新しく
地方
の教育財政につきまして考えたいと存じております。 それから最後の点につきましては、御質問の御
趣旨
がよくわからないのでありますけれども、先ほどの御質問にお答えいたしましたように、
地方自治庁
の御
当局
が警告を発せられましたその点は、
法律
的の解釈におきましても文部省と同じ次第だと考えております。ただ文部省といたしましても、実際それを適用せられます場合におきましては、十分
地方
の教育
実情
をお考えいただきたい、こういう希望を持
つて
おると申すわけであります。
藤田義光
32
○藤田
委員
引続きまして簡單にお尋ねいたします。現在文部
当局
におきましては、定員法に基きまして定額の理論單価の算定中だと
承知
いたしております。この文部
当局
で計算されておりまする理論單価によりますと、非常な矛盾がございます。先ほど来局長は、定員定額によりまして
地方
のでこぼこを是正し、義務教育費の国庫負担法によりまして、こういう矛盾を一擲するために、あの
法律
ができたということを言明されたのでありますが、現在いろいろな資料に基いて非常に努力をして、定額の
基準
たるべき各県の理論單価を
決定
されておるのには敬意を表しますが、この理論單価を
基準
にいたしまして、各県に予算の配分をやりますると、従来偶然の理由によりまして、いわゆる助教その他の無資格者の多い県、あるいは昇給直前であ
つた
ために、非常に平均單価が低く
なつ
ておるというような
府県
は不利な
状態
に陷りますが、せつかくの局長のいわゆる定員定額の
趣旨
に沿わないような結果をもたらす危險はないかとおそれるのであります。この点に関しまして、局長はいかなる補正策をとられようとするか、お伺いいたしたいと思います。 それから財政部長の通牒の問題は、先般来いろいろ問題に
なつ
ておりまして、結局一応の結論を本
委員会
として出す必要があるのでありまするが、私といたしましては、文部
当局
が定員定額制の修正、是正ということの約束を天下に声明されるというふうなことによりまして、こういう派生的な問題の解決をしていただきたい。今後補正予算等によりまして、定員もかわ
つて
来るということになれば、この際文部
当局
の態度を
はつ
きりしていただいて、この問題の解決をきれいにしていただきたいというふうに考えておりますが、局長のお考えはどういうふうでございましようか。
稻田清助
33
○稻田
説明
員 第一点の
府県
間の是正の問題でございますけれども、先ほど申し上げましたように、この定員定額が非常に窮屈なわく、すなわち現状に即してきまりました次第でございますので、その現状と申しますものが、十何年間補充費の時代に各
府県
が
府県
の財政の状況と教育
方針
によりまして、とり来りましたその現状に即してこの予算がきまりました
関係
から、この予算を使いまして、全国的な補正はそう期待し得ない点は御了解願いたいのでございます。理論單価と申しましても、教員構成から見まして、なるべく機械的にはじき出したいという希望にすぎない点は、十分御理解いただけるだろうと存じております。 第二の問題につきましては、先ほど来財務
当局
からもお話がありましたように、明年度以降におきましては、根本的にこの
制度
がかわるわけでございますので、定員定額を廃止するとか、あるいはこれについての修正をやるという声明をいまさらいたしまする必要も、私どもといたしましてはないと心得ております。
中島守利
34
○
中島委員長
定員定額、いわゆる教員問題については別にございませんか。
門司亮
35
○門司
委員
文部
当局
の御
意見
はそういう御
意見
でありましても、私ども
委員会
の
意見
としては、ぜひ荻田部長の出して参りましたこの通牒、何らかの形による取消しをひとつ出していただきたい。そうしなければ先ほどからいろいろ各
委員
が心配いたしておりまするようなことは絶えないのでありまして、
委員
の諸君の御心配に
なつ
ておりまする問題はここにあるのであります。文部
当局
といたしましては、来年かわるのであるからというお話でございまするが、しかし事態は本年度の問題でありまして、来年の予算でいかようにかわりましようとも、本年度の現実の問題は現実の問題として、やはり処置することは当然だとわれわれは心得ておりますので、
