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三浦参事 投票の
方法の問題に関しましては、いろいろ
研究をようする
事項がたくさんあると
考えられるのでありまして、一応そういう問題を網羅的にここに取上げておいたのであります。まず第一に
投票の
方式の問題といたしまして、
投票の
方法としては種々の
方式があるが、
選挙の本質に鑑み、かつわが國の実情に則したものとしてはどういう
制度が最も適当であるか、これは最初のときに
投票方法につきまして齋藤
委員からもお話がありましたが、一応順序といたしましてここに多数代表法、あるいは少数代表法、あるいは比例代表法による種々の
方式をあげて御参考に供しておいたわけであります。
次にはここで
考えられる問題といたしましては、五十八ページに書いてございますが、これはマイナス
投票方法というのでありまして、先般公聴会が開かれましたとき、ある人の
意見といたしましてこういう
意見が出されておつた、またこれは
制度的にか
つて考えられた
制度でもあるようでありますが、実際にこういう問題を取上げる必要があるかどうか問題ではありましようが、一応ちよつと掲げておいたのであります。マイナス
投票方法のほかに、
選挙人が欲しない候補者に対するマイナス
投票を許し、法定のマイナス得票数を得た者には
一定期間立候補を禁止する、いわゆる消極
投票法の
制度は考究に値いするかどうかという問題であります。
次に
選挙区と
投票法の問題であります。これがいろいろ重要な影響を持つ問題であろうと思うのでありますが、まず第一には
選挙区と
投票方法とは非常に密接な
関係があるのでありまして、今まで
選挙区におきましてもめました点を要約いたしますと次のような
組合わせの
制度が
考えられますが、これは将來の
制度といたしましてどういう
制度が適当であるかという問題であります。
第一は多数代表法の場合でありまして、この場合に小
選挙区、中
選挙区、大
選挙区と
考えられるのでありますが、これと
投票制度とを関連いたして
考えました場合におきまして、小
選挙区の単記制、中
選挙区の完全連記制、大
選挙区の完全連記制が多数代表法として一応
考えられるのであります。それから少数代表法の
制度といたしましては、中
選挙区の単記制、それから中
選挙区の制限連記制、大
選挙区の単記制、それから大
選挙区の制限連記制、大
選挙区の比例代表制というようなものが、
制度的には
考えられるかと思うのでありまして、過去の
衆議院の
選挙法あるいはその他の
選挙法等におきまして、
選挙区と
投票方式との関連におきまして、その
制度を採用しておつたかということを五十九ページの下段のところに掲げておきましたので、御参考にしていただきたいと思うのであります。
次は比例代表制を採用する場合の問題でありまするが、かりにこの問題を考究するといたしました場合におきまして、根本問題といたしまして、
選挙の
投票は人を主として
考えるべきか、あるいは党派を主として
考えるべきであるかというような大前提のもとに比例代表制という問題を、まず再検討する必要があると思うのでありまして、その次には、かりに比例代表制をとるといたしました場合におきまして、どのような
選挙にそれでは比例代表制を採用するかというような事柄が問題として
考えられると思うのであります。それからさらに再
選挙とか補欠
選挙というような
選挙が行われる場合におきまして、比例代表法によることとするかどうかという
問題等があり得ると思うのであります。これは
手続、その他の点におきましても相当複雑な
手続を要しますので、この問題をどうするかということはいろいろ議論がある問題であろうかと思うのであります。
次は連記
投票法を採用する場合の問題でありまして、この連記の中には、かりに一
選挙区三人の中
選挙区といたしますならば、三人を完全に連記する
方法と、そのうちの二人を連記する
方法とが
考えられるわけでありまするが、そういう連記
投票法を採用する場合に、その連記は同一の政党の候補者にのみ限るか、あるいは他党の候補者を連記することも認めるかどうかという問題、それから次には制限連記の
方法を採用する場合に、一
選挙区における
議員定数と制限連記の数との割合をどの程度とするかという問題であります。これはこの前の
選挙におきまして、この前と申しましても二、三回前でありまするが、大
選挙区
都道府県一
選挙区を原則といたしまして、制限連記制を採用したのでありますが、その場合に一
選挙区におけるところの
議員定数とその制限連記の数というような問題を一応
法律上きめたのでありますが、これは
選挙区のところにおいてその数をあげておきました。三ページでありまするが、たとえば三人以下は一人、四人以上十人以下の場合は二人連記、十一人以上三人連記というように、きわめて限られた制限連記でありますが、こういうように定数と結びつけて
考えます場合において、どの程度の制限連記が適当かというよな問題が連記
投票を
考える場合に問題になり得るかと思うのであります。
次に
投票方法に関する
現行法の
主義というところ、現在の
選挙法における
投票に関しましてのいろいろの
主義を一応ここにまとめて掲げておいたのでありまするが、こういう
主義は学問上の
