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1949-04-15 第5回国会 衆議院 地方行政委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年四月十五日(金曜日)     午前十一時二十三分開議  出席委員    委員長 中島 守利君    理事 生田 和平君 理事 川西  清君    理事 福田 篤泰君 理事 圖司 安正君       井上 知治君    大泉 寛三君       大内 一郎君    川本 末治君       清水 逸平君    野村專太郎君       龍野喜一郎君    門司  亮君       千葉 三郎君    谷口善太郎君  出席國務大臣        國 務 大 臣 木村左衞門君         國 務 大 臣 樋貝 詮三君  出席政府委員         地方財政政務次         官       堀  末治君         総理廳事務官         (地方財政委事         務局長)    荻田  保君  委員外出席者         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君 四月十五日  千葉三郎君の補欠として藤田義光君が理事に当  選した。     ――――――――――――― 四月十三日  町村吏員恩給組合に対する國庫補助増額請願  外一件(塩田賀四郎紹介)(第二七三号)  果実に対する引取税設定反対請願北村徳太  郎君紹介)(第三一一号)  市町村財政確立に関する請願山本猛夫君紹  介)(第三四〇号)  果実に対する引取税設定反対請願宮幡靖君  紹介)(第三五一号)  在日本朝鮮連盟機関に対する地方税免除請願  (高田富之紹介)(第三五七号) の審査を本委員会に付託された。 同月十四日  事業税課税対象是正に関する陳情書  (第一四五号)  銃砲火藥圧縮瓦斯関係事務費國庫補助陳情  書(第  一五四号)  地方配付税並びに地方起債に関する陳情書  (第一六三号)  市町村財政健全化に関する陳情書  (第一七〇号)  衆議院議員選挙法の一部改正に関する陳情書  (第一七  一号)  戰災復興のため地方債発行等に関する陳情書  (第一七二号)  競犬法制定に関する陳情書  (第一七四号)  果実に対する引取税設定反対陳情書外二件  (第一八四号)  土地使用税創設反対陳情書  (第一八九号)  町村吏員恩給組合に対する國庫補助増額陳情  書外五件  (第一九八号)  警察制度改革に関する陳情書外四件  (第一九九  号)  地方配付税並びに地方起債に関する陳情書外五  件(第二〇〇  号)  果実に対する引取税設定反対陳情書  (第二  ○一号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  小委員及び小委員長選任に関する件  地方配付税法特例に関する法律案内閣提出  第二八号)
  2. 中島守利

    中島委員長 これより会議を開きます。  まず小委員会設置の件についてお諮りいたしますが、地方財政の逼迫にかんがみまして、何らかの財源を得ることは必要なのでありまして、そのため本委員会としては、競犬法案起草いたしたいと考えます。つきましては競犬法案起草小委員会を設置して起草に当らしめた方がよろしいと考えますので、競犬法案起草小委員会を設置するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中島守利

    中島委員長 御異議なしと認め、さよう決します。つきましては小委員及び小委員長選任でありますがこれは委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中島守利

    中島委員長 御異議なしと認め、委員長より指名いたします。 小委員としては    大内 一郎君  川西  清君    川本 末治君  野村專太郎君    福田 篤泰君  司門  亮君    藤田 義光君  谷口善太郎君    田中  豊君 小委員長としては    川西  清君 を指名いたします。  次に消防に関する小委員会を設置すすることにいたしたいと考えます。これは消防法改正を要する点があると認められますので、当委員会法案を提出したいと考えるわけであります。その小委員及び小委員長選任については、委員長より指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 中島守利

    中島委員長 それでは指名いたします。 小委員長としては    大泉 寛三君  野村專太郎君    龍野喜一郎君  足鹿  覺君    千葉 三郎君 小委員長として    龍野喜一郎君 を指名いたします。
  6. 中島守利

    中島委員長 これより前会に引続き地方配付税法特例に関する法律案内閣提出第二八号を議題として質議を続行いたします。谷口善太郎
  7. 谷口善太郎

    谷口委員 この案は昭和二十四年度だけの特例というふうになつて出ておりますが、非常に大事な案でありまして、その及ぼすところの範囲も非常に廣いし、深刻な影響も特に地方住民に対して及ぼす問題でありますので、十分に私ども政府の御意向をただした上でないと、どういうふうに賛成していいか反対していいか決しかねるほど大事な問題でありますので、いろいろお聞きしたいと思うのでありますが、きようは大藏大臣がお見えになつてないようでありますので、大藏大臣にお聞きしたいような点は、また次の機会に讓りまして、最初に最も單純な、わかり切つたようなことから、一應確かめて行きたいと思うのです。私は議員になつて出ておりますが、実は商賣は文学者でありまして、法律とか数字とかいうようなことにはまつたくうといのであります。そのためにひよつとしたら他の委員諸君から笑われそうなことをお尋ねするかもしれませんが、その点はあしからずお聞きのがしを願いたいと思うのであります。  最初木村國務大臣にお尋ねしたいと思うのですが、この地方配付税法という法律ができましたその意義、あるいは目的というような点、一口に言えば配付税法性格、そういう点についての政府の御所見をまずお聞きしたいのでございます。
  8. 木村小左衞門

    木村國務大臣 地方配付税制定になりましたのは、ここに資料を持つておりませんが、多分昭和十五年であつたろうと思います。大体地方税制の一般に関する整理が行われたのは昨年でありましたが、配付税は多分昭和十五年にできたものであるように私は承知いたしております。以前は地方税制のもとで、最も根幹をなしておりましたものは、所得税法人所得税附加税をもつて地方税歳入のおもな中心になつておりましたのを、昭和十五年にこれを改めまして、一應國の方で徴收しまして、それを配付税として地方へ分配する制度にかわつたもののように私も聞いております。どういうわけでそうなつたかといふ趣旨を平たく申し上げますと、所得税法人税附加税ということでやりますと、地区々々によつて非常に増減があります。地方によつて所得税が非常に多い地区があり、またある地区では法人税の少い地区があります。またある地区では商業が非常に繁栄し、工業の隆昌しているような地区では非常に多いのであります。そういうことで非常に不公平で、均一とまでは行かないけれども、公平な配分がとれないというようなきらいがあるので、これは國で一本の所得税法人税をとつて、これを法律によつて歩率をきめて、その歩合によつてこれを地方配付することが、この法制の根本理由だろうと私は考えております。
  9. 谷口善太郎

    谷口委員 所得税あるいは法人所得税に対する附加税としての地方税においては、地方によつて非常に收入の不均衡がある。そこで國家が集めて、それを適宜率をきめて配付する。不均衡を是正する。そういう意味言葉が今あつたのでありますが、それもそうだと思います。しかし昭和十五年とおつしやつたのは、あるいは分與税とそのころ言つたのではないかと私思うのですが、現行配付税法昭和二十三年の七月に第三國会で、地方財政法地方税法及び地方配付税法が一緒になつて從來のやり方の欠陷を認めて、新しく制定されたものと私は承知しておるのであります。地方分與税制度配付税法にかえられたとき、第三國会であらためて配付税法として新しい出発をした、その点の意義、その点の目的という点について、もつと根本的な点があつたのであろうと私は思うのです。その点をどういうふうに政府はお考えになつていらつしやるか、これをお聞きしたいのであります。
  10. 木村小左衞門

    木村國務大臣 その当時の過去にさかのぼりましたる詳細の成行きなり、また理論は政府委員をもつてお答えいたします。
  11. 荻田保

    荻田政府委員 昨年地方分與税法を改めまして地方配付税法といたしましたのは、わけ方の内容等につきましても相当の変更がありましたので、全條にわたりまして改正を加えたのでありますが、その際分與税という名前配付税とかえましたのは、大きな根拠はないのでありまして、ただ分與という言葉を使いますると、いかにも政府から地方團体にくれてやる、わけ與えるという趣旨がはつきりして、地方財政自主性を強化するという面から見ておもしろくないというので、配付という名前をとつた方がよくはないか、こういうふうな趣旨改正になつておるのであります。
  12. 谷口善太郎

    谷口委員 分與というと何だかくれてやるようでよろしくないので配付とした。そのことの中に、今荻田局長が言われたように、地方財政確立してやるという非常に大事なことがあると思うのであります。私承知しておるところによりますと、配付税法國会に提出されて御審議になるときに、野溝國務大臣説明の中で、そういう点が非常に明確に説明されておるかと思います。大きな意味がないと、今、局長はおつしやいましたが、実は昨年配付税法をきめたときには、根本的な地方税制に対する國家考えがあつて國会でおきめになつたと私は思つておるのであります。野溝國務大臣説明を見ますと、こういうことを言つております。新憲法は、地方自治体自治権を個人の基本権と同樣に保障することを闡明し、これに基いて地方自治法制定実施されたのであります。しかしながら地方自治発達裏づけとなるべき財政の面におきましては、その與えられた財源の量はまだ微力であり、その與えられた財源を入手する方法について、まだ十分に自主性確立しておりません。そこでその自主性確立するために、第一に地方自治確立の方針に則り、地方財政自主化の徹底をはかること、第二に現在の経済的情勢に即應させる地方税財政制度確立することの二つを目標とした、こう野溝國務大臣は言つておるのであります。そうしてこの法案を提出したのであるが、またそれにつきまして、本法案は特に重要法案であるとともに、自治体裏づけとなるべき骨格法であるというふうに野溝國務大臣説明しておるのであります。つまり分與税時代は旧憲法下でありまして、一体地方自治体に対する中央政府支配権が非常に強くて、自治体自治体としての性格を失うほど、中央政府下請機関にすぎなかつた。これが新憲法精神に則りまして、地方自治法ができて、地方自治法において地方自治方法というものが非常に明確に確立された。この地方公共團体自立性を、財政の面から裏づけするためには、從來の分與税制度ではよろしくないので、あらためて地方配付税法というものをつくつて、これに財源を與える、つまり地方自治体自主性確立するということを建前に、この財政的裏づけとしての配付税法ができたのだと私どもは承知しておるのであります。そういう点について政府はどういうふうにお考えになるか、その点をもう一應念を押しておきたいと思います。
  13. 荻田保

    荻田政府委員 昭和二十三年度において行われました地方税制財政に関します改正法案といたしましては、今お述べになりました地方税法改正地方分與税法を改めて地方配付税法にいたしましたこと、それから地方財政法制定、こういう改革は全体を通じまして、ただいまおつしやいましたように、地方自治自主性を強化する意味において、画期的な改正であつたと思うのであります。しかしながらただいま問題になつております地方分與税名前地方配付岸と改めましたこと自体は、大した意味はないということを私は申し上げたのであります。と申しますのは、地方配付税法昭和十五年に地方分與税法としてできまして、その当時分與税の中に配付税還付税とがあつたのでありますが、還付税の方が昭和二十一年度をもつて廃止に相なりました。つまり地租、家屋税営業税が、還付税をやめまして全部地方委讓なつた。從つて配付税だけになりましたので、從前の配付税という名前をやめまして、地方配付税すなわち地方分與税、こうなつてつたのでありまするが、先ほど申し上げましたように、名称において與える感じ――分與というのが好ましくないので、配付税に直した程度でございまして、古くからの地方分與税制度におきましては、制定以來終始かわらず、地方自主性を強化するという面におきましては、全然かわりはないのでありまして、制定当時より、この分與税法によりまして、むしろ地方自主性を強化するという点が早くからうたわれておつたのでありまして、その根本精神におきましては、名称をかえましても別に大きな差はないのであります。ただ昨年度において行われましたこの制度を含めた税制財政制度改革は、地方自主性を強化する面におきまして大きな改正であつたと私は認めるわけでございます。
  14. 谷口善太郎

    谷口委員 分與税時代には地方分與割合の点まで法律にきめてあつたかどうか、その点をお尋ねしたいと思います。
  15. 荻田保

    荻田政府委員 分與税という名称を使つておりました時代におきましても、現在と同じように分與の方法はすべて法律に明細に規定してございました。その点におきましては全然かわりございません。
  16. 谷口善太郎

    谷口委員 この三三・一四%という割合でありますが、これにつきまして昨年配付税法が決定されまするときに、ただ偶然三三・一四%という割合がきまつたのではなかろうと私どもは思うのであります。当然こういう割合で率がきめられるにつきましては、そこにきめられなければならない事情があつたのだろうと考えますが、その点についての政府のお考えをお聞きしたいと思います。
  17. 荻田保