委員会
の
意見
としては、ひとつぜひ今までの各
委員
の
意見
を総合いたしましても、財政部長の通牒の取消しを要求していただきたい。そうしてひとつそういうことに
当局
に御
同意
を願いたいということをこの際お願い申し上げます。
中島守利
36
○
中島委員長
政府当局
としてはどうですか。
小野哲
37
○小野
説明
員 ただいま門司
委員
から御
意見
が出まして拜聽いたしたのでございますが、この定員定額に関する件につきましては、前回の本
委員会
において私出席の上、
地方自治庁
としてとりました態度なり、あるいはまた通牒の
内容
等につきまして、詳細に御
説明
を申し上げたような次第で、その結果本日文部
当局
の出席を求められまして、根本的な定員定額制の設置されました
趣旨
の御
説明
もお聞き取りを願
つた
ような次第でございます。前回の
委員会
においては門司
委員
御欠席であ
つた
ように存ずるのでございますが、繰返して
内容
を申し上げますことは差控えたいと存じます。要は国家財政と
地方財政
との運用の点につきましては、義務教育国庫負担法の
趣旨
にのつとりまして、
地方自治庁
の所管の
事項
といたしまして、
地方財政
の円滑なる運営を所期する点から考えまして、財政的見地からの考え方を各
地方
庁に申したような次第でありまして、この問題につきましては、すでに十分文部
当局
との間に協議を進めました上で、財政部長名で通牒が出されたものと考えておりまするし、文部
当局
も本日のこの
委員会
の席上において、この点を
はつ
きりとお答えを申し上げているような次第でございます。なおまた教育費の問題につきましては、
シヤウプ勧告
書に基きまして、さらに根本的な改革をいたさなければならないような現状にもありまするし、また通牒自体の
内容
の点につきましては、この際私どもといたしましては、門司
委員
からの御
意見
もございまするけれども、これを取消すというふうな措置に出る必要はなかろうかと考えておりますので、本
委員会
におかれまして、十分この間の経過並びに
内容
等につきまして御了承をいただきまして、この問題についてのお取扱いをお願いいたしたいということを希望申し上げる次第でございます。
門司亮
38
○門司
委員
当局
の御
意見
としてはおそらく体面もあることでありましようし、いろいろな
関係
からそういうことだとは考えておりまするし、また前の
委員会
でもそういうお話があ
つた
ということを一応
承知
はいたしておりまするが、問題は私が先ほどから申し上げておりますように、
地方
の自治体の経費の問題で、全般にわた
つて
そういう注意
勧告
をされることは私はけつこうだと思いますが、特定のものを指して言われるということは、特定のものに非常に大きな響きを持つのであります。ことに従来の
関係
でありまするならば、定員定額は
はつ
きりしていませんので、従
つて
国庫補助の
関係
から、おのずからいろいろなでこぼこが出て来ると思いますが、定員定額が定ま
つて
おりまする以上は、国といたしましては、それに対して
補助金
の支出の額は、最初からきま
つて
いるはずであります。それ以上のものがもし
地方
の公共団体で使われているといたしまするならば、それは
地方
の公共団体がやむを得ざる処置として、教育上の重大なる観点から行われている処置だという親心をも
つて
解釈していただきたい。教育の問題は文部
当局
も御存じのように、実際に定員定額ではやれない。困難だということは、あなた方はよくおわかりだと思う。それで国の予算の上でこれを支出するために、非常に国庫の予算も窮迫しているので窮屈であるということから、私はこの定員定額の根本の
趣旨
は、
法律
をつくるときにここから出て来ていると思う。この
法律
をつくるときの
実情
というものは、今の問題を引起すことのために、教育を非常に圧迫するために、私は定員定額の問題は生れて来たのではない、国の財政の見地から生れて来ている。そこで教育の問題を別に考えて、これを完璧を期するためには、
都道府県
に、もしやむを得ざる事情のために、定員定額を超える処置があるいはとられるかもしれない、これに対しては
