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1949-04-13 第5回国会 衆議院 地方行政委員会 第9号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十四年四月十三日(水曜日) 午前十一時二十五分
開議
出席委員
委員長
中島
守利君
理事
生田
和平
君
理事
川西 清君
理事
福田 篤泰君
理事
久保田鶴松
君
理事
千葉 三郎君
理事
圖司 安正君 大泉 寛三君 大内 一郎君
河原伊三郎
君 川本
末治
君 菅家 喜六君 清水 逸平君
門司
亮君 藤田 義光君
谷口善太郎
君
井出一太郎
君
出席國務大臣
国 務 大 臣
木村
小
左衞門
君
出席政府委員
地方財政政務次
官 堀
末治
君
総理廳事務官
(
地方財政事務
局長
)
荻田
保君
委員外
の
出席者
專 門 員 有松 昇君 專 門 員 長橋 茂男君 ————————————— 本日の
会議
に付した事件
地方配付税法
の
特例
に関する
法律案
(
内閣提出
第二八号) —————————————
中島守利
1
○
中島委員長
これより
会議
を開きます。 本日の日程の審査に入るに先だちまして御報告申し上げます。すなわち去る九日
委員長
より提出いたしました
委員派遣承認申請書
に対し、昨十二日議長より
承認
を得まして、本日より
委員
が大阪に出発することにな
つて
おります。 —————————————
中島守利
2
○
中島委員長
これより去る五日、本
委員会
に付託せられました
地方配付税法
の
特例
に関する
法律案
、
内閣提出
第二八号を
議題
といたします。 つきましては、
本案
に対しまして、前回の
委員会
におきまして、社会党の
門司
君より
公聽会
を開きたいという
意見
が提出されてお
つたの
でありますが、その際、
委員長
より
理事会
を開いて協議するという
お答え
をいたしておいたのであります。本日
理事会
を開いて協議の結果、
公聽会
を開くことは
事務
的にも時間を要するので、この際
便宜参考人
として
町村会
、
市長会
、及び
府縣知事会
のうち
自治体警察
及び六・三制の問題について理解ある、関心の深い人、及び
自治労連
、日教組の各代表を招きまして、
意見
を聞くことにした方がよいということに、
理事会
では
決定
いたしたのであります。以上
理事会
の
決定通り参考人
を呼んで
意見
を聞くことに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
中島守利
3
○
中島委員長
御
異議
ありませんければ、さように
決定
いたします。 まず
政府
より、ただいま
議題
になりました
地方配付税法
の
特例
に関する
法律案
に関し
説明
を聽取いたします。この法案はたいへん印刷物中の誤りが多くて、正誤が参
つて
おります。この
法律
の第一條は
條名
を削除されて、第二條全部削除されております。いわゆる單行法にな
つて
おりますから、さよう御
注意
を申し上げておきます。それでは
木村國務大臣
の
説明
を聽取いたします。 —————————————
木村小左衞門
4
○
木村國務大臣
ただいま
議題
となりました
地方配付税法
の
特例
に関する
法律案
の
提案
の
理由
並びにその
内容
の大略を御
説明
申し上げます。 わが國当面の
最大課題
であります
経済的自立態勢
の
確立
をはかりますためには、
財政
の面におきましては、
経済
九
原則
にのつとり、
國地方
を通ずる
綜合予算
の均衡をはかることの緊要なるは、論をまたないところであります。もとより
地方財政
は深く
窮乏
いたしているのでありますが、なおこの
趣旨
に基き、さらにその
歳出
の
徹底的縮減
を行い、
歳入
の最大限の拡大をはかることといたしますとともに、
國庫財政
の都合により、
地方配付税
の繰入額は、
昭和
二十四
年度
に限り、
地方配付税法
に定める繰入率に基く額によらず、総額五百七十七億円にとどめることといたしましたため、その繰入率を変更する必要がありますので、この
法律案
を提出したのであります。 何とぞ十分御
審議
の上、御賛同あらんことを願うものであります。
中島守利
5
○
中島委員長
これより
質疑
に入りますが、
質疑
の順序は
通告順
によ
つて
許します。
生田和平
君。
生田和平
6
○
生田委員
わが國の
地方財政
の
窮乏
は、まさにその極に達しておると申されておるのであります。またただいま
木村國務大臣
の
本案
に対する御
説明
のうちにも、深く
窮乏
いたしておるということを申されておるのでございます。しかるに人おのおのその見るところを異にするのでありまするが、
政府
は
地方財政
の
現状
が、どの
程度