    荻田政府委員 地方分與税法昭和十五年度に制定されましたときから、地方配付税につきましては率が定まつてつたわけであります。昭和十五年当時定まりました根拠は、当時の地方考政需要を測定いたしまして、それからその他の財憲をすべて差引きまして、その残額をもつて配付税といたしまして、その配付税の額を当時の所得税及び法人税、あるいはその当時は入場税遊興飲食税というものも配付税財源になつておりましたが、その税に対する比率を出しまして、その率が分與税法によりまして法定されておつたのであります。その後年々率がかわつておりまするけれども、かわりましたことにつきましては、今回のように地方考政需要がどれだけであるということを査定いたしまして、足りないだけを地方配付税として與えたというようなことは一回もないのでありまして、その途中におきまして率がかわりましたことにつきましては、制度の上におきまして改正がある。たとえば今まで國でしていた仕事地方に渡したというような場合には、それに應じまして財源を與えるという意味で、配付税の繰入れ率を変更いたしたり、あるいは所得税につきまして戰時中大きな増税がありました。これは戰費を調達する、つまり國費を調達するという趣旨でありまするので、その際に配付税の率をそのままにしておきますると、増税に伴いまして配付税の額を増加いたしますが、今申しました通りに、その当時の改正は、國費を調達するということにあつたのでありますから、それを地方に與えることは趣旨に合いませんので、その率を繰下げて、配付税の額は依然としてかわらないようにしておつた昭和二十三年度におきまして現行法によりまする百分の三三・一四ときまりましたのもそのような制度改正を考慮いたしましてその率がきまつたのであります。ところが二十三年度におきまして新しい教育制度の実施、あるいは自治体警察創設、あるいは税におきましても入場税の移管というような、非常に大きな制度改正がございましたので、この率も大幅に改正なつたという経過でございます。
  18. 谷口善太郎

    谷口委員 三三・一四%という率をおきめになつたについての今の御回答、私もたいへん満足に思いますが、つまり教育の問題あるいは自治体警察の問題、その他非常に從來國家のやつてつたものを大幅に地方で受継ぐとか、あるいは新しい制度のために新しい仕事が殖えたということに應ずるためにこういう率ができた、こういうお答えであつたので、私もそうだと思うのでありますが、ただ問題は、今までの分與税はそのときそのときいろいろな事情を勘案して率がかわつて來たというところに、中央政府財政の面における地方自治体への圧迫があり、地方自治体が常に不安動搖の中にいなければならなかつた根拠があつて、そういう不安をなくするために配付税法というものをつくり、ちようど昨年度の状態の中で、この割合配付をすべきだという結論が得られてこの法律ができ、この割合がきまつたのだ。当時の速記録を読んでみますとそういう結論を私どもは引出さざるを得ないのであります。くどいようでありますが、もう一應この点についてそうだか、そうでないか、政府の御所見を聞いて置きたいと思います。
  19. 荻田保

    荻田政府委員 現在まで配付税の率がかわりましたのは、おつしやいます通り國地方との間におきまして、財源を増減しなければならない理由が、ある場合に限つてつたわけであります。たとえば新しい仕事地方に國から移管した、あるいは國税であつた税を地方委讓した。あるいは地方税であつた税を國に取上げる。こういうような制度的改正、國と地方との財源に異動を生ずるような事態が起るような変動がありました場合にのみ、改正が行われておるのでありまして、ただ地方財政事情考えて毎年度測定して、これだけでことしはいいじやないかというような、いわゆる普通の予算の否定みたようなことを行いましたことは、これまでにおいては一回もございません。
  20. 谷口善太郎

    谷口委員 その点よくわかりましたが、そういたしますと、この間の行政委員会木村國務大臣のこの特例に関する法律案についての御説明で、私ども刷り物をいただいておりますから速記を見なくてもわかるのでありますが、こういうことが書いてあります。今度は國庫財政都合によつて地方配付税の繰入額は昭和二十四年度に限り三六%云々にする。つまり國庫財政都合によつてこの配付税割合をかえる、こうなりますと、先ほどからのお話の、地方仕事減つたとか、あるいは地方特別配付税によつて配付されるその收入に比較するような財源が與えられたという事情からでなく、國家財政の場合による。つまり一方的な場合によつて地方財政の最も大事な財源であるところの配付税の率を減らすという点につきましては、これは從來では考えられず、またこの配付税法制定趣旨にかんがみましても、大きな、異例な、非常にかつてない例になるわけでありますが、この点について政府はどういうお考えを持つていらつしやいますか。
  21. 木村小左衞門

    木村國務大臣 谷口委員のおつしやる通りであります。今回の法令改正してまで配付税を減額しなければならなかつた。これは非常な異例のことであると私は思つております。國庫都合というようなことは、いわゆる國策基本の上に立つた遂行上の都合、こういうことに解釈していただきたい、この前の委員会でもるる申し述べたと思いまするが、今回の九大原則に則りますところの財政基本の建て方、予算の組み方というものは、これはまつた日本再建にとりまして画期的な一つの大國策であります。この大國策の線に沿うて、やむを得ずこの法令をかえなければならぬということに相なつたものと私は承知しております。
  22. 谷口善太郎

    谷口委員 九原則の発表のときに、初めて日本にとつて國策として取上げていいものは、それ以前から問題になつている。あの國の再建方策が問題になつてつたものにつきましては、いずれ大藏大臣がお見えなつたときに、こういう点からの問題を論じてみたいと思いますが、この國の場合によつて特に今年は地方配付税法特例を出して、そうして率を低くする。これは非常事態か何か特別なことがあつたとすれば、あるいはそういうことがあるかもしれませんが、経戰以後日本再建についての努力は、これは各内閣ともにやつて來られたことであり、そしてそのことにつきましては、もはやこれは長い間の当然なことだと私ども考えておるのであります、從つて特別に今年は九原則というあの文書が出たから、特に日本再建についての特別な年だというふうには私ども考えられないのであります。從つて國都合によつて地方財政を、特に今年はこういうふうに圧迫するような配付税法特例を設けるということにつきましては、私どもはやはり非常にそこに政府の一方的な考えがあると思う。從つて地方財政法の第二條の第二項に「國は、地方財政の自主的な且つ健全な運営を助長することに努め、いやしくもその自律性をそこない、又は地方公共團体負担を轉嫁するような施策行つてはならない。」こういう規定でありますのが、この法律政府は明らかに違反をしておる。つまり政府の一方的な解釈から地方財政を圧迫する、政府の困つておる点を轉嫁する、こういうことを政府は強引にやろうとしているとしか私どもは思えないのであります。この点につきましてどういうふうにお考えになるか、これもお聞きしておきたいと思います。
  23. 木村小左衞門

    木村國務大臣 経済原則が今回に限つてこれを実施しなければならぬものではなかつたろう、戰後日本経済建前としては、今さらそういうことをやらなくても、もとからそういう建前で進んで來ておつたものであろうから、今日のこの予算の立て方が経済原則ドツジ案によつて、構成されたということが特例処置ではないではないか、こういうような御質問のように私は承りましたが、私は戰後日本経済の立て方はそういう建前はこれまでの内閣基本には、根本には盛つてつたかもしれませんけれども、そこまで圧縮して、ここまで根本的にやろう、総理大臣予算委員会でたびたび答弁せられるところの言葉をかりて申しますならば、ここまでヒマシを呑まして、下剤をかけるというようなところなで至つておらなかつた。今後は日本経済再建のために、ドツジ案をもつて、思い切つて日本國將來のために、こういう予算総合的均衡のとれるような予算を提出したということは、これは今年は今までにない特別な年であろうと思います。また將來もこういうことはたびたびあつてはならぬ。またこの予算建前で行きますならば、將來は、こういう大幅なことはあり得ないのではないか、こういうふうに考えております。それで國家としても――説教がましいことでまことに恐縮でありますが、地方も國も相通じましたものでもつて國家財政というものが構成せられておる。これは別なものじやない。二箇不可分な一体のものでありまするから、別に國の予算を厖大にして行政機構に対するところの予算を思うようにとつて、そうして地方財政ばかりを圧迫いたしまするような処置が講ぜられておりまするならば、ただいまお読み上げになりました財政法の第二條第二項にありまするように、地方財政の自主的な健全な運営を助長するように努め、いやしくもその自律性をそこない、または地方公共團体負担を轉稼するというふうな施策に相なることと思いますけれども、今回、國の立てました予算の編成というものは、そう一方の行政機構に、思いきり豊富な――豊富と申しましても、相当な経費をとつて配付税ばかりを減額して、地方ばかり圧迫したというようにも私は考えておりません。もとより配付税の率をかえられたいということにつきましては、当局といたしましては、私は先般もるる申し上げました通り、遺憾に思つておりますが、しかし今年の物價の高騰の趨勢から申しましても、この配付税法の第二條規定にありまするような三三・一四%というものを、今年の所得税法人税にかけますと千二百億に近い額が出ます。地方財政が窮乏しておると言いましても、國の立場からこの法律通り、今年の所得税法人税の税收入の予想に、三三・一四%をかけました千二百億というものを配付するということは、これは財政の大幅な緊縮をいたします場合に、公平に見ましてどういうものであるか、そこに率の改正を主張せられる点も出て來たのではないか、また配付税のみが――これはまことに繰り返して申しまして、遺憾でありましたが、配付税のみが削減せられたものではありませんで、予算をごらんになりますと、大体各省各方面についても、大幅にそれぞれ小削減を受けておるような状況でありまして、ただいまの御質問の地方財政法の第二條の二というものは、私はそういうふうに解釈をいたしております。
  24. 谷口善太郎

    谷口委員 たいへんけしからぬ御答弁を聞いたわけであります。所得税法人税が非常に今年はたくさんとれるから、三三・一四%の配付税を出しては千何百億も出さなければならない。そういうことはできないという御答弁でありましたが、所得税法人税が三千億円も徴收し得られる、これはインフレーシヨンと物價改訂その他による國民所得が、それだけふえたからという見地に立つて政府がそういう予想を立てられたのであります。言いかえますと地方財政も同樣にインフレーシヨンその他の影響を互いに受けるわけでありまして、もし昨年度と今年との間に仕事の内容がかわらないといたしましても、所得税法人税によつて徴收されるその率に應じて、地方の必要な割合もふえておるのであります。ただ金高を見て千何百億も地方に出さなければならないということ、それは非常に地方によけいやるということになるというような言い方は、これは非常に一種の暴論であると私は思いますが、そういうことよりは、特に私は今の御答弁によつてお聞きしたいのは、この前の委員会木村國務大臣は、生田委員の質問の中で、ドツジ案政府案との二つの数字の間に、相当大幅な、六百億くらいの食い違いができておる。これに対してどう考えておるのかという生田委員の質問に対して、木村國務大臣は、実はその点私も確信がないのだ、どうすることもできないのだというような御答弁であつたと記憶しておるのであります。そういたしますと、一体木村國務大臣は何を言つていらつしやるのかわからぬことになるのでありますが、根本には、つまり今もおつしやつたように、日本政府は、今度の予算もそうでありますが、配付税の問題もただドツジ案というものだけを考えてきめていらつしやる、こうしか考えられないわけでありますが、その点はどういうのでありましようか。実はこの前の委員会で、生田委員その他の委員の方々からの質問に対する木村國務大臣の御答弁を聞いておりますと、これはもしかつての朝鮮に國会があつたら、ちようどこういうふうな國会であつたろうと思うほど、日本自主性というものがまつたくない。ただドツジ氏がこう言つたから、至上命令がこうだからというふうな言い方である。この前に、私はどうにもできません、確信もないのです、ただ命令されておるのだから、あるいは至上命令だからというふうな、大臣の御答弁の全体を通じての雰囲氣があつたわけであります。これはほとんど植民地の國会の論議だ、私はそういうふうに非常に残念に思つてつたのでありますが、今も聞いて見ますと、ドツジ案があるからこれはやむを得ない、こういうふうに一方では言われ、一方ではまたたくさん收入があつて、千数百億も地方にやる、そういうことは放漫になるというような言い方、しかも今申しましたようにこの前の委員会ではその六百億の食い違いに対してどうするかについては、私は率直に申し上げますが、全然確信も自信もありません、こういう言い方であつたのであります。一体どもはどこをとつてこの案を審議して行き、どういう見地に立つて地方財政のことを考えてよいのか、政府のもつとはつきりした確信ある、責任ある、これに対するお考えを承りたいと思います。
  25. 木村小左衞門

