○夏堀
委員 漁業資材の補給金の打切の問題は、わが
日本の
漁業の最重大問題でありまするので、本日かくのごとく全國の
代表者がこの水産
委員会に参
つて陳情している次第であります。ただいま大藏大臣よりはつきりした答弁はありませんけれども、大体においてこれは打切りになるではないだろうか、あるいは相当思い切
つたいわゆる少額にする
というような御
説明で、私は大藏大臣の
日本の水産に対しての御認識は十分ではないと存じますので、
日本三百万
漁民の
代表の声として、この機会に一應この重要性を大藏大臣に訴えて、補給金の打切りは、大藏大臣のお
考えにな
つているようなそう簡單なものではないのだ、こういうことを申し上げたいのであります。私申し上げるまでもなく、大藏大臣はドツジ・ラインによるところ
日本の自立経済に対するあり方を明確にする、そうした意味での御発言であ
つたと思います。けれどもこの
漁業用
資材は、
日本の全体の補給金の打切りによる
日本の自立経済の面とは違
つたものではないか
ということを私申し上げたいのであります。
漁業の経営の困難
ということは、今さら申し上げるまでもなく、すでに昭和七、八年でありましたか、当時為政者がこの
漁業生産のために、思い切
つて鉱油課税の設置を
とつたこともあ
つたのであります。戰争によ
つて敗戰となり、そうしで結果においてアメリカよりすべて輸入を受けなければ成り立たないわが國の
漁業の
状態、そうして輸入
資材すべてがアメリカに依存しなければならないのであります。これが
日本の
生産による
資材であれば、
生産コストの引下げとか、企業合理化、いろいろなことによ
つて何とかなるではあろうと
考えますけれどもその面だけではそれは不可能でありますので、どこでもアメリカに依存しなければならぬのであります。しからばアメリカがこれをどういうことに
考えてお
つたか。これは申すまでもなく、アメリカが
日本の
漁業者に魚を一匹でも多くと
つてくれるように
というので、この貴重な
資材をアメリカが対日援助物資として、われわれにこれを供給しておると
考えております。それが
日本の経済自立のためではないだろうか。ここに大藏大臣のお
考えにな
つておるドツジ・ラインによる経済の自立
という一般的な補給金の打切りとかわ
つた点は、アメリカの好意による対日援助物資、特に
日本漁業者にこうして多くの魚をと
つてくれるようにとして與えてくれた、それが、
日本のいわゆる政策上、特に大藏大臣が所管の財政面だけから見て、それによ
つてこれを打切る
ということになれば、せつかくのその好意は、結局生きた活動としてわれわれに與えることではなくして、アメリカの好意を無にする
という結果にもなりはせんか、そのようにも
考えられるのであります。しかしそれは大臣の御方針として、どこまでも全体の補給金打切りの面で御処理なさる
ということであれば、やむを得ないのでまりますけれど、これは本
委員会に参
つております
代表の方々も、おそらく同じ
意見であると思いますが、結果において現われるのは何か。三百万
漁民のうち失
業者はおそらく大半
——私六〇%と計算しておりますが、
漁船が減船され、そうして六〇%の
生産減となる。
從つて六〇%の人の失業
状態になる。私三百万
漁民と申しておりますが、大体五人家族として千五百万人となりますが、これの六〇%とすると大体一千万人
ということになります。この失業の
状態、
生産六〇%減
ということは、
日本の
漁業にと
つてゆゆしき問題であるばかりでなく、アメリカの援助を受けておる食糧問題の解決点に最も役立
つておる水産食糧に、非常なる打撃と、今後の憂慮すべき事態の招來することを恐れるのであります。よ
つてまだ未
決定である
という御
説明に対して、私ここに大藏大臣に対してきつく申し上げることはどうかと思いますけれども、かくのごとき事情のもとに立
つておる
日本の
漁業状態、
漁業経済
というものが、政治的に見て將來恐るべき事態に突入するであろう
ということを憂慮しておるのであります。財政面から見た大藏大臣の御処置、これは一應御苦心のほどは御推察申し上げますが、
日本の政治のあり方の大局から見て、財政面から見ただけによ
つて、補給金の打切りの御方針を同一に扱
つて御処理なされることに対しては、
日本三百万
漁民は反対するであろう
ということを、ここにはつきり申し上げておきます。大藏大臣は、特に輸入
資材によ
つてのみまかなわなければならぬわが
日本の
漁業の現状を十分に御賢察にな
つて、過般來私も大藏大臣よりお伺いした
お話の中には、私
個人的に見ても、まことに不満にたえないものがありますけれども、しかしこれは感情は感情として、大きく
日本の政治のあり方、そして三百万
漁民の失業
状態、経済
状態、こうした面を大きく見て、大藏大臣のこれまでお
考えにな
つてお
つたことに対して、できるだけのお
考え直しを願いたい。そうした意味でわが
日本経済の自立は、全体の補給金の打切りの面とはかわ
つた漁業資材の面のお取扱いを要望する次第であります。私のただいま申し上げたことに対して、大藏大臣はどういうお
考えを持
つておられるかを、この機会にお伺いしたいのであります。