に困
つて
おるかということの認識が非常に必要だと思うのであります。ゆえにこの際
國務大臣
より、
府縣
がどのくらい困
つて
いるか、市がどのくらい困
つて
いるか、
町村
の
財政
がどんなに困
つて
おるかということを、ごく理解しやすいように御
説明
をお願いいたしたいのでございます。
木村小左衞門
7
○
木村國務大臣
お答え
を申します。ただいまも
提案理由
で申し上げました
通り
、
地方財政
の
窮乏状態
は、まことにほとんど
限界
に達しておるように私
ども
は
考え
ております。ただいまの御
質問
で、
都道
府縣
、市、
町村
、この三段にわけまして、縣がどれくらいであるか、市がどれくらいであるか、
町村
がどれくらいであるかということは、後刻
資料
によりまして御報告申し上げたいと思いまするが、よく御
承知
にな
つて
おりまする
通り
、
地方
に國が付託しておりますところの
事務
と申しまするものが、だんだん増嵩して参
つて
おりますかたわら、
給與ベース
のごときも、三千七百円
ベース
でありましたのが、六千三百円
ベース
になり、非常な
増額
に
なつ
た。その上さらに
警察制度
の
改革
によりまして、
自治警察
をまかなわなければならぬ、それから消防署をまかなわなければならぬ。そこへも
つて
参りまして六・三制、これも今
年度
は
新制中学校
の
建築費
の最終の
年度
に入
つて
おります。そういうことで全國の
町村
を通じまして非常に困憊しておりまして、半数以上のものが
制限外賦課
をして、非常にむりにむりを重ねております。やむを得ませんから、かたわらでは、好ましいことではありませんけれ
ども
、一種の
強制寄付
でも仰いで当面を過しておるというような
状況
であります、こういうことがだんだんに深ま
つて
参りますと、
民主政治
というものの前途に非常な障害を起すのではないか、今度の
配付税
のごときも、御
承知
のように、
地方團体
といたしましては、ほとんど既得の権利のごとく
考え
ておりました
法律
に定めておるところの率が、
所得税
、
法人税
が
増額
になりましたためもありますけれ
ども
、しかしながらこの
法律
でもかえて、これを五百七十七億に減額しなければならぬというような
状況
に相な
つて
おるのであります。もつとも
先ほど説明
に申し上げましたように、國の
経済自立
の上に、
総合予算
の
バランス
を得るためにやられるということでありますので、これもどうもやむを得ないことではありますけれ
ども
、私
ども
も非常にこの処置について苦慮いたしております次第であります。ただいま御
質問
の
都道
府縣
あるいは
市町村
にわけましては、別に
資料
をも
つて
詳細に御報告いたしたいと思います。
生田和平
8
○
生田委員
ただいま
國務大臣
の御
説明
によりますと、六・三制その他
自治体警察
の
費用等
によ
つて
、
地方財政
が
窮乏
しているということを承
つたの
であります。しかるになおかつ本
年度
におきまして、
地租
、
家屋税
、
住民税等
によりまして、百七十億の
増税
をせられているのでございます。この
地方財政窮乏
の機会におきまして、さらに
増税
をせられたということは非常に矛盾するのでありますが、いかなる
考え
を持ち、また
地方
自治体がなおかつ
増税
に耐えるというお
考え
であるか、この点を承りたいと思います。
木村小左衞門
9
○
木村國務大臣
生田委員
の御
質問
、ごもつともなことでありますが、二十二
年度
の決算を
対象
といたしまして、
地方財政
の
予算
を組んでみますると、
先ほど
申し上げましたように
賃金ベース
もかわりますし、
物價
の高騰その他
町村事務負担
の増しました関係で、どうしても今
年度
は四十億の
数字
をも
つて
現わさなければ
地方財政
がまかない切れぬように、
地方財政委員会
では断定いたしました。殊にまたそれが今度の
配付税
の
圧縮
その他によりまして、三千六百億くらいに
圧縮
いたされましたために、その結果はまことに好ましくない。殊に
地方民
の
負担
に対しまして、氣の毒ではありますけれ
ども
、言わばやむを得ず
増税
をしなければならぬというようなはめに相な
つたの
であります。この
財政
の
対象
となりまする
対象物
につきましても、いろいろと
審議推考
を重ねまして、あれこれとや
つて
見たのでありますが、どうもいずれも
担税的限界
に達しているようでありまして、まず
閣議
に出しまして成立いたしましたのは、わずかに
住民税
、
事業税
の一部と、なお新しく
地租家屋税
の率の
増率
というようなものでありますが、
鉱区税
のようなものを設けまして、これで百七十億円ばかりの増徴の案をただいま持
つて
おります。いずれ本
委員会
に提出いたしまして、御
審議
