○野村委員
本法に対しては全体から受ける感じですが、
古物商に対する
取締りの法規は、明治二十八年に制定されて、それが非常に封建的なもので、今日まで施行されて参
つたわけです。しかも新
憲法によ
つては非常に民主的に飛躍をいたしております。しかも
國民の基本的権利、自由というものを保障される、しかし新
憲法が非常に民主的なために、現在の
國民の道義から
言つて、実際の面には
本法を通じてもわかるように、非常に困難なる面があろうと思うのです。しかし國の秩序、
國家的に考えて、やはり
憲法を基底にしてや
つて行かなければならぬ。こういうときにおきまして、今千葉さんから二、三國務大臣に対する
質疑がありましたが、第四條の六項に対しましても、基本的な
國民の自由という点から、家族制度というものは
從來の
憲法とはかわ
つた形にな
つているのです。しかもいろいろな昨年の統計によ
つても、百六十万を算する
犯罪が記録され、しかもこの八割が
古物商、あるいはもぐり業者によ
つてさばかれておる。こういう点に対して臟品の絶無、防犯という点に非常に急なために、先ほど
政府委員の
説明によると業者も非常にこの点に対しては寛大なものであるというような
お話もありましたが、私らが公正に白紙の立場で考えたときにおいて、なるほど
営業の権利というものについては、
公安委員会を通して確立しておる。こういうところは認められますが、必ずしも
政府委員の
説明のような寛大なものであるとは考えられない。今日の政治いろいろな
状態から、結局このような苛酷な
法案が提案せざるを得ないようなことだと思う。こういう問題に対しては政治なり、國の道義、國の秩序なりで根本的に解決しなければならぬと思うのであります。しかし何とい
つても新
憲法が
はつきり存在をいたしておるのでありますから、こういう点に対して
憲法の精神にのつと
つて、あらゆる
法律案が考えられなければならぬ。國務大臣としてかような点に対しては、いかなる御所見をお持ちにな
つていますか伺いたい、こう思うのです。基本的人権というような立場から行きますと、同居の家族
営業者に対して、
許可をすべきであると思う。新
憲法によ
つて家族制度は非常なる飛躍と、内容を異にいたしておりますが、今日の
日本の現状から見まして、家長と同居者というものに対しては、
日本独自の美風もあろうと思います。そういう点から形式は別にいたしまして、
憲法が保障されておる基本の人権によ
つて許可さるべきものである、かように考えております。また同居なり親族のうちで、もしそういう禁錮以上の刑を受けた、そういう事態があ
つた場合の、何とか
救済をする方途は考えられるべきだろう、こう考えるのであります。それから八條の二項の從業者を三人の
範囲を越えない
範囲において
云々、こういう項目があります。私は一体
本法を通しまして、この
古物業というものが、道義においても、あらゆる点においても非常に地位を低く見て、また率直に言えば、これを
保護助長することなくして、好ましからざる
状態に置いて、
犯罪の面などから考えて、なるべく数が多くない方がいい。こういうような考え方であるが、私は望むらくは
営業の自由も認めて、規模によ
つては、相当
日本のあらゆる都市が多くの戰災を受けて、貴重な物資を失
つて、こういう業態を通して相当
國民の生活に寄與するところも多いと思いますし、また業者自身は、相当過大な税金を通じて國の再建に協力しておる面も、私は等閑に付することができないと思います。こういう点に対しては、私は業態自体の中から労働組合でもできる程度の内容にな
つて、公正に運営する。
從つてこういう人員を、いかなる根底から三人と
規定して押えるかという
理由に対して、先般同僚議員から御
質疑がありましたが、明確にこれによ
つて了承することがまだ困難なので、こういう点をお伺いしておきたいと思います。それから今
お話があ
つた第二十
一條の問題でありまして、このことは大体百六十万の
犯罪のうち、八割がもぐり業者によ
つてや
つておる。こういうことが事実のようでありまして、
從つてたとえば
料飲店の再開によ
つて、その過程によ
つても考えられます
通りに、あまりにやかましく言うと、結局表口
営業をやめて裏口
営業に移
つてしまう。正当な商取引を避けて、不正な手段によ
つて、業態を通さずしてやるということを考えますと、あらゆる物資は、明朗な業態を通して市場なり、店舗を通して行くことが、私は
犯罪捜査、檢挙の面においても好ましい、こう考えられるのです。しかも戰後において非常に
古物商が多くな
つております。あるいはまた経済事情いろいろな点において、しろうとの善意な業者もあろうと思います。こういう業者のうちでも善意な取引によ
つてもなおかつ無料によ
つて回收をせなければならぬ。このことは一体率直に申し上げますれば、國の政治、いろいろの根源から出て來ると思うのです。むしろこの点に対しては、ひとり業者にその責任の全部を負わせるということは私は正しくない、こう考えておるのです。
從つて善意の取引については、なるほど國務大臣並びに先般來
政府委員の
説明によ
つても、一應運用によ
つてそういうような点は解決がつき得る余裕はわかりますが、しかし
法律としてここに明記している以上は、私はこれによ
つて正しい業態というものが展開できなくなるだろう。こういうことをおそれるのであります。しかも商権の自由をこれによ
つて束縛することになります。
以上の三点に対し、またそれに先立
つて憲法の精神なりに対して、國務大臣の見解、御所見を合せて伺えれば非常に仕合せだと思います。