○伊藤
説明員
農地証券は、司令部の指示に基きまして発行後五箇年間は日本銀行の発券準備に充当してはいけないということに
なつておりまして、発行後五箇年を経過いたしますれば、日本銀行におきましてももちろん担保としてと
つていただける。いわゆる日本銀行の発券準備に充当してはいけないということだけでありまして、一般の金融機関といたしましては、別にこれを担保として貸出しをしてはいけないという契約はございませんものですから、事実法的にはもちろん金融機関として
融資の道はあるわけであります。しかしながら金融機関といたしましては、とりました担保を日本銀行にまた借入れの担保に供することができないというような結果、一般金融機関といたしましては、おそらく
農地証券による金融はいたさないと者えられます。そこで現在自作農創設特別会計におきましては、農地の賣却代金を四十数億円手元
資金として所有いたしております。この
資金はもちろん元利金の償還に充当しなければならないのでありますが、さしあたり元利金に充当しないでもよい——將來は充当しなければならないものですが、さしあたり余裕金と見られるものが三十数億あるのではなかろうかと考えております。この
資金はあとう限り早く農村に還元するということを、農林当局、大藏当局といろいろ研究いたしておりますが、農村に還元する
方法といたしまして
融資特別会計というようなものを設けまして、その会計が農村に貸し付ける。または現在大藏省で考えておりまするものは、
農地証券を繰上げ償還したらよいではないかというようなことを考えておるわけであります。さしあたり
農地証券につきまして金融の道を講ずるということは、繰上げ償還をすることを大藏省といたしましては考えておりまして、その他のことにつきましては、まだ具体的に研究はいたしておらないと私は考えております。
それから
農地証券の金利の問題でございますが、現行の利率を経済情勢の変化に適應するような利率に逐次変更するようなことはどうか、こういうことでございますが、このことにつきましては技術的には困難でありますし、また金利を
引上げることにつきましては、
関係方面においても許可するかいなかはなはだ疑問と考えております。はなはだ簡單でございますが、この程度で御了解願いたいと思います。