をお願いいたしますことに相なると存じます。
生田和平
10
○
生田委員
地方財政委員会
におきましては、第一次の
予算
をお組みに
なつ
たときに、
配付税
を八百六、七十億円におきめになたつように承
つて
おるのであります。その当時すでに
地方財政委員会
では、この
増税
の案をおきめに
なつ
たということも承
つて
おるのでございます。ただいま
國務大臣
の御
答弁
によると、
配付税
が五百七十七億に
減つた
から、やむを得ず
増税
をした、こういうふうにとれるのでありますが、本員の承るところによりますと、五百七十七億円にきまる前に、すでに
増税
の
計画
をお立てに
なつ
たように承
つて
おるのでございます。もし私の聞き
違い
でありましたならばさいわいでございますが、明らかにいたしたいと思います。
木村小左衞門
11
○
木村國務大臣
生田委員
のおつしやる
通り
であります。私の申し上げ方がちよつと惡かつたかもしれませんが、
先ほど
申し上げましたように、何と
言つて
も二十四
年度
の
予算
を組みますには、四千億に近いものが出て参ります。二十二
年度
を
基本
として起算してみましても、昨
年度
二千四百億くらいでありまして、一躍倍にはなりませんけれ
ども
、非常な増強でありまして、
配付税
の率その他國の
予算
がきまりません前に
財政委員会
においてこういう
増税
の案を
審議
いたしたことは事実であります。ただいま申し上げましたのは、そういうことをや
つて
おりまするが、なかんずく
配付税
が減額せられたので、一層これに重点を置かざるを得ぬことに相なりましたということを申し上げたいつもりであ
つたの
であります。私の言葉の表現が惡か
つたの
でありますが、おつしやつた藤りであります。
生田和平
12
○
生田委員
二十四
年度
における
財政
の見透しにつきましてお尋ねいたしたいのでありますが、去る四月七日附の
資料
をいただいたところによりますと、
財政委員会
の案は
歳入
三千四百六十億四千三百万円、
歳出
が四千二十五億八百万円差引五百六十四億六千五百万円の
歳入不足
にな
つて
おる。同日附で
資料
をいただいたうち、総
司令部案
に基く
推計
によりますと、
歳入
は三千三百八十八億五千九百万円、
歳出
は三千三百八十八億五千九百万円とな
つて
おりまして、この間
歳入
において七十一億八千四百万円、
歳出
において六百三十六億四千九百万円の
食違い
ができておるのでございます。つまり
地方財政委員会
の案と、
政府
が現に
議会
に
予算
を提出せられておる
根本
の
数字
である
司令部
の案とは、結局六百三十六億四千九百万円の
欠陷
が生じておるのでございます。もとより
司令部
の
推計案
は、大体
バランス
を合わしております。ただ
歳入
及び
歳出全面
にわた
つて
、特に
歳出
におきました多大の削減をいたしておるのでございます。この六百三十六億四千九百万円の
不足
は、机上では
バランス
は合わせるでありましようが、実際その
行政
を運用するときに、はたしてこれが円滑に
実施
ができると思われておるのでありますか、御
意見
を伺いたいと思います。
木村小左衞門
13
○
木村國務大臣
まことに適切なる御
質問
であります。私
ども
は
速記
に
残つて
どうかと思いますが、良心的に率直に申し上げますと、事実これは確固たる自信を持ちません。これは
はつ
きり申し上げてよろしいと思います。しかしながら、こういうふうに
圧縮
されました以上は、何とかくふうを凝らしまして、この範囲内でつじつまを合せて、二十四
年度
限りでありますから、どうも二十四
年度
限りはや
つて
行くよりほかに
方法
がない。しからば、どうしてや
つて
行くかということに立ち至りますと、これもどうもそうした点から、打
つて
参りますような名案も浮びそうにございませんので、なるべく
地方
に國が委託しております
事務
を簡素に整理してもらいまして、その
方面
で
相当
に、また一方、
公共團体自体
でこの
趣旨
をよくのみ込んでもらうよう極力
努力
をいたしまして、
公共團体自体
がこの
趣旨
によ
つて
、みずから経費の節約をして行くというようなことよりほかに、やり方がありませんので、この
趣旨
をよく
了解
してもらうことにつきましては、どうしても
地方財政
が独自に
確立
いたしますような
方法
をとらなければならぬ。それにはこの五月に
政府
が行うところの、全般にわたる
税利
の
改革
、これは御
承知
のようにアメリカから識者が参りまして、それを中心に案を立てるということでありますから、その際にわれわれの方といたしても、
相当
な圧力をもちまして案を立て、
審議
をいたしまして、進言というか。建言と申しますか、いたしまして、
地方財政
の独自な
立場
の
確立
をすることを期する。この点は
総理大臣