    木村國務大臣 その二点に対しましては、私の言葉が足りなかつたのかもしれませんが、先ほど申し上げましたのは、三三・一四%という率をなぜかえたか、國家財政の非常な緊縮の立場からやむを得なかつたであろうが、なぜかえたかという御質問だと私は思いまして、この所得税法人税收入についての高について、ちよつと私見を述べたのでありますが、それは地財の方におきまして今年の予算を組みましたのが、この間の生田委員が申し述べられました通り、大体今年は四千億あればよかろうということであつた。あなたの言葉をかりて言うと、物價は高騰するし、六・三制は打ちこわれるし、地方警察も入つて來るから、地方にはいくらでもあるだけのものは持ち込んでよろしい、それはその通り、できるだけの豊富なことは私どもも望むのでありますが、大体今年の予算というものを相当に見積つて、四千億あれば今年の地方財政は收支ができるという予算を組んで、これを基礎にいたしまして交渉いたしましたときに、こちらの地財の方のねらいといたしましては、それから割り出しまして、配付税は八百二十億あればまかないがつくという予算を立てておりました。でありますから八百二十億あれば物價の高騰にも、またその他の委任事項がたくさんふえましても、まず今年はやつて行ける、こういう予算を立てました立場から、一方今年の税收の所得税法人税の徴收の予想をここに割当てて見ますと、その要求しました八百二十億よりも額が大きくなつております。それでこれは私も希望していたわけでありますが、そういう面から見て國家財政が非常に苦しい立場であるからして、この税率を改正するということになつたということは、はなはだ本意でありませんけれども、どうも國家國策の立場から、やむを得なかつたではないかということの説明の材料として申し上げました次第で、その点は御了承を願いたいと思います。それからこの間生田委員の御質問に対しまして私は率直に、仰せられた通り申しました。それは四千億要求したものが三千四百億に削減せられた形になりましたので、ここに一時に六百億の欠陷を生じた。この六百億の欠陷を生じておるものをこの場合これが現実的に、今目の前に示されましたときから、この間の委員会までの時間があまりありませんから、その間にこれを具体的にはつきりと数字を現わしまして、どういう処置にこれを持つて行くかということは、ただいままだ具体案を持つておりませんということを率直に申し上げたのであります。それも御了解願いたいと思います。
  26. 谷口善太郎

    谷口委員 配付税法がこういうように特例を設けられて配付の率が半分にされ、つまり五百七十七億にされた後に、はたして地方がやつて行けるかどうかという点が、次に大きく問題になつて來ると思います。國の方で非常にことしはいろいろな点で均衡財政をやる点で金が必要になつて來るということも、私どもよくわかりますし、また予算の面で示されておるわけでありますが、それについて、はたして必要であるかどうかという点も、なお政府の御説明を聞きたいと思つておるのですが、これは先ほど申しましたように、大蔵大臣がお見えになつてからいたそうかと思います。そこでこの際配付税が五百七十七億に減額され、あるいは一方に、次にこの委員会に提出されることだと思いますが、地租あるいは家屋税、住民税というようなものの増徴、そういう地方税改正が行われることになると思います。そういうふうにして地方の住民にさらに高い税金を要求する。両方からはさみ撃ちで、地方財政をまあまあ收支償うようなことにしようというようなお話でありますが、こういうふうに地方としては非常に大事な財源である配付税を五百七十七億に減らされ、地方財政委員会のもとの案から言つても三百億も減らされ、はたしてやつて行けるかどうかという点については、地方財政委員会は確信を持つていらつしやるか、この点をお聞きしたいと思います。
  27. 木村小左衞門

    木村國務大臣 地方財政委員会の意見はただいま私ここで御答弁はいたしかねます。まだ地方財政委員会にはかつておりません。
  28. 谷口善太郎

    谷口委員 地方財政が非常に困つておることはどなたもおつしやいますので、私ここに一々言わなくてもいいように思いますが、しかしいかに困つているかということを、私どもはここで特に政府に対して申し上げなければならない。この困つている点を、ほんとうに地方が最も大事な財源としておる配付税を半分に減じて、それでやつて行けるか行けないかということが、われわれこの委員会委員全体の関心の中心だと思うのであります。地方がこの地方配付税というものを、ほんとうに重要な財源にしているという点の具体的な例でありますが、これは地方財政委員会どもよく御承知のことだと思いますが、たとえば今私の手元にある鳥取縣の教育委員会から來ておる陳情の中の数字を見ましても、鳥取縣の場合で、総額二十三億四千九百万円、これは二十三年度の最終予算の現計でありますが、その中の一三%が配付税による收入になつておる。それからいろいろな國庫支出金が四九・九%になつておる。両方合わせて六三%になつておるわけであります。縣税などはわずかに八%にすぎない。手数料その他の收入全体を合せましても全收入の一六%にすぎないのでありまして、いかに地方配付税というものが、地方予算收入の大きな面を占めているかが、この一例によつてもわかるのであります。これは地方配付税に依存するというよりも、地方はすでに権利として、所得税及び法人税の中から三三・一四の率のものを、地方税として法律的に確立されておるということ、そのことによつて依存しておることをよく示しておるのであります。これが半分に減らされるといたしますと、昭和二十四年度においてなされなければならない六・三制の完成、あるいはその他いろいろな部面が、ほとんど望め得なくなる。こういうことがはたして國の都合だけで、地方の最も大事な財源としておるものを半分に減して、地方の活動をまつたくできないようにしてしまうことが、はたして今木村國務大臣の言われたように、要するに國も地方も一緒になつて、全体として見なければならないという、そういう御説の上から言つて、どうなつておるか、どうお考えになるか。こういうような地方配付税が半分に減せされるとすれば、地方はまつたくやれません。國はそれで成立つかもしれぬが、地方自治体は、もうどつちから見ても、これは崩壊する以外に道はなくなつている。こういうせつぱ詰つた観点に立つて、この問題を問題とせざるを得ない、こう思つております。そういう点で今政府は、地方へ当然法律的に渡すべき配付税を半分に減らしてしまつて、そうして地方はまつてくこわれてもよい、あるいはこわれるような状態になつておるときに、どうする氣か。この点についてのほんとうの見通しを――これは政府と言い、議員と言い、あるいは各政党、政派といろいろ言つておりますが、そのすべてを超越して、地方の危機について私どもは眞劍に考えなければならない。この点について單なる御私見ではなく、政府はどうする氣か。ほんとうにどうする氣かという点を、それこそ腹を打明けて私どもに聞かしていただきたいと思います。
  29. 木村小左衞門

    木村國務大臣 谷口委員が非常に御心配になつておる地方財政につきまして、私もあえて人後に落ちないほど、地方政府の窮乏、枯渇に対して憂慮いたしておるものであります。鳥取縣の現状は、これは全國で最も特異の枯渇をいたしておるところであります。あの天然資源の乏しく、災害に災害を重ねる鳥取縣は、お説の通りでありますが、税收がわずかであつて、あとは配付金によつてやらなければならぬというような立場に相なつておりますことは、まことにこれは鳥取縣のみならず同情にたえぬのであります。が事ここに至りましては何とかして打開のくふうをして行かなければなりませんので、実は緊急にせんだつて來都道府縣の総務部長会議を開きまして、数日にわたりましてその善後策について諮問をいたし、その答申を得て協議いたしたのであります。その協議の結果はまだここに御批判を仰いでおりませんが、さしむきのところを、私の私見だけではありますが申し上げますと、大体去年の配付税は四百九十億円でありました。年度の初めにおきまして、どうせ配付税は物價の高騰に連れて、また事業の進展等に連れまして、ふえることはふえる目標でありましたが、念のためにごくかたいところを押えまして、各府縣、町村に対しまして、二十三年度の配付税の高によつて、一應の予算を組むように指令をしてありますから、各府縣町村では、去年の配付税を基礎にして、ただいま予算を組んでおるものと私どもは思つております。そういたしますとあとの配付税の足らないところは、臨時の災害でありますとか、あるいは六・三制の中学校の建築であるとか、その他臨時に起つて参りますものを――傍聽人の中にも町村関係の方もおありであろうと思いますが、そういうものは臨時にそのときどき折りにふれて、町村の方では臨時費として追加予算を組んで、毎年やつておられるようであります。一應のところは去年の予算を目途とした予算を組んでおりますから、さしむきここでどうというような、ただいま谷口さんの言われたように、私も心配はいたしておりますが、さしむきここで財政的に町村が破綻するということはあるまい。そういう臨時の災害なり、その他緊急な場合が起りましたら、そのときに應じまして、処置を何とか講ずるということに考えるよりほか方法がなかろう。また鳥取縣の現状には、ただ半額減額されたということで、半分やるというような方法はとりません、これはいろいろの成行き等を斟酌いたしまして、相当考慮いたすつもりでございます。
  30. 谷口善太郎

    谷口委員 鳥取縣は特別なところであつて、他のところはそうでもなかろう、特に去年の配付税の実際の額を基礎にして、大体各地方予算を組んでおるだろうというお説だつたのでありますが、これは何かの間違いであります。共産党の方へ各地から地方自治体の長、つまり都道府縣知事もしくは市町村長、あるいは教育委員会その他いろいろの方面から、非常にたくさん陳情が來ておりますが、それらによりますと、大体最初地方財政委員会が御予定になりました八百五十億かの配付税を基礎にして予算を組み、実際にそれだけ実行しておるところがある。非常に消極的なところではそれから百億あまり減らされた、当時の大藏省の内容でありますが、七百三十億、この配付税はそういうふうになるというような、一歩退いて組んであるところも相当あるようでありますが、五百七十七億ということは想像もしないで、地方では実際予算を組み、実行に入つて、のつぴきならぬところに追い詰められてをるのが現状のようであります。それからまた單に鳥取縣だけの例でなく、もちろん鳥取縣に今國務大臣がおつしやる通りに、地震もありましたし、いろいろな点で非常に産業の振興した状態もないのでありまして、いろいろな点で窮乏府縣だということは言えるだろうと思いますが、しかしこれは最も典型的な例にすぎないと思います。これはすべての府縣にも共通のインフレーシヨン下における現象であります。地方財政の逼迫しておることは、そんなに心配は要らないのだというかしれませんが、いわゆるそういう氣樂な考え方は危險だ、いかに逼迫しておるかはいろいろの面からみることができるのであります。これは地方財政委員会などでも、各地方自治体から陳情が來ておると思いますが、一つ一つのその陳情には、今までの陳情書にあまり見られないような細かい資料をつけての陳情が私どもの方へ來ております。またこれは一々例にあげることも要らないと思いますが、六・三制の話が出ましたから申上げますが、大体私どもの方で、專門的のことをやつております日本教職員組合の意見を聞いてみますと、昭和二十四年度では全國に少くとも七万の教室が必要である。一坪二万円として三十五坪で一教室建てるといたしますと、約四百九十億、五百億の金が六・三制のためだけに今年は要るという、そういう実情にあるのでありまして、國庫がこれを半分負担するにいたしましても、二百五十億、ところがこの六・三制に対しましては、今度の予算は一厘も計上していない。どこでもみんな去年仕事をやりかけ、工事をやりかけて、途中になつておるものがたくさんある。新しいものを加えてそれだけの教室が必要でありますが、この途中になつているものが、もし六・三制の金が一厘も予算に補助として出て來ない上に、配付税が半分に減らされるというふうになつて來ますと、この六・三制に大事な校舍の建築その他がまつたくだめになるばかりでなく、今までやりかけておつたものも建ち腐れにしてしまわなければなならない。地方の者といたしましてはむね上げまでできたものを放つておくわけに行かない。地ならしまでできたものを放つておくわけに行かない。そこに非常なむりがある。地方自治体の当局者としては、やむを得ず昨年以上に強制的に寄附金の徴收というようなことも、考えざるを得なくなつて、結局地方民に対する苛斂誅求がよりひどくなるということが考えられるのであります。地方財政が逼迫した関係で、昨年度におきましても、そのために市町村長の辞職したものが六百数十人に達しておる。一つ一つのこまかい数字については申し上げませんが、それほどのつぴきならぬところへ追い詰められて、それが主として財政問題で市町村長がやめているということに困りきつておる。こういう状態の中で、いやそれは鳥取縣だけのありさまである、それほど窮迫していないという政府の見通しは、実に私ども國民といたしましては、とても安心して政治をおまかせできないような氣がするのであります。これはただ單にそんなに心配いらぬというお言葉でなく、心配いらないならいらないではつきりした数字をあげて、こうしてやつて行けということをお示し願いたい。それから地方予算性格から言いまして、いろんな臨時の仕事もそのときどきの状態で補正予算をつくつて行く、政府といたしましても、それに対してそのときどきに考えて行こう、こういうお答えでありましたが、こういつたやり方こそ、地方仕事に対して政府が常に財政的に支配し、政治的に支配し、地方をして國家の隸属機関たらしめる根拠がある、そのときどきの都合によつてよこしてやるというやり方は、よこすという面から考えればいいように考えられますが、そういうその日暮しのやり方で、地方に対して國家が支配的立場に立つという、そのことが地方の今日までの逼迫に輪をかけて、地方をしてほんとうに自主性のあるりつぱな自治体を建設することにならないで、逆に國家のあごの下に使われて、どうにもできない状態に、追い詰められて來ていると思うのであります。そういう点でも私どもやはりなつとく行かないのであります。この二つの点、ほんとうに数字をあげて、地方がやつて行けるというお見通しがあれば、はつきりそれをお示し願いたい。それから、そのときどきに政府が勘案して何とかして行くという、態度をやめる考えはないか。この二点をお伺いいたします。
  31. 木村小左衞門