当局
が親心をも
つて
これに臨んで、国庫の負担すべきものは定員定額で負担する、それ以上のものは
地方
の負担とされることに対して国が何ら干渉すべき筋合いではないと考えている。これは明らかに
法律
をたてにと
つた
、中央の
地方
に対する
自治権
の侵害であると私は考える。もし
当局
がそういうようなお考えでないならば、ここまで極論したい。こういう
意味
で、私どもはできるだけ日本の行政というものの
建前
の上から、
地方自治
権を尊重して行きたい。それには
法律
に拘泥しないで、
法律
でこうきま
つた
からとい
つて
、
法律
を
制定
するときのほんとうの精神というものが沒却されて、ただ字句にのみ拘泥して、
法律
がこうであるから、それでさしつかえないのだというような、従来の官僚的な行き方だけは、この際やめてもらいたい。従
つて
御
意見
はありましたが、取消すということができないとするならば、何らかの形でこれを是正するようにしていただきたい。そして
地方
のこういう問題を緩和していただきたいということを重ねて私はお願いする。
立花敏男
39
○立花
委員
今稻田局長のおつしやいましたことは、前回の私の
意見
のむしろ裏づけになりまして、決して財政部長がおやりに
なつ
た通牒の問題が正当化されていないということが、ますます確信づけられるわけなんです。と申しますのは、稻田局長は、
地方
における教育
委員長
が任免権を持
つて
おり、
財政権
は
知事
が持
つて
おるのだということを
はつ
きり認めておられます。従
つて
通牒の中にありますところの、この定員におけるところの人員を、県が單独費でも
つて
やることは第二條違反だということは、どこからも起
つて
来ないわけです。従
つて
これは、稻田局長が
言つて
おられました、この通牒は適法であるということの証明にはならずに、かえ
つて
この通牒自体が違反であるということの証明になるだろうと思います。しかもこの通牒では、それだけではなしに、この定員を必ず年度末までに整理を完了せよということを、
はつ
きりうた
つて
あるのであります。これはいかなる法的な根拠に基いて、こういうことを
地方
に指示できるのか、これも稻田局長のお言葉によりまして、任免権は
地方
の教育
委員会
が
はつ
きり持
つて
おるということをお認めに
なつ
ている以上は、この通牒自体がすでにここでは誤
つて
おるのではないか。だから通牒自体が二重の誤りを犯して、
地方
の自治を侵害いたしまして、定員を年度末までに整理せよということを
はつ
きりうた
つて
おりますのは、これはいくら文部
当局
がこの通牒に賛成であるということを形式的に言われましても、私たちは納得することができないと思います。従
つて
前回の
委員会
でも、私たちは即時この通牒に対する善後的な措置をや
つて
いただきたか
つたの
でございますが、文部
当局
の
意見
を一応もう一度聞く
機会
をつくろうという他の
委員
の御
意見
がありましたので、今回に延びたわけなんですが、今回の文部
当局
の御
説明
によりまして、ますますわれわれの確信を強めておりますので、この際は、
はつ
きりとこの通牒に対する善後処置をと
つて
いただきたい。このことを
政府当局
にもお願いすると同時に、
委員長
にもお願いいたしまして、
はつ
きりとした処置を講じていただくよう、重ねてお願い申し上げます。
藤田義光
40
○藤田
委員
先ほど来門司
委員
、立花
委員
から
意見
の開陳がありました通り、一応結論を出す必要があると思いますので、私の
意見
を述べたいと思います。 先ほど来の稻田局長の御答弁通り、補正予算で予算が計上されております。しかも二十五年度には平衡
交付金
制度
も創設されまして、根本的に再
検討
されるという
段階
に
なつ
ておりますので、文部
当局
の通牒によりまして、今申し上げました二点を指示されまして、定員定額は目下実施中ではあるが、かかる見通しなるがゆえに、教育に支障を来さざるようにという通牒を出していただきたいというふうに考えております。おそらく従来の官庁の慣例その他各般の情勢からいたしまして、特に財政部長のこの通牒によりまして、たとえば私の郷土の熊本県のごとく、非熱に旱天の滋雨として喜んでおり、これによ