にいたしましても、そういうことを認められておられるようでありますから、それまでのところ、何とか
地方
の
了解
を得てや
つて
参りますよりほかに
方法
はない。
予算委員会
でも、そういう
方法
のないことは、実は為政者として無
責任
である、こういうお叱りを盛んに受けましたけれ
ども
、どうもこれは、
生田委員
もおつしやつたように、一ぺんに六百億もすべての幅において削減されますと、なかなかただちに案が立つわけのものではなかろう、それは
一つ
は私
ども
の
努力
も足らず、ふつつかのいたすところでありましようけれ
ども
、これは率直に、私の良心の命ずるところによ
つて
申し上げるわけでありまして、これは事実であります。しからば、よけいなことでありますが、
地方財政委員会
において
決議
したことは、お前は
委員長
ではないか、
委員長
である
國務大臣
が、
閣議
できめたことに
サイン
をしたということは二重人格である。
責任
の帰着を
はつ
きりしなければいかぬという
追究
を、
予算委員会
でも、
参議院
の方でも、盛んに浴びせかけられております。私もそれは十分認めております。おりますが、
地方財政委員会
と申しますものは
決議機関
でありまして、あれは
執行権
というものがちつともない。
執行権
のない
決議機関
が
決議
をする。その
決議
をいたしたことについては、
委員長
といたしまして重大な
責任
はそこにあります。ありますが、その
決議
は
地方財政委員会
としての
立場
、
地方財政委員長
といたしまして、これは妥当なもの、適当なものであると認めてその
決議
を了承いたしたのであります。また一方、
國務大臣
といたしまして、國の
財政
の面に携
つて
おりますと、これはまた
國策
の
方面
は全般的な
國策
として、
日本経済再建
の
原則
が
確立
せられる場合において、それとこれとはまた
立場
が違う場合が起
つて
参りますので、私は
國務大臣
として
國策
の遂行に順應しなければならぬ、こう
考え
ておりまして、
サイン
をいたしたのであります。そういうふうな
責任
問題が起
つて
参りますと、將來この
制度
が改正せられません限りは、
地方財政委員会
の
決議
のありました
通り
を
國策
でやらないと、その
都度ごと
に
委員長
である
國務大臣
が
責任
を問われなければならぬということにな
つて來
ると、これはどういうことに相なるか。これは
一つ
の法の不備ではないか、こういうふうに私感じるのであります。よけいなことを申し上げて相済みませんが、
予算委員会
なり、
参議院
の
地方行政委員会
で、こういう問題がたびたび出まして、私は
追究
を受けておりますので、御
参考
にもなろうかと思いますので、一言申し上げておきます。
生田和平
14
○
生田委員
責任
問題については、私
追究
をやめてこの
程度
にやめます。次に承るところによりますと、二十四
年度
の
地方財政計画
が、未だ
閣議
の
決定
を経ざるに先立ち、あるいは
地方財政担当
の
当局
の
反対意見
があつたにもかかわらず、
大藏大臣
は私案をひつさげてド
ツジ公使
と計数上の
折衝
を始めたように承
つて
いるのであります。もう少し具体的に申すと、
地財当局
は
配付税
八百五十五億円を要求されたにかかわらず、
大藏当局
は
地財当局
の
反対
を無視して、
配付税
七百二十億円あるいは六百五十六億円の案を持
つて
、ド
ツジ公使
と
交渉
を開始したやに
承知
しているのであります。もし
右樣
り事実がありますれば、
大藏大臣
のこの行為について、
木村國務大臣
はいかに
考え
られるのかをお伺いしたいのであります。
木村小左衞門
15
○
木村國務大臣
まことに遺憾なことであると思う次第であります。
生田和平
16
○
生田委員
次は、
國家財政
は
健全財政方針
にのつとりまして、殊に本年は九
原則実施
により、
剩余予算
をも編成いたしているのであります。しかるに
地方財政
は
年々歳々赤字公債
をせお
つて
おるのでありますが、本年はさらに百七十億の
増税
をした。
國家財政
が
健全財政
で行くのに、
ひとり地方財政
のみが取残されて、
窮乏
のどん底にあるということは、何といたしましても、しのびあたわざるところであると思うのであります。今日のこの
状態
に対して、
木村國務大臣
はいかなる決意を持
つて
おられるか、その御心境を承
つて
おきたいと思います。
木村小左衞門
17
○
木村國務大臣
それは
先ほど
も申し上げましたように、
地方税制
の
根本
的な
改革
をいたしまして、
地方
は
地方
といたしまして、独自に、
自立
に安心の行くような徴税の
方法
をとるということにいたさなければならぬ。これが最も私は当面の急務である、こう
考え
ております。來るべき六月に
税制
の
改革
がありますならば、その
改革