    木村國務大臣 はつきりお答えいたしておきます。お考えをかえていただかなければならぬと思います。私は鳥取縣であるから、鳥取縣はそれでよい。最も窮乏した縣だからそうである。ほかのところはそうでない。またどうでもかまわぬというような、ごく安易な考えでいるというようなお言葉があつたようでありますが、それはどうかお考え直しをいただきたい。私は決してそういうことを申し上げておらぬ。速記録をよくお読み願いたい。私は先ほど申し上げました通り、当局といたしまして、あえて、人後に落ちないほど、地方財政の窮乏に対しては同情もし、憂慮もしておるということを何回申し上げたかわかりません。そういう、安易な考えではおりませんことは、ここではつきり私は申し上げておきます。ただ鳥取縣は、あなたの方から鳥取縣という例が出ましたから、鳥取縣はこういう状況であるということをあなたのおつしやつたその例を引いて私は申し上げたまででありまして、当局といたしましては、そういう安易な、放漫な考えは持つておりません。これははつきり申し上げておきます。  それからその都度々々の発生することに対して対策を講ずるという、これはお説の通り、できるなら、すべて國家財産について、できるだけのゆとりのある、大きな予算を持つてつて対処しなければなりませんけれども、天災地変というものは、いつどこにどう起つて來るか予期すべからざるような、臨時に発生するものであります。それを見越して、國家財政が一々それを全部予想いたしまして、これを予算に計上するなどというような方法をとりましたならば、これはできるならばけつこうでありましようが、現在のわが日本経済状態、ことにこういうぐあいに、今経済再建に向つて建直そう、國民全体の力で協力してやろうというようなとき、そういう大きなことを――これは國家予算の編成の建前を申し上げるのでありますが、容易にできるものではない。またそういうことをやれば、それこそなお國費多端になりまして、非常な予算編成に困難な状態が起つて來ると思います。繰返して申し上げますが、地方財政につきましては、このたびの配付税が減額せられましたことにつきましては、私も非常に心配いたしております。お説のごとくそのときに應じ、その天災に処して、何か処置を講じておけという、それはできますならば、その方が結構でありますが、御承知の通りの状況でありまして、ただいまそういう案が立ちかねます。これを数字をもつてどうしてやるかということを示せという御要求になつたのでありますが、生田議員がこの前の委員会で、数字とまでは言われなかつたが、対策について何か抱負があれば、その意図を発表しろとおつしやつたことについて、ただいまここに持ち合せがないと申し上げておきました通り、ただ数字に表わして、ここで責任ある言葉を申しますということは、もう少し時間を拜借しませんとまとまつて参りません。その点御了解を願いたいと思います。
  32. 谷口善太郎

    谷口委員 天災地変によるいろいろな災害については、もちろん事前にこれをどうする、こうするということはできないことは当然だと思いますが、そうでなくて、今現に私どもが知つており、また木村國務大臣もよく御承知の、一例を言えば、教育問題でしばしばこういう問題があるわけです。先ほどちよつと申し上げましたように、どんなに少く見積つても、昭和二十四年で完成されなければならない六・三制では、七万教室が必要である。そのために五百億の経費がいつて國家がそれを半分負担するとしても、二百五十億の補助を出さなければならない。ところがこれをこの予算には一厘も入れてない。どうすればいいのです。こういうことを私は言つているのであります。日本教職員組合の正確な必要量を聞きますと、これは六・三制問題だけを私は一例に申し上げるのでありますが、生徒が自然に増加したために必要な教室は、実に二万四千七百七十五教室、これは現在経済的に收容しているのであるが、それを普通の人数に收容し直すと、なお三千四百五十教室を必要とする。その他二部教授をやつていたり、かり教室をやつているのを解消するためには、四万六千八教室、特別教室の必要が四万三十七教室、合計十一万四千二百七十教室が必要であります。このうち本年と來年と再來年との三箇年によつてこれを完成するとしても、実に莫大なものがいるということを言つている。昨日の本会議で青少年の犯罪防止に対する決議案が出ましたが、学校が六・三制によつてつて行かなければならないにもかかわらず、ほとんどそれが放置されるような状態になつているという結果、生徒たちは午前中は遊んで、午後学校へ出たり、あるいは二部教授をやつたり、あるいは青空で勉強しなければならない、あるいは先生が足りなかつたりするという状態に放置されているということが、いかにたくさんの青少年の犯罪者をつくつておる原因になつているかは、周知のことであります。こういうふうに教育が非常に一國の文教の興廃に関するような状態に、置かれておるという現状であるのであります。ところがそれに対して一厘の予算も出さない。こういう状態になつていることについて一体どうお考えになるか。これに対してそれで安心しておられるか。今木村國務大臣言葉をはげしくして、地方財政に対して自分は非常に心配しておる。何とかしたいという氣持を、君に負けないほど持つているのだと言われる。私非常にけつこうだと思います。しかしこういう具体的な問題が出ている以上、單なる氣持や、單なる観念ではどうにもできないのでありまして、これをどうして解決して行くか。子供たちが犯罪者にならうとしている。これをどうするか。この点について政府は、はつきりした考えを実際に持たなければならない。こういう状態にいるにもかかわらず、なおかつ配付税を半分に減らして、地方財政をさらに逼迫に陷れるということは、これは地方自治体の破壊以外の何ものでもない。これに対してどうするかということを私は聞いているのであります。
  33. 中島守利

    中島委員長 ちよつと御注意申し上げますが、質問者がまだたくさん残つております。どうかあまり議論にわたらない程度において御質疑願いたいと思います。また答弁の方もなるべくどうか御意見を加えないで御答弁願いたい。
  34. 木村小左衞門

    木村國務大臣 六・三制の経費が計上してないので、地方では非常に困難をしておる。これは私ども相察しますが、この問題については、私に御質問になりましても答弁いたしかねます。この対策については、文部大臣なり、大藏大臣が相当考慮しておると思いますから、その方へお尋ねに相なりますよう、またこの配付税の減額について、どういう対策を持つているか、さらに御質問がありましたが、これは私はもう前の委員会でも、きようもたびたび同じことを繰返しております。答弁を要しないと思います。
  35. 谷口善太郎

    谷口委員 國の方で七千何百億の予算をとつて、そのうちから非常にたくさんの二千数百億かにわたるものが、安定帶物資の生産の方面へ、價格調整費として使われることになつております。私どもはこういう方面に出す金があつたら、当然法律できめられている地方配付税三三・一四%の金は出せると思う。この價格調整費というものは、日本経済安定のために必要だということを盛んに政府は言つておりますし、またそのことを予算説明書の中にも書いているのでありますが結局あれは鉄や、石炭や、肥料などを生産する資本家に対する補助であります。私どもはああいう金を出す力があるならば、いろいろな面から逼迫している地方財政を助けるために、配付税を減額しないで、法律通りのものが出せるはずと私は思いますが、この点政府では、やつぱしどうにもできないというようにお考えかどうか。
  36. 木村小左衞門

    木村國務大臣 大藏大臣に御質問願いたいと思います。
  37. 谷口善太郎

    谷口委員 木村國務大臣はお答えできないようでありますから、大藏大臣に……
  38. 木村小左衞門

    木村國務大臣 答えができないわけではありません。大藏大臣予算編成のことに及びましたので、少し越権になりますので、これは所管が大藏大臣でありますから、大藏大臣から御答弁願います。
  39. 谷口善太郎

    谷口委員 地方配付税の問題についてお尋ねをしておるのでありまして、木村國務大臣は、國務大臣としては内閣の一員であつて、從つて私は木村國務大臣政府の一員だと考えて聞いておるのでありまして、もちろん專門的に大藏大臣に対する質問は、大藏大臣がお見えになつてからいたそうと思いますが、そういう点で木村國務大臣は答えられない。大藏大臣に聞けばいいというようなお考えで、お答えがないことは私ども残念だと思います。当然政府の一員としてここへ御出席になつているとすれば、予算の全体に関係する問題であります。もしこの委員会配付税に関する特例を否決した場合には、政府の出している予算全体が成立しないことになります。そういう問題について、政府を代表して論議に出ていらつしやる木村國務大臣が、大藏大臣に聞け。おれの所管じやないというような言い方をされるとすれば、私どもは何をか言わんやでありまして、大藏大臣がお見えなつたら聞くことにいたしまして、私の質問はこれで終ります。
  40. 中島守利

    中島委員長 この際お諮りいたしますが、午前の質疑はこの程度にしておきまして、一旦休憩し、質疑を続行いたしたいと考えます。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 中島守利

    中島委員長 それでは午後二時より再開することにいたしまして、暫時休憩いたします。     午後零時四十八分休憩      ――――◇―――――     午後二時三十一分開議
  42. 生田和平

    ○生田委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。  委員長都合により、その御指名によりまして委員長の職務を代理いたします。  なおこの際法案の審議に入ります前に委員の方々にお諮りいたします理事である千葉三郎君より、都合により理事を辞任したいとの申出がありました。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 生田和平

    ○生田委員長代理 御異議なしと認めます。その補欠選任を行いたいと存じますが、これは委員長において指名することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 生田和平

    ○生田委員長代理 御異議なしと認めます。それでは藤田義光君を理事に指名いたします。     ―――――――――――――
  45. 生田和平

    ○生田委員長代理 これより地方配付税法特例に関する法律案内閣提出第二八号に対する質疑を続けます。門司亮君
  46. 門司亮

    ○門司委員 私は、すでに先輩である生田さんその他の方々から、非常に長時間にわたつて質問が繰返されておりますので、できるだけ簡略に申し上げたいと思いますので、大臣もそのつもりでひとつ御答弁願いたいと思います。この配付税法特例に対しましては、全國の知事会議、あるいは市町村会議におきましても、ことごとく反対の意思表示をしておるということは、大臣も御承知のことだろうと考えております。從つてこの地方の行政官廳のすベてが反対をしているものに対して、あえてこれを強行なさろうとする大臣の――これは大藏大臣でありませんのではつきりしたことは言えないかとも思ひますが、この地方廳に最も関係の深い、しかも地方財政委員会の長であられます國務大臣としての御所感を、まず先に承つておきたいと思うのであります。
  47. 木村小左衞門

    木村國務大臣 地方全体の要望の声でありますことは私もよく承知いたしております。その要望の声の起つて参りますのは、たびたび申し上げました通り地方財政の窮乏に起因するものであるということは、私よく承知いたしております。予算編成にあたりまして、大藏大臣の提議いたしました原案につきましても、相当に私は異論を持つて交渉に交渉を重ねて、種々なる手を盡して参つたのであります。ところがその予算編成ができましてから、いわゆるドツジ案の交渉に移りまして、これによりまして、國全体の予算編成の方針をかえなければならぬところの段階に立至つたのであります。くどいようでありますが、御承知の通り経済原則の線に沿いましたところの國家経済の建直し、基本の問題を確立するために、総合均衡予算を組むことになつて、大いに圧縮されましたその予算につきまして、われわれは國策としてこれを――大藏大臣だけでありません、現政府がこれをのまねばならぬ。やむを得ずのむというところではありましようが、総理大臣もこのドツジ氏の示されましたところの、いわゆる経済再建原則に副うことが、日本再建のために最も当今における適当なる処置であると考えまして、閣議に諮りました結果が、われわれもこれに同調いたして参つた次第であります。
  48. 門司亮