主義であるかもしれませんが、理解の便宜のために特にこういうような分類といたして、御参考に供しましたわけであります。第一は
投票の秘密
主義、第二は本人
投票主義、第三は現場
投票主義、第四は一人一票
主義、第五は
投票の自書
主義、第六は無記名
投票主義、第七は
投票用紙の公給
主義、こういうような
主義方針と申しまするか、
制度が
衆議院の
選挙法、
参議院の
選挙法、
地方公共團体の
選挙法等の中にそれぞれの
規定に織り込まれておるわけでありまして、こういう
制度に関連いたしまして、
改正を加えるべき点があるかどうかいう問題が全般の問題として
考えられるわけであります。さらにその問題に関連いたしまして特に取上くべき問題として、その次に書いておいたのでありますが、それは
投票の自書
主義を記号
方式投票方法であります。これは前に齋藤
委員から記号式
投票法について反対の御
意見があつたのでありますが、一応順序として御
説明申し上げますれば、
投票自書
主義に基きますところの自書能力の
要件を改めて記号式
投票方法を取入れることはどうか。現在最高裁判所裁判官の國民審査法におきましてこの記号式
投票法を取入れたのでありますが、こういう
方式がどうであるかという問題が
一つであります。次に記号式
投票法を採用するといたしました場合において、どういう記号を用いることが適当であるかどうか。次に記号式を採用する場合に、どういう
投票制度がよいか。次に書いてございますように、小
選挙区、中
選挙区、大
選挙区と関連いたしまして、単記、連記、比例代表と関連してさらに記号式をどういうふうに取扱うのかという問題が
考えられ得ると思うのであります。なおこの
投票自書
主義、記号式
投票法の問題に関しましては七十ページの
投票の無効自由と記号式
投票法との
関係というところで最高裁判所裁判官國民審査法による記号式
投票法の無効事由の範囲というものをそこに掲げておきましたから、御参考に供していただきたいと思
つております。
それから
投票の問題といたして現在
選挙法で認めております
制度は点字
投票の
制度でありまして、これは秘密
投票主義の例外と申したらいいかと思うのでありますが、この盲人に対しまするところの点字
投票の
制度について
改正を加える点があるかないかという点がひとつであります。次には代理
投票の問題でありますが、代理
投票の範囲は
現行通りでよいか、そうして代理
投票の範囲は一、二に書いてありますように。特殊の事由がある場合に限られておりますが、身体の故障に起因しない一般の自書能力のない者に対しましても代理
投票の
制度を拡張適用することはどうかというような問題が
考えられる得ると思うのであります。つまり体の故障がなくも、書く能力がなくも、
投票所に
行つて名前を話して書いてもらうといような
制度と新しく考究せられる問題であるかどうかという点であります。代理
投票の
制度はこの前の
衆議院の
選挙法改正の場合におきまして特に
規定が加えられたのでありますけれども、
地方自治法の
選挙においては認められておつた
制度であります。
それから
不在投票の問題でありまするが、これは
現行の
不在投票の範囲はこれでよいかどうか。
不在投票の事由につきましてここに掲げておいたのでありまするが、この事由の範囲でいいかどうかという問題と、それから
不在投票の
手続等に関しまして
改正を加うべき点はないかどうか、
不在投票の場合におきましては
証明書の交付の請求とか、
投票用紙及び
投票用封筒の交付請求、あるいは郵送等の問題、いろいろ複雑な点があるのでありまして、この点に関しまして、
衆議院の
選挙に関しましてはその施行令において詳しい
規定を置いておるのでありますが、これらをごく簡便に取扱うことができないかどうかという問題であります。それから
不在投票に関して特別
投票者
証明書の交付または郵送に要する
費用を國の
負担とすることの可否という問題がありまして、普通こういうことも問題としては
考えれえ得るかと思
つて掲げておいたのであります。
それからきわめて実質的な問題といたしまして
不在投票と船員との問題がありまして、これは先般の
衆議院議員選挙法の
改正の場合におきまして
委員からもいろいろ御発言がありましたし、また海員
組合等からもいろいろの
意見の提示があつたのでありまして、ここに書いてございまする
不在者投票と船員の項におきまして、船員に対して
不在者投票の
制度を拡充し、次のような
特例を認めることの可否というようなことで、
一つの案をそこに書いておいたのでありまするが、これはその当時海員
組合等のにおきまして
考えられておりました案を参考にここに掲げておいた次第であります。
次に繰上げ
投票の問題でありまして、繰上げ
投票の
制度はあります
現行通りでよいかどうか。その繰上げ
制度を行います場合には六十六ページに一、二として書いております事由に該当する場合であります。それからさらに繰延べ
投票という問題がありますが、この繰延べ
投票の
制度も
現行通りでいいかどうか。この事由も六十六ページから六十七ページにかけて書いてございます。
次には無
投票当選の問題でありますが、無
投票当選の問題といたして
考えられる点は、現在の憲法と関連いたしまして、無
投票当選
制度がいいかどうかというような点が、一応の
研究事項になり得るかと思うのであります。そういう点をそこに
衆議院の
選挙の場合と、
参議院議員の
