○
門司委員 大藏大臣が
おいでになりまする前に、実はこの前の
会議で申し上げました
ように、
地方財政委員会の
主管大臣が
おいでになりましてからお聞きした方がいいと思いましたが、
政務次官が
おいでにな
つておりますので、
政務次官にかわ
つてお聞きしたいと思います。それは
地方税のことにつきまして、
地方税法の一部を
改正する
法律案の
要綱というものが出ておりまするが、これを審議いたされましたときの
財政委員会の
情勢についての御
質問を一應しておきたいと思うのであります。それの内容は非常にたくさん書いてありますので、これを一々議論するわけには参りませんが、まず新しい
税金として取立て
ようとお
考えにな
つております
果実引取税とか、あるいは
ガソリン税であるとかいう
ようなものに対しましては、後ほど議論をすることにいたしまして、さしあたりわれわれが聞いておかなければならないと思いますることは、既成の
税金に対して非常にふえておる
ような案が一應立てられておるということであります。それは
住民税が從來九百円でありましたものが今度千四百円に上げられておるということであります。この問題は非常に前の
國会との関連を持つものでありまして、前の
國会に
政府の
提案が一千円でありましたものを、
地方行政委員会は非常に苦労をしてこれの一割を下げまして、九百円に大体おちついているはずであります。この
参考書に書いてある
通りでありますが、これは
地方の
財政が非常に行き詰ま
つておりまして、
担税力にそう余祐がないではないかというので、
人頭割にひとしいこの
住民税だけは、でき得るだけ下げなければならないという当
委員会の総意で、実はこれを九百円に、一割下げたのであります。それがまた今度は五割値上げが行われるという
ようなことは、このつい前の
國会の
地方行政委員会の
意見をま
つたくくつがえすものであり、さらに
人頭割にひとしいこういう
税金がふえるということは、やはりとりやすいところから
税金をたくさんとるという
ような、
税金を取立てる上における最も今までの
弊害であ
つた面の、大きな現われであると私
どもは
考えなければなりませんが、これをこういうふうにお
考えに
なつた
一つの
根拠をお
示し願いたいと思うのであります。
その次に聞いておきたいと思いますることは、
地租、
家屋税の問題でありまするが、これの
賃貸價格の、一方は百分の二百でありましたものを五百にし、さらに一方は二百五十でありましたものを同じく五百にするという
ようなことにな
つて参りますると、これは必然的に
家賃、
地代の非常に大きな値上りを來す
原因をこしらえるということに相なると思うのでありまするが、こういう
措置を講ずる前に、まだ
予算措置としては講ずべき手段がなか
つたであろうかということであります。われわれから
考えますと、
現行の
地租あるいは
家屋税の
賃貸價格はあるいは非常に安い面もありまするし、また非常に大きな
でこぼこもできておることは事実であります。從いまして、一應まず
基本になります
賃貸價格の是正をしないで、あるいはもう
一つの問題を申し上げますならば、
地目変換が依然として行われておらないところの幾多の
弊害がこれには伴
つておるのであります。それらのものを一切
処置しないうちに、ただちにこれを現在のままの姿で、こういう倍あるいは倍以上の率に上げて行くことは、その不公平をますます不公平になさし
むる一つの大きな
原因である。一方においては
從來地目変換を行わないで、当然
宅地として使用し、
宅地としての
地代をと
つておきながら、やはり三百坪
幾ら、
一反幾らという
ような
賃貸價格の上において
地租が拂われているという
ようなものが、ますますその度をひどくして参りまして、
地方の
納税をいたします者に不公平の
観念を與え、
納税にきわめて
惡い影響を及ぼすことは御存じの
通りであると思います。こういうものを是正しない前に、ただこういうものだけを上げて行くというお
考えはどういうわけであるかということであります。
そのほかのこまかい問題もある
ようですが、概括して申し上げますと、
最後に、
徴税の
方法について
罰則を設け、あるいは取締りを非常に嚴重にし
ようという
行き方であります。これは非常に
時代と逆行した
一つのものの
考え方であ
つて、
將來地方税はお互いの親密な度合いの中に、
地方行政が満足に、円満にや
つて行けることのために、
國税と
違つて、また從來の
日本の
國家主義の
思想、あるいは
帝國主義の
思想であ
つたかもしれませんが、
國家権力で
税金を取上げるという形でなくして、
地方の
自治体だけくらいはそういうものを適用しない。そして
ほんとうに円満のうちに、
納得の行く
税金を納めて、
地方自治の円満なる発達をはかろうということが、從來非常に
帝國主義的の
國家権力を重用したときですら
考えられてお
つた。そして
地方に対しては、
國家権力をただちに利用しない
税法の
徴收の建前が
考えられてお
つた。こう
考えますときに、現在の
情勢にあ
つて、また再び
地方税の
徴收に
國家権力と同じ
ような
権力をこれに與えるという
ようなことにな
つて参りますと
——人頭割にひとしい
ような、片方では
税金を
増額し、あるいは
改訂しており、そうしてそれが
國家権力と同じ
権力のもとに
徴收されるという
ようなことにな
つて参りますると、非常に私は苛斂誅求もはなはだしいものが出て來やしないかという
ようなことに相なると
考えるのであります。
從つてこの点はどういう
考え方からこういうことが
考えられておるかということであります。そのほか露骨に
罰則を強化し、
租税の
不納を煽動する
ような、
納税妨害の行為に対しては、これに何か罪を規定するという
ようなことが書いてありまするが、われわれは現在の
日本の
情勢においては、
罰則を強化するといういわゆる
國家権力の発動によ
つてのみ、
日本のこの
民主主義が行われておるとは
考えておりません。
從つて地方財政委員会の
要綱の
行き方というものは、ま
つたく
時代と逆行した
一つの大きな
行き方とわれわれは解釈せざるを得ないのでありますが、この点について
地方財政委員会はどうしてこういうことをお
考えに
なつたか、その点をひとつ御説明が願いたいと思うのであります。
それから
最後に書いてありまする
土地及び
家屋の
賃貸價格の
改訂を延期し
ようとする場合は、
土地台帳及び
家屋台帳に関する
事務を、
都道府縣に委讓し、そうして
都道府縣において
改訂を行うものとするということが
備考に書いてありまするが、これについてはつきりした
根拠をお持ちにな
つておるかどうかということであります。これはきわめて重要なことでありまして、今
大藏省の
税務処理の所管にな
つておりまする
土地台帳のすべての機構を
地方廳に移して参り、そうしてそれが完全に調査するということにな
つて参りますると、非常に大きな問題にな
つて参りますので、これに対するはつきりした見通しはお持ちにな
つておるかどうかということであります。これはぜひなさなければならない
仕事ではありまするが、しかし簡單にこれを
備考の欄にお
書きにな
つて、こういうことを
考えておるということだけでは、まだわれわれ
納得ができないのであります。これをひとつ
ほんとうに実行に移す御
意思があるのかないのか。これは國の
國税上調査の方から
考えましても、きわめて重要な問題であ
つて、
日本の
土地の全体が、耕地が
幾らあるか、あるいは、
宅地がどのくらいあるか、山林はどれだけあるのか、詳細な
統計の見本がいまだにありませんときに、これの
基礎をこしらえ
ようとすることは、画期的な大きな事業であると
考えております。これがただ單に理想としてのみ書かれておるのか、あるいは
ほんとうにこれをおやりになる決意でおやりにな
つたのか、この点をひとつ明らかにしていただきたいと
考えておるのであります。