○門司
委員 私はこの前の
委員会で
大臣のおいでになるときに、かなり詳しくお聞きいたしておりまするので、本日はきわめて
簡單にいたしたいと思いますが、ただ一点、その前に申し上げておきたいと思いますことは、先ほどの
大臣の
地方配付税に対するお
考えの中で、この
地方配付税ができたということは、官僚の
中央集権的の一つの
考え方であつたというようなことがあつたと思います。この点はひ
とつ大臣に改めていただきたいと思います。それは
大臣がしろうとであれば別でありますが、おそらく
昭和十五年の当時の分
與税法ができまするときには、
大臣はたしか
大藏省の主税局長ではなかつたかと思うのであります。
從つて当然
配付税法に対して参画された最も重要な人であつたと私は心得ておる。
從つて單にこの
配付税が、そういう官僚の
中央集権的のものの
考え方から來たのではなくて、これは御
承知のように、すでに大正九年あるいはそれ以前からも問題にな
つておりました大きな一つの問題であります。ことに
昭和九年かと思いまするが、当時の三派の連合体の内閣でありましたときですら、この問題をどうするかということが、
法案とな
つては現われませんでしたが、一應
國会内では取上げられておつたということは御存じの
通りであると思うのであります。私はこの問題が起りましたのは、日本の資本主義が高度化すればするほど、個人的の貧富の懸隔が大きくなると同時に、
財政的に見ましても、國の
財政と
地方の
財政——ことに
地方の
財政は、資本主義が高度化するにつれて、僻村等の
財政がますます困難にな
つて行くということは、資本主義のしからしむる一つの当然の過程であります。この資本主義の当然踏んで参りました過程につきましても、これをいかにするかということがいろいろ問題にな
つて参りまして、このままの姿で置くならば
——当然
地方自治でありますので、できるだけのおのおのの能力において仕事をすべきが自治の本領ではありますが、日本の自治体というものは、
國家事務が非常にたくさんありますので、この
國家事務を遂行するために、そう
簡單に
地方自治体だけに
財源を任せておくわけには参らぬというので、この
配付税法が非常にやかましく問題にな
つて参りまして、
國会に取上げられて
昭和十五年にこれが当時の分
與税法としてできまするまでにも、八年あるいは十年もかか
つておるのであります。そうして
昭和十五年にできた前の分
與税法が
配付税法と名前をかえますまでの間におきましても、なお八年間かか
つている実情であります。そこで
大藏大臣はどうか、そういう官僚の
中央集権的なものの
考え方でこの税法ができたという
考え方だけは、ぜひひ
とつお改めを願いたいと、まず
考えているのであります。それで聞きたいと思いますことは、先ほど
大臣はいろいろ申されておりますが、
地方財政の面から見ますると、すでにこの前もいろいろこれは議論に
なつた問題でありますが、
大臣はこの
委員会においては初めてだと私思いますので、同僚各位にはあるいは御迷惑かと思いますが一應聞きただしておきたいと思うのであります。
地方財政法の第
二條には、
はつきり國の
財政の
都合によ
つて地方財政に累を及ぼすようなことがあ
つてはならないということが書いてあります。成文を読みますならば、
地方財政法の第
二條の冐済に「
地方公共團体は、その
財政の健全な運営に努め、いやしくも國の政策に反し、又は國の
財政若しくは他の
地方公共團体の
財政に累を及ぼすような施策を行
つてはならない。」と書いて、二項に「國は、
地方財政の自主的な且つ健全な運営を助長することに努め、いやしくもその自律性をそこない、又は
地方公共團体に負担を轉嫁するような施策を行
つてはならない。」ということが、明瞭に書いてあるのであります。しかるに、
政府の意図するものは何であるかと申し上げますならば、この次に來るものは住民税の値上げであり、さらに地租の値上げであり、家屋税の
増額である。しかも
地方財政委員会の
委員長である
木村國務
大臣に聞きますと、これは
地方財政が非常に困窮しているので、
地方財政の充実を來すために、やむを得ざる増税として、
地方財政の観点からそういうことを
考えているのである。
配付税の減つたのは國の
予算の
建前の上において、やむを得ず
配付税が減つたのであるということが
答弁されている。そう
考えて参りますと、この
地方財政法の
二條二項に、明らかにもとるお
考えではないかと私は
考えるのであります。國の施策においてこれを圧迫してはならないということを、
はつきり
財政法に明記いたしておりまする以上は、國の施策によ
つて地方配付税を減らしたということは、この
法律大を臣はどうお
考えにな
つているかということが第一点であります。
それからついでに、時間がないという
お話でございますから聞き合わしておきたいと思いますことは、
地方配付税を減らしてもいいという
條項は、
法律の
建前から申し上げますならば、
地方財政法の二十六條に、ただ、ごくわすかにその片鱗を見せているのであります。その
條項は「
地方公共團体が法令の規定に違背して著しく多額の
経費を
支出し、又は確保すべき收入の徴收等を怠つた場合においては、國は、当該
地方公共團体に対して交付すべき
地方配付税の額を
減額し、又は既に交付した
配付税の一部の返還を命ずることができる。」という
條項に相な
つているのであります。
從つて、
地方公共團体が、その徴收すべきものを怠つた場合においては、あるいはそういう
減額ができるかもしれない。しかし徴收することを怠るどころか、なおこれから
地方の
税金を増徴しようと
考えているところである。こういう大きな矛盾を來していると思うのでありますが、この点に対して
大臣はどうお
考えにな
つておりますか、一應お聞きしておきたいと思うのであります。