つて
府県
の支出が減
つた
ことを喜んでおる県もありますが、各
府県
のよりまして、いろいろな事情がありますので、今申し上げました
意味
の通牒を、ひとつ稻田局長の方からお出し願いまして、本問題に対する解決をしていただきたいと思いますが、局長の御
意見
はいかがでしよう。
稻田清助
41
○稻田
説明
員 文部省が教育の上において支障なきを期するようにという
勧告
なり、そうした点についての
意見
発表、これはまあ、あらゆる
機会
にやるべきでもあろうと思いますけれども、ただ財政の点につきまして、それが影響を及ぼすというような問題につきましては、これはまた問題ま別だろうと存じております。
藤田義光
42
○藤田
委員
そうしますと、局長の御
意見
といたしましては、財政的な面は財政部から、教育的な面は局長の方から、共同の通牒ならばよろしいという
意味
に解釈してよろしゆうございますか。
稻田清助
43
○稻田
説明
員 第一相手が違うのです。今日教育の権限を持
つて
おりますのは
都道府県
教育
委員会
であり、財政の権限を持
つて
おるのは
都道府県
知事
でございます。
藤田義光
44
○藤田
委員
知事
に対する指示権、監督権がないことは十分
承知
いたしておりますが、通牒という表現がまずいならば、何らかの形式による公文書によりまして、局長の
意見
として
府県
知事
及び教育長あるいは教育
委員会
等に発送される
方法
が、一番円滑にこの問題を処理する道じやないかと思いますが、いかがでしよう。
稻田清助
45
○稻田
説明
員
地方
の
自治庁
の御権限に属することは、
地方自治庁
の方にお願いいたしたいと思います。
藤田義光
46
○藤田
委員
どうも、先ほど来局長は、財政の裏づけがない教育は無
意味
であるというふうな御答弁もありました。また局長は教育オンリーの文書ならば出してもよいというような御意向のようでありますが、
自治庁
から財政面だけの点に関しまして、先ほど申し述べたような
意味
の通牒を出せますかどうか、お聞きしたいと思います。
小野哲
47
○小野
説明
員 先ほど来門司
委員
、また立花
委員
、また藤田
委員
から、定員定額に関連いたしました通牒の点について、いろいろ御
意見
が出ておるのでございますが、私先ほど御答弁申しましたように、この問題は
地方財政
の
建前
から、こういうふうな点については、
政府
といたしまして、特にこの所管庁である
地方自治庁
から通知を出すことがよかろうというふうなことで、出ておるようなわけでございまして、従いまして、文部
当局
もこれらの点については十分了解も持
つて
おられるようであり、また各
地方団体
におきましても、当該
地方団体
の実際の
実情
によりまして、ところによ
つて
は御
承知
のごとく教員数が学級数よりも少いというところもあれば、種々雑多な状況にありますので、これらの点につきましては、おそらく文部
当局
におかれては、適当な調整をはかりたいというふうなお考えもおありになるのではないか、またさような考え方が
地方自治庁
といたしましては、大変望ましいと思
つて
おる次第でありまして、この際
地方財政
の見地から、さらにまた通知を出して、各
地方
に対してそれぞれ指導をいたすということは、今日の状況におきましてはいかがなものであろうかと考えますので、決して文部
当局
と
地方自治庁
とが責任のなすりつこをしているという
意味
ではなしに、
実情
から考えまして、この際はあらためて通牒を出すようなことは必要はないのではなかろうかというふうに考えるのでございます。この点に関しましては、なお藤田
委員
もいろいろと御
意見
をお持ちに
なつ
ておるのではないかと存じますので、拜承の上またお答えをいたしたいと存じます。
藤田義光
48
○藤田
委員
ただいま小野次官から御答弁がございましたが、現在の
段階
におきましては補正予算による定員定額の修正ということを
はつ
きり
地方
にお知らせされることは、いろいろな点で無理があるかもしれません。しかしながら最小限度
シヤウプ勧告
に基く平衡
交付金
と教育費の
関係
に関しまして、これは総務部長
会議
その他で十分
機会
があ
