○加藤
説明員
特別調達庁関係の
支拂い遅延につきまして、たびたび問題にな
つておりますので、はなはだ恐縮でございますが、この前の当
委員会におきまして概括的に
お話申し上げておいたのでございますが、さらに本日もいろいろ
檢査院その他
大藏省からの
お話もございましたので、それらに関連いたしまして御
説明申し上げたいと存じます。
調達庁の
仕事は、御
承知のように連合軍の需要を満たすという立場にございますので、日本の國内
官庁の國内
支拂いという場合と幾多の点においてかわつた点がございます。要するに日本側の
会計制度によります
手続をふまなければならないと同時に、これに國内
官庁としての普通の
手続でございますが、そのほかに連合軍側から要求されております
手続をふまなければならない。二つの制約を受けますので、
支拂上いろいろそこに問題が起きて參のでございます。この前申し上げましたように、大体今まで調べました
支拂い遅延の
原因は、三
方面ある。その一つの
方面は、
先ほど檢査院の
小峰局長からも御指摘ございましたように、何とい
つても、連合軍のレシーヴイング・オフイサーの發行いたしますいわゆるPRと称しております受領書でございます。この受領書をもらわなければ、
支拂つてはいけないという指令が出ておりますので、このレシートをもらうことが非常に困難である。そのために大体
仕事が済んでから一月もた
つてようやくレシートをもらうものもあれば、さらに全國的に
仕事をや
つておるような場合、たとえて申しますと、戦争中のアメリカの飛行機の墜落したものを発掘して整理するとい
仕事がございます。こういうような
仕事でありますと、全國的に一つの
業者がいたします。その場合に各現地々々で
仕事をいたしましたものを東京の方に全部集めまして、東京のレシーヴイング・オフイサーからレシートをもらわなければ拂
つてにいかぬということになりますから、そういたしますと、北に北海道から南は鹿児島あたりまでの
仕事の報告を全部東京に集めて來て、そうしてレシーヴイング・オフイサーからレシートをもらうということになりますと、そのレシートをとることもなかなか困難でございますこんな例がありまして、何とい
つてもレシートをもらうことがこの
支拂い上の第一條件であり、しかもこれが
支拂い遅延の相当の
部分にな
つております。この前申し上げましたように、昨年の十月末に、全國にわた
つて調べた結果によりますと、
支拂い遅延の二九%がそこにあるという数字が出ておるのでございます。
第二の問題に、これは
特別調達庁限りの特殊性ではございませんけれ
ども、
法律一七一号の規定による
支拂い請求の
内訳書をつくることが非常に困難であるという事情であります。この点は
先ほど來しばしば
お話が出ている次第でありますか、
特別調達庁の
仕事については、特にこの一七一号の詳細ななる
内訳をつけなければならないものが多いのであります。と申しますのは、今度なるほど、
法律一七一号が
改正になりました。しかしこの
改正になりました内容は、
予定價格を法規によ
つてつく
つて競争
入札に付して、初めてこの適用を受けるのであります。ところが調達庁のや
つております
仕事のうちには、前も
つて予定價格をつく
つて入札に付することのできないものが相当に多いのでありますと申しますのは、日本の普通の
官庁の
仕事でございますと、自分のやる
仕事でありますから、たとえばこういう設計でこれだけの建設
工事をやるということで、みずから
はつきり設計もでき、その見積りもでき、それを
入札に付するから、できるのでありますが、連合軍側の要求といものは、そういうものもございますけれ
ども、たとえて申しますと、役務
関係の
仕事になりますと、前も
つてこれだけの内容であるということが示されません。ただ何々ハウスの維持管理の
工事をやれというような指令が出ておりますと、毎月々々そのための
仕事の内容なり分量が
予定できせんから、それをも
つて入札に付するということはできないのであります。そうしますと、自然
随意契約とならざるを得ませんので、
随意契約になりますと、
法律一七一号の簡素化の
手続ということの恩典を受けることができないのであります。そういつたような事情がございまして、
特別調達庁のやる
仕事について、この
