○
飯山政府委員 今の
水産教育について補足して申し上げておいた方が了解が得られるのではないかと思
つて申し上げます
水産講習所の大学昇格の経緯は先ほど申し上げた
通りであります。それについて國内的に何らかのそこに操作もして、従来の産業
教育の実を失わないようにいたしたい。この点は共管ということを主張しのもその一点にあ
つたのでありまして、実は申合せが公式にはな
つておりませんが、次官同士の覚書にしたい。
水産廳の案でありますが、
文部省の方に出したのであります。その中に國内的の体制をなんとか維持して行きたいというふうに
考えております。同時に
將來もし
文部省の所管に
なつた場合でも、農林省としては何らか
水産教育に関して
予算を獲得する根拠を持ちたい。たとえば船をつくるとか、あるいは調査をするとか、そういう場合には
教育に関して農林省が
予算をとれるようにしたいということ、これは文部大臣もこれを承認しております。
將來水産講習所というものが
水産廳から消えた場合に、
水産教育に関して
予算をとる根拠がないのであります。そこを実はそういう方法を講じたいということも
つけ加えて申し上げておきます。
それでは
教育に関しては大体終つたようでありますので、鈴木さんの言われる
漁業技術者、船員養成所の問題、これは御
承知の
通り大
日本水産会に
漁業技術者船員の養成所があ
つて、そこにわずかない補助があつたというようなことであります。ただいままで二千余人の養成者が出ておるという程度であります。先ほど
お話のように、五トン以上の漁船にみな資格者を乗せるということになれば、先ほ
ども漁船の数が出ましたが、三十万トンの船がありますと、これを充たすということは非常に困難だと思うのであります。他の項目もそうであリますが、二十四年度の
予算に計上しておる内容は、われわれの現在持
つておる
考え方なのであります。それによれば漁船船員に対しましても、本年の
予算は大体、しつかりしたものではありませんが、百五十万円にな
つておるのではないかと思いますが、そういう程度の補助金しか計上しておらぬのであります。鈴木
委員の言われるような
事態に対してこれが
対策は現在持
つておりません。しかし資格を得るとか得ないとかいう問題よりも、
日本の
漁業を堅実に発達させて行くためには、どうしても船員の再訓練、再養成ということはゆるがせにできない問題だと
考えております。できますならば、たとえば現在あります
漁業会学校というようなものも、
石原委員長が主催されておりますが、この
方面な
ども非常に重要性を持
つておると思
つております。これに対しては本年度の
予算には計上いたしておりませんが、われわれとしては現在の額はきわめて少額であることを
承知しておりますし、そのような程度では、とうてい
目的に沿わないということも十分了承しておりますので、今年度はすでに
予算も内定しておるようなわけでありまして、遺憾ながら計上もできませんが、今後においては、できるだけ船員の養成について努力を拂いたい、かように
考えておる次第であります。
第四に漁船船員の試驗という問題でありますが、これは
お話のように船員の養成なり、漁船船員の所管を
水産廳にするということが、
水産行政を進める上においても、また
水産業の発達のためにも非常に重要な問題であります。しかしながら所管の問題になりますと、長い歴史もありまして、なかなか現実の問題といたしまして、ただちにこれを
実施することも困難であります。しかし試驗の手続、方法においての御指摘はまことにごもつともだと思うのであります。それで
水産廳といたしましては、保安廳に対して漁閑期に
実施する、
地方の
実情に應じて試驗を
実施してもらうというような
要望をぜひいたしたい。しかしこれはおそらく
予算というような
関係があるのではないか、こう想像されますので、何かそれらの係官の派遣に対しての経費というものが問題になるのではないかと思うのであります。これが保安廳において余裕があれば、ただちに
要望し、すぐ
実施されると思いますが、これらの点については、あるいは漁村において多少の負担をするということであれば、この事柄は非常に早く行われるのではないか、かように出えておりま
その次には東北海区の研究所の問題であります。東北とはどういうところを言うかということでありますが、これはいわゆる通常社会通念と申しますか、普通言われておる青森、岩手、宮城、福島、普通の觀念では福島以北であります。この場合の東北海区には関東の一部茨城縣の海区まで入
つてそれだけにな
つております。
塩釜に選定した理由いかんということでありますが、金華山の
漁場が東北海区における中心
漁場をなしておると
考えられるのであります。あそこの
漁場は世界三大
漁場の
一つだということを昔から言われておるのでありますが、これらの
漁場において科学的研究が今日まで行われておらないのであります。
漁獲の上から見ましても、あそこの海区を完全に研究調査をするということが最も重要じやないかということと、もう