つた
とは思いますが、今一度一応の基本原則を
地方
にお知らせ願いまして、そこへ現在実施中の定員定額のことを一言入れていただけば、強烈な
委員会
の一部の
要望
も十分達成されるのではないかと考えております。
中島守利
49
○
中島委員長
ちよつと速記をやめてください。 〔速記中止〕
中島守利
50
○
中島委員長
速記を始めてください。
藤田義光
51
○藤田
委員
本問題は非常に重大であります。しかしながら
臨時国会
も目睫に迫
つて
おります。本問題で
委員会
の貴重な時間を過すということはどうかと思いますので、先ほど
委員長
から御発言がありました通り、次の
委員会
までに
委員長
が
委員会
の空気を十分察知されまして、
自治庁
当局
と連繋をとられまして、その結論を次の
委員会
で御発表願いまして、この問題を終りたいという私の
意見
を申し述べまして、皆さんの御賛成を得たいと思います。
川本末治
52
○川本
委員
この問題は数回にわた
つて
論議されておりますが、前回前々回の
委員会
の場合にも、
委員長
から荻田部長にちよつと御注意があ
つた
ようでありますが、要は文部
当局
の御
意見
を承
つて
も、
自治庁
当局
の御
意見
を承
つて
みましても、大体荻田部長の出した言葉の使い方が悪いから、こういう問題に
なつ
たと考えられますので、この際
事務
当局
の方に、私として一言申し上げておきたいことは、今後そういう物議をかもすような文字を使わないようにお考え願わないと、この次の
委員会
において御答弁があ
つて
も、また同じようなものを部長の方において出されると、問題は小さなところから大きな結果になりますので、どうかこの次に
政府
の方からの案の出まする前には、ちようど大臣も御出席に
なつ
ておりますので、今後
事務
方面の方に、ああいう刺激するような言葉を避けるようにしていただきたいということを一言希望申し上げておきます。
大泉寛三
53
○大泉
委員
私の質問することは外務
関係
が本筋であるかもしれませんけれども、
地方財政
のめんどうを見られておる
地方自治庁
として当然これはやらなければならない問題だと思いますので申し上げます。 今度
府県
税のうちで、
シヤウプ勧告案
によれば、固定資産税と附加価値税の問題が、工業的生産者にと
つて
非常に負担が重くなるというふうに思われますので、この点に関してお尋ねいたしたいと思うのであります。従来生産業者、ことに発電業者とかあるいは配電会社とか、またはすべての工業者にあ
つて
は大きな工場、事業場を持
つて
、広い工場敷地を持
つて
、多くの機械設備を持
つて
おる。今度固定資産税がこれらの不動産やあるいは機械施設に対してかけられるということになりますと、これらの不動産やあるいは機械類は生産者にと
つて
はいわゆる投下資産の大部分である
関係
上、これに対する税金が高くなるということは、その打撃が非常に大きいのであります。言うまでもなく今日の産業は実に重大なる時期に直面しておるのであります。今日まで幾多の陳情者の言葉によりますと、固定資産税は昨年の約八倍になるということでありますが、これではこれらの不動産や、機械設備を持たないところのいわゆる商業者に比べて、その負担はあまりにも大き過ぎる、この開きが大き過ぎるということになるわけであります。また生産者が事業を
経営
して行くには、いきおい非常に多くの従業員を使わなければならないのでありますが、これらの従業員の給料は課税の算定には考慮されていない。従
つて
生産業者に対する付加価値税もまた莫大な額になると思うのであります。かくのごとき固定資産税の面から見ましても、またあるいは附加価値税の面から見ましても、生産業者に対する
地方
税の負担は、あまりにも重きに過ぎると思います。先般大阪や名古屋方面の陳情者の言によりますと、昨年に比して付加価値税は四倍、固定資産税が八倍になるということであります。こんな
状態
でありますから、生産業者は、かりに四割の利益を得ても配当ができないという
状態
