○森國務
大臣 先にお述べになりました三つの問題、これは実に私も同感なのであります。一体時期と、時間と、量、この三つに支配されるものを、同一價格によ
つて統制して行くというところにむりがあるのであります。けさとれた魚と夜とれた魚、あるいは大漁のときと、不漁のとき、それから最もいい季節のときと、あるいは悪い季節のとき、こういうものを同一の公定價格にして行くということが不自然なのであります。われわれが
統制撤廃を
考えるのはここにあるのであります。蔬菜などはこの点において撤廃を強調いたして実現したわけでありますが、先ほ
どもお答えいたしました
通り、何分生産の主要
資材に連合軍の特別なる好意が寄せられておるために、そういう自由な
立場において、力ある者が多くとり、力なき者は食べたくとも食べられないということがあ
つては、足りない物資としてはいけない。これは適正なる配給をし、國民の保健上ある一定率を食べさせなければならないという氣持で、
統制が置かれてあるのであります。この原則に基きまして、不自然な
統制が今日行われておるのであります。これは何とかしてこの原則に基いて生産された漁獲物が、ほんとうにその價値を現わすようになる方法はないかということを、今日
考えなければならぬのであります。なかなかこれはむずかしい問題でありますが、今日の段階といたしましては、やむを得ないのではないかと思うのでありますが、價格の面においてこれは是正し得られるのではないかと思うのであります。この点につきまして
安本なり、物價廳といたしましても、十分研究を進めてお
つてくれるわけでありますが、
政府におきましては、この水産局に対する原則を失わぬ上におきまして、今お述べになりましたような水産物のほんとうの價値を現わして行くというふうに、價格の面において是正の
方針を
考えて行きたい。かように
考えるのであります。
なお中間機関の搾取の点でありますが、これはまことにごもつともでありまして、何とかして生産者と消費者との直結ということは、いずれの業態でも
考えられることでありまして、ことによりますと、トンネル機関でありまして、ただ帳簿を通過しただけで手数料をとられるという
統制の形式がありますが、生産者といたしましても消費者といたしましても迷惑をこうむるのであります。だとい
つて、全然これを今日の運輸配給等の機構から
考えまして、集荷あるいは配給の機関を全然無視してしまうというところまで今日の経済組織が進んでおりませんが、できるだけ中間の機関を除去いたしまして、生産者と消費者がなるべく近寄るような組織に持
つて行くことは、いずれの産業においても必要でありますが、
水産業におきましても、できるだけそういう煩雑な機構を除去いたしたい。かように
考えておるわけであります。
また画一的な
統制はいかぬではないかということは、まことにごもつともでありまして、日本の現状から見まして、これをどこでもかしこでも画一的な
統制をや
つて行くということに
統制ということの矛盾不合理があるのであります。この点もお氣付きのように、われわれといたしましても、是正して行かなければならぬという点は相当考慮いたしておりますので、できるだけこういうこともあまり画一的にわたらないように
考えて行きたい。かように
考えるのであります。
なお
資材の配給の面でありますが、これは
お話の
通り、きようは魚がとれようかどうかということは、大きな希望を持
つて船出をいたしましても、その日の都合によ
つてはほとんど漁獲がなか
つた。かえ
つて漁獲がなか
つたときには、よけいに油を消耗したり、
資材を消耗したりするのであります。豊漁のときは
資材の消耗がなくて、うんと魚をとる。こういうときはかえ
つて油を使わなか
つたというようなこともあるのでありますが、リンク制で魚を出さなければ
資材はやらない。こういうことにな
つておりますので、こういうところに
漁業を営む上についての矛盾があるのであります。こういう点につきましても、できるだけ
関係方面の認識を深めていただくように
努力はいたしておるのでありますが、漁がきま
つてあればけつこうでありますけれ
ども、今申しましたように、勢い込んで船出しても、空でもど
つて來たということも事実あるのであります。そうしてより以上の
資材を使
つているという実情があるのであります。何を申しましても、血の一滴と言われるような油であり、これを連合軍司令部から配給を受けておるような情勢でありますので、今日のやり方といたしましては、
関係方面との
事情やむを得ないやり方と御承知願いたいのであります。しかし大きい
漁業の遠洋
漁業というようなものに対しましては、前も
つて資材を配給いたしておりますことは、これはその業態の性質上やむを得ない情勢にな
つておるのでありますが、この点も
事情御了察を願いたいと思うわけであります。なお調整
事務所の取扱いにおいて、
資材をやみに流しておるというような
お話でありましたが、調整
事務所として、こういう貴重な
資材を配給いたしておりますものは、本省より直接各府縣に割当てまして、その割当によりまして、これを執行するのでありますから、不必要なものは決して割当はいたしておりません。申請しておるものの全部はとうてい割当られないような情勢でありますから、また割当てましたものが、はたして割当てた人がそれをうまく利用しているか、活用しているかということも注意を拂
つておるわけでございますから、この方面からは、やみに流れるというようなことは全然ない。またそういうふうな不確実なところには、断じて配給しないということを御承知願いたいと思います。
なお協同組合の利用の問題でありますが、これは地方の
漁業の実態によ
つて考慮しなければならぬと思いますが、現に
水産業会が水産協同組合となりまして、こういう方面に対しましても、協同組合
自体の仕事として集荷し、集荷の機関としてこれは現在もまた將來もそういうような方面に大いに活動してもらはなければならぬ。かように
考えたわけであります。