一つは、
施設を地元において負担するのに遺憾ながら
予算がありませんので、そういう点から塩釜にしたのであります。さよう御
承知願いたいと思います。
地方の試驗場の使命を果すのに一体どういう
考えがあるかというお尋ねでありますが、御
承知の
通り、從來の試驗場は、
地方財政の
関係から特別会計にな
つて以來、
地方の試驗船の活動、あるいは陸上試驗が非常に不十分にな
つて來たのではないか。少くも
日本の
水産業の初期においては、
地方の試驗場が大きな役割を果しておつたことは否定できないと思うのであります。從來
日本ではと
かく調査研究というものが軽視されておつた。
國会においても、縣会においても、私はおそらくその弊があつたと思うのであります。とに
かく地方においては
調査研究と言えば非常に不要なものだ、こういうことのために
財源がなかつた。それが振わなかつた大きな原因をなしてお
つたのではないか。これを十分活動させるためには、やはり相当の
財源を必要とするのであります。しかしながら從來中央との結びつきにおいて、遺憾な点がなかつたかということを
考えてみますと、相当
考えさせられるものがあるのであります。それはどういうことかと申しますと、中央試驗場が
東京にあ
つて、その分場が
地方にあり、結局中央の試驗場を主体に
考えてお
つたのであります。今度はそういう分場というのではなくして、各地のものが独立した海区の研究所になるのであります。
從つてそれが
地方のブロックの中心にな
つて、研究すべき事項、あるいは試驗すべき事項を、海区々々の
実情に即したものを選んでやることになれば、從來よりはよほど実績を上げ得るのではないか、かように
考えております。もし
財源が許して補助ということができますれば、さらにその効果が上
つて來ると思いますが、中央の研究所自体が財政上十分でないという事情がありますので、技術的あるいは調査の項目、あるいは人の連絡というようなことによ
つて実績を上げて行くより、現在としてはいたし方がない、かように
考えております。
漁業施設と
水産資源との
関係いかんというお尋ねであります。これは根本的に
考えますと、
日本の漁船は百十万トンになんなんとするのであります。ところがこのトン数が一体
漁獲の上にどう反映しておるかということを
考えてみますと、選憾ながら一トン当りの
漁獲率は低下しておるのであります。一人当りの
漁獲もおそらく低下しております。漁船のトン数については非常に誇るべきことでありますが、
漁獲経済から見たときにはむしろ憂うべき傾向にある。漁船が
漁業資金の大半を占めておるので、資金をこの方に向けてしまうために運轉資金も得られない。船はふえて行く、資材はますます要る。そして
漁獲能率は低下して行く、こういう
事態から根本的に檢討を加えなければならぬと私は
考えております。
從つて現在の
漁獲を維持するのに、一体どれだけのトン数があればよいかということから出発しなければならぬ、かように
考えております。一トン当りあるいは一隻あたりの
漁獲がもつと増せるように、資金も
考え、
資源も
保護する、あるいは
資源を活用すると言いましても、漁船の現在の数をそのままにして置いて、これを達成することは非常に困難ではないかと思います。もちろん漁船でありますから、ある老齢に達すれば代船をしなければならぬがその建造の上において根本的な
方針を
考えなければならぬと思います。
次に
資源の
保護と許可
漁場の問題、これは
漁業法でやるのかそれとも單独な取締りでやるのかというお尋ねのようでありますが、
地方による許可と中央による許可とあるのであります。ところがこれは、今御指摘の
通り非常に混乱しておるのであります。少くも相当の海区にわたる回遊魚の
漁場は、やはり中央で
考えるべきではないかと私は思
つております。
地方廳が許可されるものは。他の海区と共通しないようなものにしないとそこに問題が起る。たとえば底引
漁業のごとき、あるいは現在のさんま
漁業のごとき、許可制の所もあれば自由の所もある。こういうことで、
資源保護というような見地から、許可を非常に厳格に
実施している所があるかと思うと、隣りの縣ではこれを自由に許すということから、非常に混乱する。
從つて共通的な
漁業はどうしても中央で許可制度を
考えなければならぬ。
地方は大体
地方の海区で営まれるものに限
つて行かなければならぬと
考えます。取締りの問題でありますが、現在無許可のものが相当ありまして、われわれ
当局としてはまことにめんぼくがないのであります。かような
事態のできましたのは、戰事中における生産第一主義というようなことと、もう
一つは、各縣の取締船に燃油の配給がないというような
関係から、船はあるけれ
ども取締りができない、あるいは船が大半戰災をこうむ
つている。こういうことが原因で、今日非常に混乱を來しておるのであります。これを民主的に取締るかどうかというような御