    ○門司委員 最初お聞きしておきたいと思いますることは、この問題が今の大臣の御説明のように、やむを得ざる処置として日本再建のために行われるものであるという角度から、これを承認したということでありますならば、私はさらにお聞きをしておきたいと思いますことは、地方財政委員会のこれに対する態度と処置であります。それは御承知のように、地方自治体の代表者をもつて大体構成されている。さらに國会の代表者を加えたこの委員会が、示されたドツジ案を、そのまま承認することに、承認を與えておつたかどうかということであります。私はおそらく各委員の所属いたしておりまする行政地方官廳が反対をいたしている上に立つて、おそらくそこから選出されて参りました委員の各位は、ただちにこれに賛意を表したとはどうしても受取れないのであります。從つて委員会の内容その他をひとつ説明を願いたいと思うのであります。このことを私が申し上げまするのは、第二國会においていわゆる地方税法制定を見まするときに、政府のとつておりまする態度と、財政委員会の意見との食違いを生じました時分に、今委員長代理をいたしておりまする生田先輩もそうだと思いますが、これでは地方財政がやつて行けないという責任をお感じになりまして、地方財政委員を辞職をされた例があるのであります。しかるにもかかわりませず、今回の問題は、この前の地方税法改正よりも、むしろ実質的には重大であると考えられておりますこの問題が、地方財政委員会地方的の意思が、未だわれわれにはつきりしておりませんので、この際委員長であらせられます大臣から、委員会のとつていただきました態度その他の御説明が願えれば幸いだと思います。
  49. 木村小左衞門

    木村國務大臣 地方財政委員会では、もとより今日午前中に申し上げました通り、元の案、すなわち要求いたしました八百二十億でありますかの案、それを大藏省できめましたところの最初予算案であります七百二十億、この七百二十億というものを承認しようということの決議なんであります。それが先ほど申し上げました通り、今回のドツジ案における全面的な予算の組直しから、やむを得ずこうなりました結果、地方財政委員会でも、かくなる上はやむを得ないという意思表示に相なつております。私は本会議がありますので、その委員会には出席いたしませんが、今承りますと、やむを得ないという承認を、地方財政委員会においていたしたいという報告を受けました。
  50. 門司亮

    ○門司委員 この問題は非常に重要でありますので、さらにもう一つお聞きしておきたいと思いますことと、同時に要望しておきたいと思いますことは、地方財政委員会の立てられました案というものがはたして適正であつたかどうかということ、さらに政府がこういうむりなものをこしらえて参りましたものが、適正であるかどうかということを、われわれは合せて審議をいたすことが、非常に本委員会の審議をいたす上に便宜だと心得るのであります。從つてできますならば、地方財政委員会の原案といいますか、それらのもののお示しを願い、そうしてほんとうに政府の示した案で地方財政がやつて行けるかどうかということを、われわれはさらに檢討して見たいと思いますので、そういうとりはからいができるかどうかということを、まずお聞きいたしたいと思います。
  51. 木村小左衞門

    木村國務大臣 お手元へ資料を配付してあると政府委員が言つております。
  52. 門司亮

    ○門司委員 それではどの案であるか私よくわかりませんが、大体配付税が八百五十五億九百万円の数字の出ておりますものが、ずつと以前にわれわれの手元に届いているのであります。これが大体地方財政委員会の案であつたということを承知してさしつかえないといたしますならば、私は配付税法で定められた三三・一四に相当しておらない額を、地方財政委員会はどうして最初から認めたかということについての、一應の御説明を願いたいと思います。
  53. 木村小左衞門

    木村國務大臣 最初から認めたものではありません。
  54. 門司亮

    ○門司委員 何か水かけ論のようになりますが、しかし私の聞いておりますのは、先ほど提示しておるというお話でございましたので、われわれは最初國家予算の中に組まれておりますいわゆる所得税の三千百億と法人税の二百七十億を基礎として考えますならば、午前中の会議で大臣がお話になりましたように、千百十六億幾らの数字に相なると考えるのであります。その数字の現われているものは、まだ地財委の方から私どもは受取つておらない。八百五十億九百万円という数字は受けておつたのでありますが、それまでのいきさつを私は聞いているのであります。
  55. 荻田保

    荻田政府委員 当初お配りしております八百五十五億と言いますのが財政委員会の原案でございまして、その当時國の方の予算の原案によりまする所得税法人税收入見込み額に、三三・一四%をかけたものが八百五十五億になります。從いまして所得税の見積りがどうかされたことと、配付税が減額されたことは、いずれも先方の案なんでございますが、それからあとは日本政府の案ではないのでございます。
  56. 門司亮

    ○門司委員 非常に奇怪なことを聞くのでありますが、先方の案であるからということになつて参りますと、それに対して一体政府はどういう責任をお感じになるのでありますか、私どもはあくまでも國家予算に出されているものは、総理大臣もたびたびお話になります通り政府の責任においてお出しになつておると思う。政府の責任において予算案が提示されておりますならば、それを單なる向うの案であると言つて、そういう数字を知らないのだというようなことでは、私は相済まないと考えるのでありますが、この点一体大臣はどうお考えになりますか。
  57. 木村小左衞門

    木村國務大臣 向うの案を承認をして、日本政府の案として出したのであります。
  58. 門司亮

    ○門司委員 大体これ以上私は追究をすることを避けたいと思いますが、そういう不見識なことで、一体地方財政委員会というものが設立されました趣旨と合致するかどうかということを私どもは非常に疑う。大臣は向うから示されたものを政府案として出したのであるという御答弁でありますが、それに基いてそれなら地方財政委員会はどういう態度をとられたかということであります。私どもはこういうことを申し上げるのは、決して大臣をいじめる意味で言うわけではないのであります。大臣も当時内務大臣として内務省が解体されますときの所管大臣として、十分今日の地方自治体の重要性、あるいは権限の拡大ということについては、私よりもむしろ大臣の方がよく御存じと思います。その内務省解体に伴う地方仕事をやつて行きます上に必要な財源裏づけだけは、いかなる政府といえどもこれを考えなければならない。ところが地方財政の面から見ますと、この配付税はきわめて重要な地位を占めておるということは、午前中の会議でも発言のあつた通りであります。そのきわめて重要な財源になつておりますものが、こういうように創られて参りますと、一体地方財政はどういう形になつて行くかということであります。ことに大臣は地方財政委員会委員長であるが、これは一つの議決機関であつて、あえてこれを固執する自分の責任は、比較的お考えになつておらないようなお言葉があつたように私は聞いている。國務大臣としての考え方はまた別だというような御意見を承つておりますが、しかし地方財政委員会委員長であり、地方財政委員会内閣総理大臣の所管のもとにこれが置かれているのであります。從つて地方財政委員会といえども、單なる大臣のお言葉のように、議決機関であつて行政機関としての大臣の位置とは違うのだという答弁では、私は済まされないと考えているのであります。この点に対する大臣のお考えを承つておきたいと思います。
  59. 木村小左衞門

    木村國務大臣 この点につきましては、この前の委員会ちようど同じような千葉君の御質問に対しまして、るる私の所感を開陳いたしたように存じますので、どうぞ念のために速記録をごらん願いたいと思いますが、地方財政委員会という組織は、私は非常に重要に考えております。決してあなたのただいまのお説のように軽々なものとは考えておりません。これは地方代表、すなわち町村代表、市の代表、縣の代表が委員となつております。衆参両院の議員委員に加わつております。これはおもに地方委員地方の要望を表現せしめるところの機関でありまして、それを國策に反映せしめるということが、この地方行政委員会仕事であります。私は國務大臣という立場で委員長というものをやつております。はなはだかんで含めるようでえらいくどくて惡いようでありますが、その委員の互選によつてできておりまするところの委員長ではございません。官制によつて委員長になる。これはきまつた職責において委員長をやつております。ところが地方財政委員会というものは、議決機関――私はこれは非常に法律の不備であると思う。議決機関だけでありまして執行権というものは何も持つておりません。ただあそこの委員会で決議をするだけのことは認められておりますが、法律でそれを権力を持つた執行機関といたしまするには、憲法の疑義がありまして、執行機関にはできません。そうして執行機関でないところへ、委員の互選したところの委員長が出ないで、國務大臣という特定されたものがその委員長になつておる。その関係からいたしまして、地方財政委員会の議決というものは非常に尊重いたします。地方財政委員会そのもの自体の議決というものは――地方財政委員会というものの主張、その議決というものは、非常に尊重すべきでありまして、私國務大臣といたしまして、できるだけ閣議に反映をいたしまするように主張いたしております。及ばずながら十分に主張しております。またこの間も申し上げました通りGHQの方へ行つてもいささかながら私の微力を盡しておるつもりでありますが、國策としてこのドツジ線に沿うて、ドツジの声明に沿うて、この経済の総合均衡予算を組んで、この線で行かなければならぬという、ほとんど画期的な一大國策がここで決定せられました以上は、これはどうも財政委員長としてでなく、國務大臣として、この大体の、基本國策に順應して行かなければならぬ考えを持つて、私はこの國策に順應いたして参つたものであります。
  60. 門司亮

    ○門司委員 その点の解釈はわれわれの解釈と多少観点が違うと申し上げまするか、むしろ私から言わせますならば、官制がこうなつておるからということでなくして、こういう委員会を設けたということ自体に、大臣は考えを及ぼしてもらいたいと考えておるのであります。それは地方自治体自体が地方財政をいかに確立するかということは、先ほどから申し上げておりまする通り、内務省解体後の地方自治体は非常に大きくかわつて参りましたので、この財政をいかに充実するかということで、この委員会は当初一年を限つて設けられておるのであります。そうしてこの委員会が一年と限られたという原因は、先ほど申し上げたと思いまするが、大臣のお言葉のように、この委員会の意見によつて地方財政確立をぜひしたいというのが、この委員会の意思だつたと私と思う。ところがその財政委員会の意見というものが、國の示す方向に向つて行かなければならないので、委員会の意見は意見として閣議に持ち込んで話もし、さらに関係方面にも了解を求めたが、いかんともすることができなかつたという大臣の御答弁でありまするならば、私は大臣はその間において、大藏省とどういう折衝をなされたかということであります。これは單に閣議に持ち込んだというだけでは、私は済まされない問題だと思います。この点の大藏省関係との交渉と申し上げますか、あるいは話合いのいきさつが、もし御発表できますならば、この際お願いしたいと思います。
  61. 木村小左衞門

    木村國務大臣 これも同じことを再度申し上げるのですが、この間生田委員の御質問に対しまして詳しく申し上げたつもりであります。それからもつと詳細なことは速記を停止しまして、ほんとうにはらを打明けました赤裸々の成り行きを率直に申し上げたつもりであります。さあどうだと立ち直つて同樣なことを御追究になりますると、勢い私といたしましても、できるだけの答弁を申し上げるより方法はないと思います。大藏省にどういう交渉をしたか、大藏大臣と何月何日にどういう話をしたか、理財当局とどういう話をし、GHQへ行つてどういうことをどうやつたということを、一々ここで申し上げることは、私は答弁の要はないと思う。
  62. 門司亮

    ○門司委員 大臣がそういうふうにお出になるなら、われわれも考え方を持つております。それなら大臣はこの配付税を減額して、それで地方財政が円満に遂行できるとお考えになつておるかどうかということであります。
  63. 木村小左衞門

    木村國務大臣 これも再三再四同樣の意味のことをお答えしております。円満に行くか行かぬか、はなはだ困難であります。まことに遺憾でございます。これは何十回申し上げております。國の財政というものはただ國だけじやない。地方財政も國の財政も一貫いたしました國家財政でありまして、おのおの個々別々な國家財政というものはありません。今度の國家財政の大緊縮、大きな革新、立直しというものも、地方財政というものもひつくるめました一貫したものでありますから、國家財政というものになつて来る。ただ國と地方財政は別なものではないと私は思います。こういう建前からやむを得ずこういうふうに相なりました結果といたしまして、これが円満に行くか行かぬか、なるべく円満に行かせるように、最善の努力を拂うより方法はないと思います。
  64. 門司亮

    ○門司委員 さらに私はつつ込んでお聞きしておきたいと思いますことは、円満に遂行できるように努力をするというお言葉でございまするが、現在の状態から言いますると、地方配付税がここまで減額されて参りまするならば、地方のすべての事業というものが、どの程度圧縮されなければならないかということも、財政委員会委員長として、当初財政委員会の案を立てられました大臣としては、よく御存じだと思うのであります。從つて今お話になりましたように、國の財政地方財政とは一貫されたものである。あるいは均衡のとれたものである。あるいは、総合性を持つておるものであるということは、われわれも十分承知しておるのであります。承知しておりますから私は質問申し上げておるのであります。それならさらに聞きまするが、政府考えておりまするものは、この次に來るものは、この配付税法による減額されたものの穴埋めをすることのために、あるいは地租の現行賃貸價格の百分の二百を五百に上げ、あるいは家屋税の二百五十を五百に増額し、また住民税を現行九百円を千四百五十円に上げられようとする意図のあるということを、新聞で承つておりまするが、     〔生田委員長代理退席、委員長着席〕 これは一体どういう國の財政の形であるかということであります。國の財政が非常に詰つておりますから、配付税をとつてその穴埋めをして、さらにこれを地方税において埋めようとするならば、國の財政全体から申しまするならば、國の財政と申しましても、それは國民すべての負担であり、財政であります。一方に於いて当然配付すべきものを減額して、その穴埋めとして、ことに大衆課税でありまするこれらの税金の中から徴收して行こうというものの考え方は、地方財政委員会委員長として承服されるかどうかということであります。もし私がさつき申し上げましたような地租であるとか、あるいは家屋税であるとか、住民税であるとかいうものの値上げをしないと言明ができますならば幸いでございますが、それをしなければ地方財政はどうしてもやつて行けないという結論に達しますならば、われわれはこの配付税法に対しましては、やはりおのずから大臣と異る考え方をなお聞き質さなければならぬと考えておりますが、この減額による穴埋めのために、そういう徴税をなさる御意思があるかどうかということであります。
  65. 木村小左衞門

