○川上貫一君 私はこの事件について、急遽
調査に参
つて、詳細
調査いたしたのでございますが、これはきわめて重大な事件である。さきには部分的に一部を申しましたが、第一に、四月二日の事件については、約一万五千人の大衆行動に対して、武装警官三千名を配置しておる。そうすると、五人に一人の武装警官をつけておることになる。このこと自体がすでにもう
調査に値する。
第二には、ポンプをあらかじめ用意しておる。消防ポンプをあらかじめ用意してお
つたというところに、
警察の挑発の意図はきわめて歴然たるものがある。
第三には、ピストルの使用に対して指令を出しておる。ピストルを使用してよろしいということを出しておる。これはもうあらかじめ撃ち殺す氣であ
つたと、われわれは解釈せざるを得ない。これは今言われたように、市
会議員がピストルの使用に対してあまりひどいと思
つて、それをとめに
行つたら、市
会議員もくそもあるか、撃つぞとい
つて向けた。そこで市
会議員の方はあとに退いたのでありますが、こういう形がとられておる。
第四番目には、さきに申しましたように、細い道路をわざわざ指定しておる。しかも
警察が細い道路を指定して置きながら、誤
つた方向に指導して持
つて行つて、またこれを持
つて帰
つた。四列横隊を細い道でごちやごちやにしておる。この責任はまさに
警察にあるのである。これに対して何
一つあやまりも弁解もしておらない。このことに対して、その
事情を聞きに行くところの民衆
團体の
代表者には、
警察局長は面会をことごとく拒絶しておる。
第六番目には、四百人以上の負傷者を二十七日のデモには出しておる。二日のデモには、百人以上の負傷者を出し、二十七日には十七名の重傷者を出して、これは病院にかつぎ込まれておる。頭を割られ、からだをやられ、鮮血淋漓という
言葉があるが、この文字
通りの形で、道行く人が、非常に多くの血を流して帰
つて行く人を見ておる。こういう大きな事件を起しておる。そうして檢束者十八名を出しておるのでありますが、これは二十七日であります。四月の二日にも、多数の檢束者を出しておる。ところが、これがことごとく罪にも何にもならない。檢察
当局に会
つてみても、それは何にもしておらぬ。めちやくちやに手当り次第にや
つたという証拠は歴然としておる。今日までほとんど全部を釈放して、今二人だけを残しておりますが、これは
警察がかつこうがつかないから、残しておるのであ
つて。もう何も問題はない。
その次に第八には、さきに申しましたように、
警察官がサボをした事実があることを人民が知
つておる。これは一大事件である。鈴木の言うことを聞いておらぬのです。巡査が弱
つておるという事実がある。いかに暴圧をこの市
警察が企てたかということは、これで明らかである。
代表團体に弁解せぬということも、挑発と暴圧の証拠である。壁
新聞をことごとく武装のトラツク隊で破
つているということも
一つの証拠である。元來大阪における
從來の
やり方というものは、今回だけではない。今の
委員は四月二日を問題にされましたが、四月二日の問題だけではない。か
つては大阪市警は、G・H・Qの命令だとい
つて、あの不法な市條例を制定しながら、これが中止を命ぜられて、急遽としてこれをひつ込めておる。これに対して市
会議員が、君はG・H・Qの命令だと言うて、これを出したじやないか、ところがしかられておるじやないか。これは一体どういうことだと言
つたら、何もこの
説明ができない。人民を侮辱することもはなはだしい。朝鮮人事件の時分には十六歳になる少年を、うしろからピストルで打ち殺しておる。十七人の重傷者を出し、一人は死んでしま
つておる。これに対して何ら責任をと
つておらぬ。その時分に鈴木
警察局長のごときは、撃てと言
つたのはおれだ。惡いことをするやつはことごとく撃つんだと言
つたが、撃たれた
人々は、背中かもしくは背後から撃たれておるのであ
つて、この職権濫用はま
つたく明瞭な事実がある。大阪は、常にこういう場合に血を見ておる。大阪の大衆だけがあばれたり惡いことをしたりするものじやない。いつもこういう行動があるたびごとに、大阪では大衆が血を見、幾百人の負傷者を出し、暴行が行われておる。明らかにこれは
警察の挑発並びに彈圧から起る問題である。この問題について私は特に言いたいが、國警本部に
行つても、これは知らぬことだということをよく言われる。市
警察には手をつけられない。今もそういう
お答えがあ
つたと思う。私はこういうように取扱われては困る。大阪にも國警がある。大阪の治安は、國警も責任を持たなければならぬ。ところが、これは市警のや
つてことだから、國警は知らない。こういうことで一体治安が保てるかどうか明らかであります。これは市警であろうが、どこであろうが、國警はこういうことについては、治安の責任を持たなければならぬ。あれは市警がや
つたことだから、おれの方では知らぬことだ。こういうような言い方をするということになると、
政府は治安に対して責任を持
つていない。大阪の治安はだれが一体責任を持つのだ。それを市
警察がや
つているのか。國警は一切
関係がないのか。こういう問題にな
つて來る。こういう答弁ではわれわれはどうも納得できない。
次に大阪における人民の声は非常に激昴しておる。これから
行つて、呼び出して
調査をされてもきわめて明らかなことであ
つて、ただこのデモに出たところの労働者が怒
つているだけではありません。全市民がことごとく
警察の
やり方に対しては反感を持
つているということは、
ほんとうにこれを
調査するならば明らかにわかる。これは全市民の声であることは絶対間違いない。さらにこれはデモだけではありません。生活擁護同盟が生活を守るために、民主的な
團体をこしらえて事務所を持
つておる。その城東の事務所のごときは、武装警官八十名を動員して、これを襲撃し、暴力をも
つて非常に不法な家宅捜索をや
つた。あるいは東成においては中小企業の
團体である、いわゆる関中協という事務所へも、同じような暴力的な捜索行為をや
つておる。私が
調査に
行つた時分には、城東
警察のごときは、五十人の武装警官をも
つて警察を守
つておる。
警察が人民を守るかと思
つたら、そうではない。
警察を守
つている。私が行きましても中へ入らせない。なぜ入らせないのかというと、何人も入れさせないのだという。しかし待合室に入
つて待
つていた
つていいだろう。いやいかぬ。署長に会わせてくれと言
つても、
警察の中へ一歩も入れさせない。こういうことは城東のみではない。生野でもや
つておる。東成でもや
つておる。こういう形で行きますならば、私のさつき申しましたように、これから先、たとえば五月のメーデーにいたしましても、その他の大衆集会にいたしましても、必ず不祥事件が起るであろうということは、われわれの
調査した結果においても察せられるのだ。これを單に市の
警察のだれかがや
つたんだとかなんとかいうことは問題ではないと思う。私は
意見を述べておるのではなく、報告しておるのでありますが、このことに対して本
委員会において、これはきわめて重大な事件であるのでお取上げをお願いしたい。なおさらにこれは
調査班をという御
意見がありましたが、私の
意見としては
調査班を出していただくことは、はなはだけつこうであると思うのでありますが、それと同時に本
委員会に直接に証人を喚問するなり、双方適当なる方法によ
つて、詳細にきわめて納得の行くように、徹底的に
調査をしていただきたい。こういうことを申し述べまして報告を終らせてもらいたいと思います。