であるそうであります。配当をしようとすれば、どうしても五割以上の利益を上げなければならないのであります。今日のような社会情勢のもとでは五割以上の利益を上げようとすることは容易なことではなく、実に日本産業の重大なる問題とも言うべきであると思うのであります。これを不動産や機械設備を必要としないところの、またそんなに従業員を使わないで済むところの商業者に比較すると、負担の均衡という点からまた大きな問題だと思うのであります。申すまでもなく、生産業者が税金の過重に苦しむということは、再建途上の日本にとり、それだけ復興の遅れることとなり、従
つて
貿易振興の上から見ても、ゆゆしき大きな問題と言うべきであります。かくのごとき国家産業上の復興の見地からいたしまして、生産業者と商業者との間に、租税上の負担を合理化して、また生産業者をして過重の負担から生産阻害等のことをなからしめるように、生産の復興あるいは貿易の進展を考慮して、国家の急務たるこの問題の解決をはからなければならぬと思うのであります。これに対して
政府当局
者がこれをいかに調和あるいは対処せんとされるか、その御
所見
を承りたい。私も
シヤウプ勧告案
は、税体系において総体的にはきわめて均衡のとれた体系と思うのでありまするが、部分的に見ればいろいろ問題がある。現在の日本の産業状況においても、また国民の活動状況からしても、この税制体系がはたしてあてはまるかどうかという問題がここに起るのであります。もとより私ども
地方財政
に対しては深い同情と理解を持
つて
いるものでありまするけれども、事国家全体の力を基礎としなければならぬとするならば、これをどういうふうにして調和して、
地方財政
を按配して行くか、また確立して行くかということになるのであります。この点について木村国務大臣の御
意見
を拜聽いたしたいと思います。
木村小左衞門
54
○木村国務大臣 大泉
委員
の御
質疑
、御
意見
十分拜聽いたしました。今回
シヤウプ勧告案
によりまする附加価値税、固定資産税の問題につきましては、御説大いに拜聽すべきものがあるかと私はかねて考えております。これは実施いたしまする折に何とかいま一段の考慮を拂いまして、うまく調整のとれまするような
方法
を考え出さなければならぬかと考えておりまするが、詳細は政務次官が研究しておりまするから、政務次官から御答弁いたさせます。
小野哲
55
○小野
説明
員 大泉
委員
の御質問に対して簡單にお答えいたします。固定資産税と附加価値税のことにつきましては、
関係
業界におきましても多大の関心を寄せられておりますることは事実でありまして、またただいま御指摘になりましたような問題が包蔵されておるということも私どもうかがえるのであります。従いましてこの問題をどう処理して行くかということは、きわめて重要な課題でありまして、御説のように負担に激変を来します結果、経済界に混乱を及ぼすということも極力回避するように努力いたさなければならないことは当然でありますので、目下
地方自治庁
におきましては、愼重な態度で、
関係
各方面の
意見
をも聞きながら、
シヤウプ勧告
の具体化を研究して行きたいという考えを持
つて
おるような次第でございます。御
承知
のごとく
勧告
書全文並びにその付録が発表されまして日なお浅く、かつこれらの大切な問題が次々と起
つて
参
つて
おりますような状況でございますので、せつかくただいまの御
意見
を十分に拜承いたしまして、あとう限りの努力をいたし、
検討
を加えて参りたい、かように考えておりますことを、はなはだ簡單ではございますけれども、つけ加えて、私からの御答弁を申し上げておきたいと存じます。
立花敏男
56
○立花
委員
それに関連いたしまして、固定資産再評価の時期の問題ですが、これは大体いつごろおやりになる御予定か伺いたい。それからもう
一つ
は、固定資産税の総額を大体どれくらい予定されておられるか、簡單に御答弁願いたいと思います。
荻田保
57
○荻田
説明
員 お答えいたします。この
地方
税の固定資産税の方の評価は、大体国税の方の再評価と一緒にいたしたい。従いまして来年に関する限りは、一月一日現在によりまして九月までに申請を出して、そうしてきめるということに
なつ
ております。 それから固定資産税の評価でありますが、大体土地家屋で三町歩でありますか、それからあとの固定資産がどれだけあるかという問題でありまするが、これの……。
立花敏男
58
○立花
委員
税の総額は。
