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平田(敬)
政府委員 今回提案しております
法律案は、実は
所得税の
法律につきましていろいろ研究中でございますので、さしあたり四月の申告及び納税を六月に延ばすというだけの
法律案でございます。從いまして後刻さらに申告の時期、
納期等につきましては成案を得まして、本
年度どうするかという
法律案を別途にお出ししまして、御審議を煩わすつもりでございます。今回出しましたのは、さしあたり
納期が迫りますので、それを二箇月だけ延ばすというだけの
法律案でございますので、その点御了承願いたいと思います。最も重要な問題は、
お話の更正
決定の問題であろうと思いますが、
所得税法の建前から申しますと、
川島委員御
承知のように、実はすべて申告によるという建前に相な
つております。予定申告といい、確定申告といい、すべて税法の規定に從いまして、納税者が自分で所得を計算し、税金を計算し、申告して納める。実はこれが
所得税法の根本的な建前でありまして、本來はそれによるのが本筋なのであります。税法の
趣旨もそういうふうに行くべきものなのでございまするが、ただ残念ながら、実はまだ税法の普及徹底が十分でないということ、それから税金が
相当高いとか、その他いろいろ理由があろうかと思いまするが、申告の
状況は実は私どもいろいろ調べてみますと、
相当不足しておるのが現状でございます。もつとも昨
年度は、農業所得等につきましては、標準率を公開いたしまして、申告の指導を
相当活發にいたしました結果、ところによりましては、申告だけで済んだ地方が多数ございます。たとえば北海道のごときは、
相当多くの部分が申告だけで納税を完遂いたしております。東北、北陸等にもそういう地方が大分ございまするが、しかし全体として見ますると、なかなか申告が思う
通りに出て來ないのが現状でありまして、一月の確定申告におきましては、営業者の申告は、大体私どもが予想いたしました税額に対しまして、三割強、四割弱と言いますか、——その
程度の申告しか出ていない、こういうのが、
状況でございます。そこで私どもとしましては、平素から極力申告によ
つて納まるということを本位として宣傳し、今後におきましても、さようにして行かなければならぬと
考えておる次第でございますけけども、これも一挙にしてなかなかそういうわけにも行くまいということも
考えられますので、平素からいろいろ税務署は調査いたしておるわけでございますが、この調査に基きまして、実は更正
決定をせざるを得ないという
実情でございます。できますならば、將來におきましては、ほとんど納税者の七、八割までは申告だけで税金が納ま
つて、わずかの人について丁寧に調べ上げまして、更正
決定をする。こう行きますのが実は理想だと私
考えております。これを
計画的にや
つて参りたい。どうも現在の
状況から見ますと、一挙にそこまで行きますのは困難でございます。ことしは昨年よりも、來年はことしよりも、さ來年は來年よりもよくするというような方法で、さようなところにも
つて行きたいと思いまするが、最近の
状況から申しますと、なかなかそういうことに参りませんで、むしろ原則と例外がやむを得ず轉倒せざる得ないという
実情でございます。そこでこの更正
決定につきましては、納税者の実態をよく調査いたしまして
決定するようにということを、極力やかましく言
つております。実額調査と言
つておりますが、納税者の実態について実額調査をやりまして、それについて更正
決定をやるように言
つております。しかし何しろ数多い納税者につきまして、時期も早く
決定せざるを得ないという先ほど申し上げましたような
状況でございますので、それを放任いたしますと、実は
歳入が遅れてしまうということになりますから、どうも確定申告に対しましても、二月末ごろまでには何とか
決定せざるを得ない。そうしますと、調査期間がやはり三月かそこいらしかないという状態でございまして、全部納税者につきまして、実額調査をすることは、なかなかむずかしいというのが現状でございます。しからば
決定を延ばすということになりますと、これまた大きな
歳入欠陷を生じますので、これも私ども理想でないと
考えておるのでございますが、極力與えられた期間内におきまして、ベストを盡して実額を調べ、実額を調べたものに基きまして、さらにその実額調査のできなかつたものにつきましては、按分権衡等の方法によりまして、適当なる額を檢討して、それによ
つて更正
決定をやるようにということで、指導いたしておる次第でございます。遺憾ながら現状は納税者の側におきましても、帳簿がなかなかはつきりしていない人が多数ある。それから税務署もなかなか熟練した官吏が十分でない。こういうことからいたしまして、非常にうまく行
つておるどころか、
相当直すべく点があるようにも見受けられます。しかしながら現在の段階におきましては、さようなことで推し進めませんと、
歳入の確保がなかなかむずかしいということにな
つておりまして、これは年を追いまして改善を加えて参りたいと
考えておりますが、さような
考え方で與えられた期間内にベストを盡して課税の公正を期して、それによ
つて徴收の確保をはか
つて行こうという
考え方で、指導をいたしておる次第でございます。その際におきまして加算税の問題がございましたが、さつき申しましたように、
所得税は元來申告で納むべき税にな
つております。実は一月の確定申告の際に、全部の税金が納まるべきはずだという税法の建前に相なるわけであります。從いまして税務署が調べまして実際の申告額と違う
決定をした場合につきましては、その差額につきまして申告すべきものが漏れておつたということになりまして、その部分は初めにまじめに納めた人と不権衡になりますし、またそれを放任しておきますと、納税促進になりませんので、遅れただけやはり加算税をつけまして、それによ
つて一面におきましては極力申告で納めるようにすると同時に、遅れたことに対するそれだけの金利的な負担をかける。かような
考え方に相な
つておるわけでございます。ただ追徴という制度がもう
一つございますが、この方は現在の
状況からあまり嚴重に行きますのは、妥当を欠く点がございますので、この方につきましては、若干運用で法令の許す限りにおきまして適切な措置をとるように、指導いたしておる次第でございます。大体今さような
考え方で指導いたしておることを申し上げまして、御了解を願
つておきます。