によりまして成案になりましたものを、
來年度
から、かりにわれわれの希望するようなものが
通り
ますならば、これを通さねばならぬと思います。できることでありましたならば、
來年度
の
実施
ということに待たずして、
総理大臣
の
議会
におけるところの御
答弁
にもあつたかのように承
つて
おりますが、
臨時議会
でも召集していただいて、ただちにこれは
法律
とな
つて
実施
せられるようにや
つて
行きたい、こういうふうに
考え
ております。
生田和平
18
○
生田委員
なお
一つ配付税
の過程についてお伺いいたしたいと思います。
地方財政
が今日のごとく
窮乏
の極に達しておることは、すでに前からも御
承知
であつたと思うのであります。またこの
配付税
が、
大藏省
の
考え
方がよほど加わりまして
減つたの
ではないかということを伺
つて
おるのであります。この間に処しまして、
木村國務大臣
は、総
司令部
との間においていかなる
折衝
をせられたか、いかなる
努力
をせられたかということを、一應
参考
に承
つて
おきたいと思います。
木村小左衞門
19
○
木村國務大臣
予算
の九
原則
による構成についての
折衝
は、
大藏大臣
の手元においてどういう
折衝
が行われたおりましたかということは、われわれの方では容易にこれを探知することができません。今
生田委員
の仰せられるようなことはあとでわかりましたが、私
ども
としましても、GHQの方へできるだけの足を運びまして、この事情を大いに開陳しておいたつもりであります。なかんずく
事務当局
の
荻田局長
は、その成行きなり
現状
なりをつぶさに知るために、ほとんど毎日、約一週間以上でありましたか、徹夜したようなこともありまして、おもに
ドクター・フアイン顧問
との方と
折衝
をはか
つて
おりましたが、こちらが主張いたしますることが、どうも見解の相違でありまして、入れられてもらえなかつた結果になりましたことは、まことに遺憾であります。
閣議
でも私といたしましては
相当
に
折衝
をたびたびいたしまするし、
大藏大臣
も数回にわたりまして個人的に訪問いたしまして、その
了解
を得るために
折衝
をいたしたのであります。それでありますから、私の力が及ばなか
つたの
で、こういう結果に相なりましたが、これもどうも一方、九
原則
の
基本
によるところの
財政圧縮
の
國策
の線で押されたというような結果に相な
つて
おりますということを申し上げておきます。
生田和平
20
○
生田委員
ただいま
大臣
から承るところによりますと、
荻田事務局長
が直接
交渉
の任に当られたということでありましたが、その
交渉
の経過をできるだけ率直に、どういう
模樣
であつたか、そうして事がここに至つたかということを、
局長
からでよろしいから
お答え
願いたいと思います。
木村小左衞門
21
○
木村國務大臣
局長
に
説明
いたさせます。
荻田保
22
○
荻田政府委員
これは
委員長
、
速記
をとめていただきたいと思いますが……。
中島守利
23
○
中島委員長
速記
をとめることに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
中島守利
24
○
中島委員長
速記
をとめてください。 〔
速記中止
〕
中島守利
25
○
中島委員長
速記
を始めてください。
生田和平
26
○
生田委員
もう
一つ
伺いたいのであります。去る十一日
木村國務大臣
は、
参議院
の
地方行政委員会
におかれまして、
委員西郷吉之助
氏の
質問
に
お答え
て、本
年度地方配付税
は五百七十七億と大幅に削減されたその結果、六・三制の
実施
、
自治体警察
の維持が非常に困難と
なつ
た。そこでわれわれとしては
地方財政
を
圧縮
しなければならないということを申されております。またこれが
打開策
として、國からの
委任事務
を思い切
つて
縮小する以外に
方法
はない。こういうふうに述べられておると新聞にも報道されておるのであります。
配付税
の問題につきましては、今回のごとく税率まで引下げて行わなければならぬようでは、
地方
としては常に
不安状態
に置かれるということも申されている。そこで
明年度
からは
配付税
をとりやめて、
昭和
十五年以前の形にもどして、
所得税
、
法人税
の
府縣
、
市町村附加税
をとる
方針
をも
つて
、
現在地財事務当局
に
具体案
の作成を命じている、これによ
つて地方税收入
の安定をはかりたいとの意味を述べられておるようでありますが、もしさような御
答弁
があつたといたしますると、われわれはここに非常に遺憾の意を表さなければならぬと思うのであります。前段の國からの
委任事務
を思い切
つて
縮小するということにつきましては、これはいろいろ議論があります。のみならず今日において議論することは尚早だと思いますから省略いたします。後段の