    木村國務大臣 今回の配付税は減額せられた。その穴埋めに地租二百分の五百、家屋税二百分の二百五十に増徴するというのでございません。これはその穴埋めではございません。これは大体今年の予算を編成いたしますときに、物價の高騰その他政府の委任事務が非常にふえまして、たびたび申しますように警察制度改正、六・三制の問題、その他賃金ベースが昨年三千七百円であつたのが、六千三百円にかわつてつたというようなことから、自然地方財政が膨脹せざるを得ないことになりまして、それで四千億という予算を組みました。これに対する町村の歳入を得なければなりません。その歳入を得まするために新税を設けたのであります。それから住民税の九百円を千四百五十円に上げるということは、これは配付税が減額されたその穴埋めとして計画、起案いたしたのではございません。これは最初予算を組みますときの起案でございまして、地方行政委員会において異議なく可決せられた増税案でございます。そのことを申し上げます。
  66. 門司亮

    ○門司委員 どうも私どもは一向のみ込めないのであります。地方行政事務が非常にふえたことのために、地方にどうしてもそれだけの財源がいる。そうしてこの財源から生れますものは、住民税において八十八億、地方の地租の面において約四十三億くらい、家屋税において三十六億くらい、大体百九十億ないし二百億の増額ができると思いますが、税金を上げてまでも地方財政を充実しなければならぬということも、当初から委員会でお考えになつておりまするときに、当然配付さるべきものを配付しないでもいいという議論は、私は國家財政の上から考えてもどうしても成立たぬと思う。これが成立つといたしまするならば実に私は奇怪なものであると思います。繰返して申しますが、ただいま大臣のお話のように、大臣といたしましては、地方のいろいろな行政事務のために、どうしてもそれだけの財源をふやさなければならぬというお考えがあるときに、片方で財政委員会の意見が、税金を四百億以上削減しても、あえてこれが國策であるというようなお考えは、私はまつたく了解に苦しむのであります。  これは大臣のお考えと私ども考え方があるいは違うかもしれませんが、しかし國の均衡予算、あるいは総合予算というものは、國民全体に課せられた一つの大問題でありまして、それが地方税であろうと、あるいは國税であろうと國民負担の上から申しまするならば決してかわりはないのであります。われわれは國家予算のつじつまを合せる犠牲に、地方の住民が地方税として多くのものを負担しなければならないという理窟には、どうしても承服ができないのであります。これは午前の会議で谷口君からも申し上げました通り地方税法にはそういうことをしてはならないということが明記してあるので、明らかに私は法律を無視した現在の政府の行き方だと考えざるを得ないのであります。この間に処して財政委員会はこの問題を――あるいは水かけ論になるかもしれませんがもう一應、私の先ほど申し上げました角度から、大臣の御意見を承つておきたいと思うのであります。
  67. 木村小左衞門

    木村國務大臣 答弁は幾らでも御納得の行くようにいたしたいと思いますが、午前中以來ほとんど同一のことを御答弁いたしておるような氣分がいたすのであります。こういう配付税を減額することは地方と國の均衡がとれないではないか、地方財政が犠牲を拂つて國の財政に補填したような形になる。つまり地方財政法の第二條の二に「いやしくもその自律性をそこない、又は地方公共團体負担を轉嫁するような施策行つてはならない。」こういうことになりはせんかというお尋ねだと思います。これは当時谷口君にもるるお答えいたしたので、お隣りにおいでになつてお聞きになつておることだと思いますが、さらに繰返して申しますと、政府考えといたしましては自律性をそこない、または地方公共團体負担を轉嫁するような施策ではないと考えております。さつき申しましたように地方も國も一貫したものが総合いたしまして、これが國家財政でありますから、國家財政が緊縮縮減をしいられて圧縮されました場合には、地方財政も非常に苦しいことで困つたことであり、遺憾でありますが、どうもこれもやむを得ず圧縮されざるを得ぬような形に相なりはせんか。轉嫁することにはならぬのではないか。第二條の一に「地方公共團体は、その財政の健全な運営に努め、いやしくも國の政策に反し、又は國の財政若しくは他の地方公共團体財政に累を及ぼすような施策行つてはならない。」と記載してありまして、第二條は、ほとんどそれを補充したものでありますが、これは見解の相違かもしれませんが、私だけの個人の意見ではなく、政府といたしましては非常に遺憾なことと思つておりますし、地方に対してはまことにお氣の毒なことであり、実に忍ぶべからざることでありまするけれども、今回の財政緊縮で総合予算の圧縮にあいましては、どうしても日本再建のために――日本再建といえば、中央だけではありません、地方日本再建の一部に当りますが、國全体の経済根本から建て直さなければならぬという、経済再建の基盤に立つての今度の予算でありまして、そのためにやむを得ず減額しなければならぬ。しいて申し上げますれば、涙をのんでこれをやらなければならぬ。別に地方を犠牲にするとか、恨んでやるとか、放漫なる、易々たる氣持で晏如としてこれをやつたというようなわけではない。まことに忍ぶべからざるものを、やむを得ずこういう方策をとらなければならなかつたということに帰着すると私は考えます。
  68. 門司亮

    ○門司委員 さつきの地方財政法の條文の解釈につきましては、おのおの意見はあると思いまするが、しかし地方財政法を設定いたしました趣旨は、大体第二項の問題がほとんど中心となつて、こういう税法が新たに第二國会において設けられたと私は考えておるのであります。これはあまりくどくなりますから申し上げることを避けたいと思いますが、日本行政機構のかわりましたために、地方財政法地方税法配付税法というような新しい法律を設けて参りました。そうして地方の公共團体が、ある程度まで安心して行政あるいは仕事ができるような処置を國が講ずるという建前の上において、こういうことがなされておるのであります。しかるにもかかわりませず、今回のように政府都合において、その財源の最もたよるべきものが半減されるというようなことになつて参りますならば、地方公共團体政府に対しまする信頼の度合いというものは、どういう角度になつて來るかということであります。私はこれほど恐るべきものはないと思うのであります。地方と中央とが相離反するような考え方を持つて参りまするならば、ここにせつかく地方税法財政法制定いたしまして、そうして地方自主性というものを十分しんしやくして行く。なおしかしながらそれはやはり國政というものを、大臣のお話のように無視してはならないという規定は、この間の事情をこの法案によつて如実に表わしておるものであるということをまず考えなければなりません。そう考えて参りまするときに、今回のような処置を、地方の公共團体が一切をあげて反対いたしておりまする今日の現状に対しましては、私はこの配付税法からよつて來る地方の公共團体と政府との間が、將來どういうふうになつて行くかということを、非常に憂慮するものでありますので、その間に対して所管大臣としてのお考えを、もう一應私ははつきりと承つておきたいと思うのであります。  それからさらに私はつけ加えて申し上げておきまするが、先ほども申し上げたように、幸い大臣は内務省解体当時の大臣でありましたので、内務省を何ゆえ解体しなければならなかつたかということについても、十分御承知のことだと思います。それは日本の政治、行政というものが官僚的中央集権であつた。この弊害をなくすることのために、官治行政を民治行政に切りかえるという、きわめて民主的な処置の上にこれが行われたと考えておるのであります。しかるに中央の予算都合によつて地方予算が非常に圧縮されて参りまして、行政面でなくして、今度は財政処置において再び地方が中央にこび、へつらいをしなければ、地方財政が立て行かぬというような状態に相なつて参りまするならば、日本の民主化もほど遠いことではないかというこの点を、財政の問題とともにわれわれはきわめて憂慮するのであります。幸いにいたしまして当時の内務大臣でありました委員長から、この点の感想をこの際はつきりと承つておきたいと思うのであります。
  69. 木村小左衞門

    木村國務大臣 門司君のお説は私も御同感であります。そういうような中央と地方とが相反目し、相疎隔するようなことがあつては相ならぬと、衷心から心配をいたしておりまして、ちようど前回のこの委員会で、その点はるる申し上げたつもりであります。今回の予算において、國の都合でこの配付税を半額に削減したことはけしからぬではないか、これはまことに同感であります。遺憾でありますが、しかしこれは一方町に地方だけの立場から推算し、地方だけの立場からお考えになりますとそういう観点が出ます。地方財政委員会あたりは地方だけの代表でありますから、地方だけの観点から考えますから、そういう決議などが出ますけれども、もしもここに五百億なら五百億の配付税の削減をいたします。その削減をいたしましたものを國の財政都合でほかの方に使つたということでありましたならば、鉄道特別会計の鉄道建設とか郵便とかいうものに貸付したとか、繰入れたとか、あるいは貿易の支出に使つたのであるとかなんとか、ほかの方へこれを使つたということであれば、この財政法の第二條第二項にありまするように、いわゆる地方財政を犠牲にして、國がこれをやつたということに相なりましようけれども、今回の予算の組み方は、数字ははつきり覚えておりませんが、御承知の通り最初七千二、三百億の予算でありましたものが、ドツジ試案によつて五千億円ばかりに削減されたのであります。もつとも数字は黒字が出まして七千三、四百億になつておりますけれども、その中には千七百五十億円というアメリカから借りる金が別に上げられまして、これは別の特別会計になつておりますから、ほんとうの予算というものは五千何百億になつております。二千億近くも削減されましたところの國の全体の予算の中から、もしも配付税だけを五百億削減して、ほかへ使つたということになれば、これはたいへんなことでありまして、私どもの責任でありますけれども均衡的にみんなおのおの削減されて來ておりまして、國の大きな予算も、予算面では四億ばかり黒字が出ましたけれども、そのうちの千七百五十億というものはアメリカの貸與金でありまして、別の特別会計に取上げられておる。こまかい数字はちよつと間違つておるかもしれませんが、事実の予算というのは約二千億に近いものが大体削減され、配付税もそのうちの一つにはまつております。こういうことで削減されたことでありますので、私ども國策基本に沿うということについてどうもやむを得なかつた、こう考えておるような次第であります。
  70. 門司亮

    ○門司委員 すでに制限されておりまする時間を非常に越えておりますので、あとの問題は明日大藏大臣なり、総理大臣の出席を求めて、國の財政地方財政との均衡については、なおただしたいと思います。  最後に一点申し上げておきたいと思いますことは、先ほどからわれわれがるる申し上げておりますような状態にありますときに、この地方財政委員会ができて、地方財政確立するという趣旨の上に、いろいろお骨折りを願つたということは、われわれも考えておるのでございますが、今回のような無謀な配付税の削減にあつて、なおかつ努力されたことがすべて水泡に帰しておるという結論が、ただいまの大臣の御答弁によつて現われたと思いますが、一生懸命に努力されましても、なお法律的にもいろいろな違反であるとか、どうとかいうような、疑義のあるような面まで、きわどいところまで押しつけても、なおかつこういうふうに無謀なことが行われるというときにあたりまして、この地方財政委員会が六月の末までか延期されておるのでございますが、一体この財政委員会は、單なる議決機関で、何ら中央予算に対して権限を持たないようなものでありまするならば、どういう意図で一体六月までお延ばしになつておるか。この六月までの間に、こういうことが再び起らぬように、地方財政委員会といたしましては確固とした方針をお立てになる御確信があるかどうかということを、あわせてお聞しておきたいと思うのであります。
  71. 木村小左衞門