荻田保
59
○荻田
説明
員 五百二十億であります。
野村專太郎
60
○
野村委員
臨時国会
も目睫の間に開会を予定せられておりますので、大臣に一、二お尋ねをいたしておきたいと思います。 その
一つ
は入場税に関することであります。前回の
臨時国会
におきまして、
委員会
においても各党ともこの問題に対しては熱心にこれを取上げて、
政府
側またこれに答えて、その誠意の程をうかがい得たのです。しかも半面入場料金の統制の撤廃、大体その態勢が完備されたにもかかわらず、国会自身の手によ
つて
前国会で解決を見なか
つた
ことは非常に残念に思います。しかし幸いにいたしまして、このあとで
シヤウプ勧告
が、さすがに世界最高の料金を課税されている、こういうようなことをとらえて、
勧告
をされておる。私から率直に言いますれば、まだまだその税の
内容
から見て、一五〇%から一〇〇%、こういうようなことを一率に行くことは、満足な点には行かぬのですが、わが国の中央
地方
の財政情勢を考えて、一応了とせざるを得ないのであります。そこでこの
勧告
の線に
沿つて
、来るべき
臨時国会
に対して
政府
は御提案になる、しかも前段申し上げたようにその態勢はできておる。このことによ
つて
関係
従業員の給與の点も、
経営
の点においても、非常にその
状態
が完備される。これをとり上げられた以上は、すみやかに
臨時国会
に成案を得られて、しかもすみやかに実施をされるようにお願いいたしたいと思います。税の面においては相当額の減收にはなります。しかしこれによ
つて
映画演劇等の
内容
の向上をはか
つて
行きまするならば、相当入場者もふえると思います。こういうような観点から、
臨時国会
に提案すると同時に、実施時期については、法案可決されましたら、ただちにひとつすみやかな
機会
に、十二月なり年内のうちに実施していただきたい。この料金の値下げもできましよう。国民文化の向上、また当初から憂慮されておる税收減の問題についても、正しい時期にこれをすみやかに実施して行きまするならば、そう憂慮さるべき税收減を見ずに済むのではないかというような期待をかけております。こういう点について御
所見
を伺いたいと思います。 もう
一つ
は建物等の取得税に関することであります。特に住宅の深刻な問題から考えて、この非常な悪税、高税によ
つて
何ほどかこの住宅問題の解決のために障害に
なつ
てお
つた
ことかと思います。さすがにシヤウプ使節はこの点もとらえて、これを撤廃することを
勧告
いたしております。そこでこの実施時期が延期されまするならば、現在企図し、あるいは実施せんとする住宅建築の事情等につきまして、相当な課率でございますので、この実施時期を遅らせることがもしかりにあるとしたならば、これによ
つて
さらに私はこの税を撤廃する意図というものと違
つた
弊害が出て来ると思います。そこでこれまた
臨時国会
にこの
勧告
に
沿つて
提案をすると同時に、これに対してはすみやかに、これも入場税と同様に、ただちに実施をされることを強く
要望
いたして、住宅問題の解決に資せんことを
要望
するものであります。この点に対しては全国非常に関心を持
つて
おるのでありまして、この実施時期いかんによ
つて
は非常に影響が大でありますから、この
二つ
の問題に対して木村国務大臣の御
所見
なり、御決意のほどを承りたいと思う次第でございます。
木村小左衞門
61
○木村国務大臣
シヤウプ勧告案
を全面的に受入れるものといたしますれば、もとより
勧告
にありまする入場税は、昭和二十五年度には減税をせられることは明らかであります。来るべき
臨時国会
にもこの税制案につきましては、必ず提案をいたすことに相
なつ
ておることと存じまするが、ただこの入場税の
シヤウプ勧告案
通りの減税に関する時期について、どうであるかというお尋ねについては、この間の自治
委員会
にこの問題を出しまして、われわれが提案いたします場合には、法の命ずる通り自治
委員会
の決議をも
つて
臨まなければ、全面的の権限を
施行
することができませんから、はか
つたの
でありますが、いつからやるということは縣案になりまして、この次までという議論が出まして、
決定
いたしておりません。私個人の