配付税
をとりやめて、十五年以前の形にもどす、そうして
所得税
、
法人税
に対し、
府縣
、
市町村
において税を徴收することについては、
一言注意
を喚起いたしたいと思います。なるほど今回のごとく多年の歴史を顧みず、しかも突如として
配付税
を半額に切り下げるごときことは、まことに意外とするところであります。
政府原案
によ
つて
も二十四
年度
限りの
特例
として、お出しにな
つて
おるのでありまして、明年も必ずしもかくあるべしと、まだ即断はできぬと思います。今回は九
原則実施
によ
つて
、
政府
が予想していない
予算
を編成しなければならぬことになりましたが、これがまた明年にも同じ
方法
で、はたしてなるかならぬかということは私はまだまだ疑問と思います。
現行配付税
が法定せられるに至りますのには二十年の歳月を要しておる。
昭和
七年八月
地方財政調整交付金制度
の要項が内務省から発表せられ、これが
日本
における
地方交付金制度
の始まりであります。
爾來幾多
の紆余曲折を経まして、
臨時町村財政補給金
、
地方財政調整交付金
、
臨時地方財政補給金等
の
制度
がたびたび生れて、
昭和
十五年にな
つて
初めて分
與税法
として制定せられた。また昨二十三
年度
におきまして名前を
配付税法
と改められ、
内容
を整備し、今日に至つたものであります。かくのごとく長年月間に
歴代内閣
、政党、
都道
府縣
、
町村
並びに多数の学者間において
辛苦研究
の結果でき
上つたの
が、
現行配付税法
でありまして、決して一朝一夕に成立したものではありません。しかも
法律
の本質が、
経済力
の
偏在
に起因する
負担
の不公平を是正することを
根本理念
としておるものであります。わが國の
現状
におきまして、戰時中並びに戰後を通じて、
経済発展
において、
都市
と
農村
との
跛行的現状
が著しくなりまして、富の
偏在
が一層強くなる傾向があることを直視いたしまして、また
日本経済
が
原則
的に資本の自由なる活動を許される限りにおきまして、
経済発展
の地域的なる
跛行性
と、それから生ずる
経済力
の
偏在
は、とうてい避け得ないと思います。
從つて大都市
と中
都市
、あるいは
農村
との間の
財政力
の懸隔は、今後も一層はなはだしくなると思うのでございます。かかる
現状
において、軽々しく
昭和
五年前の形にもどし、
所得税
、
法人税
附加税
制度
に還元するようなことがあるなれば、たちまち
負担
の均衡は破れ、
町村
財政
に一大波紋を惹起することを断言するのであります。私は
木村國務大臣
が、
地方財政
の
責任
者として、すべての
税制
の上にくふうを凝らし、研鑽をせられることは、まことに望ましいことでありますが、いやしくも
國務大臣
が、
議会
において議員の
質問
に答うるにあた
つて
は、十分の研究と確信を有するものでなければならないと信ずるのであります。
木村國務大臣
のこの点に対する御研究と、また附加税還元の予約をせられたことについて、一應御
意見
を承りたいと思います。
木村小左衞門
27
○
木村國務大臣
参議院
で西郷
委員
に
お答え
いたしましたことは、
速記
録にもあると思いますが、これはただ私だけの私案であります。こういうふうにお断りいたしまして、
地方
税法の
確立
を企図いたしましたがために、そういう
考え
を持
つて
おりましたので、そういうふうに
答弁
をいたしておきましたけれ
ども
、私の信念が、そこへ持
つて
行こうというところまでは、まだ十分かたま
つて
おりません。
地方
問題、ことに
地方
行政
、
地方財政
についてまことに堪能な、エキスパートであらせられる
生田委員
のお説を、ただいまとくと拜聽いたしまして、この
税制
改正に伴います問題は、今後一層よく研究をいたしたいと
考え
ております。
生田和平
28
○
生田委員
ただいま
木村國務大臣
から、將來よく研究をしよう、まだそれは自分の
考え
として確定していないということを承
つたの
でありまするが、私はなお蛇足ではあるかもしれませんが、
議会
における言明はいろいろの揣摩臆測を生じます。これが主務
大臣
の
意見
であるということになると、その波紋は大きいと思います。もとより内部的には、前段申し上げました
通り
、いろいろのくふう御研究があることは望ましいことでありますが、これをいやしくも私案としてでも公表するときには、
相当
の確信を持たれなければならぬと思うのであります。ただいま
大臣
の御言明によりまして、まだそこまでは行
つて
いないということでありますから、これ以上申し上げることはないと思います。私の
質問
はこれで一應打切ります。
中島守利
29
○
中島委員長
千葉三郎君。
千葉三郎
30
○千葉
委員
木村國務大臣