    木村國務大臣 御高説るる拜聽いたしましたが、日本はまだ悲しいことに、ただいまは独立國になつておりません。まだ占領下の委託政治をとつておりますることが、われわれの最も悩みといたしまするところで、これは御同感であろうと考えます。私が内務大臣として内務省を解体いたしましたときには、御趣旨通りでありまして、その理由で解体いたしました。そのときには、この財政委員制度は、こういう制度にして私は出したつもりではございません。ただいま総理廳の直属でありまするところの自治課と、財政委員会と一緒にしたもので、地方公共團体、いわゆる地方民の代弁と、保護と、その指導といたしまするような方法にして、向うの政府のアプルーヴアルを受けてきめて出した策であります。これは地方の自治行政と地財とが一緒になりませんければ、ほんとうの自治基盤というものはがたがたになりまして、総合的に立ちません。ところが今度私が任命されて行つて見ますると、地方自治は自治廳となりまして、総理廳の所属になつております。地方財政委員會のみが孤立して存在しておるような状況であります。これではどうもうまく行かぬ。これに執行権を持たせようということは、憲法の命ずるところではどうしてもできません。執行権を持たせ得るということになれば、元の内務省と同じものに立返つてしまう。私は内務省を解体しまするときにも、こういうことはやむを得ず行わなければならぬけれども、その当時はそれを言うこともできなかつた。議会でも速記に残るとたいへんでありますから、そういうことを言わないで、ただつばをのんでおりましたけれども、今日はもうかまわぬ。これはもう向うのディレクティブによつてつたことであります。こういう解体をいたしましても、將來は必ず内務省のような、地方を代表するところの総合的代表機関、地方民の声を國の政治の中枢に持つて來て、これを反映せしめ、行わしめる機関がなければならぬから、内務省は解体しておりましても、私は必ず元へもどるようなことになりはせんかというような氣分がいたしましたけれども、そのときは私の責任といたしまして、メモランダムによつて私は内務省を解体いたしました。ところが今度行つてみますと、地方財政だけは孤立しております。この次に今度の行政機構改革の一環といたしまして、六月一日から設立されるところの地方自治廳というものにこれを改組して、それには今の総理廳にあるところの自治課を一緒にしたもので、いわゆる地方の行政面と財政面とを総合したもので、この存在をして諸團体、公共團体の指導なり、誘掖という方にも当りましようが、地方自治に関してこれから干渉するとか、誘掖するとかいうことは、地方自治の障害になる。地方自治は、確固たるものがあるのでありますから、それのおせわをするというようなものにいたしたいと思つて、今から行政機構改革を急いでもらつて、各官廳機構の改正の審議をいたして、ややそういうことが成立いたしかけておりますから、近いうちに、やはりこの委員会に提案せられることを私は信じております。
  72. 門司亮

    ○門司委員 実におかしな答弁を聞くのですが、私の聞いてゐりますのは、將來のことではありません。將來自治廳ができますときには、またそのときに大臣の御説明を承ればいいのでありまして、私の聞いておりますのは、現在のような地方財政委員会のあり方において、なおかつこれを六月までお延ばしになつたということについても、われわれも一應賛意を表しておりますが、その間に地方財政確立をすることのために、はたして委員会が十分な効果を上げ得るだけの御自信であるかないかということであります。私は率直に申し上げますが、もし大臣にして期間は延ばしたが、その間何もしないのだというなら、何も期間を延ばす必要はなかつたと思う。われわれはこういう大きな削減された問題がありますし、かたがた地方財政がこういう状態にありましては、非常に不安なうちに置かれておりまして、先ほども申し上げましたように、中央と地方との離反まで來すことがありはせんかということを非常に憂慮いたしますので、この延ばされた期間のうちで、大臣は確固とした地方財政確立の基礎をこしらえ得る御確信があるかないかということであります。もしそれがないということになりますならば、われわれもまた今の地方財政委員会というものを、そう重要視するということもなければ、考えを及ぼす必要もないのでありますから、せつかくお延ばしになつておりますので、大臣の御覚悟のほどをこの際承つておくことが、今回の地方財政のこの処置に対して、また地方の行政廳といたしましても、やや安心のできる形ではないかと考えるのでありますがゆえに、大臣にその所信のほどを実はお伺いするのであります。
  73. 木村小左衞門

    木村國務大臣 御質問の要旨はよくわかりました。しつかりやるつもりでおります。確信を持つております。その一端を申し上げますと、五月に全面的に税制改革が行われるわけであります。アメリカからシヤウプ博士という税制の大家が五月に参りますから、それを機会にその案によりまして、全面的に税制改正が行われるということになつております。それで私ども地方財政といたしましても、その際に優先的に、地方財政確立のために、その改正なり変革をやつてもらいたい。その案としましては、現にもうぼつぼつ着手いたしまして――議会で非常に多忙でありますからやつてはおりませんが、この議会の終了後、專心この税制改革の案を立てまして、シヤウプ博士が顧問で参られますから、そのシヤウプ博士の來朝によりまして税制改革になりますときに、その機会を得まして、地方財政がもう少し安心のできるように、確固たる自信ができますように税制を立てたいと考えております。それでその税制は、もしこれが確定いたしましても、今年の五月やることはやつても、來年でなければ施行ができぬじやないか、今年中には間に合わぬじやないかというようなお考えもあるかもいれませんが、今度は吉田総理大臣の意思によつて、できたものから臨時議会を召集して、それを成立させ、執行するという方針らしいのでありますから、その税制案ができましたら、臨時機会において再びこの委員会に提案いたしまして、御審議を願いたいと考えております。
  74. 門司亮

    ○門司委員 今のお話を承りますと、アメリカから日本税制のことについての権威者がお出でになつて、その上できめられると思うから確信があるというようなお言葉だと思いますが、私は日本に現在あります地方財政委員会委員長としての意見を承つておるのであります。先ほどから確信あるというお話でありますから、あるいは確信があるかもしれませんが、もし確信がおありであるといたしますならば、その片鱗を一應承つておくならば、なおこの際幸いであると思いますので、これを私の最後の質問といたしまして、同僚にも非常に御迷惑をかけておりますから、以下は明日また大藏大臣のお出でになりましたときに、大藏省関係等について御質問をいたすといたしまして、私が先ほどから申し上げておりますように、言い過ぎかもしれませんが、今のままでは地方財政委員会があつてもなくてもいいような存在であります。從つてそれに対して、もしこういう角度からわれわれは財政を研究しておるのだというお言葉があつたように承つておりますが、ありますならば、その片鱗を一應この機会に漏らしていただくことができますならば幸いだと私は考えます。
  75. 木村小左衞門

    木村國務大臣 地方税制改革案についていささか腹案を持つておりますが、ここでは公開でありますので、いささか支障がありますから、申し上げることは控えたいと思います。
  76. 野村專太郎

    ○野村委員 委員各位から各観点より詳細に質疑應答があつたようでありますが、二、三の問題についてお尋ねをしてみたいと思います。  現在の予算の編成過程から見まして、本案に対しまする政府の苦衷もよく了承できるのでありますが、地方にとつてはこの法案に関する配付税こそ、地方行政を経営する最も重要な対象であることは論をまたないのであります。こういう点からこの率を改正するという客観情勢は、今各都道府縣に負託されております歳出の面には寸豪も現れていない。三三%一四というものに対してこれを引下げる情勢は見られない。この裏づけとしてはさらに近く提案を見んとしておる、観点は違つても、あるいは住民税なり、地租、家屋、あらゆるこれらの増徴もしなければならぬ。こういう点からかんがみても、この配付税こそ地方は唯一の対象にいたしておるのであります。これを根幹にして、地方予算というものの確立ができて來るのであります。しかし今回ドツジ公使の内示によつて、この経済原則の完成、わが國の経済的自立体制確立という点から、この改正案が出されたことについては、中央地方を通じて、あらゆる耐乏のいばらの道もたえ忍ばなければならぬと思いますけれども、現在おかれておる地方自治体の状況は、るる今各委員から質疑されたような深刻な段階にあります。しかも困難なことではあつても、ここ数代の内閣が、積極的に、根本的な財政計画を樹立しなくて、遂にこの案に結論が來た、こういう観点に対して吉田内閣は、勇敢に現内閣財政計画としてこれを取上げたということを、総理からも所管大臣からもお話があつたので、根本的に流れる思想というものはよく私らもわかるのでありますが、しかし現在における地方財政、特に六・三制の完成、このことこそ、いろいろ批判はありますが、文化國家としてともあれ完成の直前におかれておる。どうしてもこの予算は経営のできるようにして行かなければならぬということは、全國的の要望であります。われわれもこれに対しては強く要求いたしたいのであります。しかし現在この六・三制による、特に建設は寸毫も予算の計上をすることができないような事情のようでございます。さつき木村大臣からお話のごとく、六・三制のみならず、各種の問題に対しても、追加予算を機をみてこれを補正したいというような、しかも近く來朝するシヤウプ博士、これらの税制改革によつて、優先的にこの裏づけができることは大いに期待してやまないのであります。しかしこの九原則の完成ということは、そうなまやさしいものではない。從つてこれが全面的に安易に追加更正をして、この大綱が緩和されることは、私らとしてはそうは考えられない。この原則を取り上げて、そうしてインフレを最後の終止符として、この年度において完成するというように考えておる政府みずからは、これを國民にも了承さして行かなければならぬ、こういうことに考えられるのですが、しかし実際問題は、全國市町村に至るまで、この六・三制の問題については、非常な深刻な段階に來ておるようですし、しかも子供の教育ということに対して親の愛情は絶対であります。その結果勢いのおもむくところが寄附行為ということになると思うのであります。こういう点に対して、すでに三千百億の所得税の増徴そのものが、非常なる問題でございまして、こういう点からして、さらにこの六・三制の完成ということに対して、地方縣民にこれをしいるということは、ゆゆしい社会問題を惹起すると思うのです。今日のいろいろの寄附行為は主としてこの六・三制に関すること、これから警察に関すること、あるいは労働諸機関による施設の寄附行為が非常に要求されて、一般地方民を苦しめておる。この法案を強行することになりますれば、必然的にそこに行くことと思いますが、こういう点に対して、大臣はいかなる考えをお持ちになつておりますか。  それから災害関係でございますが、現在、かつてつた災害の重点的完成すら見ておりません。やがて洪水期を目のあたりにいたしまして、これらは等閑に付し得ないのでして、地方負担が相当伴うことに想到いたすときにおきまして、この法案は峻嚴な要求のもとに提案を見ておるものと思います。現実はさような段階にあるので、この点において木村國務大臣は、非常に困難な立場にお立ちになるが、地方公共團体の困難を打開すべき方途は、この委員会なり木村國務大臣にかかつておると思う。こういう点から、私はこの法案に対しましては、非常な心配をいたしておるわけでございます。今申し上げました二、三の点に対して大臣の御所見を承れますれば仕合せと思います。
  77. 木村小左衞門

    木村國務大臣 野村君の御意見拜聽いたしました。私どもまことに同感でございます。そういう立場から、現政府國策として、この予算の遂行を勇敢にやつておることをお認め願うことは、まことに欣快でございます。六・三制の問題も、地方財政にとりましては大きな問題でございます。今回の予算にも、あれは公共事業費として計上せらるべきものでありますけれども、御説のごとくどうも見当りません。文部大臣は苦心をしていろいろの考案をいたしておるようでありますので、もし機会がありましたら、六・三制の將來はどうするか、二十四年度はどういう処理をとるかということについて、所管である文部大臣に一ぺんお尋ねを願う方が適当じやないかと考えております。何とかしてやるという決心は、文部大臣も持つておられるようでありますが、私はちよつと所管が違いますのでここに僣越なる御答弁はできかねますから、御了承願いたいと思うのであります。  また災害復旧も、古いのになりますと昭和十八年以來の災害、水害の復旧がいまだ完成しておらないような所も方々にあります。一昨年のあの台風の災害も、まだ完成していないところもあります。そういうようなところに持つて参りまして、また不幸にして今年でも台風時期に――今年は雪が降らなかつたから、雪解けの災害はちよつと考えられませんで、やや安心と思いますが、夏季を経ましたあとでそういう災害でも超ると、非常に困つた問題であると考えております。先ほど申し上げましたように、來るべき五月に、大体税制根本的な改革をはかるということは、向うの声明でもありまするし、総理大臣も固い決心を持つておりますので、その際に、これは見込でありまするが、われわれとしましては、何とかもう少し融通のできるような方法があるのではないかというような希望も持つております。とにかく、事ここに至りました以上は、地方の出先機関のような、國から委任せられております事項をうんと整理縮減してもらいまして、それに要しておつた費用は、全部地方へ還元してもらう。まだ総合しておりませんが、これは相当な金額になるように思います。この行政整理に伴います地方出先機関の整理は、遠からず議会に提案をせられるではないかと思います。これは経費の節約縮減をはかるよりほかに方法がないのですが、昨日も御答弁申し上げましたように、ただいまこの場でどういう方策ということも、数字で示しませんければただ口頭禅になりまして、何にもならないので、その数字を示しまして、具体的にこういう対策を持つておりますということを、率直に申し上げられればよいのですが、ただいま用意をしておりません。その点はどうぞ御承認をお願いしたいと思います。
  78. 野村專太郎