法律一七一号による簡素化の
手続を全面的に適用することに困難であるという事情にあることをお含みいただきたいと思います。しかし一七一号の
法律改正後、相当
改善されて參つたりであります、が御
承知のようにこの
法律の公布は本年の四月三十日でございまして、その以前の
契約については、なお從側の例によるということにな
つております。それで現在
支拂い遅延にな
つているような問題は、大体この
改正の契釣に基く
工事なり役務に対する
支拂いでありますので、まだこの規定による本格的な簡素化の適用というものが現われて來ないというような
実情にございます。なおこの
法律一七一号の
改正を要する点はないかというような問題も当面起きて參るのでありますが、この前の小
委員会におきまして
大藏省理財局の松木課長からさしあた
つて改正を
考えていない。またこれにG・H・Qの方との協議によ
つてできた
法律であ
つて、
改正することが必要であればG・H・Qとも相談して
考えましようというような
お話であ
つたのでありまして、責任ある主管庁である
大藏省としては、この
改正について現在お
考えにな
つていないようであります。
從つてわれわれとしても
改正をどうしたい、ああしたいという個人的な意向をさしひかえるべきであろうと存じますが、ただ
業者の方々から、われわれ現實に
支拂つております
官庁に対して、この
改正についていろいろの要望がございます。その点について
業者の声として二、三ごひろう申し上げてみたいと思いますが、その一つは、
随意契約のものについてに、一切この規定の簡素化ができませんで、全部材料と労務費と諸役務というふうに、この三つの元素に分解して、公定
價格でそれを積算して行くということに相なるのでありますが、たとえて申しますと、ある一定の見積
價格に達しない場合には、さらに
入札をいたします。再度
入札をいたしても、さらにその
入札價格が
予定價格以上であ
つて、落札ができないという場合には、結局
予定價格をやるのでありますが、その場合にこちらで
入札の際につくりました見積り
價格といわゆる
予定價格と同じ
價格で
随意契約するわけでありますが、そり場合には、法令上それに
入札によるものでなくて、結局
随意契約であるからということで、そうなりますと、今後の
支拂いの場合必ず三元素にわけて詳細なる
内訳書をつく
つて出さなければならねということになるのでありますが、
業者の方から言われると、もし
入札で落ちておればいらない、同じ
價格で
随意契約をやるというう場合にはいるというのはおかしいという御意見がございます。それから連合軍の
工事は、や
つておる途中におきまして、
向うの司令官あるいは係官の意向によりまして、いろいろ設計の変更がございます。この設計変更になりますと、当初その
契約は
入札によ
つてきまりましたものでも、その設計変更
部分部につきましては、
随意契約なりますので、この
部分につきましては、一七一号による三元素にわけて、見積
支拂請求内訳書をつくらなければならないことになりまして、これは非常に手数であるというお声がございます。それからもう一つ、需品の場合におもに行われるのでありますが、
從來見積合せをや
つて來ております。これに連合軍の要求。される品物が、相当日本の現在の
経済状況から見ると、
一般に市販において買うことができないようなものである。規格が連合軍向きにできていなければならぬというようならなことで、そういう品物は多数そのマーケツトで入手することができないものが相当多いのでございます。そうしまと、また一
業者においてそれを全部引受けてやれるという
業者もないといような場合に、これを数名の
業者にそれぞれ
予定價格、見積り
價格並びに引受け得る
数量というものを
入札させまして、その結果を見てそれぞれ第一順位から第二順位、第三順位といつたように能力に応じ、しかも安いものにわけてやるという制度が
從來行われております。こういう制度は、アメリカの方から言わせると、それに一体競争
入札じやないか、そういつたものには
法律第一七一号の規定による
内訳はいらないじやないかということを言われまして、アメリカの
会計制度から申しますとそういうものもいわゆる競争
入札というカテゴリーの中に入るようなのでありますが、日本の