意見もあつたようでありますが、この取締りについては、
政府のみあるいは
地方廳のみということでは、とうてい完全な期待はできないのであります。
從つて各
業者の協力によ
つて、民主的と申しますか、そういう方法で、これを完全に取締るように当えて行かなければならぬのではないかと思
つております。
新
漁場開拓の問題でありますが、これは御
承知の
通り、限られた現在の海区におきましては、いかに合理化しても、現在以上に生産を増強して行き、しかも
資源の
保護をするというようなことは非常に困難であります。
從つて深海
漁業、つまり立体的な
漁場の開拓ということよりほかに現在としてはないのではなかろうか。この点について最近私の伺つたことが非常に参考になりまするので、
つけ加えたいのでありますが、
日本海の能登半島の沖合七十マイルくらいのところに瀬がある。從來
日本海は御
承知の
通りさばもいわしも四、五月が大体
漁期にな
つておる。ところが七月二十四日にその瀬のところで漁をしてたところ、さば、いわし、いかがとれた。それはつまり電氣の光をも
つてや
つたのであります。從來はそこではそういうものはとれないのであります。しかも相当深いところである。そういうところを発見したというので、深海
漁業というものは大いに
考えなければならぬのではないかという示哀を、私ある人から受けたのでありますこれは
一つの例でありますが、とに
かく新開拓の方向は立体的に
考える。
北海道の油がれいというようなものがその一例だと思いますが、これはぜひそういう方向で新
漁場の開拓をいたしたい。かように
考えております。
それから
繁殖保護の積極的な取締りと消極的な取締り、こういう点であつたと思いますが、取締りの方法については、先ほど申し上げましたように、
法律をつく
つて、それで一体そういう完全な取締りがや
つて行けるかということになるのでありますが、私はこの点は先ほど
北海道の孵化事業の
お話もあ
つたのでありますけれ
ども、取締りという問題を、單に役所の問題としてのみ扱うということでは、とうてい
目的は達せられないのではないか、ここにやはり民主的な行き方を
考えるということが、取締りの効果を十分にあげて行く基本になるのではないかと思
つております。
從つて今後は
繁殖保護の取締りについては一そういう方向に進みたいと
考えております
それから鮭鱒孵化場を、
北海道に限らずに内地に行う
意思ありやという点であります。これは内地も、岩手縣のごときは相当有名な
河川をも
つております。しかし総生産額から見てこれをただちに国営で孵化放流をするということは、非常に困難じやないかと
考えおります。しかしわれわれとしても、実は孵化放流によ
つて増産がどれだけできるかというようなはつきりした檢討は加えておりません。
從つてこれを十分な檢討を加えて、もし
北海道でやると同様もしくは以上の成果がそこにあがるという見当が立つ場合には、これをやるべきものだと
考えております、
それから内水面の種苗の問題であります。これは先ほ
ども大分出た問題でありますが、これは
皆さん多数の御
意見のようにも拝廳いたしますので、全國的な
一つの
考え方が必要であるということは、私も痛感しております。
從つてこれをどういうふうに
実施して行くかということについては、調査いたしまして、ここで具体的に全部の魚種に向
つて実施するということは困難でありますが、最も必要な、最も適当なものからこれを
実施して行くという
考え方で行かなければならぬと
考えております。
もう
一つ林さんから御
質問があつたと思いますが、
民間の時代が一番よく、國に
なつたとぎに非常に悪い。この御指摘はまことに恐縮なのでありますが、これは
日本全体の産業界の
実情が反映しているのではないか。これは逃げ言葉ではありません。大体
民間の当時の経済事情、あるいは
日本の産業の全般の
実情が、よほど反映しているのではないか。なぜかと申しますれば、おそらく
民間でや
つておつた時代の貨幣價値と申しますか、そういう点から
考えましても、実は
予算さえあれは十分に復旧もいたして、そうして國家が経営する以上、少くも
民間よりも効果があがらないんだというようなことであれば、これは國営にする必要はないのであります。しかしそういう事情もありますので、一應せつ
かく國営としてこれを移したのでありますから、私
どもは國営で十分な成績をあげ得ない場合には、
考えられますけれ
ども、できるだけ御指摘もありましたように、十分な注意をいたして、成果があがるように努めて行きたい。もう
一つは生と塩さけとの價格の点でありますが、これは御説の
通りなのであります。生が出ない、出せないのあります。しかしこれは鮮魚の統制價格
関係になりますので、御指摘の点はよくわかるのでありますが、今さけだけを取上げてどうであるというようなことは、過日來いろいろ申し上げたような事情もありますので、御
意見はもつともと思いますが、ただちにこれをどうするということは非常に困難かと思います。