    ○野村委員 今までの大臣の答弁によりますると、その実情は認められましても、結局シヤウプ博士等が來られてからの税制改革を通じて、これをなにせられるよりほか方途はない。こういうことですが、総理も、この財政計画こそ冷酷であるが、インフレを終止せしめる最善の案であるということを勇敢に認めておる。現在地方の公共團体の実情等お互いが心配のあまり質疑をいたしておるのでありますから、こういう点に対して、大臣はこの法案を通じて地方を十分了解さして、何とかやつて行ける自信があるかどうか。これは私ばかりでなく皆さんも同じ考えであろうと思います。本案を提案する責任において、大臣の確固たる御信念なり、所感を吐露していただかなければ、今日の事態は想像以上に深刻であります。さらにこのことは時間が経過すると事実となつて現われたときにこそ、さらに深刻なものが想像されるのであります。こういう点に対して重ねてるるお話はいただいておりますが、ただシヤウプ博士が來ることによつてのみ行くということは、非常に心もとないと考えます。本案を提案された所管大臣の責任において、さらに伺いたいと思います。
  79. 木村小左衞門

    木村國務大臣 ごもつともな御発言でありまして、先ほど申し上げましたと思いますし、なお門司君の御質問にもありましてお答えしたのでありますが、こういうことが原因となりまして、地方と國とが感情的に疎隔するようなことがありますと、いわゆる民主主義の根本からも憂慮するようなことになりはせぬかと思つて、私は非常に心配しております。お尋ねのようにそういう疎隔するようなことがあつてはなりませんから、でき得る限り努力いたしまして、やむを得ずかかる状況になつたということを、よく地方において了解をいただきますように、十分なる努力を拂いたい。それはどういう方法をもつてやるかということでありますが、それにつきましては午前中申し上げました通り、全國都道府縣の総務部長を集めた総務部長会議にも持ち出しまして、その方法等について諮つております。具体的な案ができましたならば、お説の通りまずもつて地方の了解を最初に得ておかねばならぬと考えております。
  80. 中島守利

    中島委員長 龍野君。
  81. 龍野喜一郎

    ○龍野委員 私はただいままでの木村國務大臣の御説明によつて、大体その苦心の存するところは了解いたしたような氣もいたしますが、事非常に重大でありますし、なお二、三の点についてお伺いいたしたいと存ずるのであります。第一番は、配付税の特質と申しますか、本質と申しますか、そういうものについての大臣のお考えであります。私の考えをもつてするならば、本日の委員会の冒頭において大臣並びに局長から御説明がありました通りに、この配付税というものは、國が地方財政を助けるためにやり出したものではない。そもそもが、それぞれの地方公共團体が、自分の財源の一つとして持つてつたものを、これを國において引受けて、そして地方團体財政上の不均衡をなくすという見地から出て、それが交付金となり、配付税なつたという説明にありました通りの、いわゆる歴史的なものであります。從いまして私の見解をもつてすれば、この配付税は、國が恩惠的に施したのではなく、もともと地方自治体のものであつて、それをいわば今日國が預かつておるのだというような、言葉の表現は非常に俗つぽいかもしれませんが、そういうものではなかろうかと存ずるのであります。從いまして九原則により、國並びに地方の総合的見地から、今日のごとく地方配付税の率をかえなければならぬということは、まことにやむを得ないとは思いますけれども、かくのごときその特質からいたしまして、ただ國の財政上の理由によつて、これをかえるというようなことでは、地方公共團体はおそらく納得いたさないであろうと思います。從いましてこれにつきましてお伺いいたしますのは、もしも今日のようなことが再びあるといたしますれば、これこそ國と地方とが離反いたしまして、どうにも收拾のつかないようなことになるのではないか。今年度の配付税法改正案の問題は、これはとかくの意見を申し上げることは差控えますけれども、所管大臣といたしましては、おそらく來年の予算も再來年の予算も、今日よりさらに余裕が出て來るとは考えられない見通しのもとにおきまして、その本來の姿に返して地方配付税法というような法律をやめて、これを地方公共團体が、法律の範囲内において賦課し得る、もとの方法にかえられる意思があるかないかということについて、所見をお伺いいたしたいと存ずるのであります。
  82. 木村小左衞門

    木村國務大臣 配付税の性質につきましては、先ほどからるる御説明申し上げて御了得のようであります。このままに存置して行くかどうかという御尋ねのようでありますが、私は今回のこの結果を省みまして、このままではどうしてもいけない、先ほども申し上げたように、五月の全般的な税制改正に伴いまして、地方税制も最近に改革するといたしますれば、その際はもつと地方自主性のある、独立性のある税法を立案して、実現いたしたいと考えております。それはどういうことか、多少腹案がございますが、実はちよつと今朝來その言明に対しては、大藏大臣から封じられておりまして、きようは公開の席でありますから、その内容について意見を申し上げかねます。その点は御了承願います。ただ改正をいたします。こういう配付税一本では、どうしても地方財政の安定が得られないということは、大いに認めておるということを御了承願いたいと思います。
  83. 龍野喜一郎

    ○龍野委員 大臣の提案の御説明の中には、本法案改正と同時に、九原則を具現化する方法として、地方財政の歳出の徹底的縮減を行いたいという提案の理由説明があるのでありますが、私も長らく地方自治行政にタツチいたしておつた者でございまして、ざつと考えてみましても、今日の現状において徹底的な縮減を行う余地があるかどうかということにつきましては、はなはだ疑問を持つておるものであります。縮減どころか、ますます將來は義務的な性質の支出が増加するのではなかろうかと思うのであります。しかしながらこの九原則の線に沿いまして、不可能を可能とするくらいの決意を持つてつたならば、あるいはそこに打開の道も考えられるのではないかと思いますが、これに関してお尋ね申し上げたいと思いますのは、地方における行政政理あるいは機構の改廃という問題であります。この問題だけがあるいは残された徹底的縮減の道ではなかろうかと存ずるのでありますが、今日における府縣の機構は、戰前の機構に比べまして、非常に厖大になつており、部のごときもすでに二倍、三倍になつておる。また地方事務所等の人数も非常にふえておる。これはむろん自治体地方の實情に應じてやるべき範圍のものでありまするけれども、しかし所管大臣としての指導的意味における御意見を拜聽いたしたいと思うのであります。たとえば、先ほど申しました人員の整理について、どの程度の御覚悟を持つておられるか。あるいはまた機構の整理について標準としてどういうような部制を設けられるか。あるいはまた、今日とかくの問題を起しておるところの地方事務所については、どういう考えを持つておられるか。現政府は國の出先機關の廃止については、すこぶる勇敢でありますが、これにつきましては、必ずしも全部が全部意見を同じうしておるわけではない。しかしながら一旦定めたことについては、勇敢にこれを廃止するということに向つて、邁進せられつつあるのでありますが、この地方の府縣の持つておるところの出先機関については、所管大臣はどういうふうな考えを持つておられますか。承りたいと存ずるのであります。
  84. 木村小左衞門

    木村國務大臣 地方財政を圧縮してやる上に、うんと整理を要するというようなことを申し上げておきましたが、ただいまのところで考えておりまするのは、大体において縣が三割、市が二割、これは機構も人員もすべてのことであります。町村はどれだけの縮減をするか。これはどうも考えてみましても、町村には余地がないように見受けられます。もつとも例外がありまして、一万二百に余るところの全國の全町村が、ことごとくないとは言いませんけれども、まず総じて町村には整理をするような余地がないと思いまするので、町村にはこの整理を及ぼさぬということは言明いたしませんが、まず町村は別にまた考えたい。さしむき縣三割、市二割の機構と人員、これも非常に苦しいことでありましようけれども、中央といたしましても大幅な機構改革と、人員の整理を今断行せんといたしております。龍野君の仰せのごとく、この吉田内閣はすこぶる勇敢に断行いたします。それがこの内閣の國民の負託あり、信用があるところの最大原因でありまするので、この政治力をもちまして、中央もやることでありますから、地方におきましても、あるいは都道府縣、市においてもこれだけのことはひとつつていただきたい。なおこのドツジ案による財政根本樹立に関する予算で、私どもの見解では、これが遂行せられますると、來年はインフレはこれからあまり高進しては來ない。ディス・インフレというような傾向になつて、來年度の予算編成などには、一昨年から去年、去年から今年に順次累進して來たような、厖大な経費の増當率は示さない。まず予算を編成いたしますにも、ちやんと一つのねらいができて、非常に來年度は樂になりはせぬか。再來年度は経済が安定すればなお樂になりはせぬかその機会においてひとつこういう國策の遂行の線に沿うて、地方も同調して、國の再建のために、極力耐乏的な観念をもつてつていただきたいということを、衷心からこいねがつてやまないところでございます。
  85. 龍野喜一郎

    ○龍野委員 大臣の提案理由の中に、さらにこれと並んで歳入の最大限の拡大をはかるというふうにありまするが、九原則を忠実に実行するために、政府においては非常な苦心のもとに今日の予算が出ておるわけであります。その中におきまして税の増收を見込んでおるのでありますけれども、しかしながらその率を上げるとか、その他新税をとるとかいうような点は一つもないというような説明を、われわれは聞いておるのであります。この精神はやはり地方財政においても、踏まるべきものでなかろうかと存ずるのであります。先ほどの大臣の御説明によりますれば、あるいは住民税を引上げる、あるいはまた地租その他の附加税をかえるというような御説明がありましたけれども、これは一應地方配付税の減額の補填策としてやるのではない。もともとからそういうことを考えておつたのだというような説明であります。しかしながらこの点につきましては、いささか國の方針と齟齬するような氣もいたしまするが、これについて大臣のお考えをくどいようでありますが、もう一度お伺いいたしたいと思います。さらにこの地方財政の窮乏は、先ほど野村さんからもお話がありました通り、寄付金となつて國民に圧迫を來しやしないかということをおそれるのであります。いつかの委員会の席上におきまして、局長にお伺いたしましたところ、一昨年の大体の推定であるけれども、報告されたもののみにつきましても、ちよつと数字は忘れましたが、三十億か六十億くらいの寄付金があると思われるというような御答弁があつたのであります。この配付税が半減せられ、特にまた支出の方面におきましては、先ほどもお話がありました通り、六・三制実施あるいは警察、消防、その他いろいろな方面において支出を増さなければならない面が多いということになりますれば、ここに自治体の非常な惡弊でありますけれども、寄付金の面に入つて行く。地方におけるところの割当寄付というものは、一種の税金であります。大臣はこの二十四年度の予算実施にあたつて、この寄付金についてどういうふうなお考えを持つておられるか、あるいはこれの弊害をお認めになつて阻止するような方法を講ぜられるかどうか、こういう点についてお伺いいたしたいと存ずるのであります。
  86. 木村小左衞門

    木村國務大臣 財政の窮乏のあまり、寄付金を募集するということは、大分昨年度あたりからやられておるようであります。御心配になつておりますが、今年は配付税が大幅に削減せられまして、なお一層その傾向がはげしくなるのではないかと私も想像いたしておりますが、強制的な寄付は取締らなければならぬと思います。合意的に余力あつての寄付ということは、これはむしろ歓迎すべきことではないかと思いますが、強制的にむりに税以外に寄付金を集めるというようなことは、ひとつ地方の反省を促してみたいと考えております。それからその提案の理由に最大限の徴税ということが書いてありまして、何か新税を設けはせぬかというお話がありましたが、先ほど門司君の御質問のときに、私あやまつて新税と申したかもしれません。速記録を見ぬとわかりませんが、今回は地方税の新税というものは設けません。ただこれまでありましたもの、あるいは地租であるとか、家屋税とかいうものの率を更新させるということは、後ほどまたこの委員会へその案を提案いたしまするが、その他二、三ございまするから、どうぞそれによつてとくと御審議願いまするようにいたしたいと思うのであります。
  87. 中島守利

    中島委員長 この際お諮りいたします。本日は本案に対する質疑はこの程度にし、次会は明日午前十時三十分より本法案の審議を続行することといたし、午前中は各委員の質疑を続け、午後は一時より参考人の意見を聞きたいと思います。本日はこの程度で散会することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 中島守利

    中島委員長 それでは本日はこれにて散会いたします。     午後四時十一分散会