選挙の場合、
地方公共團体の場合の
選挙等に関連いたしましてあげておいたのであります。六十八ページの二のところに書いてございますように、無
投票当選の
制度と憲法第四十三條の
規定との
関係でございますが、無
投票当選については
選挙人の暗黙の承認によ
つて、國民がこれを公選したものと認とむべきかどうか。現在この
制度は認められておりますから、憲法違反とかいう問題とはなり得ないかもしれませんが、
選挙を
投票によ
つてやるという原則的な
主義方針から申しまして、こういう
制度を
將來の
制度として維持して行く事がいいかどうか。また一方から
考えますと、だれも競争者がなくて
議員定数を超えないため、
投票を行わないで当然当選にな
つた人たちでありますので、それらはそれぞれの事由によ
つて適当でないかという御
意見もあるかと思うのであります。
それから次には
投票の拒否及び仮
投票に関する
現行の
規定に
改正を加える点はないかという問題でありまして、これは
選挙法におきまして特別の場合に、仮
投票の
制度を設け、
投票管理者が決定いたしまして仮
投票させて特別の取扱いをする。こういうことに
なつておりますので、その問題をここに取上げておいたわけであります。それから
投票に関する制限
規定は、
現行通りでいいかどうかという点を六十八ページに五項目あげて書いてございますが、この場合は
投票が禁止される場合でありまして。こういう
規定が
選挙法の中に織り込んでありますので、そういう
制度は従来
通り選挙法の
改正の場合においても、取込んで維持して
行つたらいいかどうかという問題であります。
次に
投票用紙の様式について
改正を加えるべき点はないかという問題であります。これは
投票方法と関連を持つ問題でありまして、
投票方法がかわ
つて参りまして、たとえば記号式
投票が採用される場合においては、また様式もおのずからかわらざると得ないと思うのでありますが、そういう問題と関連して現在の
投票用紙は
現行のままでいいかどうか。それから
地方公共團体の同時
選挙の場合におきまして、
投票用紙は
一つの用紙に記載欄をわかちまして、二人別々に書くが、同時
選挙でありましても、別々の
投票用紙を用いた方がいいかどうかという問題が、
地方の
選挙管理委員会等の
意見として出ておりましたので、ここに取上げたわけであります。
次には無効
投票の問題でありますが、これは実際
選挙の当選、落選に影響を持つ問題でありまして、無効
投票に関連いたしまして書いてございます
現行法の
規定は、きわめて一般的でありますが、実際これに対しますところの認定は、
投票管理者において、それから
選挙会等においていろいろ疑義が生ずる場合があるのでありますけれども、その点を明確にする必要はないかという
意味において問題となり得る点を掲げておいた次第であります。その第一は
現行の
投票の無効事由の範囲について
改正を加える点がないかどうかという点でございまして、
投票の有効、無効の決定に対しましては、疑義を生ずる場合がたくさんありまして、判例、先例等もきわめて多数に上
つておるような現状でありますので、無効事由の範囲をさらに詳細に
規定することにするかどうか。それから
投票に記載いたしますところの文字の種類につきましては特別の
規定がないが、これに対して特別の
規定を置く必要があるかどうか、たとえば漢字、平かな、片かな、ローマ字、朝鮮字、ドイツ字、ロシヤ字等文字について特別の考慮の点が必要かどうかという問題であります。次の問題は他字記入の
限界につきましては疑義が多いが、
將來その範囲を狭めることとするかどうか。
投票用紙に他事を記入すると無効ということに
なつておりまして、他事記入ということが
法律上の明確な
規定はないのでありますが、そういう点について疑義を少くする
方法があるかどうか。次には同姓同名の候補者を識別する
方法をどうするか、たとえば山田という人の姓だけで
投票いたしまして、二人の立候補者があつた場合にはそれをどういうふうに取扱うか。次には
投票に関する指名の記載について氏または名のみを記載した場合と、候補者の何人であるかを確認しがたい
投票を無効だという
規定に
なつておりますが、この
関係はどうするかというような点でありまして、多少
法律問題にわたる点であります。次には先ほど申しましたように
投票の無効事由の範囲につきましての疑義を少くする
意味においても記号式
投票を採用することとするかどうか、これは比例代表法とも関連いたしますけれども、それとは別個の
意味においての記号式
投票を採用するの可否の問題、最高裁判所裁判官國民審査法により記号式
投票法を採用した場合の無効事由の範囲をそこに
考えられる掲げておいたわけであります。次には
地方公共團体の
選挙以外の場合における
投票の場合でありまして、一、二、三、四と掲げてございます。一般的の場合においてはやはり
投票によ
つて行こなわれるのでありまして、こういう
議会の解散
投票、
議員の
解職の
投票等、その他の場合におきましても
選挙の場合と同じ
規定が準用されるのでありまして、ここに掲げておりませんが、今朝御
説明申し上げた
通り、なおこのほかに
一つの
地方公共團体にのみ適用される
特別法についての
賛否の
投票、特別市
指定の場合の
賛否の
投票、こういう場合がさらに
投票問題としてはあり得るわけであります。