にお尋ね申し上げたいのですが、
先ほど
生田委員
からの御
質問
の、七百二十億円という、この当初の
政府
の
方針
である
配付税
、その根拠はどうして七百二十億円にしたか。
配付税
の三三・一四は八百五十五億になるわけですが、それを七百二十億に査定した根拠を第一に承りたい。
木村小左衞門
31
○
木村國務大臣
七百二十億という
数字
は、試案によ
つて
大藏大臣
から各位へ示されました
数字
でありまして、御
趣旨
のように、そのときすら正規のわれわれの要求なり、予定とは、
法律
の技術によらないところの差額が、百五十億ばかりあります。それを檢討、
折衝
して参りますると、
大藏省
の見方と、地財の方のわれわれの見方と、約三百億ばかりの見解の相違がありまして、
大藏省
では、
地方
の公共團体の方でもつととるべきところの税をとらないでおる。とらない額が予定に含まれてお
つて
、税收入が少い。もつとこれは
努力
してとればとれる。具体的に実例を申し上げますと、遊興税のごときものであります。こちらではそうまではとれない。そういう
数字
の見解の相違がありまして、そして三百億もあれば、百五十億くらいは、かくのごとき
財政
の枯渇しておる場合だから、國の方へまわしてもよかろうじやないかというような
大藏省
の案で、それは提出したものであります。しかしそれはほんの試案で、試案として一度各位に示しただけであります。その後御
承知
の
通り
のような
状況
であります。
千葉三郎
32
○千葉
委員
ただいまの御
答弁
によりますと、率直に言うと
大藏省
にしてやられた、やむを得ず引下
つたの
だというような印象を受けたのでありますが、
國務大臣
としてGHQに
交渉
に行かれた、その時の
事務
的なお話は承りましたが、
大臣
みずからぶつか
つて
みて、いかなる感じを受けたか。
地方財政
に対して
大藏省
の
当局
が非常に軽く
考え
ておつたように聞いておりまするが、連合軍
当局
は、
地方財政
に対してどの
程度
に熱意をお示しにな
つて
おつたか。あるいはきわめて冷淡であつたか。その間の
大臣
みずからの感じをお話し願いたい。
木村小左衞門
33
○
木村國務大臣
私が参りまして
折衝
いたしました印象は、きわめてよかつたと、うぬぼれかもしれませんが思いました。こういうようにまで
圧縮
せられるものでない、起債のごときものも
相当
に
了解
を得るような感じがいたしておりました。私も今回行きましたのが初めてではありません。実はこれまでも内務にもおつたことがありますし、たびたび参
つて
おりまして、顏なじみでもありまするので、ただ一度や二度会つたときの印象だけでこれを断定するものではありませんが、これまでの経驗からいたしまして、
相当
了解
してくれる、いい印象があつたと私は感じました。これは私の錯覚だつたかもしれないが、そういうふうに私も
考え
ますし、また部内の方でもそういうふうに
考え
ておりましたわけであります。
千葉三郎
34
○千葉
委員
大臣
は非常に樂観されておつたようでありますし、また当時
大藏当局
も、七百二十億円の
配付税
は、これは実現できるものというように、全國の議長
会議
に沢田藏相みずからお話にな
つて
おるようであります。その結果といたしまして、各
府縣
の中には、七百二十億を基礎として骨格
予算
をすでに組んだ
府縣
があるのであります。その後、五百七十七億に減らされた。しかしあの問題は大体三月の初旬から始ま
つて
おりましたので、その当時の七百二十億ということは、もう絶対過半数の民自党内閣であるから、これは実現できる、しかも
大藏省
当局
においても、
地方財政委員会
においても、大体よかろうというお
考え
のようであつたから組んだというような
府縣
もあるのでありましたが、五百七十七億になりますと、そこにまた穴が明いて來る。それは一体どういうふうな処置でやるか。ただいま遊興飲食税というようなお話もありましたが、この遊興飲食税によりますと、
都市
と
違い
まして、
地方
農村
ではほとんど財源がありません。そこで非常に困却をするのでありまするが、こうしたような、錯覚と言えば錯覚でありましようけれ
ども
、その当時の措置としてはやむを得なかつた、この穴を大体どういうふうにお
考え
になるでございましようか、その点を承りたいと思います。
木村小左衞門
35
○
木村國務大臣
それは
先ほど
生田委員
の御
質問
に
お答え
いたしたことで盡きるように思いまするが、今の飲食税、遊興税というものは、これは
大藏省
の見解、税收のいわゆる差額の見解のことでありまして、將來これをも
つて
この穴を大部分埋めようなどというようなことを申し上げたつもりではありません。何しろこの大きな
欠陷
は、何としても、
先ほど
申し上げましたように、できるだけひとついろいろくふういたしまして、現にその
方法
につきまして、昨日から