会計法から申しますと、それはやはり
随意契約であるということになりまして、
内訳書がいるというようなことに相な
つておりまして、こういう点について
業者の方、並びにこの点は調達庁の側も若干不便に感じておるような点でございます。こういつたような点では
法律一七一号が
改正になりましたけれ
ども、
請求する場合になかなか複雑な手数を要することはまだまだ残
つておりまして、また
改正前の
契約について全部昔の
通りの
手続を要しますので、いまだ効果が十分に現われて來ていないということを申し上げたいと存じます。
それから一番最後に、結局
業者の方から
請求書が出て参りますと、これを
官庁側といたしまして
支拂いの
手続をとるわけでございますが、この
手続が、
官庁の
事務機構が複雑であるために、非常におそいという御批判がございまするが、この点はわれわれといたしても、できるだけ。早くやることを心がけております。ただ特に申し上げておきたいことに、
特別調達庁の機構というものが、これは八軍の方から指示されてできておりまして、いわゆるアメリカのチェック・アンド・バランスの思想を十分に織り込んだ、いわばアメリカの
仕事の流れ方にな
つております。いわゆる横割りの
仕事のやり方でありまして、日本の
一般官庁のような縦割りでありませんので、非常に
仕事が各セクションに流れて
行つて初めて
支拂いができるというようなことに相なるのであります。そういう横割組織のためにに、どうしても
從來日本
官庁で縦割り機構のもとで働いたわれわれには。なれないせいもございましようが、能率が上らぬ。またたとい十分能率が上るように努力いたしましても、そういう組織から当然にある
程度の流れが遅れるという点がございますことを、
簡單でごまがざいますが、申しつけ加えたいと存じます。
以上申し上げたように連合軍側のレシートを早くもらうことと、それから
業者側が
請求書の完全なものを早く出すことと、それから
官庁側が
支拂い手続を促進して早く拂うという、この大きな三つの面がおりますが、さらに一番最後に申しつけ加えておきたいことは、
支拂いをいたしまする際に、日本の
官庁でありますとそういうものはいちないのでありますが、連合軍の方に詳しい
支拂いの
内訳書を提出しなければならないという点でございます。これはペイント・データと申してございますが、各
契約者が英文をもちまして詳細な内容をつく
つて、それに署名捺印をいたしまして、それをまた
支出官が
檢査をして間違いがないと言うことを署名捺印いたしまして出さなければ、
支拂つてはいかぬということにな
つております。これはこういう
書類でございまして、一つの
支拂いについて、大きなものになりますと十何枚あるいは何十枚というものを詳細に英文でつく
つて出さなければならないのであります。これは非常に大きな会社はなれて來られつつありますけれ
ども、中小の
業者にとりましては、そういうものを英文で書くということは非常に困難なようでありまして、こういう点がやはり
支拂いの
遅延の一つの
原因のようであります。
それからいよいよ小切手をつくりましても、それを直接
支出官から
請求者の方にお払いできないので、これを現在小切手認證官の認證を受けなければならないことにな
つております。
終戰処理費につきましては
特別調達庁がみずから小切手認證ができないのでありまして、現在
大藏省の
事務部の認証を受けなければならないことにな
つております。小切手をつくり、一件
書類を整えて、これを財務部に持
つて行きましてそこで認證を受けて持ち帰るので、その日のうちにはとうてい
支拂いできなくなりまして、翌日なります。そういう点が今残
つております。
先ほど理財局の方から現在
支出負担行為の認證制度もあることであり、小切手認證の方は將来
簡單にやれると思うというような意味にとれる
お話もありましたが、これは政令の規定では二十四
年度中に
大藏大臣の指定する日をも
つてこの小切手等の認證をやめるという規定にな
つておりますので、われわれ
支出官の立場から申しますと、一日も早くこういう制度はやめてもらいたいという率直な意見を持
つております。
大体以上のような点を申し上げまして、御
質問がありましてたらお答え申し上げることにしたいと思います。