意見
としては、
野村委員
の御説の通り、ここに
勧告
案がもうすでに来年度から減税すべきであるという
決定
の発表をしている以上は、すみかやに
改正
した方が、
一般
の国民大衆に向
つて
の政治感覚の上に好結果を得るものではないか、こう私はひそかに考えております。なおまた不動産税も同様でありまして、これもこの間自治
委員会
では
決定
に至りませんで、次回に持越したような次第でありますが、これも
シヤウプ勧告案
によりますと、減税ではありません、全然廃止することに
なつ
ております。この目の前に廃止することが、
シヤウプ勧告案
に明示せられているものを、来年度と申しますれば四月一日、三月一ぱいありますから、それまでの間じつと持
つて
おりましても、その効果はいかがなものであろうか。取得いたしましても形式的に登記をしなければ、そこに現われた税の負担の対象とならぬのでありまして、登記をしないでおることになりますれば、二月、三月どうすることもできないし、その間には、從
つて
法に対する権威の上からかんがみましても、あまり感服いたさないと思います。これも自治
委員会
では
決定
をいたしておりませんが、私個人の
所見
としては、これは来年の一月一日よりと申しますのは、
議会
を通らなければ
施行
することができませんから、できれば国会の承認を受けて、不動産税のごときは一月一日ごろから、前も
つて
年度を越さないで、
シヤウプ勧告案
通り免税ということにしてはいかがであろうか。これは私の私見でありまして、まだ自治
委員会
の
決定
を見ておりませんから、大胆に申し上げるようでありますが、私はそういう私見をも
つて
臨みたいと思います。
立花敏男
62
○立花
委員
ちよつとさいぜんの荻田さんの御答弁の数字ですが、これは土地、家屋だけで五百二十億ですか。
荻田保
63
○荻田
説明
員 固定資産全体でございます。
野村專太郎
64
○
野村委員
この
二つ
の問題に対しては、今大臣から信念のほど、御
所見
を承り、非常に意を強くする次第であります。
委員会
においては大臣が有力なる発言権を持
つて
おられます。どうかこの
二つ
の問題に対しては適切に国民の期待に沿い、しかも減税あるいは撤廃
勧告
の
趣旨
を生かして、実現するように御努力をお願いいたしまして、私の質問を終ります。
大泉寛三
65
○大泉
委員
地方財政
のためにはシヤウプ案は喜ぶべきことでありますが、この財政を確立するためには、まず
政府
の計画もけつこうですが、しかし税金は相手があるので、納める人がそれだけの担税力がなければこれは成功しないのであります。そこで固定資産税その他附加価値税——附加価値税は苦しくとも納められるでしようが、とにかく固定資産税なんてものは厖大なことになる。そこで働かない機械設備その他の施設に対して、働かせる手段をまず講じさしてやらなければ、納税の実行の前提にはならないと私は思います。先ほども申し上げましたように、今日何も働かずにほ
つた
らかしておく設備でも何でもないので、働きたくても、資材の入手やその他原料の不足のためにできない。これを何とかまず手段を講じて與えなければならぬ。
政府
においてこれくらいの税をとるには、まず相手があることだから、相手が納められるような
方法
を講じてやらなければならぬと思いますので、特に木村国務大臣の御努力をお願いする次第であります。
中島守利
66
○
中島委員長
この際おはかりいたしますが、本
委員会
といたしましては、閉会中の
審査
のため付託されました
地方財政
に関する件、
地方自治
に関する件、警察及び消防に関する件、
地方税法
の一部を
改正
する
法律案
、以上四件を本日まで審議いたして参りましたが、あと四、五日で第六回の
臨時国会
が開会されることになりますので、閉会中
審査
を終了することがむずかしいと思われます。衆議院規則第九十
一條
による報告書の作成については、
委員長
におまかせを願いたいと思いますが、御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
中島守利
67
○
中島委員長
御
異議
なければさように
決定
いたします。 それではこれで散会いたします。 午後一時七分散会