都道
府縣
の総務部長
会議
をいたして、この
内容
をすつかり詳細に赤裸々に開陳いたしまして、この善後措置について今研究をいたして、きようもまだ
会議
をや
つて
おります。何とかいたさなければならぬという
考え
でありますが、
先ほど
申し上げまするように、何といたしましても、どうも
地方
税の増收をはかりますにいたしましても、ほとんど
限界
点に達しておるようでありまして、ただいま設けましたのが百七十億くらいの増徴でありまして、あとは節約をしてもらうとか、あるいは國庫関係の
事務
を大幅に縮小してもらいまして、経費の削減をはかるということ以外には、ただいま率直に申しまして案は持
つて
おりません。
千葉三郎
36
○千葉
委員
ただいまの御説によりますると、大体
地方
に百七十億というような
増税
はしかたがないが、それ以上は
負担
能力から見てもむずかしいというような
お答え
のように承りましたが、この
配付税
をただいまの五百七十七億を、さらに
増額
をすることは、きわめて困難である。この点に対しては自信がないという仰せでありますが、もしここに
予算
を修正するというようなことがありました場合には、
木村國務大臣
は賛成なさいますかどうか、それを承りたいと思います。
木村小左衞門
37
○
木村國務大臣
國会は國権の最高権威でありますので、國会の御意思によ
つて
御修正になるのは、私は異存はございません。
千葉三郎
38
○千葉
委員
先ほど
の
生田
さんに対する御
答弁
中に、
地方財政委員会
の
決定
は、
決議機関
であるから、
國務大臣
としては
閣議
に出席した場合には
國策
に從う。從
つて
地方財政委員会
の
決議
の方は第二義的に見るというような御
答弁
であつた。この論旨をも
つて
参りますると、近くシヤウプ博士が來朝され、それによ
つて
地方
の
財政
の
根本
的
改革
をなさるというようなお言葉もありましたが、そのときにまたせつかく
地方財政委員会
の希望なり
決議
なりを
決定
しても、もし
閣議
に出て
閣議
の意向と反した場合には、これを弊履のごとく捨てるというような結果になるのであります。その場合に、
先ほど
の法案の
説明
のように、
地方
が眞に困
つて
おるならば、あなたは職を賭して、こういう問題に敢鬪していただきたいのでありますが、
地方財政委員会
の
委員長
として、良心的にその
決議
に御賛成であつたならば、むしろ
閣議
をひつぱりまわす、そうして
閣議
がこれを顧みなかつたならば、むしろこれをやめるというくらいまでに、
地方
のために御決意が願えないだろうか。このこと自体が連合軍に対しても、ほんとうに
地方財政
の重大さを認識する
一つ
の動議になるのじやなかろうかというようにも
考え
るのでありまするが、今後大きな税政
改革
問題を控え、また現在当面に横たわ
つて
おる
配付税
の問題にいたしましても、何となく
地方財政
を担当する現在の陣営がいかにも物足りない、頼りないという感じをひとしく與えておるのです。こういうようなときに立ち上
つて
、良心的に御活動を願えないものだろうか。これは、はなはだ言いにくい言葉でありますが、
地方
の
財政
を思うのあまり申し上げる次第でありますので、どうぞその辺の心中を御披瀝願いたいと思います。
木村小左衞門
39
○
木村國務大臣
私は現職に決して恋恋としてかじりつきたいという氣持は持
つて
おらぬことを明らかに申し上げます。けれ
ども
先ほど
申し上げたような次第でありまして、あなたの見解と私の見解とは相違があります。私も閣僚の一員でありますので、
政府
全体の都合を
考え
なければなりません。この際
責任
をと
つて
辞するという
考え
は持
つて
おらぬことを
はつ
きり申し上げます。
谷口善太郎
40
○谷口
委員
私はこの問題は非常に大事だと思いますので、大体三つの問題についてやや詳しくお尋ねしたいと思
つたの
でありますが、本日は時間もありませんし、できれば続けてやりたいと思いますので、次の機会に譲りたいと思います。それにつきまして
政府
の方へ私の聞かんとするところを大体傳えておく方がよいと思いますので申し上げておきます。 第一は
法律
問題としての見地から御
質問
申し上げ、第二に、九
原則
実行の
立場
からやむを得ないものだという御説が非常に強いのであります。これに対する見地からの
質問
と、第三は
地方
自治体の
財政
が今どういうふうにな
つて
おるかという見地からお聞きしたいと思います。それで
地方財政委員会
を御担当なす
つて
いらつしやる
木村國務大臣
の御出席はもちろんでありますが、なお
大藏大臣
と、できれば
総理大臣
の御出席をお願いしたいと思います。
中島守利
41
○
中島委員長
本日はこの
程度
で散会いたします。次会は十六日午前十時半から開会いたします。 午後零時四十五分散会